見ても見なくてもどっちでもよかです。
いつかのナザリック
豪勢なベット。
規則正しい寝息、柔らかな寝顔。一見すればどこにでもいる可憐な少女。しかしその姿は奇怪である。
髪の代わりに揺れるのは、太くしなやかな触手。植物のような緑の表面には等間隔に斑点が浮かんでいる。
プレイヤー名、『トンヌラ』。
会社の先輩でもありギルドの仲間でもあるモモンガと共にユグドラシルでサービス終了日を迎えたのだが、その後の転移事件に巻き込まれこの世界へとやってきた。
もっとも、彼とモモンガは一緒には転移しなかったのだが……。
「トンヌラ様……」
柔らかな声が静寂を揺らす。
ベットの傍らに立つのはメイド服を身にまとう金髪のメガネ美少女。その頬はわずかに紅潮し、少女へと向けられた視線には隠しきれない熱が宿っていた。
それは忠誠か、あるいは。
もぞもぞと布団にくるまったものが動く。
「トンヌラ様、起きてください」
朦朧とする意識のまま、彼はそれに応じる。
「……ママ?」
「──っ!」
わずかな間。
「……いいえ、メイドのリュミエールでございます。おはようございますトンヌラ様、朝になりましたのでお声がけさせて頂きました」
「っ!?」
意識が覚醒したトンヌラは勢いよく跳ね起きた。
サラリーマンとして生きていた時はこんな高級ベットで寝たことが無かったのもあってかつい子供のように熟睡してしまう。
理由はそれだけでなく、トンヌラの保持している
それよりも、とんでもなく恥ずかし場面を見られてしまった。そう思い、トンヌラは恐る恐る視線を横へ向ける。そこには長髪にメガネかけた美しいメイドが柔らかく微笑んでいた。
「えっと…、僕なんか変なこといってた?」
「いえ」
即答だった。
「私は何も見ておりませんし、何も聞いておりません」
一切の迷いもない言葉。まっすぐすぎる視線。
「そ、そっか」(絶対うそだ……)
結局トンヌラはそれ以上追及できず、ぎこちない笑みを浮かべた。
ベットから降りて背を伸ばす。
体が凝るのか本人も知るところではないが人間だったころの名残で背を伸ばす。
「トンヌラ様、本日のご洋服を用意させていただきました」
差し出されたのは、フリルとリボンがこれでもかとあしらわれた、どう見ても子供用の衣服だった。それを見てトンヌラは口が引き攣りかけるがなんとか笑顔を保ち質問する。
「そ、そんな服持ってたっけ?」
「メイド総出で作らせていただきました!」
満面の笑み。
逃げ道、なし。
「………」
断れる空気ではなかった。
(え、待って、これを着るの?僕が?)
元男としての理性が必死にブレーキをかける。
──しかし。
「お気に召しませんでしたか?」
「ううん、とってもかわいい!」(うぎゃー!?何言ってるんだ僕!)
胸の奥から妙に高揚した感情が溢れ出てくる。
これがデメリットスキルによるもの。アインズの感情抑制と同じく、種族スキル的なものなのでアイテムなどで効果を消すことは出来ない、と実験済みである。
「では、お召し物脱がさせていただきます」
「……あの、他のメイドにも言ったけど自分で出来るよ?」
「はい。ですが私どもメイドは至高の御方に奉仕するために存在しております」
一歩、距離を詰めてくる。
「目の前でお手を煩わせるなど、見過ごすことは出来ません」
「…まぁ、その……お願い、します」
「ありがたき幸せ」
(いやこれ、普通に羞恥プレイでは?)
