東方煩悩漢   作:タナボルタ

76 / 96
大変お待たせいたしました。
はい、何というか凄い詰め込みすぎちゃいました。
その割に色々と抜けているところがありますので次回にフォローが入ると思います。
……つまりは今回でチルノ編が終わらなかったということなんですね。
まあメインの部分は何とかいけたと思うので、大目に見ていただければ……。

それではまたあとがきで。


第七十一話

 

 龍神との戦いが終わってから三日後の午後、横島は魔法の森に向けて空を飛んでいた。手に持った小さなバッグの中には手土産として咲夜が作ったケーキと魔法瓶に紅茶が入っており、目的地でちょっとしたお茶会でも開けそうな内容だ。

 問題は目的の人物が洋菓子を好むのかどうかであるが、その人物は新し物好きであるし、咲夜の手作りケーキにはたとえ和菓子好きだったとしても「美味い」と唸らせることが出来るほどの力がある。問題はないだろう。

 

「……っと、あったあった」

 

 目的の店を視界に収めた横島は徐々に高度を下げ、ゆっくりと入り口に前に着地する。

 見る限り損傷もなく、以前見た時のままそこに建っている。どうやらここも()()()()()()()()()()()()

 

「おいーっす。森近、居るか―?」

 

 がらり、と戸を開けて声を掛ければ。

 

「やあ、いらっしゃい横島君。四日ぶりだね、今日はどうしたんだい?」

 

 穏やかな声で返事をする霖之助が迎えてくれた。

 

 横島の目的地はここ、『香霖堂』。珍しいことに。本当に珍しいことに、横島は美男子である霖之助に会いに来たのだ。

 ……恋愛的な意味は一切ない。ちょっとした、用事のためだ。

 

 

 

 

 

 

 

第七十一話

『名前を呼んで』

 

 

 

 

 

 

 

 横島が土産のケーキを渡すと、霖之助は嬉しそうに皿とカップの準備をする。半妖である霖之助は生きる為に食事を必要としない。しかし、だからといって全く食べないわけではない。気が向けば食事をするし、酒だって嗜む。

 目の前にご馳走を出されたのなら、ありがたくいただくのが霖之助という男だ。しかし霖之助は喧騒を嫌うので、滅多なことで宴会などには顔を出さないのであるが。

 

「うーん、これが紅魔館メイド長の手作りケーキか……。僕もこう見えて長生きしているんだけど、これほど美味しい洋菓子は初めてだね。」

 

 一口食べては感嘆の息を漏らす霖之助を見ながら、横島は内心で溜め息を吐く。何が悲しくて男二人が顔を突き合わしてケーキを食さねばならんのか、と。

 咲夜のケーキと紅茶が美味いのが救いか。霖之助は紅茶を一口含み、「ふむう」などと満足げに息を吐いた。

 

「それで、今日はどうしたんだい? 僕とお茶会をする……というのが目的ではないんだろう?」

「当たり前だろ気持ち悪い」

「中々に辛辣だね。まあ、僕も“それが目的です”何て言われたらお引き取り願っただろうけど」

 

 横島も霖之助も男色の気は全くない。霖之助にだって会うのが楽しみな少女が居たりする。

 では、目的は何か? 霖之助が問えば、横島は報告に来たのだと答えた。

 

「あーっとな、数日前に幻想郷内にいくつもの強力な結界が張られたんだが……気付いてたか?」

「そりゃあね。あれだけ強力な結界なら嫌でも気付くさ。それより……あんなにも強力な結界が、いくつも存在していたのかい?」

「ああ。俺が聞いた話だと人里に魔法の森、紅魔館に妖怪の山、博麗神社に命蓮寺に天界や旧地獄……だっけ? そこら辺も結界に覆われてたらしいぜ」

 

 横島の言葉を聞き、霖之助は考え込む。それほどの力を行使できる存在など幻想郷でも数少ない。

 候補として挙がるのは毎度おなじみ守矢神社の神々、永遠亭の薬師、境界を操る紫など。だが、どれもしっくりとこない。

 霖之助は紅茶を飲んで気分を変える。目の前の少年はその答えを知っているのだ。何故それを報告しに来たのかは定かではないが、きっとその答えも教えてくれるのだろう。

 

「……それで、それを行ったのは誰なんだい? 一体何が目的で?」

 

 霖之助の問いに横島はすぐには答えない。同じように紅茶を飲み、ゆっくりと息を吐いて間を開ける。この引っ張りよう、よほどの答えが返ってくるに違いない……! 霖之助は好奇心を抑えながらもごくりと唾を飲んだ。

 

「――――龍神だ」

「……何だって?」

 

 事実、その答えは霖之助の期待を大きく上回って。

 

「龍神が――――チルノになって俺を手籠めにするために暴れまわってたんだ」

「――――L≠ゐしよtょしニをしヽっ〒ゐωT=゛しヽ(きみはなにをいってるんだい)?」

 

