GANTZ 〜SIDE G〜   作:@蛇足

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FILE.1 とある日常

 

[CASE1/羽鳥(はとり)(じゅん)

市立昴星条(すばるせいじょう)高校/04:43 P.M.

 

 

 

 

 

高校生活の中でやってくる三大イベント。

修学旅行。体育祭。文化祭。

そのうちのひとつ、文化祭がここ昴星条高校で控えていた。

本番1週間前となった現在、各教室ではそれぞれのクラスがテーマに沿った出し物の為に準備に勤しんでいる。

それはここ、1年1組のクラスも例外ではない。

 

 

 

 

「え!いーじゃん!めっちゃ似合ってる!」

 

 

「ごめーん。白と黒の絵の具余ってなーい?」

 

 

 

 

衣装のサイズ合わせに教室の装飾。

中には準備というのは名ばかりの談笑に花を咲かせるなど、それぞれのコミュニティでクラスメイトらがグループを作って作業している。

そんな和気藹々とした雰囲気の中、たった1人で作業に勤しんでいる生徒がいた。

 

 

 

 

『ダンボールで切り抜いた【W】は黄色で塗って。それから【L】は水色で塗る…と』

 

 

 

 

羽鳥純。市立昴星条(すばるせいじょう)高校1年生。

身長163cm。痩せ型のO型。

彼は今誰とも交わらず、クラスの実行委員から与えられた作業を黙々とこなしている。

そして今ダンボールで切り抜いた『WELCOWE』の文字の色塗りが終わり、完成したところ。

バラバラの文字をつなぎ合わせて立ち上がると、出来栄えを確認すべく賑やかな廊下へ。

そして安全のためにと教室のドアを閉めると、スライドドアの溝上に軽く載せた。

 

 

 

 

「うん。悪くないな」

 

 

 

 

見上げてみる手作りの看板は、とても見やすい彩色と大きさをしており、入ってくる人が『ここが入り口です』とすぐわかるデザインをしていた。

もっと装飾して豪華にするか。

そんな考えを巡らせていると、不意に閉めていたドアが開いた。

 

 

 

 

「あっ…」

 

 

 

 

ドアが開いた振動で看板が落ちてゆく。

それに気づいた純はクラスメイトに踏まれまいと慌てて拾おうと屈む。

しかし看板は床にピッタリと隙間なく落ちてしまったたため、なかなか取れない。

それ故に外へと出るクラスメイトの進行を純が妨げるような形になってしまった。

 

 

 

 

「ごめん」

 

 

 

 

なんとか拾い上げて純は素早く後ずさった。

扉を開けた女子生徒たちは、目の前で起きたちょっとしたアクシデントに少し不機嫌そうに眉間に皺を寄せて去っていった。

その背中を彼は節目がちに見やる。

美意識が高めで、制服を軽く着崩した姿。

自分とは違う学校生活を謳歌している様子が垣間見えた。

どこか少し罰の悪そうな顔を見せ、教室へ戻ろうとする純。

そんなところに、またもや教室から出てくる生徒が。

 

 

 

 

「……。」

 

 

 

 

純よりも背が高く、そして純には無い鋭い雰囲気のある男子生徒。

ツンツンと立ち上がった短髪と鋭い眉毛がその迫力を助長させる。

しかしそんなクラスメイトと鉢合ったのにも関わらず、純の反応は先ほどの女子生徒の時とは打って変わって、どこか冷たいものだった。

強張った視線が一瞬にして解け、光を失う。

 

 

 

 

「……。」

 

 

凛太朗(りんたろう)。はやくー」

 

 

「ああ」

 

 

 

 

両者しばしの沈黙ののち、先に動きがあったのは純と相対した男子生徒の方だった。

先に出た女子生徒に名を呼ばれ返事をする。

それを見て純は露骨に視線を逸らし、言葉を交わすことなく教室の中へと戻っていった。

そんなかつての友の反応を見て、(はやし) 凛太朗は鼻で大きなため息を吐いた。

小中と同じ学校だった純と凛太朗。

あの頃はとても仲が良かったのに。

いつからこうなってしまったのか。

思い当たる節は…ある。

でもだからと言って、今更態度を改めるようなことはしない。

…どこかでまた戻れればいい。

凛太朗は仕切り直すようにもう一息、今度は口から吐くと教室を後にした。

 

 

 

 

 

「岡島さん。看板出来ました」

 

 

 

 

実行委員に自身の仕事を報告する純。

高校で出来た新しい友人と謳歌する凛太朗。

同じ学び舎で互いに別の時間を過ごす2人。

教室の窓から覗ける夕空には、一面に分厚い雲が覆っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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