ホビーアニメ✕ロボット。これでわかるね   作:イェスコマ

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とりあえず、8話まで読んでって下さい。あっという間だから!
そこまでプロローグみたいなもんだから!


1話(挿絵有)

『エイドロン!』

 

 

 朝の情報番組をぶった切って、いきなり画面が白光に包まれる。

 

『――それは神が生み出した人類のパートナーである!』

 

 ズバババンッ! 

 真っ白な男型と女型の素体が縦にクルクル回転、背面解剖図みたいに分解線がビビッと走る。

 

 ――カチャ、カチャチャ、ガション!

 空間から部位ごとのパーツが転送されるたび、画面端にテロップが雨あられ。

 

【頭部ユニット:EID-HED/STD(別売)】

【右腕:EID-ARM-R/BASE(※左腕はついてきません)】

【左腕:EID-ARM-L/BASE(今ならセットでお得)】

【脚部:EID-LG/01(※同上)】

【バックパック:EID-BPK/UTILITY(初回特典ステッカー封入)】

 

 胸部ハッチがバンと開く。卵型のコアがビュンと射出され――カチリ。

 天地鳴動みたいなSEが鳴り、画面は光の奔流に包まれる。

 

【アーク工業公式:アニマフレームは国内メーカー機と互換あり!】

【全国大会エントリー受付中! 初心者枠もあるよ!】

 

 男型の頭にピコーンと狼耳が生え、全身の装甲がギラッと変形。

 どアップでテロップがドーン!

 

【EID-WRM-01 ウルフマン(スタンダード)】

【EID-WRM-02 ウルフマン・ナイトカラー(暗所でちょっと光る仕様)】

【EID-WRM-99 ウルフマン・セレブレーションゴールド(12月限定)】

 

 女型は白衣風の装甲がスライド装着、背面に医療アームがビシバシ展開。

 キラーンと目が光って、こちらもテロップ連打!

 

【EID-WHP ホワイトプリム(やさしさ搭載)】

【EID-WHP-MK2 ホワイトプリム Mk.II(精密治療モード追加)】

【EID-WHP-MK2/CLN クリニカルホワイト(コンビニ先行)】

 

 画面の四隅には、尋常じゃない小ささの注意書きがカサカサ流れる。

【※映像は開発中のものです】【※一部地域では販売していません】

 

 同時に二体が手前へスライド、レンズフレアがシュバーッ!

 決めポーズをビシィッと取って、背景に巨大ロゴ。

 

『エイドロン! 君だけの未来を――組み替えろ!』

 

 そして締めのナレーションが早口で畳みかける。

『さあ今すぐ取扱店へ! 大会エントリーは【全国大会エントリー受付中!】をチェック! 初回生産分には限定デカール同梱!』

 

 ――三歳の僕は、テレビの前で正座して言った。

「……あ、これ、ホビーアニメの世界だ」

 いや、ロボットなんだけど。どう考えても前世と違うこれ。

 

 ……なんでそんなふうに思ったのか?

 それは僕が転生者だからだ。

 

 

 

 *

 

 どうやって死んだのか、記憶はない。

 犯人はヤス。そういうことにしておこう。

 

 気付いたら天国みたいな場所で列に並んでいた。

 で、下を見たら、めっちゃタイプな美人が歩いてるじゃん?

 僕はふらふらとそっちに行って、気づけば引き寄せられて

 ――視界が暗転。

 ……次に目を覚ましたら。

 

 オギャー。

 美人ママンとイケメンパパンの間に、天使みたいな赤ちゃんが誕生した。

 転生早々、勝ち組確定だと思ったね。

 

 しかもこの世界、どうやら“人はみんな卵を持って生まれる”らしい。

 掌にすっぽり収まる、無色透明の卵型の石。

 それが『ソウルコア』。神から授かった魂の結晶。

 

 僕も例外ではなかった。

 ご飯を食べる時も、寝る時も、外で遊ぶ時も――常に肌身離さず持ち歩いていた。

 まるでそれが自分の分身みたいに。

 

 この世界では、ソウルコアこそが全ての基礎。

 人の精神と感情が結晶化したものらしく、

 成長や経験に合わせて色や輝きが変化していくという。

 僕のコアは、生まれた時は無色透明だったけど、

 十歳を迎えるころには白と黒のマーブル模様に変わっていた。

 

 普通は1色になるみたいなんだけど

 ――たぶん、前世を引きずってるってことなんだろうな。

 

 そうして、僕はゆっくりとこの世界で育った。

 そして出会ったのだ。

 

 エイドロンに。

 まぁその時はまだ僕のコアは無色に近かったんだけどね。

 

 ロボットだよ? 人型ロボット!

