最初は眺めているだけで幸せでした。
けれど、いつしかその気持ちは変化していきました。
先生の隣にはいつも私の知らない誰かがいて、私の知らない先生の顔がありました。
大人として優しく微笑む顔、子供っぽく笑う顔、ちょっといやらしくニヤつく顔。生徒一人一人に見せる顔が毎回違っていて、きっと、そのような笑顔を私に向けてくれることはないのだと思うと、それがものすごく心をざわつかせるのです。
今日もまた、私の知らない生徒に知らない顔を向けるのでしょう。
けれど、私にいったい何ができるのでしょうか。いえ、私は先生に何を望んでいるのでしょうか。
自分の気持ちすらわからないまま、ただいろんな顔で笑う先生を眺めている日々を過ごしていたのです。
そしてある日思いついたのです。先生と二人で、邪魔をされることなく話をしようと。それができる場所を。
「……それがここ?」
先生が困ったようにアクリル板越しに私を見る。その反応も当然のことでしょう。セカンドコンタクトが留置所になるとは思ってもみなかったでしょうから。
「最適な場所だとは思いませんか?」
「先生としては同意しかねるかな。私と二人で会うためにこんなことをする生徒は君が初めてだよ」
褒められるような名誉ではないし、先生にも迷惑をかけてしまっている。けれどどことなく心が浮き立った。
しかし「いや、方向性は違うけど同じようなことをした生徒がいたっけ」と先生がつぶやいたことで冷や水を浴びせられ、逆にその生徒はいったい誰なのかといきり立つ。
「そんなことより先生」
荒んだ心を落ち着かせるよう一呼吸おいてから呼びかける。
「私は今先生のことばかり考えています。そして先生のことを考えていると嬉しくなったり、悲しくなったり、自分の感情が制御できません。私はどうしたらいいのでしょう。私は先生とどのような関係を作りたいのでしょう」
めちゃくちゃな質問だとは自分でもわかっている。他人の気持ちを見通すなんて大人であってもできるはずがない。それでも、聞かずにはいられなかった。話さずにはいられなかった。
「…………」
沈黙が続く。目を伏せ、悩ましい表情を浮かべながら先生は低く声を鳴らす。
先生が口を開いて出した言葉は謝罪だった。
「ごめん。私はその問いに答えることはできない」
わかっていたことだった。わかっていたけれど直接言われると心が切られたような痛みをおぼえ、顔を伏せた。
けれど、その先の言葉を聞いて私ははじかれるように先生の顔を見た。
「だけど、君がその思いに納得のいく答えを出せるまでいつでも話に付き合うよ」
「本当、ですか……?」
「うん。答えを見つけるまでも、答えを見つけた後でも、いつでもね」
先生は私を見つめ、微笑んでいった。
「だって私は先生だから」
その言葉を聞いて心のモヤが晴れたかのように頭の中がすっきりした。
私はきっと先生が私の知らないナニかになってしまうことを恐れていたのだろう。
けれど先生はいつまでも先生でいてくれるのだと、そう思えた。
「ありがとうございます。先生」
立ち上がり、先生に背を向け扉へと向かう。
「もう、いいのかい?」
「えぇ、先生と話すことができてよかったと、心から思います」
「……そっか、力になれたのなら先生としてこれ以上ないくらいうれしいよ」
扉を開け、部屋の外に出て、扉がゆっくりと閉じられていく。
「それでは先生、また会いましょう」
その言葉とともに私と先生の面会は終わった。
私はこの面会室に来る時とはまったく逆の足取りで軽快に歩みだした。
後日、先生がニュースを見ていると速報として慈愛の怪盗が脱走したと報道された。
我慢できず天井してきました。
結果ツクヨとミチル、二人をお迎え出来ました。
そして石が5000になりました。
ブルフェスに参加するので課金出来ません。
アニバまで時間がありません。
負けました。
次の私はうまくやることでしょう。