人間にバレずに国境を越えて数時間。
俺達は極寒の地を歩いていた。
「寒ぃ…!」
「そうか?私はゾンビ系だから寒さは感じないが?」
『いや、機械の俺でも感じてるのに…流石だな』
全員身を震わせながら休憩を取りつつ進んでいた。
だが、ジュンコとクラリスだけは寒さに対する耐性が強く、そこまで苦になってないらしい。
ジュンコはゾンビ系だから凍死することはないが、クラリスはモーモン系譜でスノーモンがあるからなのか、氷結の耐性がいつの間にかあったらしい。
リュウスケは流石ドラゴン系なのか、グレイトドラゴンは寒さの耐性が強い。
こうやって適応放散が発生するんだな…前世でもう少しだけ世界史や生物学の授業を受けるべきだったな。
「流石にベネルドも寒さを感じるか…騎士同士、情けねぇや」
「悪魔系統のモンスターでも、ここまで寒いと堪えます」
温度計で見るならざっと-12℃くらいだろうか?
人間やモンスターが生きるにしろ、辛い環境であるのは間違いないだろう。
『確か、マップだと……この先に町があるようだ』
「そいつは人間の町か?」
『わからん。行ってみなければだが』
仮にダンジョンがあったとしても雪に埋もれて入れない可能性も視野に入れないといけないからな。
*
それからさらに1時間歩いていると、空に上がる煙が見えた。
狩猟小屋でもあるんだろうか?俺達は互いに合図しながら煙の正体に近づく。
『皆、やっと着いたぞ』
「こんな極寒の地に、町があるなんてな」
「早くいきましょ?」
オレガノも流石に限界が来ている。
まぁ、薔薇は冬には枯れる植物だからな…無理もない。
だが、町の入り口に着いた時だった。
「あれ?この人間凍り付いてやがるぞ?」
「何だこれは?」
町を守っているであろう番兵や衛兵が凍り付いていたのだった。
「何がどうなってるんでしょう?」
「ツルギ殿…」
『わかっている。どうやらこの地でも厄介ごとは免れないようだ』
俺達はまず、三手に分かれる。
役割はこうだ。
オレガノ、リュウスケ、メタリス、ディコンは暖を取るための空き家探し。
俺とソウゴ、ジュンコは情報収集をするチームに。
クラリスとベネルドの主従は生存者探しに。
この展開をし、町の中を探索する。
*
「死んではいねぇが、生きたまま氷漬けは地獄すぎるな…」
「動いている人間は見当たらない…」
『まるでこの町に呪いが振りかかったような感じ、いや…町そのものが凍り付いてるようだ』
長居するな。それを警告してるかのような惨状。
この地には魔女が魔王的立ち位置で存在してると魔王軍の書物で書いてあったな。
そいつが原因なのだろうか?
だがそれだと、煙が空に上がってるのはおかしい。
つまりこの惨状はつい最近に起こったことになる。
「なぁ、ツルギ。煙が上がってる民家を見つけたぜ」
『生存者から何か聞ければいいんだがな…』
その民家に入る。一応ノックはしたが、何故か鍵がかかってなかった。
どのドラクエナンバリングをやってて鍵のかかっていない扉があるのは嬉しいが、現実になると不用心だ。
泥棒に入ってくださいと言ってるようなものだぞ……?
慎重に民家の中を探索する。
中は荒らされて無いものの、何やら食料が不足してるように見える。
食料を取りに行ったんだろうか?だが、俺の内部にあるレーダーが2階から微弱な生命反応が出ている。
『上に何か居るな』
俺を先頭に2階へ上がる。2階の廊下へと上がると、左右に小部屋が1つずつあった。
そのうちの右の部屋から光が漏れている。
『失礼するぞ』
部屋に入る。中は整理されていているが、女性が着そうな服が多い。
女子部屋に入り込んだか?
ベッドには少女?らしき人間が布団に包まっており、顔色を悪くしていた。
俺達を見てなったものではなさそうだ。
「だ…れ?」
少女?は死にそうな声で、俺達に話しかけてきた。