キキちゃん大暴走!?
「あぁぁぁ、極楽だなぁ」
ちゃぷちゃぷと湯船を揺らしながら先生は体の疲れをとってくれる山海經の温泉を堪能していた。
「着替えを用意しておいたぞ先生」
「ありがとうキサキ」
更衣室へとつながる扉から聞こえてきたはこの山海經の門主、竜華キサキの声だった。
先ほどまでキサキとともに体操をしていた先生は汗を流すためキサキの好意によって六和閣内にある温泉に浸かっている。
キサキの後でいいと先生は言ったがどうやらキサキは少しやるべきことがあるからといい譲ってくれた。
「先生、湯加減はどうかの?」
「ちょうどいいよ」
「そうかえ」
扉の向こうから聞こえてきたキサキの声はそれっきり聞こえなくなってしまう。静かな部屋に少し身じろぎしただけでちゃぷちゃぷと水面が揺れ音が響き渡る。
きっと着替えをおいて出て行ったのだろう、そう思い先生は温泉を堪能しようと意識を向けた。
そんな風に湯船につかり力を抜いている先生だったが、ガラガラッと扉が開いた音に驚き、とっさに扉の方へ視線を向ける。
「せんせー! キキもいっしょにはいる~!」
「!?」
扉を開けて入ってきたのは他でもないキサキだった。しかもその身には何一つ羽織っておらず、なめやかで美しく、白く輝く肌がほんのりと赤みを帯びている。そして何も身にまとっていないから当然というべきか、本来隠されているべき秘部が丸見えであった。
「ちょっとキサキ!? なにして――!?」
「キキ、まだ一人でおふろ入れないの。だからいっしょにはいって!」
子供のように甘く、愛嬌のある声でキサキは先生のそばにペタペタと駆け寄ってくる。そしてその勢いのまま湯船へと無邪気に入ってきた。
「きもちいーね! 先生!」
キサキは先生にまたがり、体を左右にゆらゆら揺らすと湯船も同じように揺ればちゃばちゃと音をたて、お湯がこぼれ落ちていく。
「キサキ! 男女が一緒のお風呂に入るのはいろいろと危ないんだよ!」
「キキ子どもだからむずかしいことわかんなーい! ……それとも」
さっきまでの元気いっぱいな雰囲気はどこへやら、キサキはゆっくり先生の顔に迫る。
「先生はキキといっしょにおふろ入るの、イヤ?」
うるうると瞳を震わせ、上目遣いでみつめてくるキサキに圧されてしまい、先生は断りきることが出来なかった。
「……わかったよ、キキ。一緒に入ろっか」
「わーい! せんせーとおふろー!」
華のような笑顔を浮かべギュッと抱き着いてきたキサキに先生はドギマギとしてしまう。キサキの細く伸びる腕が先生の首に絡まり、同じようにしなやかな足は先生の腰に巻き付いてきていて、今キサキと先生の間にはお湯すら入り込むことが出来ないくらい密着していた。
いくら背が低いとはいえキサキのその肢体は色づき、艶めかしい雰囲気を放っている。触れただけで折れてしまいそうな腕はその実先生よりも強い力を秘めていているし、それでも先生は生徒に傷をつけることは出来ないからか力づくでキサキを引き離すことはしなかった。
「んふー。先生からだおっきーね!」
キサキは先生に頬ずりをはじめ、それに同調してキサキの体も上下へと揺れ、キサキの胸の先端についた秘部が先生の胸に擦りつけられる。
「――っん」
「!?」
先ほどまでの無邪気な声とは違い、色づいた声がキサキから小さくこぼれ出た、だけではなかった。キサキと密着しているからこそ先生は気付いた。キサキの秘部がぷっくらと大きく、硬くなってきていることに。
「やめよ! いったんね!」
先生は慌ててキサキを制止する。
「なんで? こうしてるとなんだかお胸がきもちいいよ?」
けれどキサキはやめるつもりはないらしくまた動き出す。
「……ぁ、ん。――っんあ」
しかも先ほどまでは頬ずりが目的で動いていたのに対し、今は秘部をこすりつけることを目的にしているように動いていた。
「ダメだって!」
「――ひゃぅ!?」
キサキの動きを止めようと先生はキサキの両肩に手を置き距離を取ろうとした。けれど先生の手が触れた瞬間、キサキの小さな悲鳴が浴室に響いた。
「ごっ、ごめん!」
とっさに両手を離し、自身の頭より上に手を上げる。
「…………」
謝罪もしたがキサキには聞こえていないのか返答がない。しばらくするとキサキはゆっくりと自身の肩に手を触れる。そしてそのまますーっと肩を撫でた。
「き、キサキ……?」
「……くふふっ」
妖しく笑うキサキにどこか焦燥感をおぼえた先生。このままじゃまずいと本能的に悟りこの場をやり過ごす方法を考え出す。
「そうだ! そういえばキキちゃんはまだ髪も体も洗ってなかったよねっ! 先生が洗ってあげよっか!」
とっさに出てきた理由だがこれ以上の理由は思いつかないほどの上策だと先生は思った。
「……うん! キキね、まだ一人であたま洗うのちょっと怖いの。先生、手伝ってくれる?」
「いいよ! 先生がキキちゃんの綺麗な髪の毛をちゃんと洗ってあげる!」
実際に効果はあったようで先生は安堵し、キサキとともに湯船から出てキサキを椅子に座らせる。
「それじゃキキちゃん。目をつむってね」
「うん!」
