転生者が前世の作品の同人を個人的に楽しむようです。   作:スティック/糊

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誤字報告、評価ありがとうございます。

色付いたやったー!


前回の続き

ヒロインの名前と紗寿叶の名前が姉妹だから似た感じにしようぜ、って気分で決めたんですが語彙を似せすぎてたまに混乱する(5敗)

あくまで主軸は主人公とヒロインがイチャコラすることです()


解釈一致・不一致

 

 

『自分の好きなものや、やりたい事を人に言うのって怖いんですよ』

 

『勇気が必要なんです』

 

 

 その言葉は紗寿叶がひと月ほど前に知った言葉だ。

 

 

 前例があったからなのかは分からないけれども今回の妹の趣味についても比較的落ち着いて受け入れることができた。

 

  

「その……コスプレに興味はないのかしら」

 

 

 だからつい、そんなことを聞いてしまった。

 

 

 決して姉の前でも堂々といちゃつく妹とその彼氏の空気感から逃避したかったわけではない。

 

 

 散々妹の衣装とその可愛さに暴走したのを誤魔化したいとか、そう言うのではないのだ。

 

 決して。

 

 

 

 〇 〇

 

 

 

「その……コスプレに興味はないのかしら」

 

 

 万智はソファーに座り、一向に首に回した手を放してくれない彩寿歌を膝にのせているとそんな質問が飛んできた。

 

 そろそろ離れて貰いたいのだが「ほら、私我儘だから」と押し切られた。

 

 ……そのうち満足するだろう。

 

 

「あるかないかで言えばあるんだけど……」

 

「本当!?」

 

 

 ん-、と一つ彩寿歌は考えるような声を上げた後、素直に回答した。

 

 一つ二つと秘密を打ち明けたら気が楽になったのか彩寿歌はだいぶゆるっとしている。

 

 そんな彩寿歌の様子を見て紗寿叶は歓喜の声を上げた。

 

 

「と言うか万智とコスプレイベントにお父さんのカメラもって行ってみたりしたよね」

 

「カメラもって歩き回るだけだったけどな」

 

「まぁ、それで見ず知らずの人に撮影されるとか無理だな、って気が付いて紗寿叶が心寿と細々とやっている気持ちがよくわかったかな」

 

「……そこらへんは本当にそうね」

 

 

 コミュ障二人には厳しい空間だった。

 

 それでもカメラについて改めて考える機会になったりしたのは僥倖だったと言えるだろう。

 

 

 コスプレイベント会場の空気と言う物は少し独特なものがあることを紗寿叶も知っているし、一度出てみようと考えてみたことがない訳ではなかった。

 

 結果的に似たような理由で個人的に満足するだけのコスプレをしているので言いたいことはよくわかっていた。

 

 姉妹揃って考えることは同じね、と安堵のため息を零す。

 

 

「って、そうじゃなくて!その、彩寿歌がコスプレに興味を持ってくれたの!?」

 

「え、うん。誰かに見せるとかないけど」

 

 

 そもそもコスプレをしようとした切っ掛けなど彼氏の性癖把握以外の何物でもないので、純粋に作品を愛し、真摯にコスプレを楽しんでいる紗寿叶に対して、ドストレートを投げる気はまだない。

 

 

「写真!写真とかないの!?」

 

「実際にがっつり何かやった訳じゃないしなぁ…」

 

「彩寿歌が色々な服着るたびに写真は取っているけどコスプレと言うよりファッションショーみたいなもんだしな」

 

「それなー」

 

 

 厳密なコスプレ自体はまだしていない。

 

 おそらく紗寿叶が求めているだろう作品のコスプレ、というジャンルはしていないのだ。

 

 

「言うなれば、私服的に日常使用しづらい服を撮影しただけだし」

 

「その割にはノリノリだった気がするんだがな」

 

「そりゃ、好きな服を着ればテンションは上がるでしょ」

 

 

「―――あるのね、その写真。見せて」

 

 

 それでも彩寿歌の普段とは違う姿が見られる、と言うことに紗寿叶は反応した。

 

 

「だそうだが」

 

「……選別は自分でさせて」

 

 

 彩寿歌は万智からスマートフォンを受け取り、ミラーリング機能で選別したデータを流すことにした。

 

 

