ワン魂   作:近衛陸

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第7訓 試練に危険はつきものである

 

 

一つ目の試練を終えた三人は階段を登っていく。階段の幅はちょうど人がすれ違えるくらいだ。階段は途中で上り坂に変わった……三人はひたすら登っていく。たくさん登る。何故か2階に着かない。

 

「……なんか長くないですか?」

 

新八は階段を登りながら銀時と神楽に言った。すると登りながら神楽がきっぱり言う。

 

「気にすることないネ。きっと1階から2階までの距離が長いだけヨ」

 

「…………いや、そんな塔普通無くねぇ?」

 

新八は神楽の言葉にボソッと小さく呟く。そんな新八に銀時が眉を寄せる。

 

「無いな……確かに無いな。そんな塔」

 

「ってか……なんかこの坂動いてません?」

 

新八の言葉に二人は立ち止まった。すると後ろへと流れていく。

 

『あっ、ほんとだ……』

 

銀時と神楽は同時に呟いた。そんな二人に新八はため息をはいた。

 

「この歩くスピードじゃあ、何時までたっても着きませんね」

 

床を見ながら言う新八に二人も頷き、少し歩くスピードを速めた。しかし、三人が速めると床の動く速度もだんだんと速まる。銀時たちは負けじと歩く速度を速める、しかし床も速い。とうとう三人は走り出した。すると背後からガチャンガチャンと機械の動く音。そして、ゴロゴロと何かが転がる音がし始めた。

 

「何でしょうか?このお……とォォオ!!」

 

背後の音が気になり走りながら後ろを向いた新八が叫んだ。

 

「あ?新八?どうし……」

 

銀時はダルそうに走りながら後ろを向いてその光景に目を見開いた。そこには常識を覆す光景があった。なんと銀時たちは坂を上っているにもかかわらず大きな岩が三人に向かって転がってくるのだ。

 

「おかしいだろォォオ!!なんで岩が上ってきてんだァァア!!」

 

「キャッホーイ。すごいアル」

 

銀時は叫ぶ。神楽は楽しそうに走っている。その時、新八が壁のくぼみに置かれていた本を見つけた。それは1階で見たこのテーマパークの園長の日記だった。

 

「銀さん!!日記!!また日記見つけました」

 

新八は走りながら銀時に見せるよう日記を振った。

 

「よし、新八……読んでみろ」

 

銀時は走りながら日記をチラッと見ると言った。新八も予想がついていたのだろう日記を開いて読み始める。

 

「今日は、凄いことを思い付いた。岩を使っての試練だ。テーマパークの客に岩が転がってくる。するとドキドキ感を楽しめる。流石私だ……しかし、何故か雇った従業員たちに却下された。彼らは私のこのナイスアイデアに嫉妬をしているのだろう。なんて醜い人間なのだろう。しかし、出来た人間の私は許そう。優れた人間に嫉妬するのはとうぜ……」

 

「新八……それ長い?」

 

銀時は眉を寄せて新八と日記を交互に見つめた。

 

「はい……日記のほとんどがこれですね……飛ばしましょうか?」

 

日記をパラパラとめくりながら呆れたように新八は言う。

 

「当たり前だァァア!!なんだ?この日記!!どこのナルシストが書いたんだ」

 

銀時は走りながらイライラと機嫌悪そうだ。慌てて新八は日記から重要な部分を探し読み始める。

 

「二つ目の試練には悩んだ。何せ岩を上らせようと思っているのだ。しかし、常識的に岩が上るなどありえない。そこで私はある有名な天才学者に相談した。学者は興味深そうに話を聞いてくれる。どうやら協力をしてくれるようだ……数ヶ月後完成した。

岩は客の歩くスピードがある一定の速さに達すると作動する仕組みだ。しかしあまりの完璧な仕掛けに客の何人かが岩の下敷きになった。……苦情がたくさん来る。とうとう私は道の途中にある穴の中に安全レバーをつけることにした。床も岩も止まるレバーだ……」

 

新八の言葉を聞くと神楽が前方を指差した。穴があったようだ。

 

「銀ちゃん、アレ」

 

「よし、行ってくらァ!!」

 

銀時は走るスピードを速め、穴へと近付き勢いよく飛び込む。そして……

 

「うそォォォォオオ!!」

 

叫び声が聞こえた。新八と神楽は顔を見合わせた。

 

「銀さーん!!どうしたんですか?」

 

「銀ちゃん?」

 

新八と神楽は穴へと走り飛び込んだ。そして銀時の上に着地。

 

「お前らァァア!!殺す気?銀さんのこと殺す気?」

 

なんと銀時は穴の途中で手足を伸ばし落ちないように踏ん張っていた。そんなところに二人が勢いよく落ちてきたのだ……ズリズリと少し下に下がってしまったのだろう。銀時の手の少し上に爪で引っ掻いた跡が残っている。

 

「銀さん……なんでこんな途中で止まってるんですか?」

 

新八は眉を寄せてきっぱり言った。すると銀時が言う前に神楽が下を見ながら言う。

 

