新八は目を覚ました。辺りを見渡すと神楽は包帯を巻いた海賊達と楽しそうにトランプをしており、銀時は……何故か本格的にケーキを作っていた。もう少しで完成だ。
「え?なんですかコレ?」
新八はそんなほのぼのとした光景に眉を寄せた。それに何故自分は寝ていたのだろうか。
(あれ?確か銀さんが禍々しい黒オーラで海賊さん達の元に行ったはずだよね?)
新八が悩んでると近くに居た海賊達が気付いた。
「あっ、シンパチさん。起きたんですか?」
「おはようございます。ギントキさーん、カグラさーんお連れの方起きましたよォ」
海賊達の声にトランプをしながら銀時からもらったケーキを食べている神楽と同じくケーキを食べている銀時が近くに寄ってきた。
「ムシャムシャ新八ィ起きングングたアルか?」
「オイオイムシャムシャやっとングング起きたモグモグのかよ」
「いや、あの……何言ってるか聞こえ辛いんですが……」
二人の喋りには食べる効果音が入っており、とても聞こえ辛い。
「おい、神モグモグ楽聞こえング辛ムシャムシャいってよ」
「何いバクバクってるモグモグアルか。聞こえムシャムシャ辛いのングは銀ちゃんネ」
「お前ら二人だァァァア!!ムシャムシャバクバクモグモグングングうるせぇんだよォォォオ!!食べるか喋るかどっちかにして下さい!!」
新八が叫びながら言うと二人は黙った。そして聞こえてきたのは、モグモグという食べる効果音のみ
「あっ、食べる方取るんだ」
新八は呆れながら二人が食べ終わるのを待った。
「モグモグモグモグモグモグ」
「ムシャムシャムシャムシャムシャムシャ」
「バクバクバクバクバクバク」
「ングングングングングング」
「ガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ」
「モグモグモグモ……」
「長ぇよ!!食べるの長ぇよ!!絶対これ何人か呆れてブラウザバックしましたよ」
あまりの長さにたまらず新八は突っ込んだ。
それからしばらくすると銀時と神楽はケーキを食べ終えた。
「はぁ、二人ともやっと食べ終えましたね」
新八は二人を交互に見つめながら言った。二人はその言葉にコクンっと頷く。
「じゃあ、本題に入りましょう。これからどうするか……っとその前に僕ってなんで寝てたんですか?」
新八は起きてからずっと気になっていた疑問を聞いた。正直自分は寝た記憶がない。新八の問いかけに神楽と銀時は顔を見合わせた。
「え?……覚えてねぇの?お前は……」
「待って、銀ちゃん。私からあの悲劇を話すネ」
銀時が話そうとするが神楽が止めた。どうやら神楽が話すらしい……しかし悲劇とは……新八はゴクリと唾を飲み込む。神楽はポツリポツリと語り始めた。
「私と新八は銀ちゃんがやつ当たりという名の大暴れするのを見てたネ。銀ちゃんの拳は次々と海賊達を倒していったアル。もう大興奮したヨ。そして思わず……思わず隣の眼鏡掛け器にスパーリングを……」
「待てェェエ!!お前かァァァア!!」
神楽が語り新八が突っ込む。そんな新八に銀時はポンと肩を叩いた。
「落ち着けよ、新八。神楽もあんなに反省してるじゃねぇか」
確かに神楽は顔を俯かせ、いつもと違い少し元気がないようだ。
「ぅ……わ、分かりました。神楽ちゃん、今度から気をつけてね?」
新八が言うと神楽は嬉しそうに顔をあげた。それを見た銀時が眼鏡掛け器から新八を取り神楽に渡す。
「ほら、神楽。新八にお礼を言っとけ」
「うん。新八……ありがとうアル」
銀時に言われて神楽は渡された新八にお礼を言う。周りの海賊達は良かった良かったっと生暖かい眼差しで神楽と新八を見つめた。
