UA3000突破、お気に入り数も50を達成しました! かんしゃあ!
これからも頑張って書いていきますので、何卒よろしくお願いします!
リンさんに連れられてたどり着いたのは、地下室の上にある広間でした。
「ここが、シャーレのメインロビーです」
「……綺麗」
まだあまり使われていないからか、とても綺麗に見えました。
それに、とても広いです。
設備が壊れることを無視すれば、軽い弾幕ごっこもできそうですね。
勿論キヴォトスに幻想郷流の弾幕が撃てる
「将来的に沢山の生徒が出入りするようになるでしょうから。コンビニも入る予定です」
これだけ広い理由について聞いてみたところ、そう返ってきました。
こんびに……小さなお店でしたっけ、食べ物とか色々買うことが出来る。
今は静かですけどなんだか賑やかになりそう、ってことですね!
「……長い間空っぽでしたけど、ようやく主人を迎えることになりましたね」
リンさんは小さく呟きました。
まさかこの建物も知らない間に主人が変わってるとは思わなかったでしょうね……。
周囲を見渡すと、幾つか扉があります。
その中の一つに、リンさんは向かいました。
私もリンさんに続いて、部屋に入ります。
「ここがシャーレの部室です」
「おお……」
何台ものパーソナルコンピュータが置かれた机、応接間として使えそうな長椅子と机、長めの良さそうなガラス窓……!
広間のときも言いましたが、やっぱり綺麗ですね……!
「ここで先生のお仕事を始めると良いでしょう」
ここが、私の新しい職場……。
正直なところ、なんだか実感が湧きません。
是非曲直庁では基本的に屋外でしたし、こんなに素晴らしい部屋を私が使っていいのか……
何にせよ、慣れるまで時間がかかりそうです。
この部屋での仕事………
……仕事……
…………仕事?
「……あの〜、リンさん」
「どうされました?」
「こんなことを聞くのもおかしな話ですけど……私はこれから何をすればいいのでしょうか?」
そう、肝心の業務内容について私はまだ何も知りません。
どんな仕事にしても、その業務内容がわからなければ話になりませんからね……。
「……そういえば、そうでしたね」
どうやら私が「本来の先生」でないことを忘れていたみたいです。
でも、それはそれで私が「先生」らしく振る舞えているっていうことの証拠でもあります。
「シャーレは、権限だけはありますが目標のない組織なので、特に何かをやらなきゃいけない……という強制力は存在しません」
「えっ……?!」
思わず、そんな声が出てしまいました。
「確か、どこの学園にも自由に出入りできて、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを、制限なく加入させることのできる組織、ですよね? そんな組織に目標のないなんて……」
「……私にも、わかりません。連邦生徒会長が何を思って、このような組織を作ったのか……」
リンさんはそう答えました。
「面白いですよね。捜査部とは呼んでいますが、その部分に関しては、連邦生徒会長も特に触れていませんでした」
「……」
「つまり、何でも先生がやりたいことをやって良い……ということですね」
これは……私、「試されて」いますね。
事実上「抑え」のないこの「力」を、正しく扱えるか……。
……私は、今まで数え切れないほどの人が「黒」を出されるのを見てきました。
その中には、行き過ぎた「力」に溺れた人も沢山いました。
……物語の中でしか見ないような、非現実的な行動を起こした人も。
「人の振り見て我が振り直せ」
映姫様の裁判を見てきたから大丈夫、反面教師は沢山いる。
その油断こそが、命取りです。
これからの私の一挙手一投足に、キヴォトスに住む数多の方々の命運がかかっていると言っても過言ではありません。
……幻想郷に帰ったとき、映姫様の部下として恥ずかしくないようにしないと。
「……本人に聞いてみたくても、連邦生徒会長は相変わらず行方不明のまま。私たちは彼女を探すのに全力を尽くしているため、キヴォトスのあちこちで起きる問題に対応できるほどの余力がありません」
「その言い方だと、見当もついていない感じですか?」
「……残念ながら」
もしかすると、神隠しに遭っているかもしれませんね。
案外、幻想郷にいたり……は、しませんか。
「ただ、今も連邦生徒会には支援物資の要請、環境改善、落第生への特別授業、部の支援要請などなど、様々な苦情が寄せられています」
「そうなんですね……」
連邦生徒会も中々大変そうですね……
……あ!
「もしかして、連邦生徒会長さんはこのことを想定して『シャーレ』を……?!」
いなくならざるを得ないのをわかっていて、そうすると連邦生徒会は自分を探すのに全力を挙げるのは分かっているから、その間キヴォトス内部の問題を解決するための組織を立ち上げた……
これなら、納得がいきます!
