執筆者「本編の更新に二ヶ月もかけてしまい大変申し訳ございませんでした」
久侘歌「言い訳はあります?」
執筆者「リアルが忙しかったのと、戦闘シーンを書くのに苦戦したんです……」
久侘歌「前者だけならともかく後者は有罪ですね。畜生界に行ってきてください」
執筆者「うわぁぁぁぁぁぁ……」
というわけで一ヶ月ぶり、本編に至っては二ヶ月ぶりの更新です。本当にお待たせしました。
この話を書いていて決めました。戦闘シーンは今後出来る限りカットします(勿論、ゲヘナ絡みとかカイザー絡みとか必要な部分は書きますが)。本当に戦闘シーンが書けないんですよ私。なんで戦闘シーンのときはいつも以上に稚拙な文章になりますが、どうかお許しください。
それでは、本編です。
久侘歌は窓の側に立ち、戦場を見る。
先程久侘歌たちもいた、校庭。
いくつか障害物はあれど、全体的に見ればほぼ平地に近い。
校門の奥に、ヘルメット団が陣を築いているのが見える。
おおよそ五十人くらい、いや、もう少し多いだろうか。
対してこちらは久侘歌を合わせても6名。
単純計算で十倍近くもの差がある。
そのうえ、アヤネと久侘歌は指揮に回るのだから、実質の人数差はもっと開く。
「普段からこんな人数差で戦ってるのですか?」
「はい……なにせ、アビドスに残っている生徒は私たち5人しかいませんので」
「……そうなんですね」
久侘歌は少しだけ俯きながら答える。
校舎に入ってからも彼女たち以外に生徒を見かけなかったので、薄々そんな気はしていた。
しかし、遭難するほどの大きな自治区を持っていてそんな状況というのも考えづらいので、いざ告げられると驚きが隠せなかった。
[うへー、それじゃあ、行くよー]
無線越しに、ホシノの声が聞こえる。
その声を合図に、四人が飛び出す。
四人の位置取りを確認した刹那、久侘歌の脳内に、様々な戦術のパターンが浮かぶ。
畜生界の問題児を相手しているうちに、気づけば戦闘に関する様々な知識が刻み込まれていたのかもしれない。
まさかそのことを、この地で気が付くことになるとは――環境の変化の影響、久侘歌はそれを改めて実感した。
久侘歌が感傷に浸っているその間、校庭では銃声がこだまし続けていた。
[シロコ先輩、そっち行った!]
[ん、了解]
セリカの報告に従い、シロコは近づいてきた敵を撃破していく。
[ノノミちゃん、お願いするねー]
[お任せください!]
一方、校門の前ではホシノが盾を構えていた。
そこに注意を引き付けている間に、ノノミがミニガンで薙ぎ倒す。
アヤネの方へと目をやると、彼女も机の上で何かをしていた。
チナツのそれとほぼ同様の操作をしていたため、それが言っていた「支援」だとすぐに分かった。
(成程……)
アビドスは、五人しか生徒がいないとは思えないほど、広い。
だからこそ、実地で銃を取り戦うのが四人しかいない現状での防衛戦は難しい。
しかし同時に、久侘歌は戦闘の中で、個人個人、特に小鳥遊ホシノの能力の高さも見抜いていた。
個々の能力が高ければ、そこに費やす人員を減らすことができる。
それ故、守ることのできる範囲は広がる。
今、二手に分かれて、それぞれ独自の戦線を作りながら戦っているのもそれが理由であろう。
生き残るための策、とでも言うべきだろうか。
久侘歌は素直に感心すると同時に、たった五人で耐えることのできていたことにも納得した。
「……っ!」
その時、アヤネの表情が険しくなる。
「どうされました?」
「3時の方向から、増援が向かってきています。それも、かなりの数……」
見れば、学校前の大通りの両側に、赤い点が沢山光っていた。
それらの殆どはこちらへと向かってきている。
[大丈夫。何とかする]
「ほ、本当に大丈夫ですか?」
[ん、任せて]
シロコは自信満々に答える。
しかし、久侘歌は不安を感じていた。
ユウカ達と初めて戦ったときと同じような気分がしたのだ。
どこかで噛み合わなくなり、戦線が崩壊していく……そんな気が、うっすらとしたのだ。
一応、いつでも
だが彼女がそれを使う気は毛頭なかった。
理由は……言わずもがなだろう。
(……あっ!)
そんな不安に苛まれている間に、シロコは飛び出してしまった。
……先程まで、二つの戦線で戦うことができていたのは、それぞれの戦線が完全に独立していたから。
それ故、アヤネも基本は「支援」に徹底して、「指揮」はその実あまりしていない。
つまり、どうなるか。
[っ! シロコちゃん、危ないっ!]
[え?]
シロコは無自覚に、そして二人が気が付かぬうちに、ノノミの射線に入ってしまっていた。
ノノミは急いで銃口の向きをずらす。
[つっ……]
だが、少し遅かった。
ノノミは既に引き金を引いていた。
「大丈夫ですか、シロコ先輩!」
[ん……なんとか]
幸い、シロコは無事だったようだ。
とはいえ、二つの戦線が交わったことによる歪みが生じているこは確か。
このまま指揮なく継戦させては、どうなるか分からない。
「皆さん、聞こえますか?」
久侘歌はそれまでの静観から一転、無線越しに叫んだ。
[急にどうしたのー、先生?]
