転生者が前世の作品の同人を個人的に楽しむようです。   作:スティック/糊

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たまにこのCEROであってる?って思うゲームあるよね

 

「これはかわいい」

 

「アニメと漫画だと袖部分の解釈が若干違うっぽいのもあるが個人的にはアニメ版のデザインを強く推していきたい」

 

「ああ、それ2パターン作ってあるんだ」

 

「これは生地をいろいろ買った結果、とりあえず作るかとテンションが上がってしまった産物」

 

 

 作ってみた結論。

 

 ポリエステルの扱いやすさが優勝していた(諸説あり)

 

 生地って、結構皴との戦いみたいな所あると思う。

 

 

「と言うか作るの早くない……?初心者でございますよね????」

 

「小学校のドラゴンナップサック以来裁縫のさの字にも触れてきていないな」

 

「なのになんで2ヶ月でここまでクオリティ高いものが爆誕してるの?!怖いよ!」

 

「改善点は結構あるんだ。洗濯を一切考慮していないから装飾の取り外しが地味にめんどい」

 

「地雷系の服を洗濯するよりはよっぽど楽だが????」

 

 

 学校、バイトの日々を過ごしながら万智は凡そ2ヶ月程度で初めての衣装を完成させた。

 

 色々な生地を試してみるのが楽しくなって生地違いの複数パターンのメイド服が出来上がっていた。

 

 

「ちなみに3Dモデルは彩寿歌を図ったその日には完成していた。何ならMMDで踊らせることもできるぞ」

 

「技術力ッ!オタクに技術を与えてしまった結果!何故ベストを尽くしたのか!」

 

「唆したのはお前」

 

「そう言われると何も言えない」

 

 

 そう言いながら彩寿歌はメイド服に袖を通した。

 

 結構背中がバッサリと開いているし、全面も結構デコルテが見えるようなデザインだ。

 

 正面から見ると袖の部分が大きなリボンにも見えるデザインなのは秀逸。

 

 ミニスカートではあるモノのしっかりとドロワーズで露出対策もするいいデザインだ。

 

 

「くっ、このデザインのメイド服のメイド喫茶あったら通ってる自信がある」

 

「真の陰キャはそもそも声をかけられるようなところ行かない定期」

 

「それはそう。でもコンカフェとかガールズバータイプじゃなくて単純な制服としても良い……あ、これはロングヘアが正義と見せかけてポニテとかチラチラと揺れるのも良いな」

 

「わかる」

 

「なるほど、万智はこう言うのが癖、と」

 

「心の中にメモらなくていいから」

 

「だが断る」

 

 

 彩寿歌はメイド服を身に纏う。

 

 それを見るとロングタイプでもよかったかもしれないと少し反省。

 

 今後別バージョンを作る時があれば候補に入れておこう。

 

 

「これってニーハイ前提?」

 

「一応ニーハイにロングブーツ、もしくはローファーな感じだ」

 

「ニーハイのストックは置いてないから、今度買っておくね」

 

「了解。あ、そうだ。今回の制作費の精算」

 

「あり、足りなかった?」

 

「逆。余ってる」

 

「手間賃じゃ。その金で美味しいものを食べておくれ……」

 

「うまいもんは普段から彩寿歌が食わせてくれてるだろ」

 

「直ぐに殺し文句出てくるじゃん」

 

 

 今回製作費として預かった封筒とそれに使用したレシートをまとめたものを彩寿歌に差し出すが、そっと押し返された。

 

 手間賃も何も作ることが楽しい事なのでむしろ感謝を言う所なのだが……。

 

 

「……そうだな、何か着たい衣装とかあるか?」

 

「作ってくれる感じ?」

 

「作る感じ。実際に衣装作るの結構楽しかったから」

 

「そう言われると悩むなぁ‥…いっぱいあるんだよなぁ…」

 

「いくらでもどうぞ」

 

 

 彩寿歌が受け取らないのなら何か彩寿歌のために使いたい。

 

 そう言う方向性で行くとするなら、衣装作りになる。

 

 

