『……なるほどな。お前は前世ではどこかの騎士様であって、攫われたのは前世に自分を仕えていた姫たるモンスターが攫われて、脅しとして魔王軍に入ったというわけか』
「そうだ。姫を守るべきはずの騎士が、こんな脅しで入るのは情けないだろう…」
別に情けなくはない。重要人物が人質にされて渋々望まぬことをやらされるのは現実やアニメ、マンガではよく聞く話だ。
だが、あの強さで姫を攫われるということは、相当腕の立つ奴らか…それとも相当小賢しい奴か。
どっちみち魔王軍の行動による被害は広がりすぎてるな。
「恥を知れと言われれば否定せず受けよう。だが、魔王軍にとってお前たちは脅威だ。だからこそ頼みたい…!どうか姫を、救ってほしい!私だけでは――――」
『……どこだ?』
「……え?」
『その姫とやらはどこだ?囚われてるんだろう?俺達に助けを求めた以上、被害者を増やし続けさせるわけにはいかない。場所の特定ぐらいは済んでるんだろう?』
決して面倒で言ってるわけじゃない。後ろにいる仲間が魔王軍に対し、殺意を向けているからだ。
特にソウゴとジュンコ。まるで正義感の塊だな、こりゃあ。
「……ここから西にある塔だ。そこ居るが、魔王軍、特にベリアルの配下の魔物がいるだろう」
『西の塔だな。案内は頼めるか?』
「……いいのか?私は貴殿に武器を向けたのに…」
『訳があって戦ったんだろう?あのアークデーモンが余計なことを言わなければ全力で倒していたが、その一言でお前と戦う理由がなくなった。それだけだ。それに……大事なものを取り返したいと助けを求められた時点で、放っておくわけにはいか無いだろ?』
ベネルドから涙が零れる。小さい声で「すまない…」と言った。
「流石だなツルギ!」
「これで戦力が増えるぞ!」
「……アンタも苦労してるんだね。ツルギ」
俺達は急いでダンジョンを出て、ベネルドの言っていた塔に向かう。
***
2時間後、俺達は大きな石の塔の前へとやってくる。
『ここが例の…』
「ああ。ここで魔王軍は姫を研究材料にしてるんだ」
「恐らく最上階にいる可能性があるな」
近づいたとたん、たくさんの悪魔系のモンスターが現れ、行く手を阻んだ。
「ナンダテメェらは?カチコミか!?」
『そんな感じだ。俺達のレベリングを邪魔した罪は重い。この場で消えてもらうぞ』
そう言って俺はドルマドンを詠唱し、寄ってきた配下のモンスターを蹴散らし、扉をぶち破る。
とてつもなく大きい轟音と共に俺達は塔の中へと突入した。
中にはホルマリン漬けにされた生物や魔物の姿もあった。生物研究はファンタジー世界では禁忌であるあるだが、実際見ると気持ち悪いな。
『俺とオレガノは周囲を暴れまわってヘイトを集める。その隙を突いて他三人は姫を探せ。頼むぞ』
「わかったぜ!」
「任せろ、必ず戻る」
「ツルギ殿、オレガノ殿…ご武運を」
ソウゴ達は俺達とは違うルートに進んで人質である姫の救助に向かう。
さて、俺達はどうしようかな。