ホビーアニメ✕ロボット。これでわかるね   作:イェスコマ

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2話(挿絵有)

 駐車場に出ると、太陽の光がアスファルトを照らし、金色の粒のような光がチラチラと跳ねていた。

 その向こうで、両親が手を小さく振って待っていた。

 母・白銀麗華はタレ目に泣きぼくろ、上品なパールピンクのワンピース姿。

 父・白銀夜一は黒のスーツにシルバーのネクタイ、薄い笑いジワが爽やかさを倍増させている。

 ――並んで立つと、まるで雑誌の表紙みたいに絵面が強い。

 

「白夜ちゃん、卒業おめでとう!」

「白夜、卒業おめでとう」

 

「ありがとう、父さん、母さん。これでもう――大人かな?」

 わざと少し大人びた口調でニコッと笑ってみせる。

 もちろん、優等生の仮面は完璧装着中。

 内心ではテンション爆上がりでも、顔はあくまで清楚で上品な“文武両道の好青年”。

 

「あーんなに小さくて可愛かった白夜ちゃんが、立派になって……」

 母さんが、泣きぼくろのタレ目に涙を浮かべてしみじみ。

 僕はいたずら心でニヒッと笑い返す。

 

「もう可愛くないかな?」

 

「い、今でももちろん! 可愛い天使ちゃんよっ!」

 慌てて手をブンブン振る母さん。可愛い。母さんが。

 ママンが可愛いって、それだけでこの世界は平和だと思う。

 

「白夜は女泣かせになるなぁ。麗華も惚れ込むわけだ」

 父さんは苦笑しながらも、どこか誇らしげだ。

 

「私は夜一さんに、今も夢中よ♡」

 母さんが照れながら父さんに微笑む。

 

 ――ここ、学校の駐車場ですけど!?

 まぶしい。いろんな意味でまぶしい。

 やめて、息子の目の前でラブロマンス再演しないで。

 

 僕は慌てて二人の間に滑り込んだ。

「母さん父さん、ここじゃ人目あるし! ほら、車に乗ろうよ! 行きたいとこあるんだ!」

 

「はいはい、わかったよ」

 父さんがリモコンキーを操作すると、「ウィン」と軽快な音を立ててスライドドアが開く。

 この動作ひとつも絵になるのがずるい。

 

 ――運転席に父さん、助手席に母さん、後部座席に僕。いつもの配置だ。

 エンジンが静かに唸り、車内に暖かい空気が流れ込む。

 

「で? 白夜、どこに行きたいんだ? 夕方は外食にする予定だが」

 父さんがナビを操作しながら尋ねてくる。

 

「もっ――」

 

「もちろん、エイドロンショップよね!」

 

 母さんに台詞を取られた!?

 今まで父親にも取られたことなかったのに!?

 

「……父さん、そういうこと!」

 

 父さんはナビの決定ボタンをポン。表示には『エイドロン直営ストア 城東モール店』。

「昔から欲しがってたもんな」と、にやり。

 

「なあ白夜、父さんの会社のパーツ、使ってみるか?

 テストモニター募集してるバックパックがあってな。タダで付ける」

 

「使う!!(即答)」

 

「え、夜一さんの会社って航空機のパーツ作ってるんじゃなかった?」

 母さんが助手席から首をかしげる。

 

「それが、今年からエイドロン事業に参入するんだ」

 父さんはハンドルを握りながら、自慢げに語る。(あのドヤ顔、イケオジ補正で全然ムカつかない……なんだこの理不尽)

 

「え、それ社外秘とかじゃ?」

 僕がミラー越しに心配すると、父さんは余裕の笑み。

 

「今日のモニター募集と同時に発表するから大丈夫」

 

「ふふっ、コネの使いどころね」

 母さんがいたずらっぽく笑って言う。30代後半のはずなのに——え、めちゃくちゃ可愛いんですけど!? ママンがヒロイン顔すぎて見惚れてしまう僕はやばい。

 

 信号が青に変わり、車がスッと走り出す。

 窓の外には「卒業おめでとう!」の横断幕。

 校門の向こうではまだ写真を撮る親子連れの姿があった。

 

 けれど、僕の心はもう次のステージに飛び立っている。

 感傷なんてない。

 今この瞬間の僕の脳内は“エイドロン一色”だ。

 

(財布、今日は覚悟してくれ……)

 

 目を閉じれば、幼い頃に見たあのCMがフラッシュバックする。

 真っ白な機体が光の中で組み上がっていく映像。

 ナレーションが叫ぶ――『エイドロン! 君だけの未来を――組み替えろ!』

 

