「完全に包囲されたな…」
ジュンコが後ずさりしながら俺達に背を合わせる。
「ははは!ヤマダ!よくやった!お前はサポートに回れ!ワシらが叩きのめす!!」
「あ、ハイ」
ヤマダと呼ばれているがいこつはやや引き下がる。
ネームがあるという事は
『仕方ない、包囲網を突破するぞ!ヤマダというがいこつは残せよ?』
「合点承知だ!」
「喧嘩を売る相手を間違えたことを後悔させてやる!」
俺達は戦闘態勢に入り、攻撃を行う。
『最上級のしにがみは任せろ!かげのきしとしりょうのきしは任せた!』
咄嗟に前に出る。スキルは全てカンスト済み。その為、闇ブレイク大が自動で発動する。無効なんぞ俺の前では無意味だ。
『ダークブレイク!』
闇属性の2連斬撃がしにがみ達に直撃し、1ターン目で半分が屠られ、2発目で放たれるドルマドンで一掃された。
それを目撃したがいこつ軍団の顔色は恐怖に染まった。
「(嘘だろ!?あそこまで強いのかよ!?この仕事全く割に合わねぇ!)」
「おいおい、どこへ行くんだ?聞きたいことが山ほどあるんだ。逃がさないぜ!」
ソウゴがしりょうのきしと他のがいこつを全滅させて、ヤマダに迫る。
「うおお!来るんじゃねぇ!」
ヤマダも抵抗してきたのか、剣を振り回す。
最初はスカラで守備力を底上げし、斬りかかるも弾かれる。
その次にやけつくいきでマヒを狙うが、周りに影響させないためにソウゴが剣を両手にぐるぐると回転し始め、そのブレス技を打ち消した。
そしてやけくそになって剣を振り回し、ソウゴを攻撃する。
「遅ぇ!」
振り回された剣を弾き、ヤマダの首元に剣の刃を突きつけ、戦いが終わる。
がいこつ軍団は案の定全滅。
ヤマダというがいこつだけが捕虜となって村の牢屋に入れられることになった。
***
「くそっ…なんでこんなことに…」
ツルギ達に命こそ取られなかったものの牢に入れられ、何をされるかわからないという恐怖が彼を襲った。
しかし、数日ほど経って牢に一人の人間の少女が現れ、牢の鍵を開けた。
待っていたのは、村を襲った罰として、復興を手伝うという事になったのだった。
「い、いいのか!?オレは魔王軍何だゾ!?」
「アンタは他の魔王軍のモンスターとは違って人を殺していない。その為、アンタだけは罪に問わず、魔王軍を辞めてここに留まるなら、許せる」
その後、彼がどうなったのかは、知ってるのはわずか少数のみになったという。
***
『よかったのか?あれで』
「ああ。わずかな時間だけど、あいつと戦ってみてわかったんだ。あいつに魔王軍は向かねぇ。危害を加えるのがあまりにも下手だったからな。攻撃力は高かったが。あの時結構ダメージは受けてたぜ?」
「まさに戦士でしかわからないことなのか…」
村を救った俺達は礼を受け取らずに、次のダンジョンに向けて、足を進める。
倒す命もあれば、救える命もあるだろう。それは人だろうが、魔物だろうが同じだ。
……スローライフを目指すはずが、ソウゴ達といると、退屈せずには済みそうだが、無茶ぶりだけはやめてほしい。