ブルアカ二次短編集   作:朱汰清家

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先生にゲームを持ちかけるアキラ

「先生、ゲームをしませんか?」

 仕事中、突如アキラからそんな提案をされた。

「唐突だね」

「少し根を詰めすぎている気がしましたので息抜きにどうかと」

「なるほど」

 時計を見てみると確かに最後に取った休憩から数時間が経過していた。自分一人ならまだしも生徒に長時間働かせてしまったことに申し訳なさを感じる。

「ごめんね、気が付かなくって」

「いえ。普段から忙しい先生のお手伝いができてうれしいですよ」

「そっか。ありがとうね。……それでどんなゲームをするの?」

「それはですね。これです」

 そうやってアキラが取り出したのは誰もがなじみのあるカードの束だった。

「……トランプ?」

「はい。定番ですがこれ一つでいろんなゲームができるというのはとても素晴らしいと思いませんか?」

「確かに。私が知ってるだけでもババ抜き、ポーカー、七並べ、大富豪。そう考えると確かにすごいね」

 今までは何とも思っていなかったがアキラと話していてトランプが広く知られているのはこういったところが魅力なんだろうなと思った。

「それで今回やるのはインディアンポーカーです」

「? 初めて聞くゲームだね。ポーカーって名前がついてるし似たようなゲームかな」

「そうですね。むしろポーカーよりも簡単かと」

「そうなの?」

「はい。ルールとしましては配られた一枚のカードの絵柄を相手に見えるように額の前に掲げます。この時自分のカードの絵柄を見てはいけません。そして相手のカードを見て話し合いをし、降りるか勝負するかを決めます。カードの強さとしてはKが一番強くAが一番弱いというルールになっています。ね、簡単でしょう」

「確かに。これならすぐできそうだね」

「それでは練習もかねて一回やってみましょう」

 アキラがトランプをシャッフルする。その手つきはかなりこなれていて心地よいカードを切る音が部屋に響く。

「あれ? そういえばジョーカーはどうなるの?」

「ああ。すみません、言い忘れていました。ジョーカーは抜いてあります」

「なるほど。わかったよ」

 カードを切る音が途切れる。どうやら準備ができたみたいだ。

「それでは先生、始めましょうか」

 一枚のカードが配られ、絵柄を見ないようにカードを額の前に掲げる。同じようにアキラもカードを掲げていた。その絵柄はハートのJ。勝つためには最低でもQ。なるほど。自分の手札が見えないのが結構不安になる。でもそれは相手も同じ。要はこういった場合相手が降りるように話し合いで誘導するのがこのゲームの面白いところなのだろう。

「先生の手は結構厄介ですね」

 アキラが話し始める。

「厄介っていうと、それなりに良い手札なのかな」

「そうですね、そのカードに勝てるのはなかなかないかと」

「そういうアキラの手札は平均的だね」

「ほう。なるほど。可もなく不可もなくといった手札といったところですか」

「そうだね。でもまあ、それなりに良いほうだと思うよ」

 練習だというのに妙な緊張感が体を支配する。アキラの目がじっとこっちを見据えてくる。ここで目をそらしてはアキラに嘘がばれてしまうだろう。

「それでは勝負するか決めましょうか」

「そうだね。それじゃあ……」

「「せーのっ!」」

「「勝負っ!」」

 場に出されたカードはアキラのハートのJとスペードの9。要はこの勝負。

「私の負け、だね」

「ええ。私の勝ちです」

 背もたれに体重をかけ息を吐く。

「ルール自体は簡単だけど結構奥が深いゲームだね」

「ふふ、お気に召してくれたようでうれしいです」

「うん。とても気に入ったよ。それじゃあ続けようか」

「そうですね。では始めましょうか」

 

 この後何度か勝負をした。

 

「強いねアキラ」

「先生こそ初めてやるゲームなのにかなりの腕前ですよ」

「それなりに遊んだし、次で最後にしよっか」

「そうですね。……あっ」

「どうしたの?」

「最後ですし賭けをしませんか?」

「賭け……?」

「ええ。内容はシンプルに、勝ったほうの言うことを何でも聞く、でどうでしょう」

「いいよ。そのほうがおもしろそうだし」

 最後のカードを切る音が部屋に響く。

 正直この勝負勝っても負けてもどっちでもいいと思っている。けれど、だとしても勝ちたいと思ってしまうのは人の性なのか、わくわくがとまらない。

 シャッフルを終えカードが配られる。

 アキラの手札はダイヤのQ。ほぼ確実に負けるだろうと確信を持てる手札だった。

「……なるほど。ここでそのカードですか」

「……?」

 ぼそっとつぶやかれたアキラの言葉は先生の耳には届かなかった。

「それでは先生。どうしますか?」

「……最後だし単純な運任せにしようかな」

「おや、そうですか。では私も同じようにするとしましょうか」

「「せーのっ!」」

「「勝負っ!」」

 場に出されたカードを見て驚いた。出されたカードはダイヤのQとハートのK。まさか自分が勝っているとはおもってもいなかった。

「やはり負けてしまいましたか。Kを引けていれば引き分けられたのですが、そううまくはいきませんね」

「私もまさか勝っていたとは……。びっくりしたよ」

「それでは先生。私にどんなことを要求しますか?」

「どんなことって……」

「先生の言うことだったら私は何でも聞きますよ。……なんでも。どんなことでも、ね」

 なんだかアキラの物言いに少し思うことはあるが気にしないことにした。

「そ、そっか。それじゃあ……」

 それに、お願いすることは最初から決まっている。

「また今度、一緒に遊ぼうか」

 この言葉にアキラは一瞬きょとんとするがすぐにくすくすを笑みをこぼした。

「……まったく、先生はやはり先生、ですね」

「……だめ、かな?」

「いいえ。喜んでお受けします、先生。また一緒に遊びましょう」




ホドくんもそろそろ力尽きそう。
ビナー君、ケテル君、ケセド君、もう一人友達送ってあげるからね。
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