(あの日の僕が、ようやく始まる)

 

 車は城東モールへと滑り込む。

 正面にはガラス張りの店舗、その中央には大きな白い看板。

 

『エイドロン直営ストア 城東モール店』

 

 店内の照明が反射して、まるで宝石箱のように輝いている。

 入店を待つ人々の列、展示されている最新モデル。

 あの金属光沢。あのメカニカルなシルエット。

 

 今日はもう“見学”じゃない。

 今日は――“契約の日”だ。

 

 僕は深呼吸をして、スライドドアを開いた。

 ポケットのソウルコアが、ピッ……と小さく鳴った気がした。

 

 その音はまるで、

 僕の魂が「ここからだ」と告げているようだった。

 

 ――さあ、白銀白夜。

 人生でいちばん高い買い物をしに行こう。

 

 ごめんな、財布。

 君の犠牲は決して無駄にしない。

 

 

 

 

 *

 

 

 

『エイドロン直営ストア 城東モール店』。

 その看板を見上げた瞬間、胸の奥がドクンと跳ねた。

 

 何度か来たことのある店――でも今日は違う。

 今日は、“買える”。

 ただ眺めるだけのショーウィンドウが、今はまるで僕を歓迎しているように光って見える。

 

 自動ドアが「スーッ」と開き、冷房の風がサァッと頬を撫でる。

 ああもう、ここが天国か。

 金属とオイルの甘い匂い、モーター音の低い唸り、ガラス越しの機体たちの存在感――全部が眩しい。

 

 ショーウィンドウには、誇らしげに立つ歴代モデルたち。

 EID-NGT《ナイトアイ》――黒銀の装甲、騎士型、剣を掲げる姿がまさに王道。

 EID-WRM《ウルフマン》――灰色の狼頭に赤い光学アイ。荒野を駆ける孤高の獣そのもの。

 EID-MRC《マーレセイレーン》――滑らかなラインと水流モチーフの美しい海戦機体。

 どれもこれも“魂が宿っている”としか思えない。

 

(うわああ、どれも欲しい……! やばい、心臓がもたない!)

 

 思考が完全にホビー少年モードに切り替わる。

 そんな僕の隣で、父さんが腕を組みながら笑った。

 

「二足型フレームにしてくれよ」

 

「初めてだし多足は考えてなかったけど……父さんの会社のパーツって二足限定?」

 

「ああ、バランス制御が難しくてな。四脚は開発部が悲鳴を上げてる」

 

「なるほど。ふーん……いや、全然問題なし!」

 

 僕の理想は最初から二足歩行型、いわゆる“人型”だった。

 ロボットはやっぱり“立つ”ことにロマンがある。

 蜘蛛みたいにカサカサ動くのも好きだけど、初号機はスタイリッシュにいきたい。

 

「そういえば、父さんの会社のパーツってどんなの? それに合わせてもいいけど」

 僕がそう言うと、父さんは少し身を屈めて、耳元で囁いた。

 

「実はな……今まで成功例がなかった“ジェットパック”だ。エイドロンが空を行くんだ」

 

 低い声で言ってから、口元にニヤリと笑み。

 その瞬間、背筋がゾクッとした。

 

(キュン……やば、イケオジすぎる)

 

「って、ええええええええ!?!?!?!?!?」

 叫んでしまった。

「新技術じゃん! やば、飛ぶの!? 飛ぶの!?!?」

 

「しーっ、叫ぶな白夜」

 父さんが人差し指を口に当てて笑う。

 隣で母さんまで頬を赤らめている。まさか親子でオジ沼落ち……!

 

 僕は慌てて首を振って、正気を取り戻す。

「そんなすごいの、ホントに使っていいの?」

 

「もちろんさ白夜、高校入学祝いと思ってね。今なら新パーツ制御用の頭と脚部パーツも試作品のものを渡せるぞ。高校行ったらたくさんバトルしたいんだろ?」 」

 父さんの声が、やさしくて、誇らしげだった。

 ……ずるい。こんな親、漫画の世界にしかいない。

 

「ありがとう、父さん! じゃあ、それにぴったりな装備選ばないとね!」

 

 僕は再びショーウィンドウへ。

 心の中でギアが一段上がる音がした。

 

 

(飛べるってことは、飛べるってことだよな!?)

 距離が取れる! 一方的に攻撃できる! 強い! ロマンの塊だ!

(いやでも空中機動は被弾リスクもある……防御? いや、当たらなければ問題ない!)

 

 ピキーン!

