ワン魂   作:近衛陸

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第11訓 小説とは都合良く出来ているものである

 

 

あの後……銀時たち一行は、酒場のマスターに海軍基地は別の島にあると聞き港に来ていた。

 

「銀さん……港に来たのはいいんですけど……船どうしましょ……」

 

「島まで泳ぐアルか?」

 

新八と神楽は銀時をじっと見つめて言った。銀時は少し困ったようにガシガシ頭を掻く。予想とは違ってハンド海賊の船がなかったのだ。

 

(オイオイ、まさか船ごと持って行かれたのかよ)

 

銀時は海を見つめ眉を寄せた。新八の言う通り船がない。そして神楽にはしつこいほど何度も何度も悪魔の実の共通副作用を教えてやりたい。

銀時はため息をついた。その時銀時の……いや、三人の頭の中に聞き慣れた声が響いた。

 

(どうやら、困っているようだな。我が主銀時とゆかいな仲間たちよ)

 

 

「いや、ゆかいな仲間たちって何!?」

 

聞こえてきた声にいつものように突っ込む新八。

 

「「お、お前は……エロ仙人!!」」

 

そして銀時と神楽は同時に呟いた。

 

(エロではなーい!!洞爺湖だ!!洞爺湖仙人だ!!)

 

「いや、エロ仙人だろ」

 

(いやいや、違うから!!大体我のどこがエロ仙人だと……)

 

「「キャバクラで通信するとこ(アル)」」

 

洞爺湖仙人は二人の言葉を聞き、言葉を詰まらせた。もし、この場に洞爺湖仙人が居たら蔑んだ目で銀時と神楽に見られているだろう。新八をそう思い苦笑いを浮かべた。

 

「と、ところで洞爺湖仙人さん……何の用ですか?」

 

新八は聞くと洞爺湖仙人はコホンっと咳払いをし口を開いた。

 

(うむ。よくぞ聞いてくれた……実は我が主が困っているのではないかと思ってな)

 

洞爺湖仙人の言葉に三人は顔を見合わせた。

 

「ちょうど良かったです。実は今困ったことになっていて……」

 

「おい、新八やめとけ……嫌な予感しかしねぇよ」

 

新八が洞爺湖仙人に相談しようとすると銀時が止めた。

 

(銀時は……この私が信じられないというのか!!)

 

「あぁ」

 

「信じられるわけないネ」

 

洞爺湖仙人の言葉に銀時と神楽は即答した。すると洞爺湖仙人は壊れたように笑いだした。

 

(くくくっ、くはははっ。私も舐められたものだ!!……確かに以前の私では出来ないであろう……しかし私は自ら修行をし生まれ変わったのだ!!)

 

 

「「な、何ィィイ!!う、生まれ変わっただと!?」」

 

「どうでもいいですけど……あんたらキャラ変わってねぇ?」

 

洞爺湖仙人の言葉に銀時と神楽はワザとらしく驚く。そして新八は突っ込んだ。

 

(そうだ。あれは……厳しい修行だった)

 

洞爺湖仙人がしみじみと呟いた時、三人の頭の中にその修行映像が浮かんだ。洞爺湖仙人の思ったことがテレパシーされたようだ。ちなみに修行内容とは……まず、現編集長を酒に酔わせ簀巻きにして川に捨てる。

そして編集長が行方不明になったどさくさに紛れて編集長になるという映像だった。

 

「た、確かに……すげぇ修行だ」

 

「ほんとネ、お前エロいだけじゃなかったアルな」

 

銀時と神楽は頭の中で映像を見るとうんうんと頷いた。

 

「いやいやいや、可笑しいだろォォオ!!これ修行じゃなくて事件!!殺人事件」

 

映像を見た瞬間ショックで新八のメガネがパリーンと割れた。

そして大きな声で突っ込んだ。

 

「「(殺人事件?そんな大袈裟な)」」

 

「大袈裟じゃねぇよ!!」

 

そんな新八に残った三人はナイナイと首を振った。

新八と三人……どちらが正しいのであろうか。

 

 

 

 

「とりあえずだ。お前は編集長になったわけか……」

 

(うむ。そういうことだ)

 

銀時は考えるように眉を寄せた。普段なら役に立ちそうにない洞爺湖仙人だが……編集長になれば役に立つのではないだろうか。銀時はイチかバチか今の状況を伝えた。

 

