「ん……どこだここ?ってかせまっ!!」
銀時は目を覚ました辺りは薄暗く、とっても狭い。それもそのはず銀時を含む三人は1つのタルに入れられているのだ。銀時は両隣にいる新八と神楽を起こそうと声をかけた。
「おーい、お前ら起きろ。」
その呼びかけに新八は起きる。
「あれ?……ここどこですか?ってせまっ!!!」
新八は起きたようだ。しかし神楽は起きそうにない。銀時は仕方なさそうに神楽の方を向き身体を揺さぶった。狭い場所なので相手の方を向くとほんと顔が近い。顔と顔の間は十センチぐらい、その距離で声をかけながら身体を揺さぶる。
「ん?何ア……」
神楽は起きると言葉を失った。薄暗くてハッキリとは見えないが銀時の顔が間近にあるのだ。
「いやァァァア!!夜這い夜這いネ!!男は皆狼って言ってたことはほんとだったアルゥゥウ」
神楽は狭い中ジタバタと暴れる。タルはガタガタと勢いよく揺れた。銀時は神楽を落ち着かせようと両手首を掴んだ。
「落ち着けぇぇえ!!誰もお前なんか襲わねぇよ」
「嘘ヨ!!銀ちゃんのセクハルハラスントォォオ!!」
「それを言うならセクシャルハラスメントだろうがァァァア!!」
神楽の言葉に銀時は叫んだ。二人はガタガタと動きだす。
「ちょ……二人とも落ち着いて下さい!!狭いんですから」
新八が止めようとすると上から光が……どうやらタルのフタが開いたようだ。三人は一斉に光の方を見た。いかついオッサンが覗いていた。
「がっはははっ!!いやー、兄ちゃんそれはダメだろ。俺たち海賊でもいたいけな少女を襲わないぜ」
偉そうに椅子に腰かけた変なヒゲを携えたいかにも海賊船長みたいな服を着た男が笑いながら言った。どうやら銀時たちが入っていたタルがあったのは海賊船の倉庫の中。
部下Aが倉庫の騒がしさに気付き銀時たちを見つけたのだ。そして今、この船の船長らしき人物の前に並んで立っている。
「オイオイオイ、ここどこだよ?武天老○様は?海賊?え?ドラゴン○ールだよね?」
銀時はひそひそと新八に言った。
「銀さん落ち着いてください。よく分からないですけど……ドラゴン○ールの世界の海賊達じゃないですか?」
「マジでか。なんだよアイツ、普通主人公のとこ連れて行くだろう。マジ使えねぇなァ」
銀時は新八の言葉に眉を寄せて洞爺湖仙人に悪態をつく。
新八はそんな銀時を見て苦笑いを浮かべる。神楽は何故かいかにも船長のような服を着た男を見ていた。
「ねぇ、銀ちゃん。銀ちゃん」
神楽は銀時の服を引っ張った。
「あ?なんだよ。」
銀時は眉を寄せて神楽を見つめる。
「銀ちゃん、あの人あんないかにもな船長服着てて恥ずかしくないアルか?私なら絶対嫌ヨ」
神楽は船長らしき男を指差して言った。笑い声が止まり辺りはシーンと静まり返る。船長らしき男は口元をひくつかせた。
「神楽何言ってんだ!!ちょ……すいませーん。この子田舎者なもんで許して下さい」
銀時は船長らしき男にお辞儀をし神楽を連れて歩きながら言った。
「バカっ!!お前いい加減にしろよ。アレはなァ。存在感の無さを自覚して服だけでも存在しようという知恵なんだよ!!」
銀時がきっぱりと言うと新八が突っ込んだ。
「そんなわけないだろォォオ!!ファッションだ!!ファッションンンっ!!すいませーん、こいつらきちんと躾しときますんで」
新八がペコペコと謝った。海賊の部下達は殺気立っている。そんな海賊達を気にせず神楽と銀時は再度口を開いた。
「銀ちゃーん。アレ、ファッションって言ってるアルよ」
「んなわけねぇだろ。こんなダサいのにファッションだなんて違いますよねぇ?」
「え?」
銀時は船長らしき男に話し掛けた。男は戸惑っている。
「え?ま、まさか」
銀時がわざとらしく嘘だろっというような顔をした。男は照れたようなに口を開いた。
「ち、ちげぇし!!ファッション?何言ってんの?これはアレだよ。アレ。なんかこう……適当にあるもの着たらこうなったみたいな……」
男はモゴモゴと喋りだした。
そんな船長を見て部下達は叫ぶ。
「船長ォォオ!!」
「大丈夫です!!その服格好良いですって」
「いや、格好良いとか悪いとか意識してないしィ……たまたまだから!!もうこんな服着てられねぇよ」
服を脱ぎ捨てどこからか出したハサミで服を切り刻み始めた。
部下達はそんな船長を見て慌てる。
「船長、やめて下さい!!ほんと大丈夫ですから」
部下の一人が船長らしき男の肩に手を置いた。
「うるせェェエ!!お前の服も切り刻んでやるよォォオ!!」
船長らしき男は部下に殴りかかって行った。
「ギャァァァア!!」
「船長がご乱心したァァァア!!」
「や、やめてくれェェエ!!」
辺りには部下たちの叫び声が響く。まさに地獄絵図だ。そんな光景を見て新八は冷や汗をかいた。
「ぎ、銀さん?これ良いんですか?なんか凄いことになってるんですけど……」
「あ?いいんじゃねぇ?それより武天老○様のところにはどうやったら行けるか考えるほうが大事だし」
「いやいやいや、それはあんた以外大事じゃねぇよ」
新八がそう呟いた途端、頭の中で何やら声が聞こえた。テレパシーというやつだろうか。
(銀時、我が主銀時よ)
「あ?」
「銀ちゃん、なんか嫌ヨ。頭の中で声がするアル」
銀時は眉を寄せた。神楽は嫌そうに顔をしかめる。
(我だ、洞爺湖だ。銀時よ。異世界はどうだ?楽しんでいるか?お前らももう気づいているだろうが……送る場所が少しズレた。)
「確かに、主人公居ませんしねぇ」
新八が洞爺湖の言葉に頷く。
(うむ、お前らには謝らなくてはなるまい。まさかドラゴン○ールと間違えてワンピースの世界に送るとは……)
「待てェェエ!!どこが少しィィイ!!世界が違うじゃないですかァァァア!!」
(いやァ、あれだ。急いでたら微調整が狂ってしまって(笑))
「(笑)じゃねぇよ!!こっちは笑えねぇんだよ!!」
新八が叫ぶと頭の中にもう一つ声が聞こえた。
(洞ちゃん、またご指名してくれてありがとう)
(リサちゃーん。何言ってんの。リサちゃんのためなら毎日通うよ!!……ってなわけで失礼する)
プッツンとテレビが切れるように声がしなくなった。
「最悪だァァァア!!あのエロ仙人、キャバクラから通信してきやがったァァァア!!」
新八はひと通り突っ込むとため息をついて、どうしようかと銀時を見た。しかし銀時の様子が可笑しい。
「ぎ、銀……さん?」
「新八よォ。お前アレだよな……あの海賊達なんとかして欲しいって言ってたよなァ」
銀時は言いながら禍々しい黒いオーラを放ち、ゆっくりと今だ地獄絵図の海賊達に近付いて行った。
「え?……ま、まさか……海賊さーん逃げてェェエ!!この人やつ当たりする気だァァァア!!」
新八が叫ぶもすでに遅く、船長を含む海賊達の悲鳴が船中に響き渡った。