 結果としてはしばらく姉の褒め殺しと、たまに入る万智の素直な感想に彩寿歌の顔はしばらく赤く染まった。

 

 

 今日の所はこれ以上踏み込んだところを話す気はなかったのでこれで茶が濁せたと彩寿歌は小さく安堵した。

 

 

 〇 〇

 

 

 

 ほとんど彩寿歌の写真鑑賞会となった紗寿叶との顔合わせはおおむね平和に終わった。

 

 紗寿叶は帰宅したが、彩寿歌は残って泊るらしい。

 

 帰り際の紗寿叶は「……仲がいい事は結構だけど」とまだ話したりなかったのか少し不満げではあったが、早急に話を進めたい訳ではないので素直に帰路へ着いた。

 

 

「彩寿歌さんや、まだ夕方」

 

「さっきまでさんざん私をいじめてたやろがい!」

 

 

 そして割と強引に事を進めたことに対しての報復と言う名目/大義名分の元に、風呂で汗を流している万智の元に彩寿歌が乱入してきた。

 

 まぁ、そんなことをしなくても彩寿歌は堂々と侵入してくるのだが。

 

 

「いじめたとは人聞きが悪いんじゃないか」

 

「万智の理解力が高すぎることに対してのどう感情を表していいかわからない故……」

 

「さいで」

 

 

 長い髪をバレッタでまとめ上げ、その肢体を隠すことなく堂々と慣れた様子で浴槽に使っている万智を背もたれ代わりに浸かると浴槽の縁から容量をオーバーした湯が流れていく。

 

 要は彩寿歌の雑な甘え方の一つだ。

 

 

「背を押してくれるのはうれしいし、タイミングもいいんだけど、それはそれとしてさぁ!」

 

「今後は控えるか?」

 

「今のままでいいい!」

 

「そうか」

 

 

 この行き場のない感情!

 

 彩寿歌はしばらく唸った後、立ち上がってくるりと回る。

 

 

「……もうちょっと虐めて」

 

「まだ夕方なんだが」

 

「お腹減ったなら、夜」

 

「さっきまで茶してたから減ってる訳じゃないんだがな」

 

 

 やっぱりコイツ欲しがりさんと呼んでいいだろ。

 

 万智は少し苦笑いを浮かべるとゆっくりと立ち上がった。

 

 風呂から出た後もまたシャワーを浴びに戻ることになりそうだ。

 

 

 

 〇 〇

 

 

 

「親元を離れて自由の身になった大学生じゃねぇんだからもうちょっと節度を持とう」

 

「グサッ」

 

 

 時刻は22時。

 

 再度風呂に浸かった万智と彩寿歌は遅めの夕食をとっていた。

 

 時間が時間なので消化のいいあっさり目の食事……のつもりだったんだがカロリーを消化するようなことをしたので深夜のカロリー飯だ。

 

 たっぷりネギの豚トロ&カルビのハイカロリー飯に半熟卵。ついでに合わせ味噌の味噌汁付きだ。

 

 

 それなりに冷房をかけても夏真っ只中であるためそこそこ蒸し暑い。

 

 

「だって、こう……若いリビドーが収まらなかったと言いますか」

 

「それ、男が言うセリフな」

 

「中身は立派なおっさんよ……」

 

「果たして立派と言えるのか」

 

「グサァッ」

 

 

 後は食って寝るだけのためだいぶ緩めの服装をしているせいか二人とも全体的にダボっとした服装だ。

 

 そのせいか、言葉の槍を刺されて机に突っ伏す彩寿歌の首周りは非常に無防備で、そこから覗く肌にはいくつかの虫刺されの様なものが見えた。

 

 万智はその倍以上。もはや虫刺されだらけにさえ見る。

 

 少なくともここまで若さを晒すようなことをしている分には立派とは言えないのではなかろうか。

 

 

「暴走した結果大変なのは俺じゃなくて殆どお前なんだからな?」

 

「気遣いの鬼」

 

「気遣いじゃなくて当たり前の範疇だド阿呆」

 

 

 いくら避妊をしているとはいえ完全に100%と言い切れないのだ。

 

 流石に高校中退は不味い。

 

 

「それを当たり前だと思えるのが気遣いなのだよ、彼ピ君」

 

「俺が背負える責任なんてたかが知れてるんだからほんと、責任が取れる年まではセーブしてくれると助かる」

 

「つまり来年の明後日当たり?」

 