 霖之助のキャラがおかしくなるほどの破壊力を秘めていたのだった。ギャル文字で言葉を発するとは恐れ入る。一体誰に教わったのだろうか。

 

「……ふう。すまないね、ちょっと気が動転してしまって」

「いや、まあ。気持ちは分かる……つーか今のどうやって発音したんだよ」

 

 お互いに紅茶を飲み干して一息つき、話を再開した。とりあえず横島はチルノ、紫、永琳の三人から聞いた話を元に、霖之助に事の顛末を説明していく。

 チルノのこと、龍神のこと、横島が意識を失うその時までのことを話していった。

 

 

 

 ――――あの夜、横島が龍神に最後の文珠を使った時のこと。

 

「これが、俺の最後の文珠だ。大人しく食らってくれ」

 

 横島が文珠を放り、龍神へと発動させる。それに刻まれた文字は以前と同じく『心』。それの発動と同時に、紫が横島から預かった文珠を発動させる。

 まずは自らの力を文珠で『増』強し、更に『伝』の文珠を使う。

 紫の能力によって、()()()()の心が龍神へと『伝』わっていく。

 

『――――龍神様、いつもありがとうございます』

 

「――――――――――――」

 

 伝わってきた内容に、龍神は閉じていた眼を見開き、大きく狼狽えだした。

 

 

 

『こうして毎日を変わりなく過ごせるのは、龍神様のおかげです』

『日々の加護をありがとうございます、龍神様』

『少しでも龍神様のお力になりますように』

『我らが信仰を龍神様に……』

『またその御姿をお見せください』

 

 

 

「――――……、……!?」

 

 流れ込んでくる心の声は止まることはない。その声は真に龍神を想った声達だ。

 龍神が声無き声で呻く。疑問、戸惑い、そういったものが強く表れている。その様子を見て、やはり彼女は気付いていないのだと横島は呆れにも似た感情を持った。

 

「……アンタはさ、この幻想郷で一番の信仰を得ている存在なんだ。博麗神社の神様でも、守矢神社の神様達でも、命蓮寺の仏様でも、神霊廟の仙人達でもない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 紫が能力を以って開いたのは人里の結界。そこに住む者達の『心』を龍神へと『伝』えたのだ。

 龍神はいつも孤独感に苛まれていた。誰も自分を見てくれないと。誰も自分に気付いてくれないと。横島は氷漬けにされながらも、そんな龍神の波動を受け、その感情を読み取った。

 だからこそ横島は龍神に気付かせたかった。その存在を想う者達がいるのだと、共に在りたいと願う者達がいるのだと。

 

 

 

『いつか龍神様とお話がしたいなぁ』

『僕は龍神様の背中に乗ってみたい』

『やっぱりカッコいいんだろうな、龍神様って』

 

 

 

 伝わってくる子供達の心の声。どこまでも純粋に響いてくるその声は、龍神の心を強く強く揺さぶった。

 

 かの者の力は強く、かの者の存在は遥かに高い次元にある。故に、かの者にはその足元が見えていなかった。自らが見ていたものは景色のほんの一部に過ぎないというのに、本当に大切な部分に視線を合わせることもなかったのだ。

 かの者――――龍神には寄り添う者達がいた。そのことにようやく気付けたのだ。

 

「――――」

 

 龍神の身体が光り輝き、徐々にその輪郭を失っていく。その口から上げられる叫びには強い謝意が込められていた。

 

「……消えた、か」

 

 ほんの一瞬、夜空が真昼の様に輝いた後、龍神の姿は跡形なく消え去っていた。消えたのは龍神の姿だけではなく、彼女が張っていた全ての結界も同時に消失している。

 ――――こうして、長い夜は終わりを告げたのだ。

 横島は龍神が消えたのを確認し、糸が切れたかのように意識を失い地上へと落下してしまう。――――横島が覚えているのはここまでである。

 

 

 

「……それにしても、まさか龍神がそういった存在だったとはね。いや、良く知らせてくれたね横島君」

「ああ、お前が前にいやに熱く龍神について語ってたからな。買い物ついでに報告くらいは、ってな」

 

 横島は以前香霖堂に来た時に、霖之助が龍神についてそれはもう熱く語っていたのを覚えていた。なので自分でもあまりらしくはないと自覚しながらも、わざわざ霖之助という男の為にやって来たのだ。

 横島にとって霖之助という男は、数少ないあまり嫌悪を抱かない美男子である。女子高生と親密な関係でありそうな部分は気に食わないが、それでも終生の敵(笑)である西条と比ぶべくもない程に友好的だ。

 

