「ふぅ、暑い」
燦々と照らされている街の中、シャーレの先生は街をぼーっと眺めながら歩いていた。
陽射しに焼かれながら目的もなくぶらぶらと時間を潰す。
「……あれ?」
外を歩いていると前のほうにどことなく見覚えのある後ろ姿を見かけた。
長い桜色の髪をまとめ、パンツスタイルを着こなし、長く細い尻尾を左右にゆらしながら人ごみの中を歩いている女性。
「……もしかしてアキラ?」
七囚人の一人、清澄アキラ。表立って動くことが出来ないため、いつも陰ながら先生を支えてくれる生徒の一人。この間もお世話になったばかりだった。
ちょうどいい機会だからこの間のお礼をしようと考えた時、ふと気になったことがある。アキラは何が好きなのか、普段どんな生活をしているのかと。
(……よし、尾けよう)
普段の先生だったらそんなこと考えなかったが、今の先生は徹夜明けで変な方向にテンションが振り切っていた。
見失わないようにアキラの後を追う。
ぴょこぴょこと動く耳、ゆらゆらと揺れ動く尻尾と髪。
(何を送ったら喜ぶんだろう。アクセサリーだとか香水だとかそういうのは一切わからないし……。やっぱり無難に食べ物とかかな。そうすると甘いものがいいのかな)
アキラのことを考えながら尾いていく先生はいつの間にか人通りの少ない道にいることに気がつかない。
アキラが曲がり細い道へ入っていく。続くように先生も同じ道へ入っていく。
「……あれ?」
曲がった先には誰もおらず、物音ひとつしない。
「確かにこの道に入っていったはずなんだけどなぁ……」
「誰をお探しですか、先生?」
「うおっ!?」
耳元で甘くささやかれた声に驚き、たたらを踏みながら勢いよく振り返る。そこにはくすくすと笑うアキラの姿があった。
「お元気そうで何よりです、先生」
「……おかげさまでね」
軽く会話をして、場を整えようとするが――
「ところで、なぜ私の後をつけていたんですか?」
――アキラは逃すことなくグサリと言葉を刺してくる。
「あーうん、それはね……」
声をかけられたことで自分が今ストーカー行為ととらえられても仕方がない、というかストーカー行為そのものをしていたことに先生は気が付いていた。別にやましい思いがあったわけではないが、そんなことは関係ない。
とはいえ、取り繕ったところでしょうがないので正直に話すことにした。
「アキラのことが知りたいなって思って」
「……!? そ、そうですか。私のことが知りたいの、ですか……」
顔を真っ赤にし動揺するアキラ。
「ごめんね、いやだったよね」
「い、いえそんなことはっ」
「私に出来ることなら何でもするから」
その言葉を聞いたとき、アキラの目つきが変わった。
「……なんでも、ですか?」
「……あんまり無茶なお願いはしないでね」
「わかっていますとも」
一呼吸おいてアキラが口を開く。
「それでは先生、私とデートしてくださいませんか」
「で、デート?」
「私のことが知りたいのでしょう。ええ。先生が望むならいくらでも私のことを教えてさしあげましょう」
「……はは、喜んで」
日が暮れるまでアキラとデートを楽しんだ。
後日談になるが、外に出かけると必ずと言っていいほどアキラを見かけるようになった。
この後のブルアカライブでアキラが実装します。
絶対に実装します。
もししなかったらアビドス砂漠に放り投げ捨てても構いませんよ。