ブルアカ二次短編集   作:朱汰清家

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ヒナ
クリスマスイブのシークレットミッション


 月明かりに照らされているのは大勢の生徒が寝静まったゲヘナ学園の寮。その中で闇夜に紛れこそこそと動く4つの影があった。

「――皆さん、準備はよろしいでしょうか?」

「はい、問題ありません」

「私も大丈夫」

「もちろん」

 窓から月明かりがのぞき影を照らす。その影の正体はゲヘナ風紀委員会のアコ、イオリ、チナツ、そしてシャーレの先生だった。

「それでは皆さん、これから『ヒナ委員長に愛を伝えようクリスマスプレゼント大作戦!!』を開始します!」

「……作戦名もうちょっとどうにかなんなかったのかな……」

 静かな廊下に4人分の足音が響く。

「ところでアコちゃん。なんでこんな格好を?」

 イオリが自分の服と、皆の服を見渡す。そこにはいつもの見慣れた服装ではなくサンタのコスプレをしている自身と、チナツ、そしてシャーレの先生の姿があり、一人だけトナカイのコスプレをしているアコの姿があった。

「そんなの決まっているでしょう。ヒナ委員長にクリスマスプレゼントをわたすんですから」

「いや、べつに渡すだけなら恰好なんてどうでもいいでしょ。委員長が起きてるわけでもないんだし」

「そうですよ。行政官にいたっては首輪に鎖なんてつけて。じゃらじゃらと音がしてまあまあうるさいですよ」

「やっぱり鎖じゃなくてリードにした方がよかったんじゃない?」

「いや先生、そういう問題じゃないでしょ」

「そもそもなんで先生はアコちゃんの鎖を持ってるんだ?」

「私はサンタさんでアコはトナカイだからね」

「くっ、賭けにさえ負けなければ私が先生の手綱を握れたというのにっ!」

「……行政官」

「それに私はみんなの可愛い姿が見れてうれしいよ」

「――なぁ!? 急に変なこと言うな!」

「そう言っていただけるのはやぶさかではないのですが、この状況では素直に喜べないというか……」

「無駄口はそこまでです。はやくヒナ委員長の元へ急ぎましょう」

 静かな廊下に響く4人分の足音が響き、ひとつのドアの前で止まる。

「ここがヒナ委員長の部屋です」

「アコちゃん、部屋の鍵はどうするの?」

「大丈夫です。こういう時のためにピッキング技術を磨いて――」

「あっ。私合鍵持ってるよ」

「――――え?」

 先生がポケットから小さな銀色の鍵を取り出したことで3人の動きがピシャリと止まった。

「……合鍵って……委員長の……?」

 イオリがおそるおそるといった様子で先生に尋ねる。

「うん。なにかあったときのためにって渡されたんだよね」

 先生は気にすることなくその鍵をヒナの部屋のカギ穴に差し込む。そしてくるりと回してガチャッ! と鍵が開いた音が静かな廊下に響く。

「はぁぁぁあああああああああ!!!!???」

 静かだった廊下にアコの大絶叫が響く。

「ふざけないでください! 私ですら部屋に入ったことすらないのに! 羨ましい!」

「アコちゃん!! 声!! 声!! 落ち着いて!!!」

「そうです! ここで騒いだら委員長が起きてしまいます!!」

「こんなの落ち着いていられますか!! ヒナ委員長から合鍵を渡されるだなんてっ! そんなのっ! そんなのっ!! そういう事じゃないですか!!」

 イオリとチナツが両側からアコをなだめようとするがアコは止まらなかった。

「というか先生も先生です! どうして合鍵を受け取ってるんですか!? 普通受け取らないでしょ!?」

「いや、私も最初は断ったんだよ。でもヒナが……」

 

『いやいや、流石に受け取れないよ』

『……なんで?』

『部屋の鍵なんて安易に人に渡すものじゃないよ。悪用されちゃうかもしれない』

『安易じゃない。先生だから渡したいの。……それに、先生なら信頼できるから。それとも、先生は私の部屋の鍵を悪いことに使う気なの?』

『そんなことはしないよ!』

『なら、問題ないわよね……………………悪用してくれてもいいのだけれども』

『? なにか言った?』

『いいえ、べつに』

 