 前世で知ってたのはペッパー君くらいだぞ?

 前世で知っていたロボットといえば、せいぜいペッパー君か自動掃除機ルンバくらいだ。

 それがこの世界では、誰もが自分のソウルコアを使って仕事をしたり、機体を操り、戦わせ、組み替え、想いをぶつけ合っている。

 

 テレビの中では、有名なバトルオペレーターたちが世界大会で激突していた。

 光と鉄と想念のぶつかり合い。

 その映像を見た瞬間、僕の心臓は爆発した。

 

「ママ! すごいよ! かっこいい!」

 

 飛び跳ねながら叫ぶ僕に、ママンは微笑んで頭を撫でた。

 あの温もりを、僕は今でも覚えている。

 

 

 当然、ねだった。毎日ねだった。エイドロンをいち早く入手したかったからね。

 今世の僕は、両親の顔面遺伝子に全振り成功したスーパー愛くるしい天使フェイスで、上目遣いの必殺おねだり。

「欲しい!エイドロン欲しい!」

「大人になったらね」

 ママンとパパンは笑って華麗にスルー。

 

 こうして“待て”を食らって十年以上。

 僕は欲望を封印し、優等生としての仮面を被り続けた。

 もうすっかり、それが素になってしまったほどだ。

 

 すべては――卒業証書を受け取るため。

 この世界では、中学の卒業と同時に正式な「エイドロン購入許可」が下りる。

 つまり、あの時の僕の「待て」は、ようやく終わりを迎えようとしていた。

 

 神様の贈り物。

 自分の魂の色を持つ“卵”。

 そして、それを具現化する“相棒”――エイドロン。

 

 そうして僕は、今、世界でいちばん熱い瞬間を迎えようとしている。

 たぶんこれが、僕の第二の人生の開幕だ。

 

 

 

 *

 

 

 

 そして今――中学卒業の日。

 僕は体育館の真ん中に立っていた。壇上には、スーツ姿の校長先生。

 頭上の照明が反射して、まるでステージみたいに眩しい。ざわついていた空気も、先生の咳払いひとつで一気に静まり返った。

 

「えー、卒業生の皆さん――」

 

 始まった訓示は、相変わらず長い。

 未来への希望だとか、社会貢献だとか、道を外すなだとか。

 どれも耳に残らないけど、クラスの皆は真面目な顔で聞いている。

 ……うん、僕も一応、優等生ポジションだ。ここで退屈そうな顔をするわけにはいかない。

 

 けど、正直、早く終わってほしかった。

 僕にとって今日の卒業式は、「人生の節目」なんて陳腐なものじゃない。

 この式典を終えた瞬間に、僕は――ようやく“パイロット”になれるのだ。

 

 壇上の脇に積まれた卒業証書の山。

 それは、普通の人にとってはただの紙切れかもしれない。

 けれど僕にとっては違う。

 それは、十年以上待ち続けた「解禁証明書」。

 

 この紙切れこそ、「エイドロン・オーナー」としての許可証。

 長かった“待て”の鎖を断ち切る、自由への鍵。

 

 校長の声が響く。

「田中くん、卒業おめでとう」

 名前を呼ばれるたび、壇上へ上がる生徒がひとり、またひとりと増えていく。

 証書を受け取るたびに、笑い声と拍手が混ざる。

 だけど、僕の鼓動はどんどん速くなっていた。

 

(次は、僕の番だ)

 

 胸ポケットに忍ばせたソウルコアが、ほんのり温かい。

 脈を打つたび、まるで共鳴しているように微かに震える。

 心臓の鼓動とシンクロするように、白黒のマーブル模様が小さく脈動している気がした。

 

「白銀白夜くん」

 

 呼ばれた。

 僕は立ち上がり、壇上へ向かう。

 まっすぐな視線を意識して、一歩一歩。

 視線の先には、校長先生と――積み上げられた証書の山。

 

 受け取った瞬間、ズシリとした重みが掌に伝わる。

 それは紙の重さ以上のものだった。

 

(待ったんだ。十年以上……)

(この瞬間のために、“優等生”っていう機体を演じてきたんだ)

 

 胸の奥が熱くなる。

 思えば、前世を含めても、これほど何かを待ち望んだ日はなかったかもしれない。

 

(青春×ロボット人生? いや、違う)

(これは――僕が僕であるための、リスタートだ!)

