藤丸立香(偽)が行く人理修復 作:藤丸立香(偽)
今回はタグがネタバレになっている彼女の登場です
誰も彼も口調がわからん
「ここならいいだろう」
連れてこられたのは広めの部屋。長机や複数個の椅子があることから恐らく会議室なのだろう。
現在この場にいるのはマシュ含むAチームと所長、それにロマニだけだ。
だけと言うには人数が多いかもしれないが、これでもマスター候補全員や数多いるスタッフの前で説明するのに比べたら少ないほうだろう。
「さて、しっかりと説明してもらうわよ」
所長はレフの裏切りから立ち直れたらしい。意外とメンタルが強いのだろうか。
といっても何から話そうか。まあ出だしは決まっている。
「では、まずはとあるゲームの話を」
「ゲーム?」
「はい、焼却された人理を救うための旅路を体験するゲームの話をしたいと思います」
まあ時間的にも全部を話す必要はない。ひとまず特異点fまでの内容……要はこのゲームの概要を語った。
「つまりそのゲームと現実の内容がリンクしていると?」
「はい、少なくとも自分はそういう認識です」
これで納得してもらえただろうか。ここでどれだけ信頼を稼げるかで自分が非人道的行為を受けることになるか決まるのだが。
少なくとも表情を見ただけでは何を考えているのかはわからない。
「1つ聞いてもいいかい?そのゲームは人理修復を成し遂げハッピーエンドで終わるのかい?」
「はい、そうですよ」
あの終わりは間違えなくハッピーエンドだった。たとえ1名の未帰還者がいたとしても。
「なら何故君はあの時通信で他の誰でもなく私に呼びかけたんだい?君の言い分ではプロローグで脱落した私たちの力量など知る由もないと思うのだが」
おっと、流れ変わったな。
「それに、レフ教授に言った言葉の真意は君自身に何かしらの自信があったわけではなく、私たちのことを信頼しているからであると感じたのだが?」
今はカルデア側についてるから、敵に回すと厄介だな。すごい理詰めで逃げ道を塞いでくる。これは言うまで止まらないんだろうな。
「……わかりました、話します。詳細は省きますが、あなたたちは人理修復を終えた後、この人理の敵として現れました」
動揺が漏れたのがオレにもわかった。まあそれも当然だろう。この場にいるということは、人理の守護者として活動していこうという気持ちを抱いているはずなのだから。
「……なるほど、そうか。では君は私たちのことをどこまで知っている?」
「全てを……なんていうほど傲慢にはなれませんよ。知らないことの方が多いでしょうし。でも、隠した本性や印象的な過去、要するに知られたくないであろうことは多少なりとも知っています」
これはできれば言いたくなかったが、黙っているのも不誠実だったかもしれない。少なくともいい気分はしないだろう。
「一応、このことを使って何かしようとはしませんよ。……まあ信じられないでしょうけど」
「私は信じるわよ。命の恩人の言葉だもの。それにアナタ、罪悪感やらが顔に出すぎよ」
そうか?まあ表情のコントロール方なんて知らないから、いつまでも平静を装えているわけはないと思っていたが。
「そうだね、ペペの言う通りだ。もう少しリラックスしたまえ」
「は、はい……」
「はは、何取って食いはしないよ」
そんなこと言われても、というのが正直な気持ちだ。この状況下で余裕を持てるような人間ではないのだ、オレは。本物なら別かもしれないが。
「さて、ではこれで情報共有はこれで一旦区切りにしよう。みんなも考えを整理したいだろうからね」
結局、キリシュタリアのこの一言でこの場はお開きになった。
オレはマシュに案内されて自室に戻った。
この部屋なら防音もしっかりしているはずだ。
なら、本音をぶちまけてもいいだろう。
「なんだよこのクソゲー!」
一度言葉が口から出ると、堰を切ったようにあふれて止まらなくなる。
「なんだよ人理焼却って!なんでオレがそんなものに巻き込まれなくちゃならないんだよ!この見た目のせいか⁉だからこんな精神性が本物と程遠い自分が選ばれたっていうのか⁉なんでこんなことしなくちゃならないんだよ!オレはただの一般人だぞ⁉前世で世界を滅ぼすような業を背負ったとでもいうのかよ⁉もう早く元の日常に戻らせてくれよ……!」
そう願っても、いつの間にか出てきた涙でにじむ景色は見慣れない部屋のままだ。
そのまま泣き叫んでしばらくたってふと冷静になると、ふと自分がひどく情けない奴に思えた。
実際そうだろう、こんなこと本物ならしない。今できることを全力でやろうとするはずだ。
なら、自分もそうすればいい、本物のように。完璧には無理でも最善を尽くせばどうにかなるかもしれない。
それに現状は原作に比べてだいぶましだ。Aチームが生きているし、スタッフの数もきっと多い。
そこにオレの原作知識を足せば、もっとスムーズに特異点が攻略できるかもしれない。
「やれる……いややるんだ!」
大丈夫だ藤丸立香。真似なら得意だろ?お前ならこのクソゲーを攻略できるはずだ。
……だから今だけは、
「……ぅぅっ……うぅ…………」
もう少しだけ泣いてもいいはずだ。そうだろ?
