ホビーアニメ✕ロボット。これでわかるね   作:イェスコマ

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主人公の口調が安定しないのは、大目に見てください。


6話(挿絵有)

学校初日

 

 朝六時半。目覚ましより少し早く目が覚めた。——習慣の賜物だな。

 軽くストレッチ、洗顔。十五歳の肌なんて勝手にツヤツヤだが、保湿は怠らない。イケメンは努力で維持するものだ。ムダ毛のチェックも忘れない。

まだテッペイは寝てるみたいだな。

 

腕輪のデバイス、OK。生徒手帳も持った。顔、身だしなみもはなまる。——朝ごはんだな。

 

 ベッドの向こうでは、テッペイがまだ寝息を立てていた。

「テッペイ、朝ご飯行くぞー。もう七時だ」

「あと五分……」

 布団を剥がすと、渋々起き上がる。——なんだか母親みたいだな、と苦笑する。

 

 

 眠たげな目を擦るテッペイを横目にエレベーターに乗り食堂へ向かう。

食堂はもう活気があった。トレーを取り、焼き鮭セット(300BP)。テッペイは迷いなくカレーパン×2(各100BP)。

(朝から炭水化物、脂質、糖に突っ込む。これが若さかと慄いた。あっ同い年か、と苦笑い)

 

「白夜、午後イチなんだろ?機体の準備終わってるのか?」

「あぁ、もちろん調整済みだよ。入学までの2週間でみっちりね」言葉に自信が漏れる

「余裕って感じだな!バトル見させて貰うぜ」

「まぁそこそこね。やれるだけやるってやつさ」

 

時計の針が8時を指す頃、テッペイと連れ立って校舎に向かう。片道15分くらいだ。8時30分のホームルームには十分間に合う。

周りにもこのくらいの時間に寮を出る人が多いのだろう、結構な数で校舎に向かってる。

 

一学年三百人。三十人クラスが十。

(満員電車じゃないだけマシだな)

 

歩きながら、生徒手帳で自分のクラスを確認しておく。1-3クラス。

 

「テッペイは?」

「俺は1-6だな」

 戦闘系が1から5、技術系が6から10。なるほど、きれいに分けてあるらしい。

 

「お互い頑張ろうな」

「あぁ」

 

校舎の前で自然に別れた。

 

 

 

教室に入ると、当然ながら見知らぬ顔ばかり。

 皆それぞれ、静かに座って互いの距離を測っている最中だ。

(なるほど。初日の空気ってやつだな。——ここは大人としてお手本を示すべきだな)

「おはよう」

 一声かけると、驚いた表情がいくつか。小さな声で「おはよう」と返してくれる者もいた。

 ……中には「うわ、イケメンだ」なんて声も聞こえてくる。掴みは上々、か。

 

 

 僕の席は最後列の窓際。隣は地味めな女の子、前の席は昨日エイドロンの質問をしていた黄色い髪の少年だ。

「よろしく」

 軽く声をかけると、二人もそれぞれ「よろしく」と返してくれる。

 名は黄土 貴志(おうど きし)、影野 この江(かげの このえ)。

 

 自己紹介を交わしたところで、担任が入ってきた。

 

「このクラスの担任の霧島です。よし、全員揃っているな。これからホームルームを始める。」

 背筋の伸びた女性——桐島先生。冷たい雰囲気だが、仕事ができそうなタイプだ。

 

「明日からじゃない。今日から動きます。午前は座学・安全講習、午後はプレシーズン。

 “実戦の学校”に来たのだから、実戦で学ぶのが早いわ」

 

(話しが早いな。簡潔で分かりやすいが、どのクラスもこんな感じなのか?)

 

「自己紹介は各自でやってほしい。それではタブレットを支給する」

そうして全員にタブレット型の端末が配られる。

 

「全員受け取ったな?教科書等は全てこの中に入っている授業には忘れず持ってくるように。残りの時間で操作感に慣れておいてくれ。では2時間目に欠席のないように」それだけ伝えると先生は去っていく。

 

え?1時間目始まってまだ10分も経ってないぞ?!

1コマ90分あるのに、残りの時間は?!

 

生徒たちがぽかんとしている間に、桐島先生の姿はもうなかった。

 

 沈黙に耐えかねて、隣の影野さんに小声で聞く。

「これって普通なのかな?」

「お、思わないです……」と不安げな答え。

「だよね」

 

 思わず立ち上がっていた。

「……自己紹介でもするか?」

 

 教室にざわめき。何人かが「賛成」と声を上げる。

(結局こうなる。子供たちの前だと、どうしても引っ張り役をやってしまう)

 

「じゃあ言い出した僕から」

 声を張り、クラス全体を見渡す。

 

 

 

それぞれ自己紹介を終え、近くの席同士でタブレットを触りながら雑談になる。

数学、物理、プログラミング……なるほど、エイドロンを組み立てたり制御するための基礎ばかりだ。

(これは思った以上に本格的だな。僕も真面目にやらないと置いていかれるかもしれない)