そもそも自分達が造った
「それでは、バンザイしてください」
「う、うん」
両手を上げる。
そして、自分の格好の恥ずかしさと無防備さに気づく。
(無心、無心でいけ)
リュミエールがにじり寄ってくる。
にこやかな笑み、揺れる長い髪。そして上から見下ろす視線。
思わず一歩後ずさる。
この姿になったことで身長は元の体より小さくなっている、ほとんど見下ろされることが多い。それに加えナザリックの人間型のNPC達は美形揃いで、ただでさえ女経験がほとんど無いトンヌラに『美女に見下ろされる』という行為は慣れるものではなかった。
「失礼しますね、トンヌラ様」
指先が、服にかかる。
びくり、と身体が跳ねた。
「……っ」
思わず肩がすくむ。
その反応を見てリュミエールはわずかに首を傾げた。
「……くすぐったいですか?」
「ち、違うよ」
否定する。
しかし、
指先が布越しに滑るたびに、びく、と身体が反応してしまう。
(くそ、子供の身体ってこんなにっ!)
「お身体が敏感でいらっしゃるのですね」
にこり、と微笑むリュミエール。
「そ、そんなんじゃ、ない」
言葉が見つからず、目を逸らすことしか出来ない。
と、そんな羞恥プレイもすぐに終わり。
「とてもかわ……お似合いでございます」
「…あ、ありがとう」(今、"かわいい"って言いかけたよね?)
着せ替え人形にでもなった気分だと、乾いた笑みをこぼす。
「本日のご予定ですが、午前十時からアインズ様との会議がございます」
リュミエールは何事もなかったかのように続ける。
「その後、昼食を取ったのちに第六階層の視察となっております。現在、十時まであと二時間半ほど暇がございますが、いかがなさいますか」
「……けっこう時間あるね」
少し考えて。
「とりあえず食堂に行って、ごはんを食べるよ」
「かしこまりました」
リュミエールが一礼した直後、思わず声が出てしまう。
「おなかすいたなぁ」
はっ、として手で口を塞ぐトンヌラ。
(バカっ、仮にも至高の存在なんだぞ、僕!こんな子供みたいな発言っ)
リュミエールは一瞬だけ目を細めて、
「すぐにご用意させていただきますね」
どこか嬉しそうに微笑む。
(何その表情っ!?分からん!)
「お供させていただきます」
「う、うん、よろしく」
どうにも主導権が握れないトンヌラだった。
──────────
──────
──
赤を基調としたゴシック装飾の一部屋。
重厚な調度品に囲まれたその空間に、三人の女性階層守護者が集まっていた。
それはいつかナザリックの主人であるアインズが意識改革のため、女性守護者に休暇を取らせたのが始まり。
「それでは」
ゆったりとした所作で、黒い翼を揺らしながら口を開く。
「第三回ナザリック地下大墳墓・女子会を始めるわ」
場を仕切るのはアルベド。
集まった三人の中で役職柄司会に慣れており、誰かが決めたわけでもなく自然とアルベドが進行を務めていた。
「本日の担当は──シャルティア。貴方だったわね?」
「そうでありんす」
真紅の瞳。白い肌。派手なドレスに身を包んだ吸血鬼──シャルティアが、ゆっくりと立ち上がる。
「さてさて、今回のお題でありんすが──」
わざと間を取る。
視線が集まるのを楽しむように。
「休憩時間・休日の過ごし方でありんす」
「え、それ前にやらなかった?」
即座にツッコミを入れるのは、オッドアイのダークエルフ──アウラ・ベラ・フィオーラ。腕を組み、露骨に首を傾げる。
「やったでありんすよ」
涼しい顔で頷くシャルティア。
「ただあの時はアインズ様からご命令を受けた直後。あれから多少時も過ぎたことですし、他の者は休息をどのように過ごしているのか気になって今回の議題にしたでありんす」
「……なるほどね。確かに、興味深いわ。よろしい、今回はその議題でいきましょう」
「決まりでありんすね。ではわたしから」
パン、と軽く手を叩く。すると奥から配下のヴァンパイアブライドが箱を持って現れ三人が囲むテーブルの上にそれを置く。
「何これ?」
「これは第九階層にあるネイルショップで頂いたものでありんすえ!」
自慢げに胸を張るシャルティア。慣れた手つきで箱を開くと、中には色とりどりのネイル道具が並んでいた。
「へぇー、ネイルかぁ。あんまりしたことないなぁ」
「爪の手入れは淑女の嗜みでありんす」
笑いながらシャルティアは指先を眺める。
「まぁ……ちびすけには、まだ少し早いかしら?」
「はぁ!?」
ばん、と机を叩いてアウラが立ち上がる。
「誰がちびすけよ!」
「おやおや、図星でありんしたか?」
くつくつと喉を鳴らしてシャルティアは煽るように笑う。
「やめなさい」
空気が止まる。
低くよく突き通る声。
「前回のように口論が長引くのはごめんよ」
静かに告げるアルベド。その声音には有無を言わせぬ圧があった。
しかし。
「えっ、でも前回ってほとんどアルベドとシャルティアが──」
「──何か?」
笑みを浮かべるアルベド。
「あ、うん、なんでもない」
即座に引くアウラ。
(どの口が言ってんの???)