 彩寿歌は結構色々な服を着るのが好きなタイプだ。

 

 

 自宅の方では性自認で悩んでいた頃の名残でボーイッシュ系であったりシンプルな服装を着ているらしいが、万智との交際を機に吹っ切れて色々な服を買っては着ている。

 

 自宅では着るのを躊躇っているらしく、万智の家の一室が彼女のクローゼット状態になりかけているのが現状だ。

 

 曰く“乾彩寿歌が制服以外の女子らしさ全面的に前に出している服を着るのは何というか気恥ずかしさと言うか……”だそうだ。

 

 そう言った所は本人次第なのでそっと見守っていたいところだ。

 

 

「メイド服ときたら次はバニーみたいな所あるけど、そこらへんはパーティーグッズで着たことあるし、いきなりこれっ!みたいなのもパッと出てこないからいったん保留」

 

「わかった」

 

 

 まぁ、いきなりコレみたいなのは出てこないだろう。

 

 その内ふと出てくるのではなかろうか。

 

 

「だけどね、そのね……」

 

「……?」

 

「万智の服買っていい日を増やしてもいいと思うの」

 

「オイ、今月決めた金額消化し終えたよなぁ?」

 

 

 彩寿歌は万智の色々な服装を見るのが好きだ。

 

 それこそ自分自身を着飾る以上に。

 

 初デートの時に『デート服を選ぶ制服デート』と称して出かけた時は随分とマシではあったのだが、男女がそろってそれなりの関係値になってしまって以降はそれが著しい。

 

 

 万智は服装に無頓着で、浮くか浮かないかと言うTPOをわきまえているか以上のこだわりがない。

 

 チノパンにシャツくらいのラフな格好になりがちだ。

 

 

 着飾ることに目覚めた彩寿歌の隣を歩くのに浮かない恰好とは…?と頭を悩ませるくらいにはファッションに興味がないので彩寿歌が服を選んでくれるのは大変助かっている。

 

 助かっているのだが、ちょっと加減と言う物を彼女は知らなかったらしい。

 

 何せ彼女の前世はオタクである。

 

『天井見るより安い金額で好きな人を着飾れるとか安いと思わない?』

 

 なんて素面で言ってのけるのだ。

 

 

 なので万智は『天井と言うならシーズンと上限金額を決めような』と彼女の強行を抑制した。

 

 高校生であることを考慮し、5,000円/月としたのだが、せめて上下を満足に揃えられる金額にしてと駄々をこねられて、上限2万円のコーディネート一種という形になった。

 

 万智的にはものすごい渋々の決断である。

 

 彼女の収入から考えると微々たる額ではあると理解はしているが、そこまで服に金をかけようと言う精神にはならないためだ。

 

 ワンシーズン特定の2~3着の服を着回し、草臥れたり、穴が開いたり、落ちないシミが出来たら次の服を買うくらいの人間にはその感覚が分らなかったからだ。

 

 彩寿歌自身が彼女の収入で自分のために金を使う分には一向にかまわないのだが、こう、貢がれるようになってしまうと申し訳なさが勝る。

 

 

 今世の現況を考えると時給1300円の喫茶店に週3日、週の平均12時間労働が万智の常。

 

 つまり月に万智が稼ぐ約1/3に相当する。

 

 

 それを気軽に増したいと言うのだから渋い顔もする。

 

 

「月の課金は家賃までって言うじゃん!」

 

「それは社会人の言い分です」

 

「確定申告してるから実質社会人」

 

「でも高校生、自重して。彩寿歌に自由にさせると平然と贈与税かかりそうなくらい金使いそうだし……」

 

「そ、そこまで使いませんけど!?」

 

 

 言い淀むところが何とも。

 

 

「ここで心が痛んでしまうダメな彼ピであることを恨んでくれ」

 

「ダメ人間なのは私ですぅ!万智の言ってることの方が圧倒的正論なんだからさぁ!」

 

「なら自重して」

 

「はーい」

 

 

 と言いつつ来月あたりにはまた言い始めるんだろうなぁ……。

 

 バイクや車のカスタム趣味を自重してもらう主婦の気分である。

 