 脳内で電撃が走る。

 昔どこかの赤い人が言ってた――

 

『当たらなければ、どうということはない』

 

(そうだ、僕は攻撃特化型で行く! スピードと火力が最適解!)

 

 右手にレイピアのような刺突剣。

 左手に軽量ビームガン。

 接近も中距離もいける、万能機。

 完璧だ。

 

 振り返ると、両親が優しく笑っていた。

「白夜ちゃんのあんな子供らしい顔、久しぶりに見たわ」母さんがそう言う。

 

「子供らしい顔?」と首をかしげながらも、自然と笑みがこぼれた。

 そうだ。僕はまだ“子供”なんだ。

 たとえ前世を足せば初老でも――今は十数年目の少年だ。

 

 僕は意を決して店員に声をかける。

「すみませーん! このフレームと、この腕パーツ、見せてください!」

 

 カウンターの向こうから、若い男性店員が小走りでやってくる。

 ガラスケースの鍵を外しながら、ちらっと僕と両親を見て目を見開いた。

 

「……あ、はい! すぐお持ちします!」

 手際はいいのに、どこか緊張している。

 

(わかる。僕ら親子、ビジュアルが強すぎる)

 美形父母+優等生フェイス息子。

 この布陣、そりゃ芸能人だと思われても仕方ない。

 

 そうこうしてるうちにフレームとオプションパーツが並び店員さんが説明を始める。

 

 

 

 *

 

 

 

 店員さんは丁寧な手つきで、ガラスケースから銀白のフレームを取り出し、柔らかな手つきで展示台の上に置いた。ライトが当たると、鈍い金属光沢の表面がきらりと反射する。

 

「こちらのフレーム《AMF-S04》は、従来のN型フレームの強度を維持しつつ軽量化に成功した最新モデルです。最大で130キロまでのパーツ加重に対応しており、上位装備にも余裕があります。もちろんアーク工業製ですから、国内製造で信頼性も高く、海外大手メーカーのパーツにも互換対応しています」

 

 店員さんの声はまるでプレゼンテーション。

 僕は頷きながら、フレームを覗き込む。

 

(うんうん、装備加重、大事。重武装でドーンもいいけど……僕は違う。目指すは“空を駆ける彗星”。)

(赤い彗星とか白い悪魔とか――そういう異名が似合うタイプになりたい!)

 

 店員さんは次に、ガラスケースから腕部パーツを二つ取り出した。

 細身の黒銀の右腕と、白く輝く左腕。

 

「こちらの《NGT-RARM-EST》、通称“エストックアーム”ですね。ナイトアイシリーズの軽量戦士向けモデルです。軽量化重視で、他の同シリーズより若干耐久性は落ちますが、扱いやすく人気の高い一品です」

 

(ふむふむ、了解。耐久? 当たらなければどうってことないんだよな)

 

「そしてこちらが《SHA-LARM-BGN》、シャイニングシリーズのビームガン腕パーツになります。実弾系と比べて約三割の軽量化がされていますが、出力はむしろ上。……ただし、発射熱が溜まりやすいので、連射時は冷却が必須ですね」

 

「熱かぁ……なるほど、そこは考えてなかったな」

(でも大丈夫。冷却装置、後でちゃんと計画に入れよう。)

 

 店員さんが微笑んで尋ねてきた。

「いかがなさいますか?」

 

「はい、この三点でお願いします!」

 僕は背筋を伸ばし、キリッとした表情で言い切る。

 

 店員さんは一瞬ぽっと頬を染めて、「ありがとうございます」と小さく会釈した。

 レジまで誘導される途中、ふとガラスに映る自分の姿を見て、内心ニヤリ。

 

(うむ、今日のキメ顔は完璧だ。イケてる。)

 

 ――そしてその直後、運命の時が訪れた。

 

「アニマフレーム《AMF-S04》が15万5千円。右腕《NGT-RARM-EST》が3万2千円、左腕《SHA-LARM-BGN》が5万3千円。合計で――24万円になります」

 

 笑顔で告げられた金額。

(ゴゴゴゴゴ……と、財布の中身が一気に真空になる音がした。)

 

 震える手で財布を取り出す。中には、今までのお年玉、小遣い、誕生日の貯金――少年時代のすべてが詰まっている。

 それを、僕は迷わず差し出した。

 

「お支払いは現金で」

 

 紙幣が店員さんの手に吸い込まれていくたびに、胸の中で何かが叫ぶ。

 しかし、同時にこみ上げてくる――この上ない高揚感。

 

(ありがとう、僕の貯金……君の犠牲は無駄にしない。後悔? あるわけない!)