こうしてワン魂(新八の悲劇)は終わった。めでたしめでたし
「めでたしじゃねェェェエ!!何ちゅう終わらせ方してんだァァァア!!大体それは新八じゃなくて眼鏡だろうが!!新八はここォォォオ!!ナレーションもテメェ等もふざけるのは大概にしろォォォオオオ!!」
眼鏡掛け器……もとい新八は力強く叫んだ。そんな新八に銀時は口を開いた。
「何言ってんだ。新八の99%はメガネだろ?」
「そうヨ。メガネ=新八ネ」
「僕はたった1%かァァア!!そんなわけないでしょう!!」
新八がきっぱり言うと銀時と神楽は心底驚いたといったような顔をした。
「え?なんですか?その顔……殴りますよ」
「まぁ、まぁ、落ち着いてシンパチさん」
海賊の一人がフォローをしに来たようだ。よくよく見ると船長服を脱いだ船長に見える。
「今まで俺たちは悩んできた。人間の心とはどこにあるのか。胸にあるのか、頭にあるのか……いや、違う。俺はメガネにこそ人間の心があると思う」
「流石船長ォォォオオオ」
「感動だ!!感動したァァァア」
船長が力説をすると海賊達が騒ぎだした。銀時や神楽も拍手を送っている。
「最悪だァァァア!!あの人、フォローすると見せかけてトドメ差しにきやがったァァァア!!」
新八は今日で何度目かの突っ込みをした。もうあっちもこっちもボケばかりで収拾がつかない。
「もう、銀さんも神楽ちゃんも海賊さん達もいい加減にして下さい!!あまりにもつまらないギャグばっかしてたら苦情が来ますよ」
『マジでか……』
新八の言葉に皆は一斉に呟いた。そして少し真面目にしようと誓う。
「それで、銀さん……今後どうするんですか?」
「あ?どうするって?」
銀時は新八の言葉に眉を寄せて聞き返す。
「だから、目的ですよ。今回のサブタイトルに書いてあるよう何か決めなきゃいけないんでしょう?」
「あー、適当に行き当たりばったりでいいんじゃねぇ?」
銀時は鼻をほじりながら興味なさげにきっぱりと言った。サブタイトルなんて無視する気満々だ。
「いやいや、ダメでしょう。なんですか?そのやる気の無さ」
新八は銀時の態度にため息をつく。そしてなんとか銀時の興味を引くものが無いか海賊達に聞いた。
「あの……なんか面白い噂とか知りませんか?」
海賊達は顔を見合わせる。すると船長らしき……いや、船長が口を開いた。
「面白いかは分からねぇが……この先の島の地下に悪魔の実があるらしいっと言っても誰も地下なんて見たことねぇがな」
「あっ、それ聞いたことある」
「俺も」
「俺も、俺も」
船長がその噂を口にすると海賊達が手を上げながら言った。どうやら全員が知っているようだ。
「悪魔の実ですか?」
新八はチラッと銀時を見た。やはり興味がなさそうだ。
「なんて言う実アルか?」
どうやら銀時は興味がなくても神楽は興味津々らしい。ワクワクとした面持ちで海賊達の言葉を待った。
「あー、なんて言ったかな?おい、テメェ等覚えてねぇか?」
船長の言葉に海賊達は首を傾げて考えこんだ。噂を思い出しているようだ。
「確か、ステステの実じゃなかったか?」
「え?サラサラの実だろ?」
「いやいや、ちげぇよ。アプアプの実だって」
海賊達はきちんと覚えてないらしい皆が皆、違う名前を言った。
「なんだよ。誰もきちんと覚えてないのかヨ」
神楽が使えねぇなっと辛辣な言葉をはいた。
すると興味なさげにしていた銀時がゆっくりと近付いてきた。
「おい。神楽、新八。万事屋銀ちゃんのプライドをかけて、その悪魔の実を絶対探すぞ!!」