「どうする?見捨てるのか?」
『俺がそのように見えるか?』
軽く漫才をして、懐から万能薬を取り出す。
万能薬。ステータスダウンと死亡以外の状態異常を治す上級アイテム。
宝箱でしか入手できないものだったり、ドラクエⅧなら錬金以外で入手は困難の代物だ。
モンスターズでは終盤あたりじゃないと売ってないため、どのみち入手は難しい。
また、魔物に転生してしまった身だとはいえ、困ってる人物を見捨てるほど馬鹿ではない。
この先、僅かでも信頼を取っておけば、後に困ることが減るからだ。
『小娘。このアイテムを使え。早くその病気を治すんだ』
少女?に万能薬を手渡し、飲ませる。
苦いとは思うが、効果は「ひかりのはどう」と同じだ。
少女?の顔色が良くなっていき、寝息を立てながら眠りに落ちた。
『……今は放っておこう。生存者が居ただけでも上々だ』
「そうだな」
「私も賛成だ」
*
それから十数分が経ち、俺達は大きな空き家で暖を取っていた。
『それじゃあ、情報整理を始めよう』
一時的な拠点での情報を各々開示する。
・ベッドで眠っている少女らしき人物以外の生存者は無し。
・各施設を調べたが、中の人間がすべて氷漬けになっており、その役割の機能を失っている。
・住人の大半は外に出ることで何かから逃れようとした形跡を発見。確実に魔女が関わってると見える。
・食料を売っている店の商品は鮮度を保っており、腐食している商品は一つもなかった。
・町から北にある城らしき建物から強大な力を感じたことから、そこが魔女の居城という可能性が高い。
・クラリスの証言によると、生存者を探している時、謎の視線を感じたという。
以上が短い時間で得られた情報だった。
「しかし、おかしい話だよな。嬢ちゃん以外生存者ゼロなんてよ」
「これでは、あの少女が犯人ではないか」
「ああ、恐らく魔女が仕立てたものなんじゃないのか?」
情報を整理しながら方針を話し合ってると、突然扉が叩かれる。
『俺が見てくる』
慎重に扉を開ける。そこには怖い顔をした氷結なのか炎なのかわからない物質系のモンスターの大群がいた。
このモンスターは…「ブリザード」!?
咄嗟に扉を閉めようとした瞬間、凍える吹雪が吐き出され、扉が凍らされ、破壊される。
「ツルギ!」
「大丈夫か!?」
物音を聞き、ソウゴとジュンコが慌てて駆け寄る。
『ああ。どうやら手荒い歓迎だな…!』
魔女の手先のモンスターが俺達に襲い掛かってきた。
*
一方、魔女のいる居城にて
「あの魔物たちはどうかしら?」
「ブリザードとアイスチャイムを向かわせてます」
リーズレットとクリスが次なる策に向けて話し合っているところ、クリスが一つ不安事を漏らす。
「しかし、あの寝込んでいる女装した少年が勇者の素質がある人物だとは思いませんでした。何故、排除しないんですか?」
「あの子ね…見ていると、あの勇者を思い出すの。そのせいなのか、排除するに至らないのよ。しかもよりにもよって呪いは効かないし。害はないし、放っておきなさい」
「はっ…!仮にあの包囲網を突破された時はこちらが攻められる可能性があるため、次の策を…」
「その必要は無いわ。こっちに来てもらわないとつまらないもの。こちらに来させるように仕向けなさい」
クリスは「えぇ…大丈夫なの?」とドン引きながらそのように策を練らせるのであった。
「さぁ、来なさい。どのように攻め込んでくるか。見世物よ」
ここで書き納めになります。
来年もよろしくお願いします!