ホビーアニメ✕ロボット。これでわかるね   作:イェスコマ

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50話(挿絵有)

 

 ――砂煙の向こうで、光が閃いた。

 クラストブレイカーが再び両腕を構え、ファルコンに狙いを定める。

 腕のハサミが展開し、内部の砲口がぎらりと光る。

 

『来るぞ! 《ショットクロー・ブレイク》! 間合いは十五メートル! 避け切れるかファルコン!』

 実況の声が熱を帯びる。

 

 だが、ファルコンの推進器が一瞬うなりを止めた。

 ――冷却が追いついていない。

 蒸気が噴き出し、機体がふらつく。

 

「やばっ、オーバーヒート寸前じゃん!」

 みゆがスクリーンに顔を寄せる。

 

『ファルコン、スラスターが不安定! クラストブレイカーの射程圏内だ――!?』

 

 ――轟音。

 両腕のハサミが火を噴き、散弾が一直線に空を裂いた。

 だがその瞬間、ファルコンが急旋回――しようとして、

 別方向から飛び込んできた光線がその弾をかすめた。

 

『なっ!? 《シャイニング》のビームとぶつかったぁ!?』

 

 白と青の閃光がぶつかり合い、空中で爆発。

 爆風が砂を巻き上げ、クラストブレイカーの弾が暴発する。

 

 ――轟ッ!

 

『爆発ッ!! 両機、巻き込まれたぁぁぁぁ!!!』

 

 閃光が視界を白く焼き尽くす。

 次の瞬間、爆風が遺跡の柱をまとめて薙ぎ払い、砂嵐が空を覆った。

 耳をつんざく轟音と共に、会場全体が震える――まるで地面そのものが怒りを上げたように。

 

 砂塵が天へ舞い上がり、照明の光を遮る。

 炎の余韻が空気を赤く染め、無数の破片が流星のように降り注いだ。

 観客席の誰もが言葉を失い、ただ、息を呑む。

 

 ――やがて、嵐が止む。

 黄金色の砂がゆっくりと落ちていき、視界が少しずつ開けていく。

 

 崩れた瓦礫の上に、壊れた翼を引きずるファルコン。

 片方のジェットパックは大破し、火花を散らしている。

 クラストブレイカーは上半身まで砂に埋まり、ハサミが空を切るだけ。

 シャイニングの両腕は柱に激突し、ビーム発射口がひしゃげて沈黙していた。

 

 ――砂煙の奥、誰もが気づくよりも先に。

 淡い光が、ゆっくりと立ち上がる。

 

 焦げた空気を切り裂くように、その影は姿を現した。

 貴志の《ナイトアイ》。

 オレンジの装甲が陽光を浴びて、まるで遺跡の守護者のように輝く。

 脚部から吹き上がる冷却蒸気が、光の幕を纏うように漂った。

 

 観客席の静寂が、一拍。

 そして――爆発するような歓声。

 

『ま、まさかの……!? 三機、満身創痍ぃぃぃ!!! 残るは――ナイトアイただ一機ッ!!』

 

 

 

 

 歓声が渦を巻き、会場の空気そのものが震える。

 みゆが「うっそー!?」と叫んで立ち上がり、莉音は手を叩きながら「おもろすぎっ!」と笑っている。

 早川は苦笑いを浮かべ、呆れたように言った。

「……運の鬼だな、あいつ」

 

「奇跡って、こういうこと言うんだね……」

 この江が胸を押さえ、静かに笑った。

 

 僕はモニターを見つめながら、口の端を上げる。

「……まったく、どこまで持ってるんだよ」

 

ナイトアイが進み一体ずつマシンガンを撃ち倒していく。

 ファルコンが崩れ、シャイニングが沈黙する。

 

『ナイトアイ、なおも前進ッ!! 動ける機体は他にいないのか―?!!』

 

 最後に、クラストブレイカーが砂を蹴り上げながら立ち上がる――が、

 その瞬間、ナイトアイが跳躍した。

 

 砂塵を裂く一閃。

 ブロードソードが閃光を描き、赤い装甲を切り裂く。

 

『勝負ありッ!! Bアリーナ第4試合、勝者――黄土 貴志ぃぃぃぃぃッ!!!!!』

 

 歓声がひときわ大きくなる。

 照明が点滅し、砂煙の中でナイトアイが剣を掲げる。

 まるで、砂漠の王者のように。

 

