リーズレット城から戻って数時間。俺達は町へ戻る。
普通なら魔物が町中に入ってきたら警戒、または番兵と戦闘になるのだが。
『なんか普通に通されたな』
「……警戒されるもんじゃねぇって言うのか?」
警戒されることなく、町へと入れた。
辺りの氷はすっかり溶け、はしゃぎ回る子供。店を開店する武具・道具屋。
まさに呪いを解いたという感じ溢れていた。
『……リュウスケ達のところに戻ろう』
*
「そうか、呪いを解いたんだな。道理で外が温かくなったはずだ」
『リーズレットは強かった。予想以上にな…俺のレベリング不足が感じれた一戦になったよ』
俺自身の反省点と、北の方では流石にスローライフはできない。よって別の地方に行き、世界を回る必要がある。
『そういえば、寝込んでいた子供はどうなった?』
民家を探索していた時、部屋で寝込んでいた子供に関して心配していた。
病気こそ消えたものの、凍え死んでなければいいが。
そう考えていた時、オレガノが俺に歩み寄る。
「その辺に関しては心配ないわ。むしろ元気になって鍛錬してるほどよ」
鍛錬って、あの子供何者だよ……。
余裕すぎか。
「後は、あの子はとんでもない奴だったわ」
『? どんな奴だったんだ?』
「…あの子、勇者よ。ステータスボードがそれを示したわ」
そのステータスボードを俺に見せた。
名前:オルバート 年齢:13歳
性別:男 称号:異性として育てられた勇者
レベル:10 職業:勇者
HP:62 MP:42
ちから:53 みのまもり:40 すばやさ:32
たいりょく:36 かしこさ:40 うんのよさ:90
所持スキル(所持スキルポイント:32)
・槍スキル
・剣スキル
・ハンマースキル
・格闘スキル
・勇者の心
習得中の特技
・けもの突き
・スライム斬り
・石つぶて
・ハートブレイク
・ホイミ
何だこのステータスは!?
モンスター用と人間用のステータスがあるってマジか…。
特性こそ書いてないが、そこは俺達にはわからないものなのだろう。
しかし、女性ものの服装を着た状態で寝てたのはそういう事だったのか…。
『……13歳の状態でレベル10とか強くないか?この勇者』
「ええ。最初は目を疑ったわ。あ、あたしこの姿じゃ目がなかったわ」
ふむ。どうしようか……このまま滞在しても良いことはない。門番に通されて町には入れたが、いずれは厄介払いされるだろう。
よって北の国での生活はやめておいた方がいいな。
「……成程。確かに北の国での生活は厳しい。では今度はどこへ?」
『西は俺達を捕らえるために、極秘裏に動く連中が蠢いているから近寄れない。その為……南の国しか残されて無いな』
「確か、お前が転生した際に目覚めた国だよな?」
『ああ……まさか戻る羽目になるとはな』
返り討ちにした冒険者PTの事も気になるが、まぁ忘れてることを祈るしかない。
「ツルギ殿」
『何だ?』
今後の方針を決めようとした時、ベネルドが話しかける。
*
『勇者の育成?』
「そう。この先、魔王軍と戦うなら、その敵を我々で作ってしまおうという計画です」
確かに、今思えば魔王に対する対抗手段は勇者だ。
聖剣を持たせ、尚且つレベルも高い奴が魔王に突っ込めば、魔王軍のヘイトは確実に勇者に向く。
問題は誰が勇者を育てるかだ。
「そこで、私と姫様で勇者の育成をしようと考えています」
『……いいのか?』
「勇者を育てるくらいは造作はない。それに…私はまだツルギ殿に恩を返していません」
『このことはクラリスに話してあるのか?』
「すでに、話はついています」
勇者を育てて魔王を退治しに行かせる計画か…俺がいない時に思いついたとしては随分と練られている。
生前に勤めていた会社にベネルドのような奴が社員で居たら、どんだけ心強い事か…。
『……申し訳ないな。まさか、自分から敵を減らす作戦を』
「とんでもない。恐らくツルギ殿の旅は必ず魔王軍が関わってしまう。その打開策を発案しただけです」
俺はベネルドとクラリスに勇者の育成計画を任せ、南の国へ行く準備を始める。