 

 彩寿歌の指す明後日は8月19日。万智の誕生日である。

 

 それに来年の文字がくっつくと現行の法律として18歳で成人となる。

 

 

「……まぁ、そうなんだがせめて大学を卒業してどこかしら就職して養っていける状態になってからだな……」

 

「私的には大学1年くらい休学しても行けると思うんだよ、うん」

 

「ほどほどにしとかねぇと本気で卒業式が大変なことになるからな?」

 

「……8月に仕込んで6月かぁ……3月は流石にだいぶ膨れてることになるよねぇ」

 

「何でさらっと受け入れてるんだ」

 

「そりゃ受け入れるよ。私の誕生日が近いけどどうせだったら8月と6月の間の7月を子供の誕生日にすると言うのも乙だと思うんだよ」

 

 

 いざとなれば責任を取る気はしっかりとあるが、現状18歳を迎えても色々と法律の観点やいざという時の金銭問題は実際問題発生する。

 

 そのためが、一つ脅しの様に言葉を繋いでも彩寿歌は完全に受け入れる体制だ。

 

 ……現在の彩寿歌の収入や、細々ながらも万智も新卒の社会人程度には稼ぐようになっているが、共に安定性に欠ける。

 

 現実問題可能か不可能かでいったら可能ではあるが、やはり安定性が欲しい。

 

 周囲に結婚を認めてもらう際の根拠にもなるだろう。

 

 

 転生者の悪い所で、子がいない状態のボッチ人生をこれでもかと言うほどに理解しているので『子供がいた方が大変だけど人生に張り合いが出来て頑張れると思う』と言われれば、それはそうと答えてしまうだろう。

 

 

 なので大きく一つ息を吐いた万智は机に突っ伏しながらぐへへとだらしなく笑う彩寿歌の左手に手を伸ばす。

 

 

「俺的には“ここ”に給料3ヶ月分を嵌められるようになったら胸張って責任取れると言えるだろうからそれまでは避妊は絶対。良いな」

 

「――――ひゃい」

 

 

 人差し指でテーブルの上に置かれた彼女の薬指の付け根をトンと抑え込むと彼女の目が左手と万智の顔を数回往復し、じっと万智と目線を合わせると本日何度目になるか分からない紅潮をしながらそれを肯定した。

 

 

 ……現時点でも自身の収入の3ヶ月分の貯金は出来てはいるが年齢がどうしようもない。

 

 こういう時、未成年って本当に不便だと万智は小さく笑った。

 

 少なくとも花嫁姿を見せてもらうまでは独り占めしても罰は当たらないはずだ。

 

 

 

 〇 〇

 

 

 

「そう言えばできたぞ」

 

「ふぇ」

 

 

 部屋のセミダブルサイズのベットに横になった時にふと思い出したように万智は声を上げた。

 

 彩寿歌も寝る準備万端と言わんばかりに万智に腕枕を要求していた所で変な声が出てきた。

 

 

「何が出来たの?ちょっと私が居ない間に泥棒猫?安心して、社会的に殺すから」

 

「ちげぇよ。俺に浮気するような甲斐性はない」

 

 

 何を考えたのか彩寿歌の眼つきはジト目の様になり長いまつげが影を落としているためか目にまるでハイライトがなかった。

 

 ゆったりと起き上がったかと思えば自然な流れで馬乗り状態に移行し、垂れる彼女の長髪が万智の顔にかかった。

 

 複数人と関係を持つような器用さは万智は持ち合わせていなかったし、交際相手が居るのに他に現を抜かすこともない。

 

 

「青王のコスプレ衣装だ」

 

「え、出来たの!?」

 

 

 そこまで言えば彩寿歌のハイライトは帰って来た。

 

 お帰りハイライト。

 

 

「流石に時間が時間だから明日な」

 

「寝る前に情報与えておいてそれ!?」

 

「しゃーないだろ。今日突然の来客あったんだから」

 

「それはごめん……って、あれ。あの紗寿叶のコスプレトークの中で話題に出さなかったのは?」

 

「お前、原作未履修の摂取カプにはうるさい質だろ」

 

「正解。大正解!あの場で紗寿叶が食いついてたら私は相当めんどくさい女になっていたはずなので正しい判断が過ぎる」

 

 

 流石の判断力過ぎ。

 