『まさかまさかの――ラッキーマンの1年生がベスト16入りだァァ!!』

 

 実況が絶叫する。

 その声に合わせて観客席が総立ちになった。

 拍手、歓声、そして笑い声まで入り混じった熱狂。

 

「うおぉぉぉっ!! まじ!? ほんとに勝った!!」

 みゆが立ち上がって手を振る。

 

「ははっ、信じらんねぇ……!」

 早川も思わず笑い、僕は頭をかいてため息をついた。

 

「いや、もう運とかそういう次元じゃないよな……」

「奇跡の連鎖だね……」

 この江が目を潤ませながらつぶやく。

 

 莉音は口にストローをくわえたまま呆然とし、

「ねぇ、今の……どう見ても“勝っちゃった”だよね? “勝った”じゃなくて」

「うん、“勝っちゃった”だね」

 僕は即答し、2人同時に吹き出した。

 

 スクリーンには、転送帰還するナイトアイと、安堵の表情を浮かべた貴志の姿が映し出される。

 ゴーグルを外した貴志は、目を見開いたまま一瞬固まり――そして叫んだ。

 

「うおおおおおっしゃあぁぁぁぁっ!!! やったぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 拳を突き上げて飛び跳ねる姿に、会場から笑いが起きる。

 観客たちが口々に「ラッキーマンだ!」「ギャンブラー貴志!」「持ってる男ー!」と声を上げる。

 

 実況がそれに被せるように叫んだ。

『奇跡の連鎖ッ! 狙ってないのに完璧な立ち回り! まさに“運命に愛された男”黄土 貴志選手の勝利ですッ!!』

 

 白夜たちの席にもカメラが向けられ、スクリーンに映し出される。

 みゆが手でハートマークを作り、莉音は親指を立てて「イケてたー!」と叫ぶ。

 この江は手を胸に当てて、静かに微笑んでいた。

 

 その笑顔に気づいた貴志が、スクリーン越しに照れくさそうに笑う。

 ちょうどその瞬間、彼の背後で機体ナイトアイが転送されてくる。

 

「うわっ!? あっぶねぇっ!!」

 転送光がちらつき、会場が笑いに包まれた。

 

「最後までオチつけてくるあたり、さすが貴志だな……」

僕が肩をすくめると、早川が笑いながら続けた。

「この江、ファンになったんじゃない?」

 

「そ、それはない――」

 この江が真顔で否定した瞬間、アナウンスが再び響く。

『これにてBアリーナ第4試合、終了ッ! 決勝トーナメント進出者は――貴志選手! まさかの1年生が3人目の快挙です!!』

 

「白夜、礼人、貴志……これで同じクラスの1年3人がベスト16か」

「地味にやばいな」

「普通に快挙だよ!」

 

 僕はモニターを見上げながら、小さく息をついた。

 きっと、貴志の顔を思い出したら笑っちゃう。

 

――まるで、夢を掴んだ少年の顔だった。

 

 

 

 控室のドアを開けると、まるでロボットアニメの決めポーズみたいに両手を突き上げた貴志が立っていた。

 顔は真っ赤、額の汗が光っている。

 その姿を見た瞬間、思わず笑ってしまった。

 

「お、おう……やったな、ラッキーマン。」

 

「白夜! はははっ、見たか!? 俺、勝っちゃったよ!!!」

 貴志のテンションは天井を突き抜けていた。

 手に握られたデバイスは小刻みに震え、まるで本人の興奮をそのまま伝えているみたいだ。

 多分、まだ自分でも信じられてないんだろう。

 

「うん、凄かったよ。ほんとに。……よく生き残ったな」

「運も実力のうちって言うしな! 俺、ベスト16だぜ!!」

 興奮のまま喋り続ける貴志を見て、僕は苦笑しながら肩を叩いた。

「はいはい、奇跡の貴志くん。会場も大喜びしてたぞ」

「マジで!? うわーやべぇ、あとで録画絶対見る!!」

 

そんなバカみたいな会話をしていた時だった。

 後ろからドアが開き、明るい声が響いた。

 

「ラッキーマンおめでとー!」

 莉音が手を振りながら駆け込んでくる。

 みゆも両手でぱちぱちと拍手をして「ほんと奇跡だったねー!」と笑った。

 そして、この江が少し遅れて入ってきて、胸の前で手を組みながら静かに言った。

 

