脱走せし少女達と機人と呼ばれし者   作:衛置竜人

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自分が一番好きなゾイドたるゴッドカイザーが世に出て35年、ゴッドカイザーに思いを馳せて…


外伝(プリクエル)『始まりの神皇帝竜と暗黒の守護者』
『復活の神皇帝竜』


 

 

 

 

地球から約6万光年も遠く離れた場所に位置する一つの惑星。周辺を3つの衛星が周回しているゾイド星系第2惑星―惑星Zi。

地球のそれと良く似た大気を有しながらも大気中には荷電粒子やタキオン粒子が漂い、海は金属鉱脈の影響からか金属イオンの濃度が高かった。

 

それによって生まれた金属生命体…それがゾイドである。

 

惑星Ziの原住民は古来よりゾイドを使役、やがて時代の経過による技術の進歩によってゾイドは部分的な機械化(サイボーグ化)を経て遂には生命活動を司るゾイドコアを残して全身を機械化したメカ生体へと改造する技術を確立。

メカ生体ゾイドは土木建築や輸送、治安維持…そして戦闘兵器として運用された。

 

中央大陸(デルポイ)を治めていたへリック王国の国王へリック・ムーロアの死去を発端とする王国から分裂した2国間…へリック共和国とゼネバス帝国による中央大陸戦争の開戦から半世紀後のZAC2029年、地球を出発した銀河開拓船グローバリー3世号が諸事情により中央大陸の中心部に不時着。地球人達は共和国派と帝国派に別れてそれぞれ技術提供を行い、それまで牧歌的だった戦争は多くの死人を出すほど凄惨な状況へと変化した。

 

実質的なへリック共和国の勝利によって中央大陸戦争が終戦を迎えたと同時に今度は暗黒大陸(ニクス)を統治するガイロス帝国が協力関係にあった筈のゼネバス帝国軍を吸収、へリック共和国に対し宣戦布告を行った事で第一次大陸間戦争が開戦するのだった…

 

 

ZAC2056年、ガイロス帝国に苦しめられていたへリック共和国は禁断の最終決戦用ゾイド"キングゴジュラス"を戦線に投入、形勢は一気に共和国軍に傾く事となった。

 

そんな中、ある研究施設に向かう部隊があった。へリック共和国軍のライオン型高速戦闘ゾイド"キングライガー"を筆頭にプテラノドン型空戦ゾイドの"レイノス"など少数の機体で構成されたその部隊の中に1体のティラノサウルス型ゾイドの姿もあった。

 

RPZ-19 ゴッドカイザー

 

最初期のメカ生体たるガリウスを源流とし、小型ゴジュラスとも称されるゴドス、その後継機たるアロザウラーへと至る共和国軍の肉食恐竜型汎用ゾイドの系譜を受け継いだ機体である。

 

彼らがこの施設の制圧に向かったのはガイロス帝国が重要な研究をしているという情報が入ったからだ。罠の可能性も考慮したのとキングゴジュラスの護衛や到着までの時間稼ぎに動員されているからこうして少人数の部隊が編成されたのである。

 

空ではレイノスが帝国のドラゴン型ゾイドであるレドラーを牽制している中、地上にいるゴッドカイザーとキングライガーは前方にトラ型ゾイドのグレートサーベルの姿を捉えていた。いくら強化されているとは言え相手は旧式。まずキングライガーが射撃でグレートサーベルを牽制・翻弄し、その隙にウイングライダーを装備したゴッドカイザーは一気に距離を詰めると両腕に装備された黄金に輝く爪…メタルクローを伸ばしてグレートサーベルの胴体を斬り裂いた。しかし、グレートサーベルも行動不能となる前に8連ミサイルポッドからミサイルを放った。ゴッドカイザーは腰部の2連装ショットガンでミサイルを撃ち落としていったのだが、その隙に潜伏・待機していたジークドーベルが飛び出してきたのだ。

ジークドーベルのフォトン粒子砲はウイングライダーの金色に輝く翼を貫き、ゴッドカイザーはやむ終えずウイングライダーをパージする。

ゴッドカイザーも高性能なゾイドである事に代わりはない。しかし、相手は最新鋭の高速戦闘ゾイドであり、速力と機動力に於いてはゴッドカイザーは不利だ。

ジークドーベルは同じ高速戦闘ゾイドであるキングライガーの砲撃を回避しつつ腰部の格闘戦用の切断刃ヘルブレイザーでゴッドカイザーの左脚を斬り裂き、ゴッドカイザーは動きが一気に鈍くなってしまった。しかしジークドーベルも飛び掛かってきたキングライガーの牙によってヘルブレイザーをへし折られてしまい、折られたヘルブレイザーは宙を舞い地面に突き刺さる。

