三人は町の中を黙々と歩いていた。町は、周りが岩などで囲まれておりまるで谷底に作られたといった感じだった。
「銀さん、やっぱりこの町なんか可笑しいですよ」
新八は町に入って何度目かになる疑問を銀時にぶつける。
「……町っぽくねぇって言うんだろ?」
新八の言葉に町の様子を見ながら銀時が言った。
「……確かに町としては違和感あるアル」
そんな二人を見て神楽を思っていたことを口にした。三人が違和感……いや、疑問に思っていることとは、町の中には人が居たであろう形跡はあるのだが、人が住んでいたという形跡がたくさんの建物が建ってるわりには少ない。
それに建物の中には時々何かを操作するであろう機械があるのだ。この機械は何だろうか……錆びていて起動が難しいと考える。
三人は眉を寄せて考えながらも取り敢えず町を進んでいく。
しばらく進んでいくと一際高い何かの塔が建っているのが見えた。どうやらその場所がこの町の一番奥にある建物のようだ。
その塔が見えると三人は顔を見合わせコクンっと頷き塔へと向かった。
「思ったより高ぇなァ」
銀時は塔の前に着くと見上げて小さく呟いた。銀時たちの世界の建物と比べると小さいのだが、ワンピースの世界の建物だと考えると高い。
「取り敢えず、入ってみるネ」
神楽が塔の入り口へと向かう。そんな神楽に慌ててついて行く二人。
塔の中に入ると一つの机と椅子が置いてある。隅には町に置かれていた何かを操作する機械がある。上へと続くであろう階段は見当たらない。
「なんだここ?」
銀時は眉を寄せた。そんな銀時に新八も不思議そうに呟いた。
「階段が見当たりませんねぇ?」
銀時と新八は階段を探そうと壁をポンポンと叩き始めた。隠し通路がないか調べているのだ。そのとき神楽が銀時を呼んだ。
「銀ちゃーん。なんか弄ってたら動き始めたアル」
神楽が言うと同時に、ドアの方からガチャンと鍵の閉まる音がした。
三人は一斉にドアの方へ視線を向ける。
新八が代表となりドアを見に行った。
ガチャガチャ……
「あの……開かないんですけど……」
ガチャガチャっと音を鳴らす新八に銀時は近付いた。
「オイオイ、開かないとか勘弁しろよ。銀さんは騙されねぇぞ」
信じたくないのだろう。銀時はドアに近付き思いっ切り引っ張った。しかしドアの鍵は頑丈らしくビクともしない。
ガチャガチャガチャガチャ……バンバン……ドカドカ
銀時はドアを引っ張り叩いたり蹴ったりしてみるが鍵以外も頑丈らしくまったく効果がなかった。
(と、閉じ込められたァァア!!)
銀時はだんだんと冷や汗を流し助けを求めるようバンバンバンバンっとドアを叩く。そんな銀時に新八は慌てて言った。
「お、落ち着いて下さい!!銀さん」
「おま……落ち着けってアレだぞ!!俺らいきなり閉じ込められてんだぞ!!ってかなんで閉じ込められてんのォォオ!!」
銀時の言葉に新八は苦笑いを浮かべる。
(銀さんは閉じ込められるとかなり動揺するな……そういえばエレベーターの時もそうだった)
などと考え、新八はかなり冷静のようだ。そしてドアを見つめ何かを考える。
「銀さん!!神楽ちゃんなら鍵壊せるんじゃないですか?」
確かに夜兎の力を持ってすれば鍵が壊れるかもしれない。新八の言葉に銀時は神楽の方を見た。神楽はいまだに機械を弄っている。
「か、神楽ちゃーん!!何弄ってんの?何弄ってんの?なんでこんな状況になってるのか分かってんのかゴラ」
銀時が神楽にそう言った瞬間何かを押したのだろう。ゴゴゴゴゴォォオっと何かの機械が動く音が部屋に響いた。そして部屋の真ん中の床が丸い形にせり上がっていく。まるでステージのようだ。そして光がスポットライトのようそのステージに集められた。
「なんか出てきたネ」
神楽は機械を弄るのをやめステージに近づく。
「バカヤロー!!安易に近づくんじゃねぇ!!」
そんな神楽を銀時が止めた。仕方がないので神楽はステージを遠くから眺めた。そんな時、何か打開策はないかと机の引き出しを探っていた新八が何かの本と白と赤の旗を持ちやってきた。
「銀さん、神楽ちゃん。こんな物発見したんですけど……」
二人に見せるように発見した物を前に出す。
「旗と……本か?なんの本だ?」
神楽が旗を興味津々に持ったのに対し銀時は本が気になったのだろう。新八に尋ねた。すると新八は本を開き読み始める。
「えっと……何かの日記みたいですね。……私は今日、この土地にテーマパークを作ることにした。皆が笑顔になる場所、それを自分で作るなんてなんて誇らしい仕事なんだろう。さすが私だ……こんな私だからモテるのも仕方がない。モテると言えば近所の娘さんが今日も私のことを……」