「なるほど。なるほどなるほど。龍神とはつまり日本という国……というより、日本列島そのものが意志を持った存在だということだね。何かしら関係があるだろうとは考えていたんだけれど、まさかそのものだとは思わなかったよ。しかし、考えてみればこの国には八百万の神が存在するから今更と言われればそうかもしれない。ちなみに八百万の神というのは古代日本における神への考え方で、森羅万象あらゆる物に神が宿るという考え方なんだけれども、列島そのものが神とは。そうすると龍神は伊邪那岐命と伊邪那美命による国産みで誕生したのだろうか? しかし神という存在であるのならばその後の神産み? まさかそれよりも前ということは……いや。いやいやいやその可能性もあるだろう。そも神話と大地というのは切っても切れない関係であるし、まず龍神があってそこからさまざまな神が――――」

 

 だって霖之助にはこういう残念な部分があることだし。

 横島は霖之助の暴走が始まったので、代り映えしない品ぞろえの商品を眺める。あれやこれやと考えながら、目についたのは安価な髪留め。

 横島はその中の一つを手に取り、矯めつ眇めつ眺める。現在修復中の髪留めと似たデザインであり、()()()()()()()()()()()()()と霊感も告げている。

 

「料金置いとくぞー」

 

 横島は未だぶつぶつと語り続けている霖之助に一応声を掛け、値段分の小銭を置く。用も済んだしさっさと帰るかと出入り口に視線を向けると、何やら地鳴りのような音が横島の耳に届いた。

 

「……何だ? 地震か?」

 

 地震にしては地面は揺れていない。出入口を開けて外の様子を見てみれば、遠くの方から何者かが猛スピードで迫って来ていた。

 

よ~こ~し~ま~さ~ん~……!!

「は?」

 

 自らを呼ぶ何者か。段々と輪郭がはっきりとしてきたその人物は、以前この香霖堂で出会った少女であった。

 

「やっと見つけたーーーーーー!!」

「のわーーーーーー!?」

 

 必死な形相で迫り、遂にはタックルまでしてきたその少女、外の世界から夢を通じて幻想郷に入り込む女子高生“宇佐見董子”である。

 董子の強烈なタックルによって店の中に戻された横島に馬乗りになり、胸倉を掴んでガックンガックンと揺する。

 

「さあ妹紅との関係を一から十まで全部教えてください!! 前回の帰り際に魔理沙さんから教えられてから今までほとんど眠れなかったんですからーーーーーー!!」

「ちょ……!! やめ……!!」

 

 見ようによってはかなりいかがわしい体勢であるが、流石の横島も突然の事態に反応が出来なかった。……かと思えばしっかりと霊力が増大していた。

 このまま董子が横島を失神するまで揺さぶられてしまうのか、それとも横島の煩悩が溢れてしまうのか、答えはそのどちらでもなかった。

 

「おや、菫子君じゃないか。こちら側に来ていたんだね」

「あ、霖之助さん。お邪魔してます」

「ぎゃひんっ!?」

 

 暴走から復帰した霖之助が顔を出したことにより、菫子が横島の胸倉を放し、横島が頭を床に強かに打ち付けることによって終息したのであった。どちらにしろ横島が不憫な目に遭うことは決定していたらしい。

 

 さて、横島と菫子のいざこざも終わったので、今度は菫子を含めた三人でまたお茶を飲む。次なる話題は横島と妹紅の関係についてだ。

 

「ふむ。実は僕も少し興味があったんだよ。まさか、あの妹紅君が誰かと恋愛関係になるとは思っていなかったからね」

「私もー」

 

 眼鏡を上げつつの霖之助の言葉に菫子も頷く。横島は二人が持つ妹紅のイメージを聞いていたかったが、正直横島自身も何となく分かる話であったので黙っておくことにした。こう言っては何だが、妹紅は誰かと一緒にいるより一人でいる方が似合っているようにも思えるからだ。

 

 ――――そんな妹紅と恋人になった俺って凄い。凄くない?

 

 何やら自画自賛な考えを浮かべつつ、横島は妹紅との馴れ初めや今までにあった代表的なイベントなどを話していった。

 口紅を贈ったことや、その後のバーベキューでのやり取り、時計塔での一幕など、語るたびに菫子のボルテージが上がっていき、横島の口から“妹紅からキスをされた”と聞いた時には思わず「ひゃああぁぁーーーー!」と叫んだくらいだ。

 霖之助は普段大人ぶっている菫子が年相応の反応をしているのをいとおしむような、慈しむような眼で見やる。そして霖之助も妹紅の方から迫ったと聞いた時にはお茶を噴き出していた。

 

「まさか妹紅がそんなことを……! それにしても普段学校の連中とかが恋バナとかで盛り上がる理由が分かったわ。今すっごい楽しい……!」

 

 どうやら菫子も潜在的には恋愛話が好きだったらしく、その眼はきらきらと輝いている。内面では次に妹紅に会ったらからかってやろうと考えているのだが。

 横島はこんなに喜んでくれて良かったと思う。しかし、これから彼女の顔は曇るだろう。横島と妹紅、二人を繋ぐ最も大事な部分が語られるのだ。

 