 

 

 

 *

 

 

 

 卒業式が終わると、体育館の外は春の匂いで満ちていた。

 青空に舞う紙吹雪。後輩たちが声を張り上げて僕らを見送る。

 

「白銀先輩ー! おめでとうございます!」

「キャー! 白銀くーん、連絡してねー!」

 

 黄色い声の嵐。袖をつかむ手。差し出されるスマホ。

 僕の学生服は、気づけばボタンどころか袖口まで分解されかけていた。

 

(これが……イケメン補正というやつか)

 

 心の中で苦笑しつつも、表情は完璧な爽やかスマイル。

 優等生にしてモテ男――それが“白銀白夜”というキャラの完成形だ。

 

 でも、今の僕の頭の中はそれどころじゃない。

 “エイドロン”。その二文字で埋め尽くされている。

 

(ついに……)

 

 ここで時間を潰すわけにはいかない。

 僕はみんなにまた会おうとだけ言って早々に立ち去る。

 

 走りながら思う。

 この両親――本当に完璧だ。

 顔も性格も、まるで映画のヒーローとヒロイン。

 この世界の神様、明らかにバランスブレイカー。

 

 ……そんな最高の親に、今こそ頼むとき。

 

「母さん! 父さん! ついに買う時が来たんだよ!」

 

 そう叫びそうになりながら、僕は駆け出した。

 胸ポケットの中で、白黒の卵――ソウルコアがトクンと小さく鼓動した気がした。

 

 それはまるで、心臓の鼓動とシンクロするように鳴った。

 新しい戦いの幕開けを告げる合図。

 

『――エイドロン!』

 

 この瞬間、僕の青春は動き出した。

 機械と魂が共鳴する、僕だけの“未来”が始まる。

 

 




機体名 : ウルフマン(WOLFMAN)
型式番号: EID-WRM-01

部位  :
頭(獣耳型センサー:高感度聴覚&熱源探知機能)
/右(クローアーム:鋭利な格闘クロー)
/左(ガントレットアーム:打撃兼シールド的防御)
/脚(獣脚型強化フレーム:跳躍力重視の二足脚)
/背(バランスブースター:短距離ジャンプ用補助推進装置)

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主要数値:
全高  :205 cm
重量  :320 kg
稼働  :50 分(高負荷戦闘時は 20 分前後)
COOL  :12 s(熱分散は比較的早い)
HEAT  :上限 140 %(オーバーヒート時は機動低下)


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コアスキル:

《ハンティングインスティンクト》
 周囲の熱源と動体を感知、敵機の位置・挙動をリアルタイム追跡。
 索敵・待ち伏せ戦で絶大な効果。

《ルプスチャージ》
 短時間だけ筋力出力を1.5倍に上げる強化技。
 格闘攻撃の威力上昇+ジャンプ距離拡大。

《クローストライク》
 右腕のクローを超振動化し、装甲を切り裂く高速連撃。
 発動時、爪跡が閃光を残す。


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備考  :
アーク工業の「アニマフレーム」シリーズ第1世代モデル。
人型フレームに獣の機能を融合させた実験機構を採用し、
その安定性と扱いやすさから学校公式戦・初級リーグ用の教習モデル
格闘特化ながら防御も平均以上で、バトル初心者にも最適。


子供たちには「耳がピコピコ動く」ギミックが人気で、
試合前にパイロットが“ウルフサイン(拳を立てた狼ポーズ)”を決めるのが恒例になっている

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デザイン・イメージ

カラー:ミッドナイトブルー × シルバー × ネオンブルーライン

頭部:狼耳アンテナが可動し、索敵時にピンと立つ

背部:短距離スラスターが“咆哮ブースト”として噴射

シルエット:人型と獣型の中間。ジャンプ時は“しなやかに前傾”

戦闘エフェクト:クロー軌跡に月光ライン、咆哮時に衝撃波円が走る


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