……いやまぁ、なんでいなくなったのか分かっていませんし、分かっていたならなんで伝えなかったのか、という話ではありますが……
「……確かに、そうかもしれませんね。何にせよ、時間と権限を両方持っている『シャーレ』なら、この面倒な苦情の数々を解決できるかもしれません」
「ですね!」
……まぁ、深く考えすぎてもなんですし。
さっきまでのことは勿論心掛けながら、気楽にやっていきましょう!
「その辺りに関する書類は、先生の机の上にたくさん置いておきました。気が向いたらお読みください」
あ、もともとシャーレにやらせる想定だったんですね。
まぁどちらにせよ、やることが分からないうちはその仕事を引き受けるのが一番いいでしょう。
「すべては、先生の自由ですので」
リンさんはそう言って、私の方に向き直りました。
「……まだこの状況になって間もないというのに、ありがとうございます、久侘歌先生」
「いえいえ、任せてください!」
うまくいくかはわかりませんが、きっと大丈夫です!
「……それでは、私はここまでです。必要な時には、またご連絡いたします」
「はい! ありがとうございました!」
そうして、リンさんは部室から去っていきました。
気の所為でしょうか、なんとなく最初に会ったときよりも顔が穏やかになっていたような……?
「……皆さんのところに報告に行きましょうか」
「ピ!」
そうして、私達も部屋を出ます。
「はい。サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会が取り戻したことを確認しました」
「ワカモは自治区に逃げてしまったのですけど……すぐに捕まるでしょう。私たちはここまで。あとは担当者に任せましょう」
「……あ、先生! お疲れ様でした!」
ユウカさんが気付いて、こちらに手を振ってくれました。
「皆さんもお疲れ様でした!」
「先生の活躍はキヴォトス全域に広がるでしょう。すぐにSNSで話題になってしまうかもしれませんね」
えす、えぬ、えす……?
……なんですか、それ?
言い方からして、井戸端会議的なものなのでしょうけど……
「これでお別れですが、近いうちにぜひ、トリニティ総合学園に立ち寄ってください。先生」
「もしいらっしゃったときには連絡してください。案内しますので」
「私も、風紀委員長に今日のことを報告しに戻ります。ゲヘナ学園にいらっしゃった時は、ぜひ訪ねてください」
「ミレニアムサイエンススクールに来てくだされば、またお会いできるかも?」
「みなさん、ありがとうございます!」
キヴォトスでの生活にある程度馴染んだら、皆さんのところに行ってみましょう♪
「久侘歌先生、ではまた!」
「はい! 皆さんありがとうございました!」
大きく手を振って、皆さんを見送ります。
「では、私達も戻りましょう!」
「ピ!」
「……」
部室の大きな窓から、私は改めて周囲を見渡しました。
……思えば、あの夢を見てから、世界がなんだか透き通って見えるような気がします。
ある霊魂は言いました。
幻想郷は、本当に同じ世界なのか疑うほど美しい場所だと。
彼女の見てきたどんな法治国家よりも秩序の保たれた領域であると。
残酷でありながら、全てを受け入れる寛容さを持つと。
……「『
少なくとも、私にはそうは見えないのですが……
……恐らく、同じですよね。
「あはは……なんだか慌ただしい感じでしたが……ある程度、落ち着いたみたいですね」
そんなことを考えていると、抱えていたシッテムの箱から声がしました。
「お疲れ様でした、先生」
目の前には、アロナさんがいます。
「アロナさんも、お疲れ様でした!」
「はい! でも、本当に大変なのは、これからですよ?」
「……そうですね」
私が今からなる立場は、いわば「キヴォトスの特異点」。
決して楽ではない、寧ろ今まで以上に大変な役割です。
「これから、『先生』としてキヴォトスの様々な問題を解決していくことになります。それがどのようなものなのか、私には皆目検討もつきませんが……」
「大丈夫です! そのために私がいるんですから!」
アロナさんは自信たっぷりに答えました。
「ありがとうございます! これからよろしくお願いします、アロナさん!」
「はい、こちらこそお願いします、久侘歌先生!」
アロナさんは満面の笑みで返事してくれました。
「では、早速なんですけど、一つ聞きたいことがありまして……」
「はい! 何でも聞いて下さい!」
実は、キヴォトスに来てからずっと疑問に思っていることがありまして……
「アロナさんや生徒の皆さんの頭の上に浮いている輪っか、あれって何ですか……?」
「今更?!」
……三人称ってこんな感じでいいのか?
え? もうちょっと自我を出していい?
ただでさえ注釈で自我を出してるんだからこれ以上出しても困るだろ……
まぁ書きやすいからそっちの方がありがたいけどさ……
……確かに、公文書でも論文でもないし、自由にやればいいか。
「ん、私を早く出すべき」
「すみませんでした……」
次回、アビドス編、開幕