 そう言いながら馬乗りになったまま上体を倒し、万智の上に重なった。

 

 

「この感謝の気持ちはチューでよろしいか」

 

「数時間前に散々しただろ」

 

「チューとハグは何時間しても良いと思うの」

 

「だいぶ色ボケて……いや、出会った時から色ボケだったわ」

 

「うるせぇこと言うのはこの口か。この口だな。塞いだろ」

 

「暑いから離れろ。夏だぞ」

 

「その理論だと春・秋・冬だったらいいんだ」

 

「超理論が過ぎる」

 

 

 万智は時折自身の彼女が繊細なのか図太いのかが分からなくなっている。

 

 好きにせぇとしばらくなされるがままになり、満足して離れるとやはり万智の腕枕を要求してきたのでおとなしく差し出し、彼女が頭を乗せたのを確認するとそのまま自身の方に引きずり込んだ。

 

 

「夏じゃなかったの」

 

「数日会えない寂しさは千秋の様だった、とでも言っておくか」

 

「仕方ない。彩寿歌ちゃん抱き枕を堪能する権利をあげよう」

 

「さいで」

 

「今度からはちゃんと人連れてくる前に連絡入れる」

 

 

 そう言って彩寿歌も万智の方へ腕を回した。

 

 それでも夏場は少し暑いのでエアコンの温度を少し、下げた。

 

 彩寿歌は万智の胸元に抱えられるように抱きしめられてから『これって貴重な露骨デレだったんじゃ?????』と気がつきしばらく悶々としたが落ち着く匂いに包まれていたので日付が変わる前には眠りに着いた。

 

 

 

 〇 〇

 

 

 

「あなたが私のマスターか――――って完成度!」

 

「おー、ちゃんとサイズあっててよかったわ」

 

 

 翌朝、さっそく彩寿歌は出来上がった衣装に袖を通していた。

 

 暇を持て余しが故に色々な検討に検討を重ねいくつかの目標を立てて制作を行った。

 

 一つ、薄く皴になりやすそうなものを選ばない。

 

 二つ、個人的な趣向だが露骨に光沢のある生地は選ばない。

 

 三つ、COSボートのディテールは出来るだけ細かくする。

 

 以上だ。

 

 最初はここに起毛素材を選ばないと決めようとしていたのだが、厚手だが柔らかめでいい感じのドレープを作れそうな生地を見つけてしまったのでメインはそれ。

 

 インナー部分は安定のTCブロード。

 

 

 サテン地でTHEドレスと言う雰囲気も捨てがたかったが、結構セイバーの初期の衣装って儀礼と言うか少し格式張っているような感じがしていた気がするのでそちらを選んだ。

 

 

 なんというか素の状態からいろいろ重ねて出来ているような気がしたのでそのバランスを考えるのは中々頭を使った。

 

 

 なんでメイド服を作った後に作る衣装がこれで難易度が跳ね上がっているんだとは思わんでもない。

 

 

「あ、メンゴ胸キツイ」

 

「……この短期間で成長したのかお前」

 

「万智が育ててるんですが????」

 

 

 日頃から補正下着で胸のサイズを控えめに抑えているとはいえ、詰まっているものがものなだけに言わんことは分かった。

 

 風評被害を食らったような気持ちも、ほんの少しある身に覚えのせいで強くNOとは言えなかった。

 

 

「ちなみに今はF65ね」

 

「……それになんて答えればいいんだよ」

 

「ふ、大きく実りやがって……とか?」

 

「元からデケェだろ」

 

「そこはさりげなく自慢」

 

 

 ちなみにきょぬーは父の家系から、とのことだがなんと言えばええねん。

 

 彩寿歌的には露骨にアンダーが増えていないので太った、よりは実ったと言われたいそうだ。

 

 ……出会った頃D65とか言ってなかったか?D・E・F……2サイズ…!?

