騎士(笑)の日常   作:ガスキン

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この小説の方針ですが、ダンまちの設定は本編はもちろんハーメルン内の作品でも丁寧に説明されている方がたくさんいますので、一から説明を入れるのは逆にくどいかなと思うので、改変したい部分以外の展開や説明はなるべく省こうと思いますので、詳しい事が知りたい方は本編を読もうね!


オラリオに騎士(笑)がいるのは間違っているだろうか その二

「つ、着いた……着きましたよリョーマさん!」

 

 眼前に高々とそびえる市壁を見上げるベル君。俺も彼に倣いそのデカすぎる壁に目を遣る。いや、道中立ち寄った村や町の人達が揃ってデカいデカいと言っていたからどんな感じかと思っていたが、これは予想以上だわ。

 

「いよいよこの街から僕の冒険者人生がスタートするんですね。しかもあの騎士s……リョーマさんと一緒に」

 

 言い淀むベル君に思わず苦笑いする。ここに来る前に、彼には俺が『鋼の救世主』の騎士(笑)である事は秘密にしてもらうよう頼んである。当事者であるベル君とおじいさん以外の人からしたら物語の登場人物を名乗る痛い人間にしか見えないだろうし、そのせいでベル君に何かしら迷惑がかかるのは俺の望む所ではないからだ。

 

「余計な気を遣わせてしまってすまないな、ベル君」

 

「い、いえいえ! 考えてみればリョーマさんの正体が知られたら大パニックになりそうですし! 僕の方こそ浮かれすぎちゃって」

 

「はは、そんな事にはならないと思うけどな」

 

「(謙虚だなぁ。やっぱり英雄には謙虚さが大事なのかも)」

 

 納得した様子で頷くベル君。そうそう。パニックどころかドン引きされて終わりだろう

。ここまで『鋼の救世主』……ひいては俺に興味を持ってくれる人なんて俺を呼んだこの子くらいだろうし。

 

「それで、まずはファミリアを探すんだったか?」

 

 おじいさんから聞いた話を思い出す。オラリオへ着いたらまず何をするのか。冒険者になるためにはどうしたらいいのか。とにもかくにもまず最初に決めなければならないのがファミリアだという。

 

 話を聞いて驚いたのが、なんとこの世界には普通に神様が存在するそうだ。そんな神様の恩恵を受けた人々が集まっているのがファミリアと呼ばれている集団組織なのだとか。……その考え方だと、俺はオカンのファミリアに属していると言えるのだろうか。

 

「ファミリアは一つじゃないんだろう。ベル君はどこのファミリアに入りたいとか希望はあるのか?」

 

「いえ、そもそもどんなファミリアがあるのかも知らないんです。だから色々見て回ろうかなって」

 

 うーん、色々と言ってもこの街滅茶苦茶でかいから一つ一つ探して歩いていたら日が暮れてしまいそうだな。となると、やっぱり人に聞くのが一番か。

 

 商店の並ぶ区画に進んだところで、俺は近くの店で呼び込みをしていた女性に声をかけた。

 

「すみません、少しいいですか?」

 

「いらっしゃ……あら、いい男じゃないか! なんだい、ウチの店で買い物してってくれるのかい?」

 

 見れば商品棚には果物や野菜が並んでいた。そうだな。何も買わずに質問するだけなのも失礼だな。若干喉も渇いてるしとりあえずこの桃っぽい果物を二つ。

 

「これを二つください」

 

「はいよ、まいどあり!」

 

「それと、一つお聞きしたい事があるのですが」

 

 ベル君が渡してくれたお金(ヴァリス)を支払いつつ、本題に入る。ファミリアについて知りたいと聞いてみると、女性は合点がいった様に頷いた。

 

「はいはい。アンタ冒険者になりたいんだね。そうさね……このままこの道を進んだ先に案内所があるから行ってみな。確か、有名どころのファミリアを紹介している冊子か何かを配ってたはずだよ」

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

「どういたしまして。そうそう、冒険者として有名になったらぜひともウチを御贔屓にね!」

 

 豪快に笑いながら見送ってくれる女性に頭を下げ、俺はベル君の下へ戻った。果物を手渡し今聞いたばかりの情報を伝え、早速案内所へと向かってみた。

 

 確かに女性の言った通り、そこでファミリアについて尋ねてみると小さな冊子を手渡され、開いてみるとそこには様々なファミリアについての紹介が書かれていた。

 

「ふむふむ……」

 

 たまたま近くにあった噴水周りのベンチに腰掛け、ベル君は熱心に冊子とにらめっこしている。その隣で俺はボケーッと空を眺めていた。

 

「……よし、決めた! リョーマさん、僕このファミリアにします!」

 

 しばらくして、ベル君は決心したように顔を上げた。さてさて、ベル君はどのファミリアに決めたのかなっと……。

 

「ロキ・ファミリアか」

 

 脳裏に一瞬浮かんだ裸マントにふんどし姿の集団のイメージを慌てて消し去る。いかんいかん。だから名前から知ってるゲームのイメージを勝手に当てはめるなっての俺。

 

「このオラリオで最強の一角だそうです。ここなら僕も強くなれそうだなって」

 

 なるほど。あえて厳しそうな環境で鍛えるって事か。中々に体育会系だなベル君。

 

「ん? 入団試験?」

 

 赤い文字で目立つように入団希望者には試験を実施すると書いてある。その下には団長だというフィン・ディムナさんという人の言葉が乗っている。

 

―――ありがたい事に、ロキ・ファミリアへ入団を希望するものは年々増加している。けれど、その全てを抱えきる事は出来ない。故に入団を希望する者には我等のファミリアに相応しいかどうか試験を受けてもらう。新たに冒険者を志した者も、他のファミリアから改宗を希望している者も例外無く全員だ。それでもロキ・ファミリアを望むというのならば、どうか門を叩いて欲しい。試験はいつでも誰でも必ず受け付ける。