(なるほど……つまり銀時は船が欲しいというのか)

 

納得した。洞爺湖仙人の声が頭に響く。三人はコクンっと頷いた。

 

(分かった……では、船とログポース……そして航海士をつけよう)

 

「ログポース?なんですかそれ?」

 

新八が不思議そうに首を傾げた。

 

(この海では磁気異常により、正確な方角が解らない。よってログポースとは次の島を教えるコンパスのようなものだ。このログポースには弱点があり、決まった島にしか行けない。しかし……お前たちに渡すのは特殊なログポース……)

 

 

「特殊だァ?」

 

銀時は洞爺湖仙人の言葉に眉を寄せた。すると洞爺湖仙人は真剣な声で言った。

 

(うむ。この海……グランドラインは危険過ぎる。舐めてかかると痛い目どころか全滅だろう。なので特殊なログポースを渡す)

 

洞爺湖仙人の真剣な声に三人は顔を見合わせた。そして覚悟を決めたのだろうか真剣な表情で洞爺湖仙人の言葉を聞いた。

 

(それでは、まずは船と航海士を渡そう)

 

洞爺湖仙人が言うと何もなかった海がひかり、船が現れた。大きさはメリー号くらい、帆や旗は当然何もかかれてなく真っ白だ。

 

「すごいアル!!」

 

「へぇ、なかなかじゃねぇか」

 

神楽はキラキラと瞳を輝かして嬉しそうに言った。銀時も船を見つめ満足そうにしている。

 

「それにしてもすごいですね。そういえば……航海士はどこなんでしょう?」

 

「そういや、そうだな」

 

新八の言葉に銀時もキョロキョロと船を見つめた。すると船の上から聞き覚えのある声がした。三人は声のした方向を見る。そして声を揃えて言った。

 

「「「チェンジで!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

「いや、銀さん……奇遇だなァ」

 

航海士が船の上から降りてきた。

航海士はまるっきし幸の薄そうなサングラスをかけダメオーラをまとった男……マダオだった。

 

「いや、奇遇というか……長谷川さんは何してんだ?」

 

「俺か?俺はやっと仕事を見つけたわけよ。航海士という名の……しかし、まさか銀さん達の航海士とは世間は狭いなァ」

 

はははっと笑う長谷川に眉を寄せる銀時たち。

 

「長谷川さん……航海士なんて出来るんですか?」

 

「そうヨ!!マダオに海の道案内なんて出来るアルか?ただでさえ人生の道に迷っているのに……」

 

新八と神楽は心配になり聞いた。神楽の言葉は少し辛辣だった。

 

「相変わらずの辛辣だね。嬢ちゃん……大丈夫だ!!海は得意なんだよ俺!!」

 

きっぱりと言う長谷川に新八は銀時をじっと見つめた。

銀時はガシガシと頭を掻いた。

 

「まぁ、大丈夫だろ」

 

「銀さんがそう言うなら……そういえば洞爺湖仙人さん静かになっちゃったんですけど……どうしちゃったんでしょう」

 

神楽がマダオに辛辣な言葉を浴びせているのを見ながら首を傾げた。確かに先ほどから静かである。

 

「あー、……おーい。洞爺湖仙人」

 

銀時は眉を寄せて呼んでみた。しかし返事がない。

 

「……返事ねぇな」

 

銀時がそう呟いた時、再度頭の中に声が響き始めた。

 

(もう、洞ちゃんってば……冗談ばっかり)

 

(いやいや、私は本気だよ?これからもリサちゃんと一緒に時を過ごしたいと思ってる)

 

(洞ちゃん……いえ、洞爺湖さん……ごめんなさい。そういう指輪は受け取れないわ)

 

 

(リサちゃん……)

 

プツンっと音を立てて声が再度聞こえなくなった。

 

「銀さん……なんですかこれ?」

 

「プロポーズネ、見事玉砕したアル」

 

新八と言葉にマダオいじめをしていた神楽はしみじみと呟いた。

銀時はため息をつく、そしていつもより優しげな声で言った。

 

「まぁ、あいつのことは暫くほっといてやろうや」

 

「そうですね」

 

その言葉に新八、神楽、長谷川はコクコクと頷いた。

 

 

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