「んで、だ。とある異変が絡んできてな」

 

 語られる異変。正体不明の『男』との戦い。それによって横島は殺されかけ、妹紅は横島を死なせないために自らの生き胆を食わせ、蓬莱人へと変えてしまった。

 しかし、それでも二人の関係は終わらず。より強固な絆となって二人を結びつけたのだ。

 一連の話を聞いた菫子は驚愕し、妹紅のことを想って顔を青くする。しかし、最終的に収まるところに収まったことが分かって涙を流して喜んだのであった。

 

「うう……! こんなん一生もんやん……! まさに永遠の愛やでぇ……!!」

「何で急に関西弁……」

 

 ハンカチで涙を拭う菫子が何故か関西弁で二人の愛を称える。親友に相応しいと言える恋人が出来たことに心の底から祝福をしているのだ。

 

「そんで俺にはまだ恋人が数人いるんだけど……」

「赤が好き? 青が好き? 血まみれになって死ぬのと血を抜かれて死ぬのとどっちが好き?」

 

 董子のマント姿のモデルは怪人赤マントである。横島が妹紅の他にも恋人がいると聞いて「こいつだけは生かしておけぬ」と決意したのだ。

 

「実は妹紅自身が割とノリノリでな……何でも男は何人の女性を養えるのかが重要だとか」

「ど、どーいうこと!?」

「ああ、確か彼女は平安の生まれだったね。平安時代は一夫多妻制だったし、そういう価値観を持っていても不思議じゃないか」

 

 菫子が抱いた疑問に霖之助が答える。ついでに言えば他の二人の恋人、フランと美鈴もハーレム容認派であるので今のところ問題は発生していない。

 

「うむむむむ……!!」

 

 菫子は何だかんだ言っても現代日本の価値観に染まっている。唯一と言ってもいい親友である妹紅の恋人が他にも女を作っていることに嫌悪感が湧いてくるのは致し方ないところだ。

 うんうんと唸っていた顔を上げ、菫子は横島をキッと睨みつける。何せ横島は妹紅と恋人関係であったというのに自分にもナンパを仕掛けてきた程には節操のない男だ。横島が妹紅のことを、そして他の恋人達のことを真剣に考えているのか知っておく必要がある。

 

「……それで、横島さんは妹紅達のことをどう考えてるんですか? ちゃんと真剣に将来のこととか考えてるんですか?」

 

 じとっとした眼で横島を見やる菫子。霖之助も何も言わない。しかし、彼の眼も真剣な光を湛えて横島を見つめている。横島はお茶で口を濡らし、徐に口を開いた。

 

「俺はさ、煩悩が霊力源で色んな女の子に声を掛けるようなどーしようもない男なんだ。妹紅の前で他の子に飛び掛かったりもした」

 

 “飛び掛かったり”の部分でちょっと思っていたよりもやべー奴だったのではないのかとツッコミが迸りそうになった菫子であったが、横島は自分達の気持ちに応えて真剣に語ってくれている。霖之助だって我慢しているのだ、ここは大人しくしている場面である。

 

「そんな俺を見てるのに、それでも俺のことが好きだって言ってくれたんだ。こんな俺を、永遠に縛り付けてでも求めてくれた。他の子だってそうだ。俺の傍にいてくれる。ずっと一緒にいてくれるんだ。だから俺はあいつらを裏切らない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「……っ?」

 

 菫子は横島の言葉に、彼の放つ雰囲気が変化したような気がして違和感を覚える。

 横島の言葉はとても真摯な響きを湛えている。だというのに、どこか歪さを孕んでいるかのような怪しい響きも内包している。どこか不安を誘うような、それでいて彼の言葉に嘘はないと断言出来るような、不思議な気分だ。

 

「……」

 

 話を聞き終えた霖之助は視線を鋭くし、横島を静かに見つめる。その様子に菫子は言い知れぬプレッシャーのような物を感じてしまう。

 どことなく気まずい空気が流れる中、霖之助が深く息を吐き、お茶を一口啜った。

 

「……うん。君が妹紅君達のことを本気で考えていることはよく分かったよ」

 

 その言葉は菫子も頷くことが出来た。そこに含まれる何か怪しげな気配も、女好きな彼のことだ。いつより深い仲になるのかと画策しているだけかもしれない。……それはそれで問題かもしれないが。

 

「ふ、ふーん。それにしても一夫多妻……ハーレムかぁー。霖之助さんはそういうの興味あったりする?」

 

 少し悪くなった空気を換えようと、何となく浮かんだ質問を霖之助にぶつける菫子。霖之助は溜め息を吐いて呆れ顔だ。

 

「君も分かってるだろう? 僕はそんなに器用な男じゃないよ」

「あはは、そうですよねー。商品について話しててもそんな感じだし」

 