「新八ィ……ちょっとそこ飛ばせ……ムカつくから」
銀時の言葉に新八も深く頷き飛ばした。
「……とうとうテーマパークが出来た。しかし、場所が悪いせいか……あまり人が来ない。そこで私はテーマパークの最後に目玉となる塔を作ることにした。4つの試練を一つずつクリアしていくたびに階段が現れるというシステムだ。賞品はこの前手に入れた伝説の悪魔の実……その名も…………」
「新八?」
「どうしたアルか?」
突然喋らなくなった新八に二人は首を傾げる。すると新八は本……いや日記から顔を上げて言う。
「なんか……この人書いてる途中で寝たのかよだれで解読不可能になってます」
銀時と神楽は顔を見合わせため息をついた。
「オイオイオイ、マジふざけんなよ!!何これ?散々振り回しといて悪魔の実はテーマパークの賞品なんで……もうありませんってオチ?」
「ほんとネ!!ここまでの苦労はどうなるアルか!!」
二人はイライラとした感じで文句を言う。二人とも今にも暴れそうだ。そんな二人を見て新八は慌てて言った。
「二人とも待って下さい!!もしかしたらまだ……まだあるかもしれませんよ」
新八の言葉に二人は止まった。そしてどういうことだっと言った感じで新八を見つめる。
「実はこの日記に書いてあるんですが……試練があまりにも難し過ぎて誰一人頂上に到着したものが居ないと……」
「あ?もしそうでも従業員が機械止めて賞品回収してんだろうが」
新八の言葉に銀時は微かに眉を寄せてきっぱりと言った。しかし新八は首を振り銀時の言葉を否定する。
「それが…この塔の機械は……どうやら一度動いたらずっと動いたままらしいです。どうやっても頂上につかないので悪魔の実は諦めたらしいです」
「ってことは……まだ上にあるってことか」
銀時は天井を見上げて眉をよせた。そしてため息をつくと新八を再度見つめる。
「で?一つ目の試練ってのは?」
銀時の言葉に新八はパラパラと日記をめくった。そして見つけると口を開いた。
「一つ目は日記と一緒に置いてあった赤と白の旗を使うみたいです。ステージに上ると声が流れるのでその通り旗を上げていく……っと書いてあります」
「そうか……よし、行け神楽!!」
銀時は神楽の持っている旗を見るときっぱりと言った。神楽もそれに頷くのだが、新八が止めた。
「あっ、銀さん。それはダメです。この試練は大人がやらなければならないみたいですよ?」
「……なにそれ……」
新八の言葉に銀時は嫌そうに顔を歪める。そんな銀時を見て新八は苦笑をしながら言った。
「さぁ、よく分かりませんが……サイズがどうとか……」
「サイズだァ?なんか嫌な予感するんだけどよォ」
心底嫌そうに言う銀時に神楽が旗を渡してきた。
「そういうルールなら仕方ないネ。銀ちゃん、頑張れ」
銀時は神楽から旗を受け取ると嫌な予感しかしないステージに向かって歩きだした。
銀時がステージに上がると周りがチカチカと光だした。そしてどこからともなく声が聞こえる。
『まるでゴミくずのような汚い世界を生きてきたダメな大人たち……略してマダオ準備はいいかーい?』
聞こえてきた声は辛辣だった。
「オィィイ!!辛辣だった……じゃねぇよ!!何?何これ?喧嘩うってんのォォオ!!」
銀時が突っ込むも音楽がなり、試練が始まった。
銀時は眉を寄せるも声の言った通りに旗を上げていく。声のフェイントにもなんなくクリアしていく。
(なんだ?難しいって言うわりには手応えねぇなァ)
銀時はあまりの手応えの無さに油断したのだろう次の声の動作を間違ってしまった。
「あっ、間違え……のわァァア!!」
銀時が間違えた瞬間間違えた場所に向かってどこからともなく矢が飛んできたのだ。銀時は突然のことに驚きながらも矢を避ける。
「何これ?何これ?え?テーマパークだよね?テーマパークの試練だよね?」
銀時は矢が飛んで来ないように声の通り手を動かしながら言う。その言葉に新八が反応した。
「銀さーん。日記の最後にこの試練は怪我人が続出して中止になったって書いてありました」
「銀ちゃーん。まだ終わらないアルか?私飽きたネ」
二人の言いぐさに銀時は眉を寄せて言った。
「新八ィ!!なんで銀さんがこんな風になってるのに冷静?っつーか神楽は黙ってろ!!」
数分後……なんやかんや言いながらも銀時は一つ目の試練をクリアしたようだ。音が変わり、ゆっくりと一つの壁が上にスライドをしていく。その先には上に上る階段が見えた。
銀時はステージから降りて二人の元に向かう。
こうして三人は階段を上って行った。