でっぷりとした腹をボリボリ掻きながら年若いトロールが今日の餌を探し歩く。しかしここから一帯は森の賢者のテリトリーだったので初めて足を踏み入れる。なぜ森の賢者が姿を消したのか、このトロールが知ることも、いや知ろうともしないだろう。
餌探しといえば全力で取り組むべきことだが、これはボスに捧げる為の餌探しなのでやる気はいつもの半分くらいだった。
得意の鼻の良さを活用して他のモンスターや草食動物の匂いを追いかける。
しかしその日はいつもと違った。
──────!!
トロールの頭上から今まで聞いたこともない音が鳴り響き見上げると、何もない空間から何かが落ちてくる。
その物体はそのまま地面に落ちてそのまま動かない。恐る恐る近づいてその正体を確かめると、それは人間の子供だった。
なんだ人間かと安心したトロールだが、その人間をよく観察してみるが記憶の中の人間と少し違う気がする、人間はこんな変な髪だったか?と。しかし、どんぐり程度の脳みそではその先を考えることができない。
さらに観察するとまだ生きているようで呼吸はしている。
指先で突っついてみるが起きる気配はしない。
理解できない状況だが、餌は見つけた。
それだけで十分だった。
トロールは無造作にその小さな身体を担ぎ上げる。
ぶらりと垂れる腕。
力なく揺れる髪。
そのまま森へと引き返していった。
・
「ボス!ニンゲン、モッテキタ!」
年若いトロールが片手に捕まえてきた捧げものを掲げて巣に帰ってきた。
「よくやった!人間を食うのは久しぶりだ!」
ボスと呼ばれるトロールは他と違い装備と呼べるものを着用し、巨大なグレートソードを肩に担いでいる。筋骨隆々なその姿は戦闘に特化したトロールであると分かる。
年若いトロールから人間を奪い取るように受け取ると、汚い口に生え揃う鋭い歯で頭から食いちぎろうとするが。
バキッ、と自慢の歯が簡単に折れた。
「ぎゃあああ!」
手に持っていた人間を放り投げボストロールの叫び声が洞窟の中に響き渡る。
近くにいた子分のトロール達も動揺を隠せない。
「な、なんだ!何が起きた!貴様何を食わせた!」
ボストロールとはいえ、やはり知能は低い。だからこそ理解できない怒りがあふれてくる。ついに肩のグレートソードを抜き、柄を力強く両手で握りしめて大上段に構える。狙いは地面に横たわる人間の子供。
そして一気に振り下ろす。
しかしボストロールは後ろにのけぞってしまう。
「な、なんだ!魔法か!」
それから何度も、何度もグレートソードを振り下ろす。
しかし、叩きつけるが人間の子供はびくともしない。
ただ、反撃もしてこない。
ボストロールはようやく無駄なその攻撃を止めて、その小さな脳みそで考え始めた。
「……よし、いいことを思いついたぞ!」
さて、その行動が吉と出るか凶と出るか。
十中八九、凶だろう。
ネタバレをするとトロールのグ様とナーガの……名前忘れました
彼らは普通にナザリックの氷結牢獄に招待されます。
良かったね!