 霖之助はハーレムを築こうなどとは考えていない。それは横島にとって何よりの朗報だった。何せ霖之助は美男子だ。クール系のイケメンだ。この甘いマスクと理知的な話口調で落とされる女性は数知れないだろう。

 自分の女達にコナを掛けてくるということもないだろうし、横島はほっと息を吐いた。

 そして、そんな横島の眼前で――――。

 

「僕は自分の隣にいてくれるただ一人の女性(ひと)と静かに過ごせたらそれでいいよ。……例えば、こんな僕に外の世界の物を見せに来てくれるような子とか、ね」

「へー………………え? ……え、それって、えぇ……っ!?」

「おや、どうしたんだい菫子君?」

「え、いや、どうしたって、今……!?」

「ははは、分からないなあ。一体どうしたんだい、菫子君」

「あ、あうあうあう……!?」

 

 なんか突然ラブコメ始まった。それが横島の最初の感想である。何なの? 森近死にたいの? それが次の感想だ。

 余談であるが、外の世界の物を見せに来てくれる女の子の中に紫がいるのだが、霖之助は紫のことを不気味に思っているので恋愛感情などは全くない。

 八雲紫。現在彼女に心の底から信を置いてくれているのは、身内以外では横島だけである。

 目の前で繰り広げられる森近劇場に、横島は藁人形に釘を十本から~二十本程打ち付けたいところであったが、昔はともかく今の横島は好き合っている者同士の仲を引き裂こうとは思っていない。

 

「どうやらおれはお邪魔虫のようだぜ! ここは後日あらためて出なおすとすっか! 横島忠夫はクールに去るぜ」

 

 そう言って横島は静かに店を去った。その双眸から熱い血液を滴らせ、握りしめた拳からは血を流しながら。ちなみにこの後霖之助と菫子の仲がどうなったのかは誰にも知られていない。

 

 

 

 

 

「――――♪ ――♪ ――――♪」

 

 香霖堂から帰ってきた横島は霧の湖の畔で大きな石に座りながら、手の中の髪留めを弄っている。口笛も軽やかに、横島はこの場所でとある人物を待っている。

 

「おにーさーーーーーーん!」

「お?」

 

 自らを呼ぶ声に視線を向ければ、そこには元の姿に戻り、すっかりと元気になったチルノと、そんな彼女に手を引かれる()()()()()姿()があった。

 それはチルノによく似た少女であったが、様々な差異が存在していた。長い髪、日焼けした肌、こめかみから生えた角、鱗のような物に覆われた腕、そして鋭い爪。

 その少女の姿はチルノと同調した龍神の姿に酷似していた。

 

「おっす、チルノ。――――それに、龍神も」

 

 そう、チルノに似た少女は龍神が新たに生み出した写し身なのだ。その外見は最も自らに近い存在となったチルノの影響を受けており、二人が並べば角などの龍的特徴を除けば双子のようにも見える。

 チルノは龍神と共に横島の前で止まる。それに首を傾げた横島であったが、チルノと龍神の二人は横島に勢いよく頭を下げた。

 

「迷惑をかけてごめんなさい!!」

「……ん?」

 

 きょとんと眼を見開き、横島は疑問符を浮かべた。

 話を聞くとこの二人、自分達が迷惑を掛けた者達に謝罪をして周っているのだという。本当は真っ先に横島に謝りたかったそうなのだが、外出していたので最後になってしまったのだ。

 始め龍神はチルノの前に現れ、その身を乗っ取ろうとしたことを謝罪した。しかし、チルノはその謝罪を受け入れつつも切っ掛けは己に合ったのだと頭を下げた。

 悪いのは自分だ、いや自分が悪い、私の方が、いやいや私の方が……。

 

「だったらどっちが悪かったのか弾幕ファイトで決着を付ける!! 行くぞおおおおおおおおお!!」

 

 そうして弾幕ファイトが始まり、混乱した龍神がちょっと待ってと突き出した手にチルノが思い切り吹き飛ばされ、チルノは敗北したのだった……。

 

「バカなのかお前は」

「アタイはバカじゃないよ!!」

 

 やっぱりバカなんじゃないかなぁ、と思う横島であるが、ここでチルノの機嫌を損ねても仕方がない。横島はチルノの頭を撫で、龍神と向き直る。

 

「……正直、何とも思ってないって言ったら嘘になる。みんなにしたこと、特に紫さんのことは……絶対に許せない」

「……」

「お兄さん……」

 

 きつく睨みつけてくる横島に龍神は何も言えず、チルノもおろおろと狼狽えるばかりだ。

 何も龍神は幻想郷を滅ぼそうとしていたわけではない。事実龍神は己の力で害が及ばないように人里や各種拠点となるような場所には結界を張って守っていたし、チルノが表層に出ていた時には追いすがってきたフランを強力な結界で守っていた。横島の恋人達も傷付けないように気を配っていたのだ。……事故もあって成功はしなかったが。