 

黄土くんに声をかける。

「そういえば昨日、質問してたよね? エイドロンの目処は立ちそう?」

黄土君は少しキョドりながら

「あ、フレームはもうもらったし、昼に工業実習棟に行って揃えるつもり。えっと汎用品なら一万BPで足りるって聞いたんだ」

(なるほど、最低限揃えるならそのあたりか)

 

続けて隣の田中さんにも振ってみる。

「影野さんは?」

「わ、私は実家にあったのをそのまま……」と、おどおどしながら答えてくれる。

 

「やっぱり、最初から揃えるのは大変だよね」

そう返すと二人ともほっとした表情になった。

 

やっぱりイチから揃えるの大変だよねと答える。

 

黄土くんが逆に問い返してきた。

「白銀君は?」

「僕のことは白夜でいいよ」

軽く笑ってから続ける。「フレームと腕は既製品。残りは試作品を譲ってもらったんだ。まぁ、コネだけどね」

 

「いいなぁ」と羨ましそうに黄土くん。

「この学校なら、これからいくらでも揃えられるさ。困ったら相談してよ。もちろん影野さんもね」

そう言ってフォローを入れると、黄土くんと影野さんは嬉しそうにうなずいた。

 

 

二限目、安全規定の授業。

入ってきたのは細身で神経質そうな駒井先生。時間ぴったりだ。

 

「タブレットを開いてください。安全規定の教本を表示します」

 一つひとつ丁寧に説明を進めていく。

(担任の桐島先生と違って、なんとも親切だな。——いや、普通の教師ってこれくらいか)

 

校内リーグのルールもあわせて解説。武装基準から出力リミッタ、冷却系の上限温度まで。地味だが大事な話だ。

 

終了五分前。

「今日はこの辺にしましょう。午後も頑張ってください」

意外にも柔らかい声色で授業を締め、去っていった。

 

(神経質そうに見えて、意外と優しいな。……九十分があっという間だった)

 

昼を食べたら、いよいよアリーナだ。

 

 

 

 昼休み。

 黄土くんは「行ってくる!」とだけ言い残し、工業実習棟へ全力ダッシュしていった。

(転ぶなよ……って声かけたけど、届いてないだろうな)

 

 影野さんに「じゃあご飯でも」と振り返ったら——もう席が空っぽ。

(……影野、恐ろしく足が早い。いや、影のように消えたと表現すべきか)

 

 

仕方ない、一人で行こうかと思ったら、クラスの何人かが声をかけてくれた。ありがたい。こういうのは一人でいるよりずっといい。

 

 

---

 

 一年生専用の食堂。

 トレーを並べ、自然に話が弾む。話題はやはり今日のリーグ戦だ。

「応援行くよ!」と声をもらう。

「じゃあ一緒に行こうか」

 外面はクールに、内心は少し驚きながら。……思ったより、馴染めそうだな。

 

 

午後。六人で連れ立ちアリーナへ向かう。

 一年生のリーグ戦会場は校舎からやや離れた場所にあるらしい。上級生はまず来ない“下級用”。

 歩いていくと、市民体育館を思わせる建物が見えてきた。

 

 中に入れば、三十メートル四方のフィールドが四面。

(なるほど……午後だけで百五十試合以上回す計算か。忙しいだろうな)

 

 僕は仲間たちと分かれ、観客席へ向かう彼らを背にフィールドへ。

「じゃあ行ってくる」

(さて——ここからが本番だ)

 

 

 

 

午後一時。バトルフィールド入場。

 

「よろしく、白銀 白夜だ」

腕輪を操作すると、光柱の中から白と黒のツートン機《ハクロ》が整備台に降り立つ。観客席がざわつく。

 

「おう!正々堂々真剣勝負だ!恨みっこなしだぜ!」

対戦相手、1-2の犬塚 牙雄。熱血タイプの少年だ。機体は格闘型の代表格《ウルフマン》。爪とガントレット、脚部は跳躍重視で一気に距離を詰めるタイプ。

 

(地上格闘寄り、ってことは——空から一方的。卑怯って言うなよ?)