「――てな感じでね」

 ヒナから鍵を受け取った経緯を話し終えた先生を信じられないといった表情で3人は見つめる。

「どうして先生なんかに……ヒナ委員長……」

 先ほどまでの興奮はどこへやら、アコは一気に沈み込み元気の欠片も見当たらない。

「……まさか委員長がそこまで……」

「というか先生って気づいているの?」

「……わかりません。先生も誤魔化すのは上手ですから」

「どっちにしろ『先生だし』って感想に行き着いちゃうしなぁ」

 チナツとイオリは少し離れたところで先生に聞こえないようひそひそと話をする。

「――はぁ。なんでもいいからもう済ませましょう。合鍵の件はまたあとで問い詰めればいい話ですし」

 チナツが当初の目的を引っ張り出し空気を切り替えた。アコも気持ちの整理がついたのか、先生をにらみつけながら話に加わる。

「えぇ、そうですね。今はヒナ委員長にプレゼントを渡すことが先決です。チナツ、プレゼント袋を」

 チナツから大きなプレゼント袋を受け取ったアコは一度中身を確認する。

「………全員分ありますね。それでは先生、行きましょう。二人は当初の予定通りに見張りをお願いします」

「ちょっと待っててね二人とも」

「お気をつけて先生。そして行政官」

「任せて先生、アコちゃんも」

「なんで私がついで扱いなんですか?」

「普段の行いじゃない?」

「あとでみっちりお話ししましょうね先生」

 音をたてないようヒナの部屋に侵入する二人。

 ヒナの部屋の中は真っ暗で、明かりひとつなかったが、夜目を頼りに暗闇の中を進む。抜き足差し足で部屋の中を進み、とうとうヒナが寝ているベッドの目の前にたどりついた。

「――わかってますね先生?」

「だいじょうぶ、音をたてないようゆっくりとやるから」

 アコはプレゼント袋を両手で広げ、先生は開かれた袋の中からプレゼントを1個1個慎重に取り出す。そして寝ているヒナのとなりにそっと置いていく。

 1個、2個、3個…………そして最後の1個を袋から取り出した時の事だった。

「――ん、んぅ……」

「「――っ!!??」」

 ヒナが目をこすりながらベッドから体を起こした。

「アコと……せんせい?」

 眠たげの眼でアコと先生を視界におさめたヒナに二人は動揺する。

「……なにやってるの? ふたりとも?」

「……チガウヨ、ボクサンタダヨッ。コッチハトナカイダヨ」

「メェ~~~」

 苦し紛れの言い訳をする先生とトナカイじゃなくて羊の鳴き真似をするアコ。普段のヒナならすぐにでもツッコミを入れていただろうが、まだ寝ぼけているのかぼーっと二人を眺めている。

「ヒナチャンハイイコダカラネッ! プレゼントヲモッテキタヨ!」

「ぷれぜんと……?」

「ソウダヨ。ヒナチャンハナニガホシイノカナ?」

 必死にサンタの真似をしこの場を乗り切ろうとする先生。けれどヒナの返答は先生の予想とはかけ離れたものだった。

「……先生」

「「……え?」」

 ヒナの一言に驚いてしまう二人は、そのせいでヒナの動きに反応できなかった。

 ヒナは先生を抱き寄せるとそのままベッドに横になってしまう。

「ちょ――! なぁっ――!?」

「ひっ! ヒナ!?」

「んふー。せんせいあったかーい」

 抱き寄せた先生の胸に自身の頭をこすりつけ、じゃれつくヒナ。甘えん坊なヒナを見た先生は『あっ可愛い』とどこか他人事のように一瞬考えてしまう。けれどすぐに正気に戻りアコに助けを求める。

「ちょ! 助けてアコ!」

「ヒナ委員長と一緒に寝るだなんてっ! なんて羨ましいッ!!」

「アコ!?」

 すでにヒナはすー、すー、と小さな寝息を立てて眠ってしまっている。

「アコ! ヒナが起きる前にはやく!」

「はいはい。まったく先生ったら……あれ?」

「……どうしたの、アコ?」

 アコは先生を抱き寄せているヒナの手をほどこうとするが、一切びくともしなかった。

「あ、あれ……?」

 ヒナをおこさないようにと手加減をしすぎていたのかと思い、先ほどより力をこめてもう一度やってみるが結果は変わらず。

 今度こそはと一切の遠慮を無しにしてほどこうとするがむしろヒナの拘束が強まってしまう。

「力つよすぎ!?」

 

 その後外にいたイオリとチナツの力も借り、先生は何とか脱出できた。

 

 それと、後日なぜか先生の机の上に生徒が合鍵を忘れていくという事件が多発した。




皆さんブルアカDJふぇすつあーの申し込みは済ませましたか?
締め切りは明日の夜までなので忘れてた方は急いで申し込みしましょう。
私はフェスでの熱狂が忘れられなかったのでそっこー予約しました。
私の熱い思いがあれば当選は確実でしょう。
皆さんと一緒に盛り上がれる日を楽しみにしてますね。
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