 

 

「ちなみにそろそろGが見えてきます」

 

「デカすぎんだろッ」

 

「ちなみに見栄と生活環境の両立的にDくらいがいっちゃん自分的には楽」

 

「だからどうコメントしろと?」

 

「デケェのが好きかどうかを言え」

 

「好きですけど!」

 

「なら良し!ちなみに私の妹は私より爆乳だぞ!」

 

「だからどうコメントしろと?!」

 

「浮気するなよ」

 

「しないが?!」

 

 

 素のだったら完全に鎧が浮くわ、などと言いつつくるりと一周。

 

 ちょっと生地を厚めにした分スカートはすこし薄めの生地にしてみたんだがそこまで広がらない。

 

 お色気方面と言うよりはカッコよさ、凛々しさと言う表現をしたいからこれは問題はないはずだ。

 

 

「解釈一致……」

 

「ほっ」

 

「自分の体型だけが解釈不一致……!」

 

「そこは……補正下着とか?」

 

「和装ベースのなだらかにするブラと言う選択肢もなくはないんだけど……妹それにさらし加えて破壊したらしいんだよねぇ……爆乳過ぎて」

 

「……巨乳って大変なんだな」

 

「大変なんだわ。昔はきょぬーむほほとか思っていたのに今ではシンプルに邪魔。胸がデカくて来たい服を選び辛いなんてことが我が身で起こるとは思わなかったよ」

 

 

 ……まぁ、前世はタッパの問題でどれも様にならなかったんだけど。

 

 それに比べれば今の事情など彩寿歌にとっては随分と軽いものだ。

 

 何なら愛しい人を繋ぎとめる要素になっているならヨシ!くらいにしか思っていない。

 

 それにしても乳カーテンはいい文明だと言うのに自身に発生してもあまりうれしくは……万智が可愛いからありか。

 

 

「……正直巨乳活かすなら青王よりも赤の方だったかな……ネロちゃまボインだし」

 

「ロリって丸い感じのネロよりもモルガンの方が似合いそうじゃね…?」

 

「まぁ、確かに私をデレマス分類で分けるとクールだけど」

 

「パッションの間違いだろ」

 

「キュート!そこはせめてキュートであって!」

 

 

 アイマス御三家で分類したら確実に蒼の系譜でしょ、とストレートに言われ彩寿歌はほんの少しダメージを負った。

 

 万智の預かり知らぬところではあるが、彩寿歌は乾3姉妹のちょうど中間で容姿もその中間に近い。

 

 顔面の要素はやや紗寿叶寄りの幼さをほんのり感じさせるクール顔で、体型は二次元仕様の半端ない体型である。

 

 尤も顔面のクール要素は万智のいないフラット時にしか起用されないため、万智的にはパッション要素が強い様に見えてしまうのだ。

 

 

「表面上クールで変な所ポンコツなのは確かに蒼の系譜だな。失礼した」

 

「それこそ失礼だよねぇ!?」

 

 

 万智は思い直したように訂正を入れると彩寿歌はもはや涙目である。

 

 

「………まぁ、愛の重さ的には確実に蒼の系譜だからヨシ」

 

「急にしっとりしないで????」

 

 

 なんて茶化す万智も大概蒼の系譜である。

 

 

 

 〇 〇

 

 

 

「ふむ、メイクって難しい」

 

「自前の顔面が強いが故の苦難だな」

 

「まぁ、化粧映えしない顔だとは思ってるよ?薄化粧でも可愛い。最高。でもコスプレには向いていないッ!」

 

 

 服を着てからはメイク……と言うのは本来の順番的には逆なのだろうがそれを指摘する人も気にする人も居ないのでそのまま実行されていく。

 

 彩寿歌の顔面は強い……と言うかベースから美少女しているのでそこから大幅に何かを変える、となると妙な違和感が残ってしまう。

 

 もしくは万智と彩寿歌の経験不足なだけなのかもしれない。

 

 現状の二人ではセイバーっぽい雰囲気に寄せていくのが精々だ。

 

 今は髪をネットでまとめてあらかじめセットしたウィッグを被ってコスプレ(仮)が完成した状態だ。

 

 

「個人的にはコスプレメイクするならしっかりと眉の色も合わせたい」

 

「明るい色合いの髪に眉が、って言うのは少し違和感を感じてしまうもんなぁ……」

 

「まぁ、元が明るい系の髪色だからカラーマスカラの配色で割と行けるのがいい所。逆に完全な黒髪するとちょっと違和感」

 

「難儀だな」

 

 

 乾母と紗寿叶を見てこの髪色は完全に遺伝なんだな、とは思ったが彩寿歌は結構髪の色素が薄めだ。

 

 そこに白い肌も合わさって、何も知らなければ幸薄系の深窓の令嬢の様。

 