「はぁ。で、シャルティア」
アウラが尋ねる。
「爪の手入れってアインズ様の命令の前からしてたでしょ?なんで今更?」
その質問を待ってましたと言わんばかりにシャルティアは口元を歪める。
「以前、爪が欠けたことがありんしたの」
指先を眺めながら、うっとりとした表情で続ける。
「その折にネイルショップで整えた爪を
「えっ!?」
シャルティア以外の二人は目を丸くして驚く、しかしシャルティアの追撃はまだ終わらない。
「トンヌラ様もご興味があったようなので、わたしの部屋に招待してご一緒にネイルを楽しんだでありんす」
「え、えぇ!?トンヌラ様を部屋に招いたの!?」
「ええ、とても楽しんでいたようで」
満足げに目を細める。
「あぁ、なんとも愛らしくて」
「す、すごいねシャルティア」
「………」
アウラは純粋に羨ましがっていたが、アルベドは嫌な予感がしていた。それは先程からこちらを挑発してるようないつもの視線をシャルティアが送ってくるからだった。そしてその予感は当たる。
「あぁ、そうそう。その時にわたしの悩みもお聞きになってもらいんした」
「……悩み?」
「恋の悩み、でありんす」
「ッ!?」
にまぁ、という音が聞こえてくるように口元を歪めるシャルティア。その目線はまっすぐとアルベドへ。
「それはそれは、親身にお応えくださり」
(……まさかっ)
「わたしの恋を──応援してくださる、と」
(この吸血鬼!)
一瞬で理解するアルベド。
(至高の御方を味方につけたというの……!?)
「ふふふ……」
勝ち誇ったようなシャルティアの笑み。
「そう……」
しかし、アルベドもまた、笑う。
しかしその瞳は決して笑ったなどいなかった。
「それは良かったわね」
「ええ、とても」
バチバチ、と火花が散る。
いきなり開幕した女の戦いに、アウラは"あ〜あ、また始まった"と一人ため息を吐く。
女子会はまだ始まったばかりである。
──────────
──────
──
「アインズ様、トンヌラ様がお見えです」
「あぁ、もうそんな時間か」
一般メイドに呼ばれて書類から顔を上げる、執務室に入ってきたのは可愛らしい服に身を包んだ、小さな異形の少女。
かつての後輩であり、ギルド『アインズ・ウル・ゴウン』のメンバー、数少ない現実を知る存在。
(俺を慕ってくれてたあの後輩が、どうしてこうなった)
可愛らしい、という感想が先に出てしまうことに困惑する。
(いや、落ち着け俺)
「先輩、おはようございます!」
「トンヌラ君、おはよう。あと先輩ではなくアインズと呼ぶように」
「あ、あぁすいません。慣れなくて、あははは」
「まぁいい。さ、そこに座ってくれ」
「はい」
見るからに高級ソファーに腰を掛けるアインズとトンヌラ。すぐに控えていたメイドが紅茶を用意して心地よい匂いが香る。
「じゃあ僕から第五階層の視察の報告をしますね」
差し出されたのは分厚い資料の束。アインズはそれを受け取り、静かに目を通していく。
「やはり対象を広げるとこの量になるか」
「はい。NPCだけじゃなく一般モンスターにも聞いたので」
トンヌラはナザリックにおいて"人事"を担当することになった。
きっかけは単純。
『……ナザリックがブラック企業になるのは避けたい』
かつてアインズがボソリと漏らした一言。それを拾った結果が今の体制である。
「ふむ……」
資料をめくるアインズ。
そこに並ぶのは、アンケート結果と面談記録。
「やはり……休憩と休日の意識が低いな」