「……すごかったよ、貴志君。本当に、頑張ってた」

 

 一瞬、時間が止まった。

 貴志がぴたりと動きを止め、固まる。

 そして次の瞬間――

 顔が爆発したみたいに真っ赤になり、口をパクパクさせた。

 

「え、あ、いや、その、う、うん……ありがと、えへへ」

 語尾が全部溶けてる。

 莉音とみゆが「あー、そういうことねー」と目で会話しているのがわかる。

 

 僕は呆れながらも笑いをこらえて、貴志の肩をぽんと叩いた。

「よかったな。努力してたこと、ちゃんと伝わってるよ」

「お、おう……! 俺、これでやっと並んだ気がする!」

「内容はともかく、ベスト16はベスト16だ」

「このままいけば俺もラボ付きになって上位クラスにいける!」

 意気込む貴志の目は、ほんの少し潤んで見えた。

 

「決勝トーナメントは来週からだけどな」

「この調子でいきてぇ。今の運ならいける気がする」

貴志は手を合わせて、謎のポーズを取り始めた。

 その真剣さに僕も笑ってしまう。

 

莉音とみゆは早川を呼びに行くことになり、

「じゃーあーしら先帰ってるねー!」と手を振って出ていった。

 

 僕も「じゃあまた明日学校でな」と軽く手を上げて、控室を後にする。

 ――これでこの江と貴志が二人っきりのチャンスだ。ナイス判断。

 

 後ろから「私も」とこの江が続く。

 (いやいや、貴志のチャンスを逃す気か!?)

 内心で焦りながらポケットを探ると、指先に布の感触があった。

 

 ポケットからハンカチを取り出し、この江に手渡す。

「貴志に渡してやって。汗すごかったろ?」

 

この江は先ほどの貴志を思い返し、

「うん、そうだね」とこの江は小さく頷いて、ハンカチを握る。

 そして一度だけ僕を見て、控室に戻っていった。

 

 ――いい感じに繋げられた。

 

 

 廊下を出ると、すぐに莉音の声が聞こえた。

「はくたん、空気読んでるー!」

 その隣で、みゆが「あー……」と複雑な顔をしている。

 早川はと言えば、腕を組んで「早川は腕を組み、「ふーん……そういうことね」と妙に含みのある顔。

 

「ほ、ほら! どうする? 先帰る?」

 わざとらしく言うと、莉音がちゃっかり僕の腕をつかんできた。

 

「そうだねー、明日も学校だしー」

 みゆはため息を飲み込んで小さく頷き、

 早川は「お腹もすいたし、食堂寄ってこ」と軽く笑う。

 

 廊下を歩きながら、僕は振り返って一度だけ控室を見た。

 扉の向こう――

 貴志とこの江が、ぎこちなく言葉を交わしているんだろうな。

 

 ……うまくいけばいいな。

 

 そう思いながら、僕はゆっくりと歩き出した。

 

明日からは週末の決勝トーナメントに備えないとだな。

 

 

 

 

 

翌日の教室は、いつもよりも明るい熱気に包まれていた。

昨日の《学院戦技大会》を見ていた生徒たちが多かったらしく、登校直後からざわめきが止まらない。

 

「おーっ! 白夜、早川! 昨日やったな!!」

教室に入るなり、大崎が満面の笑みで肩を叩いてきた。

 

「大崎は負けてたね」

 早川がいつもの爽やかスマイルで返す。

「ぐっ……!?」

 グググッと大崎が胸を押さえてよろめいた。

 

「やめてあげろ、正論は人を傷つけるんだよ……」

僕が笑いながらフォローを入れると、クラスの何人かがくすくす笑った。

 

後ろの席では、少し遅れてきた貴志がクラスの男子に囲まれていた。

「おい黄土、昨日の試合見たぞ! マジで持ってんな!」

「いやー、まぁ……運が味方したっていうか……!」

貴志は照れ笑いを浮かべながらも、内心かなり嬉しそうだ。

 

女子たちの注目は相変わらず僕と早川に向いていた。

多分、日頃から話してることもあって、気軽に声をかけやすいんだろう。

(とはいえ……顔面偏差値的には、僕と早川が一歩抜けてるのは否定できない)

 

そこへ、教室のドアが開き、莉音とみゆが連れ立って入ってきた。

一気に教室が明るくなる。まるで太陽が二つ増えたみたいだ。

その後ろから、少しおどおどした様子のこの江が、みゆに手を引かれてついてくる。

 