 出会った頃はメイクの目の字もわからないのわんわんしていたのが懐かしい。

 

 それが気が付けばリップの色合い、とか言いながら攻めてくるようになった。

 

 

「俺も自分で士郎テイストに寄せてメイクしてみたが全然ダメだった」

 

 

 万智は完全に色合いは日本人テイスト。

 

 肌はいくらか白いが髪は完全に黒である。

 

 それを赤褐色の様な赤い髪色に寄せようとするとどうしても違和感を感じて仕方がなかった。

 

 

「昔プロのメイクで銀髪系系統にして貰ったことはあるんだがそう上手くはいかないもんd――――――」

 

「待って、今なんて言った」

 

「プロすげぇ」

 

「プロに、メイクを????」

 

「どうした。目が笑ってないぞ」

 

 

 万智が過去のエピソードをポロリとこぼすと彩寿歌にがっしりと腕を掴まれ、数時間ぶりにハイライトが外出していった。

 

 

「して、説明。今、私は冷静さを欠こうとしている」

 

「俺のメイク経験談とか需要無いだろ」

 

「需要しかないよ!?」

 

「お、おう……?」

 

 

 光を失った瞳は次第にグルグルとした目に……あ、コレ最近履修した『烈‼』の主人公がぬっ壊れた時の感じにそっくり。

 

 本当に需要がある話ではないと思うんだがな、と万智は以前メイクをした時の経験を話すことにした。

 

 

 一言でまとめてしまうなら“海外住み時代の人と偶然日本で再開してステージに立たされた時の変装”と言うやつだ。

 

 

 祖父母が亡くなり、日本に帰って来たのが中学2年の時だっただろうか。

 

 中途半端な時期に引っ越してきたので学校では色々とめんどくさかったことを覚えている。

 

 

 そんな時に街中を歩いていた所、偶然道で知り合いにバッタリ。

 

 『Hey, shawty, what's up? 』

 

 なんて声掛けと共にやって来た顔見知りは向こうに居た時に通っていた喫茶店の常連客ら。

 

 偶然顔を合わせるなんて奇遇だ、なんて世間話をしていたら強制拉致。

 

 『I taught you guitar back in the day, didn't I? Let's play!』

 

 昔ギター教えてたことあったよな?ちょっと遊んでくぞ、とそんな感じでドナドナ。

 

 日本でこういう時どこでギター弾くんだ?路上か?なんて言われて知らん知らんと言ってたら彼らのファンらしい人がたまたま通りかかって、ライブハウスで演奏することに。

 

 契約上メンバー全員揃ったらアウトだからギターはお前、と無茶振りをされた訳だ。

 

 今時身バレ怖いから、お前ら有名グループだろ!とキレたらいい感じに変装させてやるとプロの手で元の容姿が分らない程度にメイクされて、舞台でギターを弾いた。と言う話した。

 

 

「って、話し」

 

「円盤は?」

 

「ちっこい箱にそんなん取ってる人いる訳無いやん」

 

「……写真は?」

 

「無い」

 

「神は死んだ!」

 

 

 そこまで言うと彩寿歌は天を仰ぎ泣き始めた。

 

 ……そこまでか?????

 

 

「う゛、カッコいい、絶対かっこよかったはずなのにぃ!」

 

「幻想だ幻想。あんとき今より20センチは低かったしひょりがりで女装だったからな」

 

「――――女装かよ!なおのことレアリティたけぇじゃんか!」

 

「そこにレアリティ求めるな」

 

 

 貴重、あまりにも貴重すぎる……そう言いながら彩寿歌は床で横になり始めた。

 

 ……うん、造形がつぶれないようにする理性があるのは良い事だ。

 

 

「一応探すだけ探しておいてやるから……」

 

「う゛ん゛」

 

 

 探すとは言ったが見せるとは言っていない。

 

 何が悲しくて自身の女装姿を彼女にさらさねばならんのだ。

 

 万智は彩寿歌が床ペロしていることを言いことにさりげなく悪い事を考えていた。

 

 

 それはそれとしてこの後めちゃくちゃ写真撮った。

 

 

 ……良いカメラ買ったんだから練習しないと。

 

 

 

 




「女装の一つくらい良くない?私常に女装みたいなもんだよ???」

「お前は生まれた時には女だっただろ。あさおんした場合にのみ許されるセリフだから」
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