 

「……みんなは何て言ってたんだ?」

「え?」

「俺以外のみんなは何て言ってたんだ?」

 

 龍神と、そしてチルノに横島は問う。

 

「え、っと。一応みんな許してくれた。今度お寺で()()()()()()とか、森の()()()()()のお手伝いとか……。色々お手伝いすることでチャラにしてあげるって言ってた」

「……紫さんは?」

 

 チルノから話を聞き、目をつむって空を仰ぐ横島。今回一番の被害を被った紫は何を言ったのか、横島はそれを一番知りたい。

 

「ん~と、ちょっと難しかったんだけど……」

 

 チルノにとって紫の言葉は難しいものが多い。大事な者を殺されかけ、半身を砕かれた紫は龍神達にこう言ったのだ。

 

 ――――この幻想郷を守るはずの貴方が、このような異変を引き起こしたことは大変に遺憾に思います。しかし、私は今回のことで貴方をどうこうしようなどとは思ってはいません。

 思い返してみれば、不自然な部分が多々存在します。貴方を()()()()()()()のは誰なのか。それも分からないのでしょう?

 ……霊夢に苛烈な攻撃を加えようとしたのは、ある意味あの子の自業自得な部分もあります。霊夢もそれは認めていますわ。チルノに強烈なトラウマを植え付けた。そのことに対して珍しく反省していましたから。

 貴方の力は特に強力です。その使い方を間違わぬよう、周りの方達から学んでください。

 

「……要するに今度からは気を付けてくれってことか」

 

 横島は大きく息を吐き、がっくりと項垂れる。紫の言葉は横島にとって予想通りだ。龍神とは幻想郷にとってなくてはならない存在だ。その龍神を失うようなことがあれば、それこそ幻想郷崩壊の危機である。

 それでなくても紫のことだ。龍神の内面を知れば、今回のように理由を付けて許すのだろう。他の皆の処置もそれを考慮してのことであると推察出来る。それで味を占めて傍若無人に振る舞われたら流石にそんなことも言っていられないが、本人は考えていたよりもまともな精神性を有していたらしい。

 

「……はあ。これじゃ、俺が大人げない奴みたいだな」

「え?」

 

 横島は弄っていた髪留め――――修復が完了したひまわりの髪留めをチルノに渡し、ポケットから取り出した()()()()()()()()()()()()を龍神へとひょいと投げ渡した。

 

「……?」

 

 いきなり髪留めを渡された龍神は不思議そうな表情で髪留めと横島の顔を交互に見やる。横島はやや照れ臭そうに頭を掻き、柔らかな笑みを浮かべる。

 

「みんなが許してんのに、俺だけが文句言ってもなぁ。ま、紫さんと被っちまうけど今度から気を付けてくれたらいいよ」

 

 それはチルノも、当然龍神も想像だにしない言葉であった。

 結局横島は非情になり切れない。皆が許し、本人も反省の意志を見せているのならば許さない理由はない。

 

「……つっても、完全に許したわけじゃねーからな。許していこうってだけだかんな。そこ勘違いすんなよ?」

「……」

「……」

 

 チルノも龍神も開いた口が塞がらなかった。あれだけのことを仕出かした者を許そうというのだ。目の前の男だけではない。あの時、自分達が傷付けた者達が自分を許すのだと。

 改めて、龍神は自らが行ったことの怖さを思い知った。自分は、自らを想ってくれる者達を永遠に失ってしまっていたかもしれないのである。

 

「んで、二人とも今夜の宴会に参加すんだろ?」

「え? ……ゆかりに誘われてはいるけど、本当にアタイ達も参加していいの……?」

 

 不安気に顔を見合わせ、その後上目遣いに見つめてくるチルノと龍神の頭を乱暴に撫で、横島は快活な笑みを浮かべた。

 

「当然だろ。前に紫さんに聞いたけど、異変の後は必ず宴会をするんだってよ。それで異変の黒幕と酒飲んで騒いで、それで和解するんだと。逆に言えば宴会に参加しなけりゃ総スカンだからな。覚悟して宴会に参加しろ」

 

 強く、大きく、そして優しい手。自分を――――自分達を優しく包んでくれる温かな手。

 ようやく気付いた。これは奪うことでは味わえない。何かを傷付けては手に入らない。ただ素直に、傍にいてほしいと願いを告げていれば手に入ったのかもしれない。

 だが、それは遅すぎた。自らの心に宿る想いは、目の前の男性に告げることはない。――――今はまだ。

 いつか時が流れて、許しを得ることが出来たのならば、その時にこそ伝えよう。

 龍神は自分の罪に付き合わなくてもいいとチルノに言った。しかし、チルノは自分も龍神と同じ思いだと言った。二人の気持ちが同期したからあの異変が起こったのだと。

 だから、それまで気持ちを伝えることはない。もう少しの間、横島のことを“お兄さん”と呼ばせてもらうのだ。チルノにとって横島は好きな男の子であると同時に、大好きな兄でもあるのだから。

