「ケヒャヒャ!」
『くそー!何がおかしいんだよ!』
笑いながら手斧を振り回し、間合いを取っても盾で防いでくる。
バランスタイプで盾持ちは正直言って厄介すぎる。
これいつかシールドこぞうとかと戦う時、きつい。
別ナンバリングの主人公はこいつを倒すのすごい苦労しただろうなぁ…。
『まぁ、だからと言って弱点がないわけじゃない!』
距離を一度離してクロスボウを構え、矢を飛ばす。
風を切り、一直線に飛んだ矢を盾で防がれる。
「ケヒャ?」
くびかりぞくは盾を構え、防いだところで俺の姿が見えなくなったのに気づく。
しかし、反応が遅すぎた。
『オラァ!矢はデコイだこの野郎!』
その言葉と同時に、俺の持つ剣の斬撃がくびかりぞくの背中を捉え、その体に斬り傷を入れる。
「!?!?!?」
流石に予想外だったか顔色を変え始める。
「ケヒャー!!」
くびかりぞくは盾を投げ捨て、斧を両手で持って襲い掛かった。
守りを捨てただと?
振り下ろされた手斧をよけ、しんくう斬りでダメージを与える。
今度はまともに通った。
『…! 怯まない!?』
攻撃を受けたに関わらず、手斧を振り回し、俺のボディに傷をつける。
流石上位種にバーサーカーがいるくらいだ。怒った時の攻撃の仕方がめちゃくちゃだ。
『だが守りを捨てたのは失態だったな!こいつで終わりだ!!火炎斬り!』
炎を纏った剣がくびかりぞくの胴体を斬り裂き、魔素が消滅した。
『ふぅ……苦戦したな。かぶとわりに防御攻撃、油断できない相手だった』
恐らく5レベルの俺が挑んでいたら、死んでただろうな。
モンスターの世界も楽じゃない。
『あ、レベルが上がったぞ!これでプロトキラーに進化できる!』
ステータスボードの進化画面を開く。
それと同時にシステムボイスが聞こえた。
〈プロトキラーに進化しますか?〉
『一応、敵がいない安全なエリアにいるし、邪魔はない!「はい」に一択だ!』
俺はポチリと「はい」のボタンを押す。
『……!?何だ!?』
身体に異変が起こる。まるで記憶を受け継いだ状態で身体が再構築されていく感覚だ。
最初は耐えていたが、自然と意識が途絶えてしまった。
*
『……はっ!』
意識が覚める。まずは手を確かめる。
太い3本指、落ちてる棍棒と手斧。完全にプロトキラーの武器だ。
そして背中が少し重い。背中をチラ見すると蒸気をふかしたエンジンがあった。
『よし…進化成功だ!』
嬉しいのは山々だが、ここもいつかは安全ではなくなる。レベリングをしながらこの密林を卒業しよう。
その相手はくびかりぞくだけじゃなく、少しランクが高いモンスターを倒すことも幾度かできるようになったはず。
『まぁ、行く前にステータスチェックだな。そこからだ』
軽い気持ちで開く。
魔物名:プロトキラー
ランク:E
系統:物質 レベル:1
所持スキル
・ヒャド&デイン
・すばやさアップ1
特性
・1~2回行動
・れんぞく×2
・メタルハンター(自動引継ぎ)
能力値
HP:67 MP:33
攻撃力:56 守備力:45
素早さ:38 賢さ:33
お?レベルが初期化してるのにちょっと強くなってる?
メタルハンターの特性が自動で受け継がれているな。進化の特典か?
しかもヒャド&デインは正直言ってありがたい。後に役に立つからな。
『む?スキルポイントが増えてるだと?』
スキルの確認をしていた時、残スキルポイントが目に入った。
残りスキルポイントは……50!?
『うわ……これは凄い迷うな…』
これ全部やったらヒャダルコを習得できるじゃん。
全体攻撃は正直欲しかったところ。迷う理由はない!
残っているスキルポイントを全て「ヒャド&デイン」のスキルに費やし、ヒャダルコを習得する。
にやにやしながら一からのレベリングに燃える俺であった。