ジークドーベルとキングライガーは追撃の末にゴッドカイザーから離れていったのだった。

 

 

 

この様に激しい戦闘が繰り広げられた第一次大陸間戦争であったが、その終焉は唐突に訪れた。

巨大な彗星が2つの衛星に直撃、その大量の欠片が隕石となって惑星Ziの各所に落下し、衛星の欠片の1つはあの脚部を負傷したゴッドカイザーがいる場所にも降り注いだ。

地形は不安定、脚部を負傷しウイングライダーも失ったゴッドカイザーに逃げ場はない。

 

ゾイドは生命体である―故に言葉は発せなくとも自我を有している。

このゴッドカイザーのパイロットはゴッドカイザーの事を相棒として常に声をかけたりする程に大切にしており、ゴッドカイザーにもその情愛は伝わっていた。

 

こんな状態では自分は逃げられないしこのままだと自分もパイロットも最悪の場合、地面に埋もれて圧死する可能性が高く、仮に生き延びても先に死ぬのはパイロットの方だろう。

しかし、この心優しきパイロットを死なせたくはない。

覚悟を決めたゴッドカイザーは天にいるレイノスに向かって咆哮するとコックピットを開き、座席ごとパイロットを緊急脱出(ペイルアウト)させた。

「何をするんだ!?ゴッドカイザー!」

レイノスは座席とパイロットを空中でキャッチし、それを見届けたゴッドカイザーは崩落する地面に呑み込まれてその姿を消してしまった。

地中に閉じ込められてしまったゴッドカイザーは生命活動を司るゾイドコアは無事ではあったものの、身動きは取れないという状態であった。

暗く身動きは取れず負傷による痛みが襲う中、ゴッドカイザーはパイロットと共に戦ったゾイド達の無事を案じていたが、それをゴッドカイザーが確認する手段はなかった。

 

 

惑星大異変(グランドカタストロフ)…この災厄により惑星Ziの環境は激変、星は滅びへと向かいつつあった。各地で相次ぐ嵐に水没、地震による地割れ、そして火山噴火。

まるで争いを続ける人々に対する天罰が如く自然災害の数々を前にへリック共和国とガイロス帝国は戦争をしている場合ではなくなってしまった。

 

仮にこれらの災害を生き延びたとして果たして惑星Ziは人々が住める惑星のままだろうか?このままでは惑星Ziという星そのものが滅ぶのではなかろうか?

そう判断した惑星Ziの人々はグローバリー3世号の修復を急ピッチで進め、キヴォトスを初めとする同型船を建造し、惑星Ziから脱出を図った。

この時に幾つかのゾイドのゾイドコアや遺伝子情報も持ち出され、移民先の惑星で復元される事となる…ゾイドそのものを持ち込まなかったのは移民船のスペースに限りがあったからだ。

しかし、全てのゾイドのゾイドコアや遺伝子情報が持ち出された訳ではない…急な出来事であったが故に省かれてしまったゾイドも当然存在する。

 

 

ゴッドカイザーはその中の1機だった。

 

 

あのゴッドカイザーのパイロットは最後まであいつらのゾイドコアを後世まで残したいと訴えたが、開拓工事用に転用できるゴドスやゴジュラス、アロザウラーと異なりゴッドカイザーは純粋な戦闘ゾイド、しかもグレードアップユニットやTFゾイドとの合体機構も内蔵している為、復元するにも手間がかかるという理由で省かれてしまった。

「済まない…ゴッドカイザー…」

惑星Ziから脱出する移民船の一つに乗っていたゴッドカイザーのパイロットは窓から見える惑星Ziを前にあの惑星に残っているゴッドカイザーに謝罪するのだった。

 

 

 

それから長い年月が過ぎた惑星Zi。文明は滅びだが、惑星そのものは滅びず今も健在であった。

あのゴッドカイザーは仮死状態のまま地中に埋もれていたのだが、地震による地盤隆起、そして雨風によって久方ぶりに地表に姿を表した。ゴッドカイザーにとって何時以来の日の光だろうか?