 

「……ねえ、お兄さん。わがまま言ってもいいかな?」

「んー? 何だよ、あんまり無茶はきかねーぞ?」

 

 あっさりと自分のお願いを聞いてくれそうな横島に、チルノは感謝と申し訳なさを抱いた。今から頼むことは簡単なようであり、その実とても大変なことだ。妖精(おバカ)である自分にだってそれが分かる程に。

 チルノは龍神を見やる。首を傾げる龍神ににかっと笑いかけ、横島に我が儘の内容を告げた。

 

「あのね、龍神に――――名前を付けてあげてほしいんだ」

「名前?」

「……っ!?」

 

 龍神はチルノの我が儘の内容に驚く。龍神は己を指し示す名を持ってはいない。生まれが生まれであるし、そもそも“龍神”という呼び名も自分から名乗ったわけではなく、周囲が勝手にそう呼んでいるだけなのだ。

 龍神の心の底にある誰も自分を見てくれないという思いは、己を含む誰もが自分の名を知らない。誰も自分という確固たる存在を認識してくれないという考えへと通じてしまっているのだ。

 チルノは龍神と同期した際にその思いを感じ取った。だったら名前を付ければいいじゃない! と一瞬で正解を導き出したのだ。しかし自分ではよい名前など微塵も思いつかない。ならばお兄さんに付けてもらおう! と一瞬で丸投げを決めた。

 

「名前……名前ねぇ……」

 

 チルノのお願いに横島は困ったように頭を掻く。こういった高次の存在に名を付けることへのリスクを考慮しているのだ。

 力有る者が名を付ける、ということは主従契約にも等しい行為である。……まあ、今回の場合は彼我の力の差が大きすぎて考えるだけ無駄なのだが。

 

「んー……それじゃあ俺が名付け親(ゴッドファーザー)になってやるか」

 

 龍神は横島とチルノを交互に見やるが、やがて期待するかのように横島の顔をじっと見上げる。横島は己のネーミングセンスに自信を持っている。それが悲しい勘違いなのかどうかは“サイキック・ソーサー”、“栄光の手(ハンズ・オブ・グローリー)”という二つの霊能から判断してほしい。

 やがて考えが纏まったのか、横島はよし、と一言呟き、龍神の前に屈み込んで視線の高さを合わせる。

 

「それじゃあ、いいか? お前の名前は――――」

 

 優しく響くその声に、龍神は胸を高鳴らせる。

 ああ、どうかその声で呼んで欲しい。誰もが知らない龍神(わたし)の名前を。龍神(わたし)だけの、私の名前を。

 龍神(わたし)の名前を、呼んでください――――。

 

 

 

 

 

 

 

第七十一話

『名前を呼んで』

~了~

 

 

 

 

 

 

 

 少し強い西日に照らされ、私は目を覚ます。どうやら随分と長く昼寝をしてしまっていたらしい。

 師匠に言われてお仕事はお休みしているけれど、どうにも身体が落ち着かず、そんな自分に苦笑を零して折角ならばとお昼寝をしたのだった。

 どうも働いていないとむず痒い気分になってくる。これじゃあ横島さんをどうこう言うことは出来ないね。私も立派なワーカーホリックというわけだ。

 ……横島さんと言えば、彼の文殊……文珠? という能力は本当に凄い。見えなくなっていた眼もばっちりと見えるし、あれだけ痛かった頭もスッキリ爽快だ。……まあ、今お昼寝から目覚めたからそこは当然かもだけど。

 師匠も「これじゃあ商売あがったりね」と言って横島さんの能力を手放しで褒めていたっけ。……その後「残念だわ」とか言って大量の薬とかを“ごそっと”片づけていたのが物凄く気になるけど……。

 ま、それはともかく。私は久しぶりに自分の私服へと袖を通す。ここ最近はいっつもメイド服だったから何か新鮮な感じ。師匠が色々と新作を持ってくるからメイド服も捨てがたいんだけど、やっぱり着慣れたこの服が一番落ち着くのよね。

 「和メイドっていいわよね……」「ゴスロリメイド服も作っちゃおうかしら……」なんて言ってたから楽しみではあるけど。

 

 ……さて、これからどうしよう。

 今まではお仕事でやることが色々とあったから暇したことがないんだけど、急にぽっかりと休みが来てしまうと何をしていいのか分からない。本格的に仕事中毒だなぁ。とりあえず部屋を出てみたのはいいけど何にも思いつかない。

 簡単な手伝いくらいならしようかな? でも横島さんみたいに自分から苦労を背負いこんでいくのも……なんて考えていたら前方に横島さんを発見。噂をすれば何とやら、ってね。何やら真剣な様子で窓の外を眺めてるみたいだけど、何かあったのかしら?