「はい。そこが今の課題だと思います」
「ふむ……無理もない話ではある」
アインズが手を止める。
「アインズさん?」
「この体は睡眠も休息も食事も必要ない。そうなると時間を忘れていつまでも働いていることがたまにある。ナザリックには同様の者も多い。あるいは、アイテムよってそれを克服している。結果として、"働き続けられてしまう"環境が出来上がる」
「はい」
「だが──」
アインズは資料を閉じる。
「心は別だ。ストレスはどうしても溜まるもの、それを発散させねばいつか爆発する。故に休息は大事だと私は考える」
トンヌラの目が輝く。
「なるほど……!先輩の言う通りだと思います!!」
「あ、うん」(デミウルゴスかな?)
即肯定してくれる後輩に少しむず痒く感じるアインズ。
普段は優しい先輩だがこの部屋にはメイドと護衛のシャドーエッジアサシンがいるため、今はナザリックの主人アインズとしての口調と態度に変えており、その姿がカッコよくてトンヌラは感激していた。
「あとアインズ、な」
「あ、すいません」
(ナーベラルと同じでこの癖は長引きそうだなぁ、………はぁ)
話が落ち着いたところで、メイドがそっと皿をテーブルに置く。
そこには綺麗に並べられた焼き菓子。
(……クッキーか)
アインズが一瞬目を向ける。しかしアンデットであるアインズには食べることが出来ないのでトンヌラへ向き直る、だが。
「…トンヌラ君?」
返事がない。
じぃー
完全にクッキーの虜になっている。
(あー、多分先輩との会議中に食べたらダメだろという理性とシンプルにクッキーが食べたい欲望が戦ってる感じか?)
「トンヌラ君、続けてもいいかな?」
「あっ、す、すいません!?どうぞ!」
「休息の質を高めるためには──」
「…………」
何度も目線が行き来するトンヌラ。
クッキーが気になって仕方ないようだ。
「……クッキー、食べてもいいぞ」
「えっ、そ、そんな会議中に」
「私は気にしない」
その一言にごくりと喉を鳴らすトンヌラ。
恐る恐る手を伸ばしてクッキーを一枚手に取る。
パクリと一口で食べた、そして。
「〜〜〜っ!」
幸せそうに微笑むトンヌラ。
(……完全に子供だな)
ニコニコと笑うトンヌラは本当に子供にしか見えない。クッキーを頬張るのもそうだが、敬語やサラリーマンらしく喋る姿は親に憧れて真似る子供に見えてアインズは少し心の中で笑ってしまう。
「んん"っ。………あー、そういえばトンヌラ君はデメリットスキルのせいで食事、睡眠が必要だったな」
「はい、中々のスキルで。……まじで困ってます」
デメリットスキル『幼児退行』
ゲーム内ではMP減少やバフデバフの解除などの効果がランダムで発動するものだったが、この世界ではそれ以上の影響を及ぼしていた。
「そ、そんなにか」
「あ、いや、食事はちゃんととっているし最低八時間は寝るようにしてます」
「うんうん、それはいいことだ」
「問題なのはそこじゃないんですよ、問題なのは──っ!」
そう言ってトンヌラは急に立ち上がる。
「見てくださいこの服!!この爪!!」
「お、おう」
「どう思いますか!?」
一瞬の間。
「……かわいいんじゃないか?」
「そこなんです!!」
机を叩くトンヌラ。
「僕自身"かわいい"って思って着てるんですよ!?ネイルして、ぬいぐるみ抱かないと寝れなくなってて……!」
溢れる言葉が止まりそうにない。
「つまり!このスキルのせいで、僕……本当に幼児化してるんです!!」
