三人は最上階に登った。そしてドアを開ける。見えたのは……レールと木でできた箱のような乗り物。
「何アルか?これ……」
神楽はぱちくりと目を見開いた。そんな神楽をよそに銀時はじっとレールと乗り物を見つめる。
「こいつァ……トロッコか?」
「トロッコ?……何アルか、それ」
銀時の呟きに神楽が反応した。すると銀時の代わりに新八がしゃべりだす。
「神楽ちゃん。トロッコってのはね……レールにそって走る車のようなものだよ」
「車?」
「うん。スピードは違うけど……ジェットコースターのスピードが遅いバージョンかな?」
新八は神楽が分かりやすいであろう例えを出して説明した。
「マジアルか!!銀ちゃん、新八乗るネ」
神楽はキラキラと瞳を輝かせ、トロッコへと向かった。銀時と新八は顔を見合わせてついて行く。
神楽は埃だらけの車に乗り込んだ。そして早くこいっと銀時と新八を見つめる。
「オイオイ、こんな怪しいのに乗っていくのか?」
「そうヨ、楽しそうネ!!」
銀時は嫌な予感がするのか微かに眉を寄せた。しかし、神楽はじっと銀時と新八が乗るのを見つめる。
「銀さん、どうしましょう?」
新八が困ったように銀時を見た。銀時はガシガシと頭を掻いて仕方なさそうに呟く。
「……ったく、仕方ねぇなァ」
銀時の言葉にパァッと表情を明るくし嬉しそうにする神楽。そんな神楽を見ながら銀時は頭を撫でた。新八はそんな二人の様子を見てクスッと笑う。
「あ?なんだよ?」
新八の様子に気付いた銀時は車に乗りながら聞いた。すると新八も車に乗り込んだ。
「いえ、相変わらず銀さんは神楽ちゃんに甘いなって」
新八はクスクスと笑う。そんな新八に銀時は眉を寄せた。
「うるせぇ」
銀時は不服そうにボソッと呟いた。
「新八ィ、銀ちゃんが可愛い神楽ちゃんにメロメロなのは仕方ないネ。……っと行くアルよ。出発しんこーう!!」
そんな二人を神楽はチラチラとしばらく見つめた。しかし我慢出来なかったのだろう……トロッコを発進させる。
動き始めたトロッコに気づくと銀時と新八は一旦黙った。
「誰がメロメロだ……って、速い速い速い!!何これェェエ!!」
思った以上にトロッコのスピードが速かったのだ。銀時は驚き声を上げた。
「キャッホ~イ!!」
神楽は両手をあげて大はしゃぎ。
トロッコは走る走る……ものすごいスピードだ。
ふと、前を向いてトロッコの行く先を見ていた新八が目を見開き銀時に伝えた。
「銀さん……レールの先が……」
新八の言葉に銀時は言葉を予想して青ざめた。
「オイオイオイ、まさか無いのか!?レールの先ッ!!」
「いえ、無いんじゃなくて…………何故か勢いの良い濁流が流れてます」
銀時の言葉に新八が首を振り否定をした。銀時はホッと息を付いた。どうやら最悪なベタベタ展開からは逃れたようだ。しかし……新八の次の言葉に思わず叫んだ。
「なんでだァァァア!!」
銀時が叫ぶもトロッコは勢い良く濁流へと入って行った。
もちろんレールから外れて濁流に流されるトロッコ。
「殺す気だァァア!!クリアした奴も溺れさせて殺す気だったんだァァア!!」
銀時はカナヅチなので大慌てである。ちなみに神楽はジェットコースターの次はウォータースライダーアルかっと喜んでいた。
「お、落ち着いて下さい。だ、大丈夫ですよ。僕たちトロッコに乗ってま…………」
新八は銀時を落ち着かせようとして言った。しかしその言葉は最後まで続かなかった。
「し、新八?」
銀時は静かになった新八を見て首を傾げる。すると新八は慌てたように大声を出した。
「オィィイ!!冷たいと思ったら水入ってきてるゥゥウ!!」
新八の言葉に再度銀時は青ざめて下を見る。確かに水が入ってきている。銀時と新八は慌てて手を器の形にして水を出す作業を開始した。
その時大喜びしていた神楽が話しかけてきた。
「銀ちゃん…………この先、滝ネ」
「ちょ……神楽ちゃん。今銀さん忙しいから黙っ……え?滝?」
銀時は神楽の言葉に目をパチパチとさせ神楽の言う通りトロッコの行く先を見た。その先には道も水も無く……ゴゴゴゴォっと音を立てながら勢い良く水を落ちていた。確かに滝である。
「オィィイ!!ダブルパンチならぬダブルピンチじゃねぇかァァァア!!」
銀時が大声で叫ぶと新八が手を休めずに言い出した。
「ぎ、銀さん!!ピンチと言えば悪魔の実!!何か脱出出来そうな能力上がってないんですか!!」
そう、銀時の食べた悪魔の実はピンチの時にこそ能力を発揮する。銀時は△ボタンを押しドラクエのようにつよさを確かめ始めた。
「銀さん……どんな調べ方ですか……」
「いや、こっちの方が早いだろ」
言いながら銀時はつよさを確かめる。しかし上がっている能力が中々見つからない。銀時が首を傾げながら探していると神楽がある能力を指差した。