 

「あれ、イナバちゃん? 身体はもう大丈夫なのか?」

 

 それ何回も聞いたー。というか横島さんが文珠で治してくれたんでしょうに、何回も聞いたら不安になっちゃうじゃない。

 そんなことよりどうかしたの? なんか真剣な顔してたけど。

 

「あー、いや実は……」

 

 ……てゐと小悪魔に呼び出された? その時の様子から色々と予想出来て……? あー、なるほどね。

 そっか、ようやくか。美鈴もそうだったけど決心するのに大分かかっちゃったみたいね。

 それで? 横島さんはどうするの?

 

「ああ。もし本当にそうなら――――」

 

 ……ん。てゐは横島さんにぞっこんだからさ、色々と迷惑掛けちゃうだろうけど、それこそ末永くお願いね。

 

 

 ――――チクリ。

 

 

 ? ……でもそうかー、てゐが遂にね。あの子がそうなったのは横島さんがこっちに来てちょっと経ってからだから、もうすぐ三か月くらい……だったかな。

 

「あー、そうだったのか……。流石によく見てるんだな、イナバちゃんは」

 

 

 ――――チクリ。

 

 

 ……? あー、そういえばさ。そんなに経つのにまだ“イナバ”って呼ばせてたんだっけ。……『あの時』からこっち、色々とカッコいいとこも見せてもらったし、そろそろ名前呼びを解禁しちゃおうかな?

 

「名前呼び……? つまり今度から“優曇華院”って呼べばいいのか? うどんげちゃん? うどんちゃん?」

 

 何でそっちなのよ。この場合ふつーは“鈴仙”でしょーが。

 

「……鈴仙ちゃん?」

 

 妹紅といい横島さんといい、やたらとちゃん付けしてくるのは何でなのかしら。呼び捨てでいいよ、呼び捨てで。

 

「……じゃあ、これからは鈴仙って呼ばせてもらうな」

 

 

 ――――チクリ。

 

 

 ……うーん、こういう時の笑顔って何か反則臭いわね。でも……うん。悪くはない、かな。

 

 

 ――――チクリ。

 

 

 それじゃ、もう行くんでしょ? 繰り返しになるけど、あの子のことよろしくね?

 

「ああ、それじゃ」

 

 夕陽に照らされる男の背中……って書くと結構カッコいい感じね。対象が横島さんだから微妙だけど。

 ……行っちゃったか。これであの子も落ち着いてくれるかしら? ……。

 それにしても。

 それにしても、何でこのタイミングであんなこと言っちゃったのかしら。名前呼び、なんて……。

 

 

 ――――チクリ。チクリ。

 

 

 ……ちょっと、胸が痛い。

 さっきから頭の中で横島さんが私の名前を呼んだシーンがぐるぐる回ってる。

 

 私も……横島さんを? ――――あはは、まさかね。

 

 私の胸は少し痛くて、少し高鳴ってて。それも悪くないんじゃないかな、なんて。そんなこと考えちゃった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆おまけ☆

 

横島「命名――――“千龍乃(チルノ)”……というのはどうだろう?」

龍神「……」

チルノ「……いや、それはちょっと」

 

紫「ふふふ、千龍乃だなんて贅沢な名前ですわね。今から貴方の名前は“(せん)”ですわ。いいですわね、“千”です」

横島「紫婆婆(ゆばーば)様……!」

紫「……」

横島「……」

紫「……ごふぅっ!?」(吐血)

横島「ああっ!? 紫さん!!?」

紫「横島君に……横島君に婆扱いされるのがこんなにも辛いなんて……!」

横島「ああ、ネタに乗っかったとはいえ俺は紫さんになんてことを!! 紫さんはこんなにも可愛い女の子なのに……!!」

紫「あ、ああ……!! 横島君……!!」

横島「紫さん……!!」

龍神「……」

チルノ「なにこれ」

 

 八雲紫。自分を若く可愛く美しい女の子として扱ってくれるのは、幻想郷では横島ただ一人だけである。

 

※龍神の名前は千龍乃ではありません※

 

☆おまけ☆

~了~

 

 




お疲れ様でした。

龍神の始末はこんな感じになりました。反応が怖いのぜ……。
名前はどうしようかな……。正直全然浮かんでこないんですよね。
それに加えてチルノ編はプロットが二転三転して整合性が取れない部分が多くあるので、色々と大変な章でした……。

一応表がチルノ、裏が鈴仙というテーマはあったのですが、その割に鈴仙の出番がほとんど無いという「どうしてこうなった」な事態に。

なので最後は鈴仙の完全一人称視線で進めてみました。これはこれで新鮮で中々楽しかったです。

次回は今回のフォロー回でしょうか。これも大変だろうなぁ。

それではまた次回。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。