 

 箱の中には、輝く金属パーツたち。

 それはただの機械じゃない。僕の“夢”そのものだ。

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 駐車場で、父さんと二人で大きな箱を運ぶ。

 光沢のあるフレームのパッケージ、そして腕部パーツのコンテナ。

 箱の角からわずかに覗くロゴが、もうかっこよすぎて心臓に悪い。

 

「白夜、明日から高校までは休みだろ?」

 父さんが箱を抱えながら尋ねる。

 

「うん。二週間は完全オフだよ」

 

「だったら、うちの会社に来てみないか? モニターをやるって話しただろ」

 

「えっ、いいの?!」

 思わず声が裏返る。

 

「もちろん。予定がないなら丁度いい。高校の準備も、そんなに忙しくないだろ?」

 

「うん! やるやる! 父さんの会社って試験環境あるんでしょ?!」

 

「あるさ。もちろん試験用のバトルアリーナも併設してるよ」

 

「え!? 本当に!? 行く! 絶対行く!! 毎日でも行く!!」

 

「はは、毎日はいいよ。とりあえず明日からだな」

 父さんが笑いながら、僕の頭を軽く叩いた。

 

 そこに母さんが車を回してくる。

 白いミニバンのドアが開き、冷たい風とともに春の夕暮れが流れ込む。

 

「パーツ積み終わった? 晩ご飯、どうする?」

「そのままどこかで食べて帰ろうか」父さんが言う。

 

 僕は頷きながら後部座席にフレームを積み込む。

 金属の擦れる音が、まるで儀式のように響く。

 

 エンジンがかかり、車が静かに発進する。

 街のネオンが流れていく。

 胸の奥では、まだあの高揚が消えない。

 

(ついに、僕も“エイドロンオーナー”だ……!)

 

 父さんと母さんの会話が心地よいBGMのように聞こえる中、僕はシートに身を沈めた。

 買ったばかりのパーツの箱に手を置く。冷たい感触が、現実を確かにしてくれる。

 

(明日から――始まるんだ)

 

 その夜、帰宅して風呂に入った瞬間、緊張が一気にほどけた。

 布団に入ると、あっという間に眠りに落ちる。

 

 夢の中でも、僕のエイドロンは空を飛んでいた。

 漆黒の空を裂き、星の間を翔けるように。

 

 

 




《EID-CARD:ホワイトプリム(WHITE PRIM)》

機体名 : ホワイトプリム(WHITE PRIM)
型式番号: EID-WHP-01


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部位  :
頭(メディカルセンサーユニット:体温・エネルギー反応測定、味方状態把握機能)
/右(メディックアーム:簡易リペアツール搭載)
/左(ディフェンスアーム:軽量シールド&補助ユニット)
/脚(安定化ブーツ:転倒防止と長時間稼働に優れる)
/背(メディカルパック:エネルギー供給・冷却剤散布ユニット)


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主要数値:
全高  :162 cm
重量  :170 kg
稼働  :60 分(補助行動主体のため長持ち)
COOL  :10 s(消費エネルギーが少なく冷却効率が良い)
HEAT  :上限 100 %(高負荷戦闘には不向き、無理をすればすぐにオーバーヒート)


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コアスキル:

《エイドフィールド》
 周囲に淡い光の膜を展開。
 範囲内の味方機体の損傷を自動修復(毎秒HP回復/COOL短縮効果)。

《ナノリペア・サージ》
 右腕ツールから高密度ナノマシンを噴射。
 単体対象の損傷部を急速補修。
 視覚演出:白い花弁状の光が舞う

《ディフェンスリンク》
 左腕シールドから光の防壁を展開し、隣接味方へのダメージを肩代わり。
 連携時に特有の“共鳴音”が鳴るのが人気。


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備考  :
アーク工業の「アニマフレーム」シリーズの支援機代表モデル。
平時は医療・災害救助にも使用されており、
「戦わずに助ける」ことができるエイドロンとして社会的にも高評価。

その柔らかいラインと白衣+ナースモチーフのデザインで人気が高く、
「優しいサポート機」としてヒロイン的ポジションに選ばれることが多い。


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デザイン・イメージ

カラー:ホワイト × パステルピンク × ライトブルー

頭部:ゴーグル型センサー+髪のようなアンテナライン

背部:メディカルパックに小型アームが折り畳まれている

腕部:メディックアームの発光チューブが心拍に合わせて点滅

脚部:小型スラスターを内蔵し、浮遊補助モードあり


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