序章、しかも中盤でここまで伸びるとは思ってませんでした……
文章は拙いわ更新頻度は遅いわで色々終わってますが、
エンディングまでなんとか走り切ろうと思います!
今後も久侘歌様をよろしくお願いします!
甲高い笛の音が響き渡る。
ユウカたちも不良たちも、突然鳴り響いたその音に驚いた。
その隙に、久侘歌の放った弾幕が不良たちを次々と倒していく。
「な、なにこれ……」
[あれだけの数の不良たちが、こんなにも一瞬で……]
「これが、『先生』の力……?」
四人は初めて見るスペルカードの光景に呆気にとられていた。
決闘の手段であり、それでいて美しくもある。
今回の久侘歌のそれは、弾幕ごっこにしては少しらしくなかったような気もするが……
それでも、弾幕を知らないキヴォトスの少女たちを驚かせるには十分だった。
「みなさん!」
目に見える範囲で敵を一掃できた久侘歌は叫んだ。
「今から私の指示に従ってください!」
「え、ええっ? 戦術指揮をされるんですか?」
「はいっ!」
「まあ……先生ですし……」
[生徒が先生の言葉に従うのは自然なこと、ですね]
「わかりました。これより先生の指揮に従います」
「ありがとうございます!」
「では、先に進みましょうか」
「あの不良たちが邪魔ね……」
「迂回して行くことは出来ないんですか?」
あんまり、不要な戦闘はしたくないんですよね。
なにせ人の死に関わることを普段していますので。
……どうやら、キヴォトスの皆さんは銃弾に当たっても死なないみたいですけど。
そんなことを考えている間に、チナツさんが何かを動かして索敵してくれていました。
「……ダメそうですね。どのルートから行っても不良たちと戦うのは避けられません」
「ダメですか……」
そうなると、ここを強行突破せざるを得ませんね。
「先生の先程のあの技? は使えないんですか?」
先程のあの技――スペルカード「庭渡『アルゴリズミックファントム』」。
見ている感じ、キヴォトスの皆さんは銃弾に強い代わりに、弾幕への耐性はあまりないようです。
なので、スペルカードを使いさえすれば、基本なんとか切り抜けられそうではあります。
……ですが、それで本当にいいのでしょうか。
「使えなくはないんですが……あんまり使いたくはないんですよね」
「どうしてですか?」
「あれは……私の最終手段みたいなものなので」
畜生界との関所の番頭神をしているからこそ、一つわかることがあります。
ありとあらゆる生物において、最も大事なことの一つは「自立」です。
自立しなければ、生き抜くことは難しい。
組長の皆さんが無秩序な畜生界で生き残っているのは、彼女たちと、それを支える部下の皆さんが自立しているからに他なりません。
リンさんも含めて、彼女たちはきっと今、自立への道の真っ只中でしょう。
そんな時期に、もし皆さんにまつわる問題を私がスペルカードで全部解決してしまったら?
「ですから、本当にまずいと思ったときにしか使わないようにしてるんですよね」
……あくまで私の意見ですが、今の私に必要な「導く」は、無闇矢鱈に手助けをすることではありません。
どうすれば一番相手の為になるかを吟味して動くこと、
それが今の私に必要な「導く」ということです。
だから、私は、この地でスペルカードを極力使わない。
取り敢えず「最終手段」ということでお茶を濁しておくことにします。
それならさっき使ったのにも納得がいきますし。
「なるほど……わかりました」
「その代わりと言ってはなんですが、私が指揮を執ります。実際に戦うのは、皆さんにお願いしてもよろしいですか?」
とはいえ、完全放任主義が良いとも思いません。
時と場合によってはその方が良い場合もあるのですが……
さっきの戦闘を見ていれば、明白です。
そう考えると、戦闘の面においては「指揮」という立場が一番合っている気がします。
……意外と、霊魂の整理と似ているのかもしれません。
私はあくまで、道を示すだけ。
その道でどうするかは、その人次第。
それが、私のなるべき「先生」像、なのかもしれません。
「もちろんです。任せてください」
「よろしくお願いします、先生」
「はい!」
……では、まず作戦を練りましょう。
「ひとまず、この道を強行突破するとして、どのくらいの不良たちと戦うことになりそうですか?」
「そうですね……諸々加味すると、あそこに見えている不良たちの、だいたい2、3倍くらいでしょうか」
「わかりました」
となると、一方に誘導してその隙に突破……なんてことは厳しそうですね。
「でしたら、こうしましょう。まず……」
[……ふぅ]
ハスミさんの深呼吸が聞こえました。
ハスミさんの銃は長距離からの狙撃に秀でた銃みたいです。
私は銃に疎いので詳しいことはわかりませんが。
……ただ、どこかで話を聞いたような気もします。
いつでしたっけ……あ、そうそう。
中有の道を久々にゆっくり歩こうと思ったんでしたっけ、休暇が出たので。
その時にとある方――確か、二十歳手前の少女の死人とぶつかったんですよね。
それで話していたら仲良くなって、三途の川の向こう岸まで一緒に歩きました。
そのときに、銃の種類について色々教えてもらったような気が……
……うーん、よく思い出せません。
[準備出来ました、先生]
「こちらの準備も終わりました」
[いつでも大丈夫です]
そんなことを考えている間に、いつの間にか、皆さんの準備が終わっていたようです。
「ありがとうございます。……では、行きましょう。スズミさん、お願いします!」
[了解です!]
