まだかな。せんせー。
うぅ、早く地上を歩きたくてうずうずする…。
早く帰ってきてほしい……。
そうだ。ちょっとだけ泳いでこよ。
俺は深場へと泳いで進む。
どんどん砂浜の地面が遠くなっていく。
サグメ「気持ちいい…。水中だけが俺の縄張り…。」
サグメ「少し…寝ちゃおうかな…。」
サグメ「少し…少しだ――」
眠気に負けそうな時、痛烈な痛みが尾全体を襲う。
尾にはぽっかりと穴が空いていた。
その穴からは血が出ていた。
サグメ「な、何が起きたんだ…!?」
サグメ「ひ、ひとまず逃げて遠くから確認を……!」
俺は泳ごうと尾を動かした瞬間、激痛が尾から頭の先まで駆け巡る。
あまりの痛さに身動きが一時的にできなくなってしまった。
サグメ「あ゙がぁっ……痛いぃ……!!」
サグメ「なんなんだぁ…!!」
サグメ「はぁっ、はぁっ…!!」
俺の呼吸は荒くなる。
そして、なぜだか分からないが、俺の肌は鮫肌へと変わった。
サグメ「とりあえず、地上の様子を…!!」
俺は水中から顔を出す。
その瞬間、何かが俺の顔の真横を通り過ぎる。
目では決して追えない速度だった。
サグメ「っ……!」
???『早く出た方がいい。ここの海には鮫が生息してる。』
サグメ「さ、鮫…?」
???『えぇ、鮫よ。』
サグメ「と、とりあえず出る。」
俺は急いで浅瀬へと向かう。
すると、目の前のキヴォトス人だと思われる奴の目つきが変わる。
???『何、その尻尾と鮫肌。あなたが鮫の格好して驚かしてたの?』
サグメ「さ、鮫の格好って…俺は正真正銘の魚人だ!」
???『そう。そういうのはいいわ。所属学園を言いなさい。』
サグメ「しょぞくがくえん…?なんだそれ?」
ダンッ!!と音と共に水が跳ね上がる。
今のはさっきと同じものだと分かった。
???『次は当てるわよ。当てられたくなかったら答えなさい。』
サグメ「ほんとにわかんないんだって!!」
サグメ「そもそも、お前!俺は何もしてないのに攻撃してくるなんておかしいだろ!!」
???『いいえ。ここはゲヘナの管轄。管轄で騒ぎが起きたら解決するのはゲヘナなのよ。』
サグメ「ゲヘナ…?ゲヘナってなんだよ!!意味わかんない単語出すのやめろよ!!」
俺は怒りのあまり、尾ビレで砂をすくい、目の前のキヴォトス人に投げつける。
その直後、尾ビレからはまた同じ激痛が俺の身体を襲う。
サグメ「グッ……。」
???『サグメー!買ってきたよー!』
サグメ「この声は…!!」
サグメ「せんせー!」
先生『って、あれ?ヒナ、どうしてここに?』
ヒナ『先生、下がってて。あそこの奇人と対峙してるから。』
先生『奇人って……サグメの事?』
先生『サグメなら大丈夫だよ?素直でいい子だし。だってここで待っててって言ったらちゃんとここで待っててくれたし。』
ヒナ『でも……。先生がそこまで言うなら私は攻撃しないわ。』
先生『わかってくれて良かった。』
ヒナ『ごめんなさいね。私の早とちりが今回の原因よ。』
サグメ「大丈夫…。でも、ちょっと痛い…。」
ヒナ『ど、どこか弾丸が当たってしまったかしら…?』
目の前のヒナ?って奴は焦っているように見える。
焦っているように見えて、少しあわあわしているようにも見える。
サグメ「ちょっと尾が…。」
俺は改めてちゃんと尾を見ると酷く抉られ、骨が「何か」を受け止めていた。
これは穴ではなく、抉られていたんだと見て知る。
俺は骨が受け止めていた何かを摘みとる。
サグメ「何…これ…?」
サグメ「硬くてちっちゃい…。金属…?」
俺は硬くてちっちゃい金属だと思われるものを「食べる」。
先生『サグメ!?』
ヒナ『ど、どうして食べるの!?』
噛んだ瞬間、ガリンっ!!と音がし、手のひらの上に吐き出す。
吐き出すと金属だと思われるものは砕けて、粉々になっていた。
サグメ「なんだ、砕ける程度なら大丈夫か。」
俺は再び、金属だと思われるものを食べ、飲み込む。
サグメ「?」
サグメ「どうした?そんな顔して。」
先生『だ、出して!?今すぐ吐き出して!?』
ヒナ『大丈夫なのかしら…。』
サグメ「大丈夫だぞ?液状にしたからな。」
サグメ「それよりこの傷はどうすればいいんだ?」
先生『びょ、病院?』
ヒナ『流石の救急医学部でも治療は難しいわ。』
先生『あっ、そうそう!早くこれ着て。』
せんせーは服を差し出して来る。
俺は服を着ようとするも、背ビレが引っかかる。
サグメ「せんせー。これ着れない。」
先生『え…?』
サグメ「背ビレが引っかかる。」
先生『せ、背ビレ…?』
サグメ「うん、背ビレ。」
先生『背ビレってあの、魚の身体に生えてる背ビレ…?』
サグメ「うん、その背ビレ。」
先生『ど、どうすれば……。』
ヒナ『背中部分を切り取れば良いんじゃないかしら…。』
先生『そ、そうだよね。とりあえず、このズボン履い……。』
先生『そ、そういえば尻尾が……。』
サグメ「俺…地上、歩けない…?」
先生『あ、歩けるさ!私がどうにかするから!待ってて!』
先生『ヒナはこの子の面倒を見てて!』
ヒナ『わかった。』
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