GANTZ 〜SIDE G〜   作:@蛇足

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FILE.10 遭遇

 

 

 

 

『この子、喋るんだ』

 

倉今がぼそっと溢した言葉を聞いて3人の視線が同時に彼女の方へ。

夏本番が近づいてくるとはいえ、夜となればまだ肌寒さを感じる時期。

雨に濡れていた身体も幾分か時間が経ったことで、乾いてきているようだった。

それでも髪はまだ湿り気を帯びているようで。

乾き切れていない髪を耳に掛ける倉今。

しばしの沈黙の間、岡田が彼女の言葉を拾い上げる。

 

 

 

 

「えーっと、あの人って?」

 

 

「ついさっき男の人が声かけてきて」

 

 

「それって…」

 

 

「…はい。黒いスーツ着てました。前田剛って言ってました」

 

 

 

 

一定の距離を保ち、倉今は岡田と純の問いかけにゆっくりとかつ控えめな声量で応えていく。

前田という男の特徴と何を聞いたのか。

何も説明されなかったこの理解不能な事態を、少しでも紐解く鍵となるかもしれない。

あの4人の中のうちの1人から聞けたのならその可能性は大いに見込める。

 

 

ズドン……。

 

 

遠くから衝撃音と振動が微かに聞こえてくる。

 

 

 

 

「最初は名前と年齢聞かれて。初めは無視してたんですけど、そしたら今度は今の状況を話してきて。『これから化け物退治が始まる。逃げようとしたらダメだ。ミッションにはエリアが設定されているからそこから出たら死んでしまう。でも安心して。俺が君を守ってあげるから』って言われて…。ほんとはもっと威圧的で荒い感じだったんですけど」

 

 

「おおまかな部分はともかく、中身はとても重要そうですね」

 

 

「だな。あの黒い玉から出てた話、あいつらの言動や行動からして…あながち出鱈目じゃないのかもしれない」

 

 

「ま、まさか本当に化け物退治を?冗談ですよね?だってあんなの普通のだるまだった…」

 

 

 

 

黒い玉が映し出していた絵を思い出し、そう有原が返す。

有原の訴えもわからなくもない。

寧ろ、そう考えるのが自然だ。

あの部屋に来てから脳裏にチラつく非現実的要素。

そこから来る理解不能さがじわじわと恐怖を助長させる。

 

 

 

ズドン……!

 

 

 

またひとつ大きな衝撃音と振動が遠くの方から轟く。

 

 

 

 

「とにかく、ここからは離れましょう?少なくとも出口へ向かったら殺される…」

 

 

 

 

ここは危険と判断した有原から、今いる場所から離れる提案が出た為、4人は商店街の奥へ進むことに。

前田の言うエリアが存在する話が本当なら、無闇に動き回るのは危険ではあるのだが、視線が合った純と岡田が同意したことで決定した。

移動するとは言ってもこれと言った目的地もないため、あてもなく進むだけなのだが。

 

 

 

 

 

「それ、待ってきたんですね」

 

 

 

 

移動しながら岡田の持つものを見てそう呟く純。

それとは部屋にあった黒い玉の中に入っていた、小型の銃を模したアイテム。

 

 

 

 

「ああ。あの玉の中に入ってた。気になって見てたらそのまま移動が始まってた」

 

 

「怪物退治をさせられるってことはその銃もまさか…」

 

 

「だろうな。この妙竹林な形をした、おもちゃみてえなものも、な」

 

 

「……。」

 

 

「まさか、ほんとにバトルロワイヤルに参加することになるなんて。ゾワゾワしてきた」

 

 

 

 

岡田の右手にある特殊な形をした銃。

おもちゃと例えるにはぴったりなほど大きな等身。

加えてトリガー部分が2箇所あるのも特徴的だ。

 

 

…ズドン!