 

 〇 〇

 

 

「所で彼ピ」

 

「なんだい彼女」

 

「ホラゲーって好き?」

 

「可もなく不可もなく…?」

 

 

 メイド服着たからには給仕だよね、と言いながら彩寿歌がフワフワのパンケーキを作りティータイムとなった。

 

 本当に家事能力が高いんだよなぁ‥‥。

 

 

 そんな最中に出てきたのは『ホラゲー』についてだ。

 

 ホラゲーつまりはホラーゲームの略であり、恐怖を体験させるゲームの意。

 

 映像で、音で、隙をついた驚かすような演出に、じわじわと意味が分かってきてあと知れぬ味わいを覚える……そんなゲームのことだ。

 

 万智はどちらかと言えばあまり好きなジャンルと言う訳ではないが、ゲーム制作が趣味の人間としては避けては通れないカテゴリーだ。

 

 それこそフリーゲームで有名なホラゲーなんて山の様にある。

 

 『青鬼』『Ib』『SCP』『殺戮の天使』『ゆめにっき』『影廊』etc…。

 

 個人やサークルが作ったものが多く、つまりは自分でも作れるようになるのではないかと言うゲーム制作のきっかけにもなりえる作品群だ。

 

 万智自身も前世『Ib』にハマった結果ツクール系のソフトに手を出し始めたのがゲーム制作の始まりだ。

 

 

「今世の妹ちゃんが大のホラゲー好きなの」

 

「割とホラー好きな女子っているよな」

 

「そして妹ちゃんにスッゴイ進められてしまってね……一人でプレイすると不安になるから後ろで抱きしめててくれない?」

 

「まぁ、良いけど」

 

 

 突然ホラゲーと言い始めたから何かと思えばプレイの付き添い希望であった。

 

 映画を見るとかそう言う時は結構あるがゲームのプレイは初めてかもしれない。

 

 

「平均的なシナリオゲーってくらいの時間かかるけど……平気?」

 

「まぁ、それくらいなら……と言うか双子の姉とプレイすればいいのでは……?」

 

「私と双子の姉は大のホラゲー苦手なんだよね。一場面進むだけでどれくらい時間がかかるか分かったものじゃないの」

 

 

 わざわざ家でやらなくてもよいのではなかろうか。

 

 そう聞いてみれば納得?の理由。

 

 苦手な人は本当に苦手なのだろう。

 

 

「今から始めるとド深夜になるけど」

 

「今日泊めて♡」

 

「いいけどさぁ」

 

「ホラゲーとか本コワとか見た後一人で寝れないし、風呂もトイレも無理な人種だからよろしくね」

 

「何故そこまでしてプレイしようと…?」

 

「可愛い妹に勧められたら苦手でもどうにかしたいのがお姉ちゃんと言う生き物なんだよ」

 

「左様で」

 

 

 万智はてっきり彩寿歌のちょっと雑な理由でのイチャコラのお誘いかと思えば割と真面目な理由であった。

 

 相手が楽しいと思っているモノを理解したいと思う姿勢は嫌いではないし、彩寿歌のそう言った家族思いなところが万智は嫌いではない。

 

 後ろで付き添うくらいはしてやるか。

 

 そう思い、ヤバくなったら呼んでくれと言い家事をすることにした。

 

 

 

 

「無理無理無理無理ィ‼」

 

「それでもコントローラーを手放さないとは誉れ高い」

 

「私急に驚かせにくる系なら好きなんだよ、ジェットコースターとかそう言う類の!でもこういう意味が解ってくると怖くなる系の苦手ェ!」

 

「おっと?」

 

「私もそこそこエグい展開の話書いたりするけど、こう病み具合のカテゴリーが違うって言うかさぁ!」

 

「ほら、絵は可愛いぞ」

 

「その分グロが異物過ぎるッ!」

 

 

 ゲームを開始してから一時間と少しくらいした頃『そろそろ抱きしめて』と言う要望により、家事に切りを付けた万智はソファーに座り込み、その間に彩寿歌を入れて腹部をホールドした。