「新八ィ……ちょっと下見てみるネ」

 

「え?……」

 

新八は神楽の言った通り下を見た。そして驚愕する。下にはなんとたくさんの槍が立っていた。

 

あのまま落ちていたら怪我をするどころでは済まないだろう。

 

「なんですか?これ……安全レバーへの穴じゃなくて地獄への入り口じゃないですか……」

 

「新八……穴間違えたんじゃないアルか?」

 

流石の神楽もこれはないだろうと冷たい目で新八を見つめる。そんな神楽に新八も不安になったのだろう……再度日記を見始めた。もちろん銀時の上で……

 

「あっ、ありました。……穴の中に安全レバーを入れた。場所は穴の途中にある赤いボタンを押すと出現するようになっている……追伸、なんか穴だけじゃ寂しいので槍を入れた。怪我人続出(笑)」

 

『(笑)じゃねぇぇえ!!』

 

新八と銀時は同時に突っ込んだ。

 

「なんですか?この日記!!絶対喧嘩うってますよ!!」

 

新八はバンバンと日記を叩く。その振動が銀時へと伝わる。銀時の手足がプルプルと震えだした。

 

「し、新八……やめて?気持ち分かる。充分分かるから!!今はほんとヤバいから」

 

プルプル震えながら新八に言う。すると神楽も言い出した。

 

「そうネ。今は赤いボタン探すアル!!じゃないと銀ちゃん生まれたての天パのまま……」

 

「何?生まれたての天パって!!……まぁ、そうですね。探しましょう」

 

二人は銀時の上からキョロキョロと辺りを見渡し始めた。そして銀時の頭の方向……の上の方に赤く光るボタンを発見した。

 

「あれアルな」

 

神楽は銀時の頭を思い切り踏んづけてたちあがった。

 

「ちょ……いだっ、いだだっ」

 

銀時が痛そうに声をあげるも神楽は知らん顔で手を振り上げる。そして、ボタンに向かって手を思い切り下ろした。

 

「ホワチャァァァァア!!」

 

かけ声と共にボタンを押す。その瞬間ボタンは大破した。

 

「オィィイ!!何してんの?なんでボタンじゃなくて秘孔押してんだァァア!!」

 

あまりの出来事に銀時はプルプル震えながらも突っ込む。新八が大破したボタンの欠片を手に取り慌てたように言う。

 

「ちょっとどうするんですか?これ!!レバーも出てきませんし、ほんとどうするんですか?」

 

そんな銀時と新八を見ると神楽は不服そうに頬を膨らました。

 

「なんだヨ。押せ言うから押したのに……分かった、分かった。私がなんとかしてやるネ」

 

神楽はそう言うと銀時の頭を踏み台に穴から飛び出した。

 

「いだだだっ」

 

「ちょっと待って神楽ちゃん!!無理すること……」

 

銀時は痛がり、新八は穴から出て行った神楽を止めようと声を上げる。しかし新八の言葉は途中で止まる。ドカーンッ!!っと凄まじい音がしたからだ。

 

「神楽ァァア!!」

 

「神楽ちゃん!!」

 

その音を聞き銀時と新八は神楽を呼ぶ。しかし、返事がない。

 

「ぎ、銀さん!!どうしましょう……神楽ちゃんが!!」

 

新八は慌てたように銀時に言う。

 

「オイ、新八。しっかり捕まってろよ…………うらァァァア!!」

 

銀時は新八に言うと手足に力を込める。そして交互に上へと手足を置き上がる。そしてそのままものすごいスピードで上がり穴から飛び出した。二人が穴から出るとある光景が目に入ってきた。それは岩に潰れた神楽……などではなく。真っ二つになった岩と機械だった。

二人が呆然とその岩と機械を見ていると背後から声が聞こえた。

 

「あれ?お前ら出てきたアルか?」

 

それはどこから持ってきたのかロープを持った神楽だった。

 

「神楽ちゃん!!良かった。無事だったんだね!!」

 

新八は嬉しそうに神楽に駆け寄った。銀時も新八の後ろをついて行く。

 

「何言ってるネ。私があんな岩なんかにやられるわけないヨ」

 

神楽はそんな新八にため息をついた。そしてこれだから新八はっとブツブツ呟く神楽。そんな神楽に新八は苦笑いを浮かべるも何やら気付いたのだろう口を開いた。

 

「そういえば、神楽ちゃん……そのロープ……」

 

新八が神楽の持つロープに気がつき指を差した。すると、とたんに慌てはじめる神楽。

 

「ち、違うネ!!別にこれは銀ちゃんたちを助けるためじゃないアル!!たまたま……そうたまたま拾ったネ」

 

神楽の言葉に銀時は新八と顔を見合わせた。そして近付くとポンポンと神楽の頭を撫でる。

 

神楽は照れくさそうに……しかし嬉しそうに笑った。新八はそんな二人を微笑ましそうに見つめた。

 

「よし、じゃあ行くか」

 

銀時のかけ声と共に三人は少し先に見える階段へと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

銀時たちはしばらく歩いてとうとう4階のドアの前についた。

 