 

 つまり、試験に合格しないと入団出来ないけど、受けるだけなら自由だよって事か。うーん、やっぱりきつそうだな。けどベル君はやる気みたいだし……。

 

「場所も載ってますし、早速行きましょうリョーマさん」

 

 ……そうだな。せっかくのやる気に水を差すの悪いし、ベル君の熱意なら合格出来るかもしれないしな。

 

 そう思って、ベル君に引っ張られる様にロキ・ファミリアへ向かったのだが……

 

「あぁ? 入団希望だぁ?」

 

 ロキファミリアの本拠地前に立つ二人組の門番へベル君が入団希望の意思を伝えると、二人はベル君の頭からつま先までをジロジロとねめつけたと思ったら、次の瞬間には互いに顔を見合わせ大声で笑い始めた。

 

「だーっはっはっはぁ! お前みたいなチビがロキ・ファミリアに入団だぁ? 冒険者ごっこがやりたいなら他所のファミリアに行きな」

 

「し、身長は関係ないでしょ! 僕は本気です! だから試験を受けさせてください!」

 

「受ける必要なんざねえよ。どうせお前みたいな貧弱野郎が受かるわけねぇ。わかったんならさっさと失せな」

 

「そんな……」

 

 項垂れるベル君。そんな彼から俺の方へ目を向けてくる男達。

 

「で、お前も入団希望なのか?」

 

「いや、俺はこの子の付き添いだ」

 

「ならさっさとそのガキを連れて失せな。どうせ田舎からのこのこやって来たんだろうが、身の程知らずにもほどがあらぁ」

 

「そうそう。田舎への仕送りでもしたいってんなら他にいくらでも仕事があるだろ」

 

「そっちのお前なんか男娼とかやってみたらどうだ? どうせその顔で何人も女を泣かせてきたんだろ? あっという間に稼げるだろうさ」

 

「違えねえ!」

 

 ギャハギャハと笑う二人を前に俺はひたすら驚いていた。ここまで面と向かって馬鹿にされたのは久しぶりだし。何よりあれだけご立派な事を謳っていたのに、こんなレベルの団員が所属しているファミリアが最強と呼ばれている事に。

 

(いや、待てよ。これもおじいさんの言っていた事か)

 

―――冒険者っていうのはとにかく荒っぽい連中が多くてのお。もちろん己を律して立派に活動しておる者も多いがな。故に初対面で馬鹿にしてきたりキツイ冗談を言われたりする事もあるじゃろうて。じゃが、それに一々反応しておったらキリがないからの。そういうものだと思って流してしまう方が楽じゃと思っておきなさい。

 

 今のがおじいさんの言っていたキツイ冗談だというのなら、言われた通り流すか。ここでムキになって騒ぎを起こしたらベル君の立場も悪くなるだろうし。

 

「……なるほど」

 

「「ッ……!?」」

 

「リョーマ……さん?」

 

 あれ? 冗談として受け取りましたよって意味で返したつもりなのに、二人とも大きく目を見開いたまま固まってしまったぞ。おまけにベル君までびっくりしてるみたいだし。

 

「中々、面白い事を言う。冒険者と言うのはお笑いのセンスも鍛えているのか」

 

「い、いや……」

 

「今のは、その……」

 

「何だ? まだ面白い事を言ってくれるのか?」

 

「「ひぃっ!!」」

 

 ええ……人の顔見て悲鳴あげるとか流石に失礼すぎませんかねぇ。

 

「も、もういいです! 行きましょうリョーマさん!」

 

 とそこへベル君から突然手を引っ張られて俺はそのままロキ・ファミリアを後にした。

 

「……ざまみろ」

 

 途中、ベル君が何か呟いたような気がしたが、上手く聞き取れなかった。

 

 ―――そして、俺達がいなくなった後で、門番二人がその場で腰を抜かし、館の中から俺が無意識に発していたモノに感づいた数人が飛び出して来た事にも気づく事はなかった。

 

………

 

……

 

 

 一言も発さず歩みを進めるベル君。入り組んだ道をでたらめに突き進み、やがて開けた場所に出た所で彼は立ち止まった。

 

「……ベル君」

 

「……ふ、ふふふ」

 

「?」

 

「ふふ、ふふふふ。あはははは! 凄い! 凄すぎですよリョーマさん! あれが“プレッシャー”ってやつなんですね! 僕、震えが止まりませんでした!」

 

 先ほどまでの表情から一変し、涙を浮かべながら大笑いするベル君に戸惑う。え、何事?

 

「ベル君、ロキ・ファミリアには」

 

「入りません。僕だけならまだしも、リョーマさんにまであんな事言う人達と一緒のファミリアなんてお断りです!」

 

 え、何この子。自分もあんな事言われたのに、俺の為に怒ってくれてるの? いい子過ぎない?

 

「……俺が守護らねばならない」

 

「何か言いましたか?」

 

「いや、何でもないよ。なら、もう一度ファミリア探しを……」

 

「―――キミ達、ファミリアを探しているのかい?」

 

「「?」」

 

 突如として発せられた第三者の声。ベル君と共にそちらへ振り向くと、曲がり角の向こうから声の主がゆっくりと姿を現した。

 

「それなら、ボクのファミリアに入りなよ。歓迎するよ。このボク、三大女神が一柱、ヘスティアが有するヘスティア・ファミリアがね!」




戦争遊戯で騎士(笑)ごっこするオリ主まで書けたらいいなと思ってます。まあ、そこまでたどり着くまでどうなる事やらって感じですが。

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