目の前の壁についている鏡越しにキサキが目をつむっていることを確認し、シャワーの温度がちょうどいいことを確認してからキサキの頭にシャワーをかける。するとキサキの長い髪が濡れ、キサキの小さな背中にピタっと張り付いていく。
「――っ」
傷一つないほんのり赤みがかった白く綺麗な背中から滴り落ちていく水滴たち。その一粒一粒がまるで先生自身の理性のひとつみたいに感じてしまい、一粒落ちていくごとに先生の理性も少しずつ削られていくように感じた。
何とか気持ちを落ち着かせ、一度シャワーを止める。備え付けてあったシャンプーボトルを手に取りワンプッシュすると、手のひらに広がった液体から嗅いでいて心地よくなる香りが立ち込めてきた。
「それじゃあシャンプーするよー」
「はーい!」
手のひらのシャンプーを泡立ててキサキの頭に触れて先生は驚いた。両手のひらで包めてしまいそうなほど小さな頭に自身の頭とこれほど違うものなのかと。
そんな先生の驚きはよそにわしゃわしゃと手を動かしていたことでシャンプーはどんどん泡立っていき、あっという間にキサキの頭に泡の塊が出来上がった。
「かゆいとこありませんかー?」
「ぜんぶー!」
「全部って……」
「もっとわしゃわしゃーってしてほしいっ!」
「はいはい」
キサキの要望通りに少し力を入れてわしゃわしゃと手を動かす。するとキサキの頭も少しゆらゆらと揺れていく。
「あははー! もっともっとー!」
「もっと? しょうがないな。おりゃーっ!」
「キャーー!!」
力いっぱいキサキの頭を掻き回すことで今度は体までゆらゆらと揺れていく。
「楽しーい!」
きゃっきゃと騒ぐキサキと共に少しの間楽しんだ先生はキサキの髪を丁寧に洗っていく。手櫛を使い上から下へとキサキの髪を梳かし、泡を広げていく。
「……綺麗な髪だね」
何回も手櫛で梳かすが一度たりとも指が引っかかることはなく、このままずっと梳かし続けていたいと思うほどキサキの髪はさらさらで心地よかった。
「えへへ。先生にほめられちゃったっ!」
鏡に映ったキサキは目をつむったままにへらと顔をほころばせ、パタパタと足を動かしていた。
「それじゃあシャワーするよー」
「うん!」
先生はシャワーヘッドを手に取り、温度を確認してからシャワーで泡を洗い流す。白い泡の塊が一つ、また一つと髪から流れ落ち排水溝へと運ばれていく。
やがて泡は全て洗い流され、先生はキサキの髪が先ほどよりも煌びやかに光り湿っているみたいだと感じ見惚れてしまう。
「洗ってくれてありがと! 先生!」
「どういたしまして」
「それじゃあ今度はキキの番ね!」
「……ん?」
「はい先生! ここにすわって!」
立ち上がったキサキは先ほどまで自身が座っていた椅子に先生を座らせる。先生はまるで状況を理解できておらず、「今度はキキが先生の頭を洗ってあげるの!」という言葉でようやく状況を理解した。
「私は一人でも洗えるから大丈夫だよ。というかそもそもさっき洗ったから」
「やだ! キキ先生の髪洗うの!」
「やだって……」
むーと頬を膨らませ、駄々をこねるキサキに先生は折れる。
「それじゃあお願いしようかな」
「! うん!」
パァと笑顔を浮かべ先生の髪を洗いはじめるキサキ。
「どう先生? きもちいい?」
「うん。気持ちいいよ」
「よかったぁ。えへへ」
わしゃわしゃと先生の頭を掻き回すキサキの小さな手はちょうどいい力加減で先生の頭を泡立てていく。
先生は目をつむり、キサキのなすがままに身をゆだね、心地よさに浸っていく。
「――ふっ」
「!?」
気を抜いていた先生だったが。突然左耳に息が吹きかけられビクッと体が跳ねる。
「あはは! おどろいた? 先生」
「急にびっくりしたよ」
「なんだか急にいたずらしたくなっちゃったの!」
いたずらっぽく笑うキサキに「こら」と軽く怒り、もう一度キサキに身をゆだねる。「ごめんなさい」と謝ったキサキは先生の頭をもう一度洗い始め――。
「――ふぅぅぅ」
「!?」
今度は先生の右耳に息を吹きかけられる。それもねちっこく。
「もうキキちゃん! また――」
「――のう先生。一つ訊ねたいことがあるのじゃが……」
「ぁえ? き、キサキ?」
右耳でささやく声はキキではなくキサキの声だった。そのことに混乱しているとキサキの気配が移動する。
「先生はキキのこと好き? それとも――」
左耳でささやく声はキキのもので、そしてまた気配が移動する。
「――妾のほうが好きかえ?」
右耳でささやくキサキの声。
「キキか」「妾か」
甘くささやく声。
「どっちが好き?」「どっちが好きかえ?」
脳が蕩けてしまいそうになる声。
「キキは」「妾は」
鼻腔を突き抜ける香りが。
「先生の事」「お主のことを」
先生の思考を麻痺させていく。
「すきだよ?」「愛おしく思ってる」
理性はすでになく。
「ねえ先生?」「のう先生」
本能に支配された体は。
「キキと」「妾と」
止まることはなかった。
「「一つになろう?」」
その言葉を最後に先生の意識はなくなった。
次に先生が目を覚ました時、そこはキサキの部屋のベッドの上で、先生はキサキを胸に抱いていた。
共に……一糸まとわずに。
全人類キサキASMRを聞け