「お前ら、これが最後の試練だ!!気を引き締めていくぞ」

 

「おぅ!!」

 

銀時の言葉に神楽は握り拳を作り頷いた。そして最後の試練のドアを開け……

 

「開けるなァァア!!3階飛ばしてんだろうがァァア!!」

 

新八が叫ぶように言った。そんな新八に銀時がため息をつきながら言う。

 

「オイオイ、何言ってんの?3階やったじゃん」

 

「いや、確かにやりましたけど……文にしてないんで読者の方々には分かりませんよ」

 

新八が心底呆れたように言った。すると神楽が口を出した。

 

「もういいじゃん。2階での私の活躍で皆満足してるアル。わざわざ地味な3階の試練なんて誰も見たくないネ」

 

「そうだよなァ……かなり地味だったもんなァ」

 

神楽の言葉に銀時もうんうんと頷く。そんな二人も見ると新八がボソッと小さく呟いた。

 

「あんたら……いい加減にしないとジェニーちゃん連れてきますよ」

 

新八の言葉に銀時は固まった。そして冷や汗を流しながら言う。

 

「地味だけど回想いくぞ!!ほんと地味だけど……」

 

 

 

 

階段を上がり3階のドアの前に銀時たちはついた。

銀時はドアの前に着くとガチャっと開けて中に入った。中にはお馴染みの日記が落ちていた……それに真っ直ぐ廊下のような通路が伸びている。通路の先にはレバーのようなものが見えた。銀時は日記を拾うと新八に渡す。すると新八は銀時から日記を受け取ると読み始めた。

 

「えっと……三つ目の試練はいかに気配を消せるか。気配を消し、この通路の先にあるレバーを作動させる。すると階段が現れるのだ。少しでも気配を察知すると機械が作動し矢が飛び出す仕組みになっている。私もやってみた。流石私だ、作動が全くしない。

従業員たちは嫉妬をして園長地味だから……近所の娘さんからストーカーの被害届が出てますよ……などと言っていたが……そんなことない!!私は頭も良くてモテモテなのだ……地味なんて……そんなこと……ないよね?」

 

読み終えた新八。そして、聞き終えた銀時と神楽……三人の間に変な空気が漂った。2階までの日記はムカつきながら読んでいたのになんだろう?このなんともいえない感じは……

 

「と、とにかく……気配を消して進めばいいんですよね」

 

新八の言葉に二人はうんうんと頷いた。そして神楽が新八をじっと見つめて言った。

 

「じゃあ、行ってくるアル。地味八!!」

 

「誰が地味八だァァァア!!だいたい次僕が行くんですか?」

 

新八の突っ込みに神楽は当たり前だろっと胸を張って言った。

 

「1階は銀ちゃん。2階は私。っとなると3階は地味八ィ……お前ネ」

 

「だから地味八じゃねぇぇえ!!……はぁ、だいたい僕気配消すなんて芸当出来ませんよ」

 

神楽に突っ込みながらきっぱりと言う新八に神楽は眉を寄せる。

 

「いいから行けヨ!!」

 

「ひっ……」

 

神楽は通路に向かって新八を蹴り飛ばした。新八は通路で転けながらも頭を手で守るように抱えた。しかしいつまでたっても矢は飛んで来ない。

 

「あれ?」

 

新八は首を傾げると立ち上がった。そして恐る恐るレバーへと向かって歩き出す。難なくレバーのある場所に着き、階段を出現させた。

 

そして普通に歩き二人の元へ戻ってきた。

 

「どうやら、古い機械ですし……今は起動してないみたいですね」

 

新八が言うと神楽はおもむろに日記を取り通路へと投げた。

するとその瞬間すごい勢いで日記に幾つもの矢が刺さる。通路に落ちた日記は矢に刺され蜂の巣状態だ。

 

「じゃあ、行くか」

 

銀時はその光景を見ると階段へと向かう。そんな銀時に神楽は慌ててついて行った。

 

「どういうことォォオ!!本より存在感ないって言いたいのか!!言いたいのかァァァア!!」

 

新八は3階でしばらく叫んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っとこんな感じだな。あー、やっぱりめちゃくちゃ地味だわ」

 

回想を終えた銀時がため息をついた。神楽も不服そうに呟く。

 

「ほんとアル。やっぱり回想いらなかったヨ!!新八が地味なんて当たり前ネ」

 

「うるせぇよ!!あんたらに本より地味にされた……僕のこの気持ちが分かるかァァァア!!」

 

新八の言葉に二人は分かるわけないといった顔で見つめた。

 

「それにしても……地味な回想してたせいでもうページ無いわ」

 

「ほんとネ。っというわけで四つ目の試練は次回になるアル」

 

神楽の言葉により、今回はここまで。次回をお楽しみに……

 

 

 

 

 

「いやいやいや、ページ無いわけ無いよね?……え?ほんとに今回これで終わり?」

 

 

 

 

「…………終わりみたいですね。次回もよろしくお願いします」

 

 

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