 

 

 

 

「お前が持ってきたそのスーツも、もしかしたら戦闘服みたいなもんなのかな」

 

 

「ですかね。ちゃんと見てないですが、たくさんあったので人数分あったのかも」

 

 

「へえ。ガキながら冷静に周り見えてるじゃん。やるな中坊」

 

 

「ガキでもないし中坊でもないです。俺は羽鳥純。高校生です」

 

 

 

 

幾度となく間違った認識をされたことで鬱憤が溜まってたのか、純の眉間には皺が寄る。

高校生という純の言葉が予想外だったのか、倉今を除いた2人が驚きの表情を見せる。

 

 

 

 

「へえ…高校生だったのか」

 

 

「そんな怒った顔するなって。悪かったよ。俺は岡田久志。土木の仕事してる」

 

 

「あ、僕は有原泰輔です。…サラリーマンしてます」

 

 

「へえ。その幸薄そうな顔はサラリーマンだったからなのか。年は?」

 

 

「……。27歳です」

 

 

「なら俺より年下か」

 

 

 

まもなく十字路が見える頃。

お互いの自己紹介を済ませ、残すは離れて後ろを歩く倉今のみ。

岡田は彼女にも聞こうと振り返って声をかけようとする。

しかし、何かを感じ取った岡田。

声をかけることをやめ、足を止めた。

 

 

 

ドスン…!

 

 

 

「…岡田さん。聞こえてますか」

 

 

「…ああ。」

 

 

「え、どうしたんです2人とも」

 

 

 

 

異様な気配をいち早く感じ取り、純と岡田が辺りを警戒する。

ドンドンと音を立てていた発信源が近くなっているのか、衝撃と振動は強さを増して轟いていた。

聞こえてくるスパンも短くなっている。

 

 

 

 

「な、なんだこれ!」

 

 

「…地震じゃない」

 

 

「この揺れ半端ねえ。何か来るぞ」

 

 

 

 

ドンっと何かを蹴り上げる重い音が聞こえて、沈黙がやってくる。

しかしその時間はほんの僅か。

次の瞬間ゴゴゴっと大きな何かが風を切り裂く音が聞こえる。

前後左右。

4人は見回しても異変を感知できない。

何かが迫ってくるという情報だけが焦りと不安を掻き立てる。

 

 

 

 

「くそ!どこからだ!」

 

 

 

 

徐々に膨れ上がる圧迫感。

しきりに首を動かして純は正体を探っていた。

そんな彼の視界がほのかに暗くなった。

雲ひとつない月明かりと街灯が照らす商店街。

最初にいた部屋よりも明度はとても確保できている場所。

故に明暗の変化がはっきりとわかった。

急に暗くなった。

何が起きた?

例えるなら大きな何が自分たちを覆ったような。

このとき純の中である可能性に辿り着く。

前後左右。

平面の軸だけではない縦の軸。

それを確かめるように純は首をゆっくりとあげた。

 

 

 

ゴゴゴゴ…

 

 

 

 

「みんな…上だ」

 

 

 

 

ゴゴゴゴ…!

 

 

 

 

ズドオオオオオオオオオオン!!!!

 

 

 

 

 

ギロギロと動く巨大な目。

茫茫に生やした眉毛と口髭。

色斑のある荒れた肌。

その顔は紛れもなく人の顔のよう。

されどもそのサイズはとても人間のそれとは言えない巨大なもので。

土煙の中から現れたのは、全長5mは超える巨大なダルマ。

生きて、呼吸し首を振り、こちらの命を狙わんとその目が捕える。

 

 

 

 

『お゛い お゛い お゛い』

 

 

 

 

「みんな!逃げろおお!!!!!」

 

 

 

 

 

 




○ARRIVE

松永 太一
福田卓郎
和田彩
前田剛

清水恒彦
石村和樹

羽鳥純
倉今佳歩
有原泰輔
岡田久志

TOTAL 10人



●DEAD

熊井幸三
村上幹二郎
菅谷トシ子
梅田トヨ

TOTAL 4人




41:28……41:27……41:26……41:25……
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