ブルアカ二次短編集   作:朱汰清家

11 / 35
間接キスをする清澄アキラ

 夜9時過ぎの明かりがついたシャーレのオフィス、先生はPCに向かって作業をしていた。顔には少々疲労が見られ、眠気もあるのか目が少しひくついていた。

「……ふぅ」

 キリのいいところで一度デスクから離れコーヒーを淹れる。

 疲れた体に染み渡る味。凝り固まっていた心もほぐれていく。

 ソファーに体を預け、目を休める。

 エアコンの作動音だけがオフィスに響く。

 気がついたときには意識がうつらうつらとしていた。

 このままでは寝てしまうと思った先生は立ち上がり、体を伸ばす。コキ、コキ、と体から音が鳴る。

 椅子に座り、PCに向かって作業を再開するが思うように進まない。それでもと何とか手を動かす。

 そんな風にしてしばらく経った時、小さな足音が聞こえた。

 誰か忘れものでも取りに来たのかな? と考えていたがコツ、コツ、と次第に足音は大きくなっていき、オフィスに向かってきていることに気がついた。

 誰だろうと作業を中断し、ドアへと振り返る。それと同時にオフィスの扉が開いた。

 そこには慈愛の怪盗こと、清澄アキラの姿があった。

「こんばんは、先生」

「うん、こんばんはアキラ。遅くにどうしたの?」

「たまたま近くに来た時、シャーレにまだ明かりが灯っていたので様子をと」

 案の定でしたねとつぶやくアキラ。それに困ったように笑う先生。

「一度休憩なされてはどうですか?」

「いや、さっきしたばっかだし。それに眠ってしまいそうでね」

「それでしたら私が話し相手になりますよ。そうすれば眠ってしまうこともないでしょう?」

「確かにそうだね。それじゃあちょっと付き合ってもらおうかな」

「ええ、喜んで」

「それじゃあ飲み物をとってくるね」

 デスクから離れ、そういえばと口にする先生。

「アキラはコーヒーって飲めるの?」

「実は苦いものが苦手でして、まだ一度も飲んだことがないのです」

「そうなの? それじゃあ他のがいいかな」

「いえ、コーヒーを。先生が飲んでいるものに興味があるので」

「そう? それじゃあちょっと甘めに作るね」

 しばらくして持ってきた二つのカップを先生はローテーブルにコトりと音を立てて置き、アキラの隣へとソファーに腰かける。

「砂糖とミルクを入れておいたからそこまで苦くはないと思うよ」

「ありがとうございます先生。それではいただきます」

 アキラはカップを持ち、ゆっくりと口元へと運ぶ。カップのふちに口をつけ、少し開かれた口にコーヒーが流れ落ちる。

 すこし顔をしかめてカップとの距離を空ける。コクリとのどを鳴らし、カップをローテーブルに置く。

「……口に合わなかったかな」

「そうですね、飲めなくはありませんが少し……」

「無理してまで飲まなくてもいいよ」

「……あ」

 そういってアキラの前に置かれたカップを先生が手に取り、そのまま飲みかけのコーヒーを飲む。

 こくこくと先生の喉が鳴る。アキラはその姿を呆然と眺める。

 口を離し小さな吐息がこぼれる。

「……ん? どうしたの?」

「い、いえ。別になんでもありません。お気になさらず……」

 アキラは顔をそらす。髪に隠れて表情がうかがえない

「そう? あぁそうだ。口直しに何飲む?」

「それでしたら、冷たい水を……」

「わかった。ちょっと待っててね」

 そういって先生はその場を離れる。

 先生が戻ってくる前に落ち着こうとアキラは大きく深呼吸をした。

 ふぅと息を吐いたアキラの目の前には中身が残ったカップが二つ。

「………………」

 

 

「お待たせ」

「ありがとうございます」

 コップを手渡しで受け取るとそのまま水を飲み始める。

 その姿を見て先生は相当口に合わなかったのかな、悪いことをしてしまったなと心の奥で反省した。

 

 その後、二人は会話を長く楽しんだ。

 

 後日談になるが、この後アキラは克服するためとシャーレに来るたびコーヒーを飲むようになった。

 

 




書いた当時は『うっひょー! 天才じゃん俺って!』となっていたのに今になって見返すと『未熟者だなぁこのころの俺って』てなるのなんなん?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。