GANTZ 〜SIDE G〜   作:@蛇足

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FILE.2 とある日常 その2

 

[CASE.2 / 有原(ありはら) 泰輔(たいすけ)

シャトルバス『ヴィルドン』駅前行き バス停前/ 05:00 P.M

 

 

 

『有原 泰輔 様

 

このたびは、多くの企業から弊社へご応募頂き、誠にありがとうございました。

厳正なる選考の結果、誠に残念ではございますが今回は採用を見送らせて頂くこととなりました。ご期待に沿えず大変恐縮ではございますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。有原様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます』

 

 

 

 

何度目かの同様の通知。

何度目かの同様の結果。

転職活動を始めてはや1ヶ月。

成果は得られずじまい。

先ほど面接を終えたばかりの有原泰輔は、携帯に届いた別会社の不採用通知を見て大きく天を仰いだ。

 

転職活動を続けてゆく中で幾度となく受け取るこの通知に、初めの頃はあった反骨心も次第にこの世の中から必要されて居ない通知のように思えて。

社会というのはこれほどまでに生きにくいモノだと思わなかった。

新卒で入社した営業職。

俗に言うブラック企業と呼ばれる会社だと気がついたのは研修が空けてすぐのこと。

上司からの叱咤。

冷たい教育係の先輩。

法外な残業時間。

どれもこれもブラック企業の特徴に当てはまるものばかり。

覚悟を胸に踏み出した世界。

同じ会社で共に駆け抜けようと約束した同期がドロップアウトして行く中でも、有原は懸命に働いた。

社会の知らない自分がまだ未熟なだけ。

自分が至らないから迷惑をかけてしまっている。

涙を流し、血反吐を吐いて1日12時間以上働いてきた。

こんな俺でも努力すれば使い物になると。

 

そんな思いで働いていたのに、現実はとても薄情なものだった。

2ヶ月前。

有原は過労で倒れた。

これまで何度もあったのかもしれない身体からのSOS。

けれど、全く気が付かなかった。

何とかもぎ取った数日間の療養を経て復帰。

ここでようやくこのままではダメだと思い、身体に鞭打って頑張っているのだが。

 

 

 

 

「新卒2年目。資格なし。実績もなければ頼れる人も居ない…」

 

 

 

 

なんでこんなことになってるんだろう。

なんでこんな目に遭ってるんだろう。

何も悪いことしていない。

常識のレールから外れず、非行に走らず真面目に生きてきたのに。

虚しさが切なさが、生きることへの彩りを根こそぎ奪い取ってゆく。

 

 

 

 

「死にたい…」

 

 

 

 

もう、とうに涙は枯れ果てた。

有原はバス停の横で、誰からも見られることなく蹲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[CASE.3 岡田(おかだ) 久志(ひさし)

パチンコ店『ダイナ』店内/ 05:06 P.M

 

 

 

ツイてねえ。

ツイてなさすぎる。

岡田久志はパチンコ店内にある喫煙所で苛立ちを露にしてタバコを吸っていた。

 

昨日の段階で今日の天気がどうなるかわかっていたことじゃねえか。

雨が降るから現場での作業は無しって話になったのに。

頭の硬えオヤジどもが納期が何とか宣うせいで出てこいって無理やり駆り出された。

それ以前に現場の設計図に採寸ミスが発覚して資材発注し直してんだこっちは。

ただでさえ負債背負ったのになんで元請けの尻拭いまでしなければならない。

一応一時的に背負うだけで後できっちり請求すると先輩は言ってたけど。

 

 

 

 

「ああ。くそ…」

 

 

 

長くなったタバコの灰を落とし、口元へ再び運ぶ。

気晴らしにパチンコに来てみたが、こういう日はとことんツイてねえ。

むしゃくしゃして思わず多く入れちまったが、案の定飲まれて5000円負けた。

たまにはスロットで流れ変えるか。

吸い終わったタバコの火を消し、灰皿へ落とす。

しかし、そこから岡田は動かなかった。

出口の前で体重を壁に預け、ただ止まっている。

1人、また1人と喫煙所を後にし、そして遂にひとりきりとなった。

 

ダメだ。

もういいや。

今日はもう何もやる気が起きねえ。

次の日からの仕事のことを考え、岡田は新しく吸おうと出していたライターを懐にしまうと、ポケットに手を突っ込み、正面扉へと足を進めた。

 

自動扉を潜って出てきて見えた空。

予報はこれから的中するようだ。

一面暗雲が立ち込めていて、ゴロゴロと雷が鳴っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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