雄英での日々が続く中でも、ヒーローらしい授業は最も心が躍る。
「戦闘訓練か………………」
コスチュームに着替える途中、一部の男子から話しかけられる。
「お前、この前の体力テストめっちゃカッコよかったやつだよな!俺、上鳴電気。よろしく!」
「俺は瀬呂範太。コスチュームそれでいいのか?」
「ん?あぁ。跳田飛真だ。俺はこの前見た通り異形型だから、個性使う時に服が隠れるんだ。だから趣味に振れる。」
実際、格好は黒一色の中々ハードボイルドな服だ。
「誰イメージしたの?」
「西島秀俊。ドライブ・マイ・カーが好きでな………………」
映画の話をしながら、グラウンドγに到着する。
「いいじゃないか……………カッコいいよ!みんな!」
全員がコスチュームに身を包み、ヒーローらしい光景が目に入る。
「それじゃあ、くじを引いて行くぞ!」
「適当なのですか!?」
「ヒーローはその場その場でチームアップすることも多いからな!その練習さ!」
「失礼いたしました!」
一瞬思ったことを解決してくれた眼鏡こと飯田。
なんやかんやキャプテンシーのある男だ。
さて、俺のクジは………………
「Fか………………おっ。」
同じFの相手は、異形とは言わずとも常人とは違った風貌だった。
「よろしく。俺、跳田飛真。お前は?」
「こ、口田甲司……………よろしく。」
かなり声の小さいやつだが、優しそうだ。
「とりあえずよろしく。そら、1組目始まるぜ。」
「続いては、FチームvsEチーム!ヴィラン側はEチームだ!配置についてくれ!」
相手はEチーム。ピンク色の女子と派手派手な男子のペアだ。
「よろしくねー!私、芦戸三奈!」
「僕は青山…………優雅☆」
「芦戸に青山な。跳田飛真だ。こっちは口田甲司。よろしく。」
「よろしくー!絶対負けないかんね!」
「おう。こっちもな。」
会場に向かう途中で作戦を話す。
「お前、個性なんだっけ。」
「い、生き物ボイス………」
「生き物ボイス…………動物に指示出せるみたいなもんか?」
コクコクと頷くあたり、当たってるらしい。
本当に必要最低限しか喋らない、というか恥ずかしくて喋りたがらないのだなぁ。
「それじゃ、開始前に鳥とかその辺に集めといてくれ。中に入るとなると、数も限られるからな。」
またコクコクと頷き、周囲に高周波を撒き始めた。
(ボイスってよりはそっちよりなのな……………)
「よし、俺もやるか。フンッ………!っあぁ……………」
背中の穴を通って触腕が伸び、肌が硬質化して服の上に被さる。
その姿はやはり、ヒーローというより怪人だ。
すると、口田が何やら焦った表情でつついてくる。
「………ん?あぁ、俺だ俺。これが俺の個性。黒殿様飛蝗。バッタっぽいことは大体できる。まぁ、見た目がヴィランっぽくなるのは厄介だがな。」
そう言うとハッとしたような顔でペコペコしてくる。
「いや、いいってそんな。気にすんな。それで作戦なんだが……………」
開始のブザーが鳴り響き、一気に走り出す。
「多分、変な牽制はしてこない。だが、警戒すべきは青山のレーザーだ。射程がダンチすぎる。だが恐らく長続きしない。鳥で中を探してくれ。見つけたら俺が先行して、捉えれそうなら捉える。お前は俺が合図を出すから、それに合わせて鳥で撹乱してくれ。」
飛真の作戦通りに、鳥に核の位置を教えてもらい、そこまで向かう。
「ここか……………よし、突撃する!」
扉を蹴破り侵入すると、不意打ちと言わんばかりに芦戸が接近戦を仕掛けてくる。
「先手必勝!だよ!」
接近戦を持ち込む芦戸と対峙し、徒手格闘で応戦する。
「ほいっと!」
「うおっ!?」
ブレイクダンスのような動きと粘性の酸で奇想天外な動きをしてくるので、防戦一方となる。
「舐めるなよっ!」
「うわぁっ!?」
手首を掴み、動きの起点を崩しながら端に投げる。
「アイツ!女子とはいえ片手で人をぶん投げたぞ!」
「扉を蹴破ったりもしてたし、純粋なパワータイプなのかな?」
しかし前を向くと同時にレーザーが降りかかる。
「ボクの輝きに照らされて☆」
「フッ!」
しかし、上半身の捻りとフットワークで躱される。
「ボクシングみてぇな動き!」
「中々のフットワークだぜ…………!」
レーザーだけならあまり気にすることは無いので軽く跳ねながら接近していく。
「取った!」
「それも想定済み☆」
レーザーを出したまま方向転換されたので、思い切り床を蹴り天井を掴む。
「口田!!」
「………!!」
口田に合図を出し、天井を思い切り蹴り、壁から壁へと跳ね回る。
「うおぉ………!!らっ!」
「させないっ!」
跳ねる勢いで核を取られると感じた芦戸が酸を撒こうとするが、ドアから入ってきた大量の鳥のせいで視界が遮られる。
「何これっ…………見えない!」
「今だ!!」
その隙に口田が接近し、芦戸をテープで捕縛。
そして鳥で混乱する青山の背後にある核を思い切り掠め取る。
「確保ォォ!!」
「あーーーっ!!」
『ヒーローチーム、WIIIIIN!!』
「今回のMVPは跳田少年だな!理由は言わずもがな!素晴らしい作戦遂行能力と状況判断だった!各々の個性も把握していたのは良かったな!」
「あ、ありがとうございます………………」
オールマイトからも褒められ、少し照れる。
「お前、すげぇな!機動力がダンチだぜ!」
「本当それ。見てたけど、目で追うのが精一杯だったわ。」
「黒の蝗王…………………貴様も闇に染まりし者。」
「カメラ見ててビックリした!黒いのがビュビュビュンって!」
複数の生徒たちにも声をかけられ、思わず引いてしまう。
「そ、そうか?ありがとう。えーっと………………」
「俺、切島鋭児郎!よろしくな!跳田!」
「耳郎響香。よろしく、跳田。」
「常闇踏陰だ……………黒の蝗王。」
「私、葉隠透!ビックリしたよー!」
かなりの生徒と打ち解けられ、少々あたふたする飛真であった。