スズミさんが光る爆弾*1を投擲しました。
[うわっ!]
[なんだ?!]
無線越しに、不良たちの混乱する声が聞こえてきます。
「今です、ユウカさん!」
[任せてください!]
私の掛け声を合図に、ユウカさんが不良たちの集団へと突撃しました。
[私が相手よ、覚悟しなさい!]
[っ、誰だ!]
[あれは……ミレニアムの制服?!]
[そんな、ここはヴァルキューレとSRT以外動けないはず!]
[早く増援を……うわっ!]
[悪いけど、悠長している暇はないわ。さっさとどきなさい!]
[くっ、行くぞお前ら!]
ユウカさんが前方で暴れる一方、スズミさんは横に出て不良たちを一箇所へと追い詰めていきました。
なるほど、数が集まって広くなりすぎると次の攻撃の効果が薄まってしまいますね。
ナイスです、スズミさん!
かなり大きな騒ぎになっていることもあって、不良たちがかなり集まってきました。
ここまではかなり順調です。
「ハスミさん、チナツさん、準備は大丈夫ですか?」
[はい、問題ありません]
「いつでも行けますよ」
「ありがとうございます!」
となると、あとは時機を見極めるだけですね。
私は飛び上がって*2、建物の屋上ぐらいの高さで敵情を観察しました。
(あっちの方がまだ集まりきってないですかね……)
とはいえ、移動している最中です。
すぐに到着して加勢するでしょう。
「私の笛を合図に、皆さんお願いします」
[わ、わかりました!]
チナツさんが若干困惑気味でしたが……何かあったのでしょうか?*3
まぁ、きっと大丈夫でしょう!
……と、そろそろですかね。
(すぅ……)
ピッ!!
直後、閃光弾が不良たちの中心で起爆しました。
[今ですね!]
続いて、チナツさんが空からある大きな箱を落とします。
そして、
[!]
ハスミさんの銃弾が、不良たちの少し上で、その箱に当たりました。
次の瞬間、その箱が大爆発を起こします。
[うわぁぁぁぁ!]
[な、何が起こっているの?!]
[まだ終わりではありませんよ!]
[さっさとそこをどきなさい!]
そこに、ユウカさんとスズミさんが追い打ちが加わりました。
さっきの爆発に巻き込まれなかった不良たちも次々と逃げていきます。
……これはもう、初陣勝利、ってことでいいですよね。
「ピピッ、そこまでです! 今のうちに先に進んでしまいましょう!」
[[[[はいっ!]]]]
私は地上に戻り、みんなと合流しました。
[……先生に先生を任せて正解でしたね]
「?」
無線から、リンさんのそんな言葉が聞こえました。
皆さん、リンさんのその言葉に困惑しているようでしたが……
きっと、そういうことでしょう。
そうしてリンさんの案内のもと、目的地に向かってまた、走り出しました。
チナツ「いやまぁ翼あるみたいですし飛べるのも当然と言えば当然……なのでしょうか?」