 

「この状態でも生きているとはな」

そんな中、ゴッドカイザーの前に現れたのは人間とは明らかに異なる宇宙人であった。

 

その宇宙人に掘り起こされたゴッドカイザーが運び込まれた先は宇宙人が保有すると思わしき施設だ。

現在、宇宙人の手によって修復・改修されたゴッドカイザーの傍らには一つのポッドが安置されている。入っているのは人間の少女だろう。手足は切除されて配線が繋がれており、目から正気を感じ取る事は出来ない。

宇宙人はゴッドカイザーのコックピットを開き、少女を更に()()してゴッドカイザーと繋いだ。

加工と曖昧な言葉で濁したのはその光景が余りにもおぞましいからだ。

加工され物と化した少女が繋がれた瞬間、ゴッドカイザーは激しい痛みに襲われた。

自分が自分でない存在へと書き換えられていく…気付けばゴッドカイザーは以前とは異なる存在として復活を果たしたのである。

 

復活を果たしたゴッドカイザーは宇宙人の道具として利用される日々を送らされた。ある日はただひたすらに痛め付けられ、またある日は自分と同じ様に改造されたゾイドと殺し合いを強制される。

コマンドウルフやシールドライガー、サーベルタイガーなどこれまで共に戦ったもしくは敵として交戦した見知ったゾイドもいたが、中にはゴッドカイザーにとって未知のゾイドもいたが…自身も含めて言えるのは抵抗しようにも主があの宇宙人である以上、プログラムで抵抗すら出来ない事だ。

そんな日々はゴッドカイザーにとって屈辱的であり、精神が磨り減るのも無理はなかった。

 

 

 

ある日、ゴッドカイザーは身動きを封じられた状態で何処かへ運ばれた。

「皆さん今日も始まりました!今日のオークションも選りすぐりの物ばかりです!」

ゴッドカイザーが運び込まれた先…其処は裏社会に精通している宇宙人御用達のオークション会場である。

他の出品物が次々に落札されていく中、ゴッドカイザーの番が来た。

「続いてはこちら!同じくプロフェッサーが改造したゴッドカイザーです!こちらは地中に埋まっていた所を発見した個体を修復・改修を行い、更に制御ユニットとして()()K()V()0()3()2()5()で捕獲したキヴォトス人を元に生成したテクノオーガニクスプロセッサーKVを組み込んだ事でその機体性能は最新鋭のゾイドにも匹敵!勿論、自己修復機能も内蔵されています!」

司会進行役はバイヤー達にそう説明する。バイヤー達ほ多種多様であり、ロボットの様な姿をした宇宙人や人間とは明らかに異なる外形の宇宙人もいる。

司会進行役が開始を告げると共に宇宙人達は次々と入札していく。プロフェッサーというのはゴッドカイザーを捕獲したあの宇宙人なのだろう。どうやらこの宇宙人達の間では有名かつ人気なのかその入札価格はどんどん跳ね上がっていく。

 

そんな中、ゴッドカイザーの視界にふとある人物の姿が目に入った。身体をボロボロの黒いマントで包み、フードを深く被っている人物。

その気配をゴッドカイザーは知っている様な気がしたのだ。

オークションが加熱した中、ゴッドカイザーを落札したのはそのマントとフードを深く被った人物…ではなく他の宇宙人だ。その宇宙人はどうやらレラエルの信者らしい。

彼が入札した物を満足そうに見上げ、今に所有権(マスター権限)が書き換えられてその宇宙人に委譲されようとしていたその時、オークション解除は突如として停電した。

オークション会場が混乱に包まれる中、外壁が爆発で吹き飛び、其処から一台のフルトレーラータイプのタンクローリーが乱入し、ある者達は散り散りに逃げ、またある者達はタンクローリーに攻撃する中、フードを被った人物はフードとマントを脱ぎ捨て、その正体を現した。

その正体は人間より少し背の高いロボットで、背中には大きな顔が上下逆に付いている。

「トランスフォーム!」

そのロボット変形(アクティベーション)コードを発声するとジェット機は形を変えてゆく。連結部は内部に収納され、トレーラーは折り畳まれて両足へ、キャブとボンネットは左右に割れて両腕を形成する。展開したウイング等のパーツからこのタンクローリーはジェット機にも変形する事が出来るのが目に見えて分かるが、今変形しているのはジェット機ではない…そう、ジェット機は頭部のない人型へと姿を変えたのだ。

そしてロボットは跳躍すると両足を折り畳んで巨大な頭へと変形し

「ヘッドオン!」

ジェット機が変形したボディと合体して巨大な黒いロボットへと姿を変えたのだった。

 

 

 

 

To be continue…

 

 

 

 

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