 

セーフティフィールドが点灯。ブザーが鳴り、審判の職員が声を張る。

「——開始!」

 

「飛ぶぞ、ハクロ!」

〈了解、マスター〉

 

  背部ジェットが青白く吹き、ハクロはふわりと宙に浮いた。体育館天井の三分の二の高さで静かにホバリングする。

 

「……は?」

犬塚が目を剥く。

「ちょ、飛んでる?!聞いてねぇぞそんなの!」

 

観客席もざわついた。

「空戦!?」「新型じゃねえか!」

 

「新型の発表あっただろう?」

 僕は腕輪に短いスワイプ。ハクロの微振動が減り、照準安定。

 《ウルフマン》に向けてビームガンを構える。

 

「旋回しつつ圧倒しろ」

〈了解〉

 

 

  ハクロが横滑りしながらビームを撃つ。白い光が斜めに走り、《ウルフマン》のガードを削っていく。犬塚が必死に叫ぶ。

「動け!飛び回れ!相手の真下に潜れ!」

 

だが空を舞うハクロは、ひとつ上の次元から獲物を狙う鷹だ。

僕は逃さない。

 

「ビーム、二連——上から下」

 閃光が肩と脚に命中。ウルフマンがバランスを崩す。

 

「やべぇ、脚が!」犬塚が叫ぶ。

「構え直せ、迎撃——」

 

「ハクロ、決めろ」

 

〈了解〉

 音速めいた急降下。背面から一気に回り込み、白い銃口が光る。

 

ビームガンが二連射。ウルフマンの頭部センサーが閃光に包まれた瞬間、ブザーが鳴った。

 

「勝者——白銀!」

 

審判の声が響き、観客席が大きく沸く。

 

「犬塚君、対戦ありがとう」

呆然としたままの犬塚の手を握り、強引に上下に振る。——男同士、礼儀は大事だ。

 

(ふぅ……空戦対策がない相手だと、一方的すぎて気の毒だな。犬塚君、次は頑張れよ)

 

 

---

 

観客席に戻ると、クラスメイトたちが一斉に寄ってくる。

「白銀すげぇ!」「空戦とか初めて見たよ!?」「どこでそんな機体手に入れたんだよ!」

質問攻めにされ、ワイワイ盛り上がる。

 

(……ああ、これ。これぞ青春、ってやつだな)

 

その後は友人たちの試合を見てから帰寮。テッペイは非戦闘型ゆえに逃げに徹し、時間切れで引き分けをもぎ取っていた。

「ずるい!」と皆に笑われながら、彼も満更でもなさそうだ。

 

 

 

夕方。

ランキングボードに初日の結果が表示された。

勝てば勝ち点3、引き分けで1、負ければ0。まだシンプルな数字の並びだが、妙に重みがある。

僕の欄にも、しっかり「3」。

 

(まぁ、初戦だし当然だな。……でも、全員の数字が並ぶと一気に競技感が出る)

 

 

---

 

食堂で親子丼(520BP)。値段の割にしっかり美味い。

腹を満たして部屋へ戻り、シャワー、ストレッチ。

 

腕輪を操作して明日の二戦目の相手を確認する。

横でテッペイは机に工具を広げ、キャリアのメンテをしていた。

 

「お前さ、引き分け狙いとか考えたな?」

「ふふん、戦略的撤退ってやつよ!」

誇らしげに胸を張るテッペイ。

(逃げ回って時間切れ、を美名で呼ぶのは器用だな)

 

(……問題は僕だ。空戦の一発芸はもう知られてる。対策される前にどれだけ“手札”を隠せるか、そこが勝負だな)

 

ロッカーに結んである羽根守りが、空調の風に揺れた。

 

 

---

 

「お疲れ、テッペイ」

「おう。明日も勝てよ、空の王子様」

「……なんだよそれ」

「イケメンで新型の空戦型。もう学園掲示板で話題だぞ」

「いや僕、ついさっきまで食堂にいたけど?」

「ネットは早いんだよ。『王子様かっこいい〜』ってな。悪口じゃねぇし、気にすんな」

 

「そうするよ。……おやすみ」

 

灯りを落とす。

 

胸のあたりで、コアがピッと短く鳴いた。

〈マスター、良い一日〉

「同感だよ、ハクロ」

 




機体名 :ガルダイン
型式番号:EID-GRD-01
製造社 :グロム・インダストリー

コア  :

部位  :
頭(強化装甲ヘッド:センサー保護重視、索敵性能は並)
/右(タワーシールドアーム:巨大防御盾、敵の砲撃を正面で受け止める)
/左(ヘヴィブレードアーム:分厚い近接剣、重量と破壊力を両立)
/脚(重装キャタピラ型強脚:安定性と耐荷重に優れる)
/背(補助ジェネレーター:シールド出力と武器稼働時間を延長)

主要数値:
全高  :215cm
重量  :420kg
稼働  :60分(安定駆動のため比較的長時間持続)
COOL  :20s(ブレード加熱後は冷却必須)
HEAT  :上限150%(オーバーヒートしても装甲でしばらく耐えられる)

コアスキル:

備考  :

グロム・インダストリー製の重装防御型エイドロン。

両腕の武装は防御と攻撃を兼ね備えており、真っ向勝負を挑むタイプ。

動きは鈍重だが、正面からの突破は極めて困難。

チーム戦では「壁役」として絶大な信頼を誇る。

開発コンセプトは“動く要塞”。

「鉄壁かつ猛撃——前に立つ限り、誰も通さない!
グロム・インダストリーの誇り、《ガルダイン》ここに。」



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