部屋にあった本(多分日記帳だろう)に情報を書き込んでいたら、マシュが訪ねてきた。
「どうしたの?マシュ」
「いえ、少し先輩に聞きたいことがあって……先輩は私のことも知っているんですよね?」
あまり表情を動かさないまま彼女が聞いてくる。
「まあ、ね……知ってるよ」
「ではその私は、どんな私でしたか?」
……これは教えていいんだろうか。影響がでかすぎる気がする。
「それは教えられない。けど、一緒に歩んでいくことはできる。だから知っていこう。マシュがどんな人間なのかをさ」
「私、を?」
「うん。君にはこの先いろいろな出会いが待ってる。そこで知っていけばいい。なにが好きで何が嫌いか、どんなことをしたいと思えるのか、きっとわかるはずだよ」
我ながら似合わないセリフだ。それでも、彼女には何か感じ入るところがあったらしい。
「……わかりました。先輩がそういうなら、少しずつ知っていこうと思います」
「うん、それがいいよ」
それがマシュ自身の成長につながるはずだ。
それにしてもオレマシュとこうやってコミュニケーションとっていいのか?ベリルに後ろからザクっとやられない?
そんなことを悩んでいる間にマシュは退室していった。
渡された通信端末から連絡が来た。
なになに、英霊召喚をするから集合?
え?オレもそれやるの?ゲームと違って他にもマスターいるのに?
端末に表示されたマップを見て目的地に向かう。
その間に他のマスター候補たちを見たけど特に何もされてない。
遠巻きに見られてなんかボソボソ噂されてたり、怪しまれてた事実なんてなかった。いいね?
召喚陣が設置された部屋の前にAチームが集まっていた。
「やあ、待っていたよ、藤丸君」
「えっと……なんでオレが呼ばれたのか聞いても?」
「ああ、それは君なら英霊のことをよく知っているんじゃないかと思ってね。もしものために呼ばせてもらったよ」
ああ、なるほど。英霊判別要員か。オレ自身が召喚するわけじゃ……
「それはそれとして君にも英霊は召喚してもらうけどね」
は?なんて?
「い、いや!?オレなんかのためにリソースを割く必要は」
「君は君自身が思っているよりも重要な存在なんだよ。だから自衛手段は持っておくべきだ」
そう言われると何も返せないな。実際オレの情報が大事なのは事実だし。
「……わかりました」
こうして英霊召喚が始まった。
結果は……なんというかすごく見覚えのある面子になったな、という感じだ。平行世界からの縁で召喚でもされたのか?