 

 彼女がプレイしているのはリビングの45型のそこそこ大きめの液晶テレビで、ハードは家庭用ゲーム機。

 

 万智の母が洋画趣味であったため家庭内に小型の鑑賞ルーム気分で設置されているテレビ横の音響設備はそこそこ良いものであり、ホラゲーにいい味を出していた。

 

 

 彩寿歌がプレイしているホラゲーは『棺』と言う作品。

 

 シスターが次々にコロコロされていくけど一体誰の仕業なんだい?的なホラゲー。

 

 2000年初期を思わせるような、ドット系のグラフィックの中では美麗に入るであろう可愛らしいタイプのイラストのお陰でそこまで怖いようには思えない。

 

 

 彩寿歌が苦手な意味が解ってくると怖い類いのゲームは万智は得意で、その逆は苦手。

 

 そのお陰か割と落ち着いてプレイを見ていられた。

 

 

「クッ、ホラゲーを出汁にいちゃつくだけのつもりだったのに!本気で眠れなくなるゥ!」

 

「おい」

 

「でも、クリアしないと話をし始めた妹ちゃんがスッゴイ悲しそうな顔するからクリアはするんだぁ!」

 

「偉いんだかエロいんだかどっちかにしてくれ」

 

「今はえらいけど、この後はエロくなる、と言うか抱きつぶしてもらって気絶しないと寝れる気がしない」

 

「……この後、俺起つかな……」

 

「意地でも」

 

「おい」

 

「あ、あ、あ、もうちょっと強めに抱きしめて貰っていい?これでR18Gじゃないとかウソでしょ…?」

 

「情緒」

 

 

 何ともテンションがおかしくなっている彼女を抱きしめながらゲームが終わるまでの間、気を誤魔化すのに必死らしい彼女を見ながら、この世界のホラゲーを鑑賞した。

 

 

 後味ドロッと系ではあるが、まぁCERO:Dくらいか。

 

 一般ゲーでその描写出していいのか、と言う所はあったが……もしかしてPCゲーを移植してマイルドになってる????

 

 chaos:headくらいのホラーかな。

 

 ニトロプラス系のエログロよりはだいぶ落ち着いて見れたように思える。

 

 装甲悪鬼村正とか凍京NECROはプチトラウマ。

 

 

 〇 〇

 

 

 

「ふう、致命傷だった」

 

「だいぶ情調アレだったぞ。と言うか寒くないのか?」

 

「ん、梅雨も終わりかけでだいぶ暑くなってきてるしね」

 

 

 翌朝、起きると脱ぎ散らかされた衣類から万智の半袖は強奪され、彼女のワンピース状態。

 

 昨晩は少ししめった梅雨らしい季節感で、朝になってもその湿度を感じていた。

 

 本当に気分的には落ち着いたらしく、『食事』が印象的だった棺の内容を気にしないと言わんばかりに苺のジャムを塗ったトーストを食していた。

 

 

「いやぁ、これで妹ちゃんの棺トークに付き合ってあげられるよ。あ、友達とお泊りホラゲー会と言う名目で出てきたので万智の感想も後で教えて」

 

「あいよ。適当に文章にまとめたんでいいか?」

 

「ヘーキヘーキ」

 

 

 なんつう理由で外泊をしているんだ。

 

 けれど泊りと言う内容としては妥当……なのだろうか。

 

 

「今ならいい感じにグロめのお話が書けそうな気がする……」

 

「午前中くらいでセーブしとけよ」

 

「わかった、書いてくるねー」

 

 

 この自由人め。

 

 朝食を食べたら流れるように作業に向き合う姿に翻訳家であった今世の母の姿をうっすらと幻視した。

 

 

 手持無沙汰になった万智はホラゲー要素を摂取したから、昔再現して作ったホラゲーのバージョンアップでもするかな。

 

 いつの間にやらパソコンを持ち込んで執筆に向き合っている彼女を横目に万智も自分の趣味に向かうことにした。

 

 

 こうしてリメイクしたホラゲーがちょっとした騒動を起こすのは別のお話。

 

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