沈黙。
「………」
「………」
アインズはゆっくりと頷いて。
「……なるほど」
トンヌラの顔はみるみるうちに赤くなっていき、俯きながらゆっくりとソファに座り直す。
「す、すいません、興奮しちゃって」
「いや、いいんだ。その気持ちは私にも分かる」
「え?」
俯いていた顔を上げるトンヌラ。
「この姿になってからは人間を殺しても何とも思わなかった。どうやら人間としての常識は何処かに置いてきたらしい。だが、この姿になっても変わらないものがある」
「変わらないもの?」
「大切なものさ。ナザリックに住む皆、ギルドの仲間、そしてトンヌラ君、君もその一つだ」
「……アインズさん」
トンヌラの目が揺らぐ。感動かそれとも哀しさからか。そして何かを決意したのか今度は真っ直ぐにアインズを瞳に捉えてトンヌラは言葉を出す。
「こんな僕を仲間と、大切だと言ってくれるアインズさんに、お願いがあります」
「何かな?何でも言ってくれ」
「僕を地上に出してくれませんか?」
「駄目だ」
短く、重い一言。
部屋の空気が一瞬にして変わる。
そばに控えていたメイドも護衛のシャドーエッジアサシンも、アインズの静かな怒気に体を震わせて畏怖する。
それほどまでに──その拒絶は明確だった。
「………」
トンヌラは言葉を失う。先程までの穏やかな空気はどこにもなく、目の前にいるのは先輩でも友人でもなかった。
ナザリックの支配者。
「前にも話したはずだ」
アインズの声は低く落ち着いていた。
「この世界には──我々ナザリックに敵対する、“ワールドアイテム”の所持者が存在する」
「……」
「ユグドラシルでは相手の情報だけで勝敗が大きく変わる。まだ君という手札を敵に知られることは許されない」
「……で、でも」
トンヌラがかすかに食い下がる。
「先輩は、表立って行動してるじゃないですか」
「それは私を餌とした作戦の一つでもあるのだが、その通りだ。しかし、私と君と大きな違いがある」
「違い、ですか?」
「それは戦闘能力だ」
「っ!」
「君はレベルこそ100だが、支援職だ。単独での戦闘能力はほぼ皆無に等しい。自己防衛すら不安定な者を、外に出すわけにはいかない」
「……うっ」
「支援職がいるだけで勝敗は大きく変わる。だからこそ、君は"切り札"だ。軽々しく晒すわけにはいかない」
静かに告げる。
「分かってくれ」
「……………はい」
「そうか。………では今日はこれでお開きにしよう」
「……お疲れ様でした」
そう言ってトンヌラは表情に影が差したまま執務室を後にした。
「……はぁ」
アインズはソファから奥の椅子に座り直して、自己嫌悪から深いため息を吐く。
(すまない、だけど俺は仲間を、君を失う恐怖に耐えられそうにないんだ)
──────────
──────
──
「………はぁ」
こちらもアインズと同じく深いため息を吐いていた。
(この世界に来てから数ヶ月経ったけど、未だに外の景色、陽の光を拝んだことはない)
「いかがいたしました?」
「うちのギルド長は過保護過ぎるなって」
「えっ、はい?」
「いや、なんでもない大丈夫だよ」
しかしトンヌラも分かっていた、これはワガママに過ぎないと。ナザリックの状況を鑑みれば自分は来るべき決戦の日まで隠れているべきだと。
それでも。
「飽きたんだよなぁ」
今日もナザリックにはトンヌラの嘆きがこだまする。
これはいつか外の世界へと希望する、男?幼女?の話である。