オレの仕事といったら真名当てと安全かどうかの判定だけ。まあその英霊が何をしたかとかは調べればでてくるしね。
「次は先輩の番です」
もうオレの番か。というかオレが召喚した場合って誰が出てくるんだ?縁があるわけでもないし。
まあ話が通じるタイプなら誰でもいいかな。というかそうじゃないタイプとパーフェクトコミュニケーションがとれる気がしないし。
後個人的な都合でオベロンは嫌かな。彼の知っている”藤丸立香”の旅路を物語として消費してるとかどう思われるかわかんないし。
「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公……」
呪文を唱える。もちろん覚えてなどないのでカンペを見て。
召喚陣が光り輝き、その光が人の形を成す。
そこに現れたのは、この界隈にいる者なら見慣れた顔を持つ1人の少女。使命を持って生まれ、最終的にそれを果たすこととなった
「こんにちは。アルトリア・キャスターと申します」
通称キャストリア、その人である。
ああ……なるほど。いや彼女は不味くないか?絶対妖精眼濁りまくるぞ、オレ。そもそもあっちに記憶があるのか?そうだったらなんかこう……申し訳ない気分になるんだけど。
……とりあえず話しかけるか。
「ええっと……アルトリア、
「……?はい、よろしくお願いします」
「彼女のことは君に任せていいかい?」
「はあい、大丈夫です」
「そうか。ではこちらも交流を取ることにするよ」
「ここ座って」
「は、はい……」
「さて、何から話そっか。とりあえず……オレが嘘つきって話からしようか」
そう話を切り出す。マシュの前ではまだ頼れる先輩を演じようと思えるが、彼女の前ではそれすらも無意味だろう。
「えっと……嘘つきっていうのは……」
「さっきなんか
「……わたしのこと知ってるんですか?」
「あいにくこっちにも事情があってね。それでこれからもああいうことが起きると思うけど許してほしいんだ」
これは100パー本音だと思うけどどうだろうか。
「……なら、1つ聞かせてください。なんでそんなにがんばれるんですか?」
がんばれる、か。ならその答えは……
「頑張ってるつもりはない、なんていう気はないよ。うん、確かにオレは頑張ってる。努力してオレを演じてる。なんでかって言われるとあんまはっきり答えは出ないけど……オレが”藤丸立香”だから、かな」
「それはどういう……?」
「そうあれと定められて……いや、オレが定めてるからかな。強迫観念みたいなものかもしれない。でもそれを振り払う方法をオレは知らない。だから”こう”する。でもその過程でアルトリアには迷惑をかけるかもしれないからね。あらかじめ言っておくよ」
結局はそこに行きつく。要は事前に迷惑かけるかもしれないけどいい?っていう予防線だ。
……本物ならこんなこともしないだろうに。
「はい、わかりました。もとよりこの身は英霊にしてあなたのサーヴァント。ならあなたに従います」
「ありがと。まあ嫌なことがあったら言ってよ。どうにかしようとはしてみるからさ」
こうして初対面の交流は終わった。まあ、本物ほどではなくても少しはましな関係を築けるといいな。
初めにあなたに出会った時、感じたのは同類の気配でした。
使命を背負った存在。何かをやり遂げなければならない。
わたしは諦めていたそれをどうにかしようとしている人、それがあなたでした。
だからわたしはあなたに呼ばれたのかもしれない。
とはいえ、自己紹介の段階でこの眼に反応があるなんて思いませんでしたけど。
まさか自分の名前にすら自信を持っていないなんて。
こんなわたしでも、名前を聞かれたら当たり前にこたえられるくらいなのに。まあ、こんなことを言っても彼には届かないんでしょうけど。
『それを振り払う方法をオレは知らない』
『全部諦めればいいと知っている』
なんで諦めようとしないんですか?
『どうにかしようとはしてみるからさ』
『オレごときがどうにもできないと知っているくせに』
なんでそんなに自分を責めるんですか?
『確かにオレは頑張ってる』
『嘘つけ。こんなもん頑張ってるに入らないだろ?』
なんで―――
『あの……大丈夫ですか?』
『うん?大丈夫だよ?』
『大丈夫なわけないだろ。こんなにオレは頑張ってるのに!なんで、なんでなんでなんで!』
『気持ち悪いんだよ……!もう嫌だ』
こんなに頑張っているのに、自分の努力を否定するんですか?
あなたとわたしは違うのだろう。
わたしは誰かに救われた。
ならあなたは……?
藤丸立香
カルデアに来てからSAN値の消耗がエグい
それでも彼は”藤丸立香”を演じる
マシュ
初期リエライト故に感情の起伏が薄い
彼女の未来は果たして……
アルトリア・キャスター
救いを得た妖精の少女
ぶっちゃけ妖精眼まわりの設定を取り入れたくてサーヴァントを選んだところがある
そしたら使命云々でシナジーが発生した
投稿遅れました作者です
なんとなくで書いてみたら練らなきゃいけない情報の量にビビっています
更新が止まったら広げた風呂敷たためなくなったんだと思ってください