「少し、私の指揮に従ってもらえませんか?」
[……はぁ?!]
セリカの驚く声が聞こえる。
しかし久侘歌はその声に怯むことなく、続ける。
「信じてもらえないことは分かってます。ですけど、私も、私なりに出来ることがしたいんです!」
[そのお気持ちはありがたいですけど、いきなり指揮だなんて……]
[うーん、一回任せてみてもいいんじゃないかなー?]
ノノミの声を遮って、ホシノは肯定する。
「えっ、ですけど……」
[実際、支援に徹底するアヤネちゃんとは別で、指揮系統があったほうが戦いやすいと思う。だからさ、おじさんに騙されたと思って一回やってみない?]
どうやらホシノは、久侘歌の意図を察したようだった。
[……まぁ、ホシノ先輩がそこまで言うなら]
[ん、先生の指揮に従う]
「皆さん……ありがとうございます!」
ホシノへの感謝を抱きつつ、久侘歌は切り替えて冷静に戦場を視る。
「アヤネさん、空からあの辺りを爆撃することってできます?」
「出来ますけど……なぜあそこを?」
久侘歌が指し示したのは、ホシノの目と鼻の先だった。
「さっきのを見て、敵方は私達は統率が取れていないと思っているはず。それを利用して、限界まで油断させるんです」
かつて、久侘歌も同じ手に嵌められたことがあった。
かなり前だったので相手が誰だったかは覚えていないが、その戦術だけは久侘歌の記憶に残っていた。
[……なんか、見た目に反して
「あはは……」
久侘歌は苦笑する。
「アヤネさんの攻撃を皮切りに、私が合図を出すまで同士討ちを全力で演じ続けてください」
[合図の後は何をすればいいの?]
「その時の配置次第ではありますが、アヤネさんに砂埃を立ててもらった後、視界を遮っている隙にシロコさんとセリカさんで前に出てください。ホシノさんとノノミさんには追々指示を出します!」
[わかったわ!][ん、了解]
「ありがとうございます。……では、アヤネさん。よろしくお願いします!」
「了解です!」
アヤネはドローンを操作し、ホシノのすぐ近くに爆弾を落とす。
[うへー]
ホシノの声が聞こえる。
やる気のなさそうに聞こえるが、きっと彼女なりの演技なのだろうと久侘歌は納得することにした。
[うわっ……危ないわね!]
それに続くように、シロコの照準が合わず、セリカのすぐ横を銃弾が通り抜ける。
「ピ! ピ!」
「ありがとうございます、ピヨちゃん!」
[なんだ、あいつら?][急に同士討ちを始めたぞ?][何にせよ、今がチャンスじゃないか?]
不良たちがそう言っているのを無線越しに聞き取ったピヨちゃんが久侘歌に伝える。
それを裏付けるかのように、不良たちは前進を始めていた。
(そろそろ……ですかね)
「アヤネさん、あの辺りを狙ってもう一度、お願いします!」
「わかりました!」
そして次の瞬間、校庭にもう一度、砂埃が舞う。
「シロコさん、セリカさん、お願いします! ホシノさんとノノミさんは一旦障害物に隠れてください!」
久侘歌の指示を合図に、シロコとセリカは打って出る。
「敢えて中央突破ができるくらいの間隔を空けて行動してください。ホシノさん、ノノミさんはいつでも打って出られるように準備をお願いします。アヤネさんは前線の二人の支援を!」
各々返事をし、指示通りに動き始める。
[うわっ、なんだ?!]
[同士討ちをしてたんじゃないのか?!]
[ま、まずい、押されてるぞ!]
[いや待て、よく見たら中央が空いている。あそこからなら!]
(……いくらなんでも単純すぎません?)
ピヨちゃんからの報告を受け、久侘歌はそう思った。
いくらなんでも、ここまで想定通りの反応するとは思っていなかったからだ。
しかし、それはそれで好都合。
「ホシノさんノノミさん、私が笛を鳴らしたら前に出てください!」
[私達はこのままでいいの?]
「はい。そのまま目に見える敵を倒していってください!」
[ん、了解]
その返事を聞いて、久侘歌は校庭を再び注視する。
(今っ!)
ピッ!
[うへー、行くよー!]
ホシノがまず打って出る。
盾を構えているとは思えない速さに、久侘歌は少し驚いた。
不良がホシノに怯んでいる隙に、後ろからノノミがミニガンを乱射する。
[う、うわぁぁ!]
[くそっ、今日のところは撤退だ!]
不良たちは次々と撤退していく。
「カタカタヘルメット団残党、校外エリアに撤退中!」
アヤネが安堵した表情で、言う。
[わぁ☆ 私たち、勝ちました!]
[あははっ! どうよ! 思い知ったか、ヘルメット団め!]
「皆さん、ありがとうございました!」
「それでは一旦、委員会室に戻りましょう」
鶏の耳って人間よりいいんですね。調べていて初めて知りました。