ランゴ兄さん転生〜なお知らないところで問題は発生する模様〜   作:誰かオレを笑ったか?

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第5話

 半年前、井上みちるの希望により、ショウマ共々二人は人間界へと帰っていった。

 正直なところ、ありがたくはある。

 

 人間界はここに比べて平和であるし、アルバイトもいない。このまま何でもない平穏な日常を送ってもらうことにしよう。

 

 当たり前と言えば当たり前だが、すべてが順調だ。

 邪魔するものは何もない。

 まだ大統領の座には就けず、ボッカ・ジャルダックが就任しているが、次の選挙も一年後には行われる。本編通りに富裕層からも評判の悪いボッカを追い落とすのは難しくない。次こそは大統領になれるだろう。

 ……直接ボッカに殺されなければ。

 

 もはやオレを阻むものは何もない。

 時期的にもそろそろ本編開始頃になるが、オレの障害と成りうるものなどもはや存在しないのだ。

 

「ランゴ様。こちらをご覧ください」

「なんだ……何ィ!」

 

 仮面ライダーガヴだと!? 

 眷属が持ってきたタブレットに写っていたのは、謎のグラニュートと、変身したショウマが戦う姿だった。

 だ、誰だこのグラニュートは。オレはアルバイトを人間界に送ってなどいない。だとすれば先代までの間に送られた奴か? 

 だとしても何故今になって暴れ始めたんだ。

 それ以外にあり得るとするならば。

 

「侵入者がいないか、今すぐ扉の間を調べろ。グロッタ達にも連携しておけ」

 

 人間界の調査にはオレが手ずから向かうとするか。

 なんで……どうして……。

 

 ■◆■

 

 その辺の石ころや、眷属に持ってこさせたグラニュート界の石を齧りながら捜索すること数日。

 

 報告によると扉の間へ侵入された痕跡は無し。

 弟妹達も怪しい者は見ていないそうだ。

 

 となればアレは父上や祖父が人間回収に送ったストマック社の関係者と見てまず間違いないだろう。

 全員処理したと思っていたが、取りこぼしがあったとは。

 

 残っていたとしてもそう数は多くないはず。

 念の為眷属を何体か捜索にも回し、早期の解決を計る。

 

 それで、とうとう二体目のグラニュートを発見した。

 急いで現場に向かう。

 

「何をしているんだ、こいつは」

 

 そのグラニュートは人を襲っていた。そりゃあまあストマック社としても人間を襲うように指示を出していたのだろうが……なんというか、その後人間を捕まえようという気概が見えない。

 

「まあいい。おいお前、何をしている。止まれ」

「ああ? なんだ獲物がそっちから来やがった」

 

 雄叫びをあげて飛びかかってくるグラニュート。

 甘さゼロのランゴラリアット。

 もんどり打って悶えるグラニュート。

 

「オレを知らないと言うことはやはり先代以前の輩か。ふん。オレはランゴ・ストマック。お前の知るストマック社の社長が誰だか知らないが、今はオレだ」

「げほっ、ごほっ……なんだこいつ、つぇぇ」

「なに。まさかお前、ストマック社の関係者では──」

 

 そいつに問い質そうとしたところで、邪魔が入った。

 仮面ライダーが来たわけではない。

 人間だ。人間の軍隊が来た。突撃銃を構えて、防弾チョッキだかを着込んだ奴らだった。

 周辺の民間人は概ねコイツから逃げていなくなっているとはいえ、そのまま町中で発砲する。

 

「民間人一名を保護しました。安全なところへ移動します。ついてきてください」

「あっはい」

 

 保護された。

 

 ■◆■

 

 軍人だか自衛隊だか、そいつらに聞いてもあのグラニュートについては教えてもらえなかった。

 まあ当たり前か。

 そう時間も経たずにオレは解放される。

 

 先程のグラニュートを再び探しに行っても構わないが、ニエルブに話を聞きに行くのが先決だろう。

 ストマック社の社員でも、侵入者でもないのであれば……まあマッドサイエンティスト組の誰かが人間界で作った可能性が高い。

 

 というわけで今日も人間界の研究所に出向いていたニエルブの元を訪れた。

 

「疑われるなんて悲しいなぁ。僕は何もしてないって。本当だよ、兄さん」

「……まあ、お前がそう言うなら信じよう。何もしていない、とな。していそうな奴に心当たりはあるか?」

「出来そうな技術者には何人か心当たりがなくはないけれど、でもこれは僕の知らない所で起こっている。知ってたら絶対に首を突っ込んでたからね」

「まったく。分かった。オレは引き続きこの件を調べる。ニエルブも何か掴んだら報告しろ」

 

 まったく。忙しいというのに余計なことばかり。

 はぁ。

 ニエルブじゃないなら、これ主犯は酸賀かなぁ。ビターガヴよりもたちの悪い物造りやがって。

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