「おはよー、みんなー!」

「“空の王子”白夜様〜って、はくたん有名人じゃーん!」と莉音がニヤリ。

「やめてくれ、朝から恥ずかしいだろ……」

そう言いながらも、クラスの視線が一斉に向いてくるのを感じる。

 

チャイムが鳴るまで、教室の熱気は冷めなかった。

話題は大会のこと、昨日の試合、そして次のトーナメントの予想。

 

 

 

 

午前の授業が終わり、午後のリーグ戦に向かう者、食堂に向かう者がそれぞれ動き始める。

 

僕ら(僕、早川、大崎)のグループもいつものように食堂へ向かった。

 

途中、廊下の掲示板前で人だかりができていた。

近づいてみると、《学院戦技大会・ベスト16進出者》の一覧が貼り出されている。

 

僕らの目線が自然とその紙に吸い寄せられた。

そこには、確かに名前があった。

――「白銀白夜」「早川礼人」「黄土貴志」

 

周囲の生徒たちがざわざわと騒いでいる。

「え、1年3人!?」「マジかよ、今年の1年やばくね?」

「“空の王子”も出場してたのかよっ」

「あとの2人知ってる?」

「ラッキーマンって呼ばれてたぞ」

「なんだよ、ラッキーマンって?」

 

 

「王子、噂されてるぞ」

早川が肩を軽くぶつけてくる。

「茶化すなって」

僕が苦笑すると、早川はニヤリと笑って言った。

「まぁ、俺ら人気者ってことだな」

 

「俺だけ置いてかれてんじゃねぇかよー!」

大崎が両手を広げて嘆く。

 

「今回は上級生中心だったんだから、しょうがないだろ」

 

「まぁ、俺らは勝ったけどね」

早川がさらっと言い放ち、僕はツッコミを入れる。

「フォローが霧散したわ!」

 

大崎も吹き出しながら、「白夜のフォロー台無しじゃねぇか!」と笑う。

「次の大会までに仕上げとくからな! 覚悟しとけ礼人!」

「俺と白夜は高みの見物だな。頑張れ元気くん」

「そういうとこだぞ、早川……」

 

そんな軽口の応酬をしているうちに、食堂の入り口が見えてきた。

大崎がニヤリと笑いながら僕に耳打ちする。

「白夜、昼飯は早川の奢りでいいよな」

「もちろん。“意地悪代”ってことで」

「えっ、ちょ、ちょっと待て、それは――」

早川の笑顔が引きつった。

 

「ごちそうさん、礼人!」

大崎がご機嫌で腕を組んで引きずっていく。

僕も便乗して、「ごちそうさま、礼人」と笑う。

 

 

 




機体名 : カオスボム(CHAOS BOMB)
型式番号: EID-CBM-01
製造社 : ノクタ社 特殊演出開発部

部位  :
頭(デトネイターアイ:爆発範囲可視化&フューズ同期表示)
/右(ペイロードアーム:投擲&抱き付け用爆弾ユニット)
/左(フラグディスペンサー:小型破片弾/グラビティマイン散布)
/脚(ショックアブソーバー脚:爆速衝撃吸収・短距離ホバリング可)
/背(カスケードベイ:連鎖爆薬格納庫/爆風制御ノズル付き);


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主要数値:
全高  :188 cm
重量  :260 kg
稼働  :36 分(連鎖起爆は電力消費が激しい)
COOL  :9 s(爆発冷却の演出が必要)
HEAT  :上限 72 %(過負荷で自己防爆プロトコルが作動)


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備考  :

外見は「古典的な爆弾+演劇用ギミック」混合の可愛らしいデザインで、背中のベイが開くと色とりどりの“フラグ弾”が飛び出すド派手仕様。

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デザイン

カラー:チャコールブラック × ブラストオレンジ × 黄帯(警告色)

頭部:単眼状の「導火線アイ」が作動時に点滅し、視界に爆発範囲を赤く表示するUI演出。

背部:カスケードベイ展開時に数十個のフラグ弾が翼のように展開する。

攻撃時:起爆前に短いワーニングサイレン(劇伴)→一瞬静寂→大爆発。観客向けの演出効果高し。

爆弾をモチーフにした爆弾魔


【挿絵表示】

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