「銀ちゃん、これ……ゆっくりと上がってるヨ」
「あっ、ほんとですね」
新八も見ながら頷いた。ゆっくりだが確かに上がっている能力がある。その上がっていた能力は……ツッコミ力だった。
「オィィイ!!なんでツッコミィィイ!?こんな状況で上がってどうしろって言うんだァァァア!!」
銀時は頭を抱えて叫ぶ。まるで新八のようなツッコミだ。
そうこうしている内に滝はもう目の前に迫っていた。そして、どうすることも出来ずに三人の乗ったトロッコは落ちていった。
滝から落ちてなんやかんやと色々大変なことがあったが三人はボロボロになりながらも町まで戻ってきた。
「銀さん……無事帰ってこれましたね」
「そうだな」
新八と銀時は顔に手を当て感涙。よっぽど酷い目にあったようだ。
神楽はボロボロながらも楽しんでいたのだろう。二人を見てため息をついた。
「銀ちゃん、新八ィ。いつまでも感涙してないで早く行こう!!私お腹ペコペコネ」
神楽は二人を急がせようとする。そんな神楽に二人は頷いた。
三人が向かっているのはこの町の酒場。そこにハンド海賊団たちが行くと言っていたのだ。
「そういえば……銀さん……なんか町の様子変じゃありません?」
「確かに……なんかビクビクしてるヨ」
新八が歩きながら言うと神楽も気になっていたのだろうコクンッと頷いた。そんな二人に銀時はガシガシと頭を掻いた。
「さぁな。今日はビクビクする日なんじゃねぇの?」
「いや、そんな日ねぇよ」
銀時の言葉に新八がきっぱりと言った。
三人は不思議に思いながらも歩いて、酒場にたどり着いた。酒場の中も何故かビクついた人たちでいっぱいだった。ハンド海賊団たちは居ないようだ。
銀時は酒場の中を歩いてマスターの近くまで行くと尋ねた。
「あのよォ、ハンド海賊団って奴ら来なかったか?」
銀時が聞いた瞬間。酒場の中の人たちがビクついた。マスターはビクビクとした状態で覚悟を決めたように口を開いた。
「あ、あんたら……あの海賊団の知り合いなのか?」
三人はコクンッと頷いた。
「あ、あの海賊団は……」
「うわぁぁあ!!」
「関係ない……俺は関係ないんだ!!」
マスターが話そうとした瞬間。店から客が叫び声を上げながら逃げだした。
三人は驚き目をぱちくりとさせる。
「な、なんですか?これ……」
新八がキョロキョロと辺りを見渡す。もう酒場には三人とマスターしか見当たらない。
「あんた達の探している海賊団たちは、みんなピエールに連れて行かれた」
「ピ、ピエール?誰だそりゃ?」
聞いたことない名前に首を傾げる銀時。そんな銀時にマスターは話しだした。
「この島。いや近くの島はある島々は、その海軍基地の管轄内にある。いや、その海軍基地に莫大な金や食品を払い……海賊の侵略のように支配されていると言っても過言ではないだろう。その海軍基地の主。それがピエールだ」
「なるほど……けどよォ。なんであんな急いで逃げ出したんだ」
銀時は不思議そうに首を傾げた。
「そ、それは……」
マスターが口を開くと同時にバターンッ!!と大きな音を立て酒場のドアが開いた。
「貴様か!!我らが主ピエール大佐の名前を口にしたのは!!」
その声に三人はドアの方を向いた。軍服を着た5人の人物が立っていた。
5人の中の真ん中の一人がマスターをじっと見つめ、再度口を開く。
「この町の決まりにより、貴様を逮捕させてもらう」
「ちょ……ちょっと待って下さい。別にこの人は名前を言っただけで」
「そうヨ、いきなり逮捕とか何様ネ!!」
新八と神楽は納得出来ないと口々に言った。
「黙れ!!貴様らは余所者だな。ピエール大佐は被害妄想が激しい。名前を言われただけでも悪口だと勘違いする。よってこの町の住民はピエール大佐の名前を軽々しく口にしてはいけないのだ!!」
きっぱりと言うとマスターに近付こうとする海軍。
そんな海軍に立ちふさがる三人
「オイ、テメーふざけんなよ。そんな理由で逮捕とか馬鹿も休み休み言いやがれ!!」
銀時が三人を代表してきっぱり言った。海軍たちはキッと睨みつけてくる。
「き、貴様ァ……俺たちが思ってても言えないことをあっさりと!!余所者だろうと容赦しないぞ!!」
「あっ、やっぱ思ってたんだ」
新八はボソッと呟く。すると海軍たちは三人に襲いかかってきた。銀時は木刀を抜くと思い切り振りぬく……その勢いで三人一気に倒した。神楽は傘を振り回し二人倒す。新八はその様子を見ていた。
一瞬で五人を倒した銀時達は、マスターの方向を向いた。
「わりぃけど……その海軍基地どこにあんのか教えてくれねぇか?」
銀時の言葉に呆然と海軍の様子を見ていたマスターはコクコクと頷いた。