そして正邦戦当日を迎えた。
いつもとは違い軽いランニングとアイシングだけ行い試合に備える。
今日は2戦ある想定っていうのもあるが2戦目の相手にキセキの世代を代表するシューター・緑間真太郎がいることが大きいのである。
「流石の俺もキセキの世代相手に余裕を抱いていたら何が起こるか分からない」
そう言い残すと試合会場に向かう準備をする。
「うす。きたっすね」
「あぁ。今日は何としても勝つぞ」
「「「おう!」」」
体育館前で先輩たちと合流し控え室に入る。
会場に入りアップを始める。
_ _ _ガシャァァン!
火神が早速ダンクを披露している。
「気合い入ってんな火神」
「ああ!」
隣を見ると緑間真太郎がこちらを見ていた。
「ガン飛ばす相手がちげぇよ!だぁほ!いくら見ても次負けたら意味ねぇよ!」
「いや、ちょっと見てただけっすよ」
キャプテンがこちらにやってきた。
「なんだこいつら確かに雰囲気ある」
「正邦って思ってたより普通っすね」
「まぁ全国レベルで言えば結構小柄かもね。一番大きい人でも水戸部くんくらいかしら?」
「ふと!てかごつ!」
「あと司令塔の春日くんあの2人がチームの柱ね」
すると
「あ!君たちが火神くんと白神くんでしょ?!」
「あ?」「…」
「うわっ!マジ髪赤ぇ!こっちは白ぇ!怖え!」
「キャプテン!こいつらですよね!誠凛ちょー弱いけどすごいの入ったって!」
「おうおう!言ってくれるわね」
_ _ _ガツン!
「いてぇ!」
向こうのキャプテンが坊主頭・津川を殴った。
「チョロチョロすんなバカたれ。すまんなぁウチのがこいつ空気読めないからすぐ本音が出る」
「謝んなくて良いっすよ。勝たせて貰うんで」
「去年と見下してたら泣くっすよ」
「それはない。それに去年はお前らが弱かったそれだけだ」
そう言い残し去っていった。
「ま、大丈夫ですよ。俺たちがいるんで今年は」
「だぁほ。あんま俺らを舐めんな」
そう言いながらも少し神妙な顔をしたキャプテンはベンチに歩いていった。
正邦ベンチ
「どうだった春日?あいつらは」
「どうもこうも向こうの外人はバケモンでしょ。おそらくうちではダブルチームでも止められない」
「…そこまでか?」
「あぁ」
「そうかそれなら止める止めないにせよマッチアップは俺がやろう」
「大丈夫か?お前でも潰されかねんぞ?あいつは…それだけのものを持ってる」
「あと火神か。あいつは津川に任せるぞ」
「はいっす!本当は白神の方が良かったっすけど!」
正邦ベンチは今回の誠凛戦の対策を話し合った。
誠凛サイド
「やっぱりどこか気負いがあるわね」
「よし!みんな!」
ん?監督がこちらを凝視しながら顎に手を当てて
「うふっ!この試合勝てたらみんなのほっぺにチュウしてあげる!どうだ?」
「うふってなんだ?」
「星だしたらダメだろう?」
「馬鹿野郎!義理でもそこは喜べよ!」
監督のメンタルがすでにボロボロになってる。
「義理って…うふふ…ガタガタぬかさんとシャキッとせんかい!ボケ!去年の借り返すんだろ!一年分の利子ついてえらい額なってんぞ!」
「悪りぃ悪りぃわかってるよ!おっしゃ!行く前に改めて言っておく!試合始まったらいやでも体感するけど一年はちゃんと腹括れよ」
「ぶっちゃけ去年の大敗で俺たちはもうちょいでバスケを辞めそうになった」
「「…」」
「ん?暗くなんな!立ち直ったしむしろ喜んでんだよ!去年と同じには絶対ならねぇ!強くなった自信があるからな。あとは勝つだけだ!行くぞ!」
「「「おう!」」」
体育館に向かうとした時。
「火神くんと白神くんはバスケを嫌いになったことありますか?」
「ん?ねぇけど」「俺もないな」
「理由は違えど気持ちはわかります。今はあんなに明るいけど好きなものを嫌いになることはすごく悲しいです」
「「…」」
「この試合は先輩たちが過去を乗り越える大事な試合だと思うんです…だから」
「これよりAブロック準決勝第一試合誠凛高校対正邦高校の試合を始めます」
ちなみに今回はスターティングメンバーに水戸部先輩の代わりに黒子が入り俺がセンターをやることなっている。
今回はジャンプボールも俺だ。
_ _ _バサッ!
「っ!」ダンッ!
「グッ!」
俺はジャンプボールをそのまま叩きボールを奪った。
「へい!」パスッ
それを伊月先輩にボールを回してもらい俺は相手のキャプテンとマッチアップする。とりあえず先制点か…
「さっきは随分なこと言ってくれましたね」
「ん?さっき?あぁ事実に過ぎんからな」
「へぇ」グッッ
_ _ _グォぉぉぉ!
俺は圧力を強める。そしてフィジカルでゴール下まで押し込みポジショニングを取る。
「ぐっ!」
「やべぇ!」「キャプテンが!」
「白神!」
_ _ _パシッ
ぶつかり合いの轟音、押し込む圧すべてにおいて向こうを制圧する。
フィジカル差が明確に現れ、ペイントエリアを制圧!
――相手ごとそのままリングに叩きつける!
_ _ _ガシャァァァァン!
_ _ _ピピィィィ!バスケットカウントワンスロー!
バスカンをもらいつつ俺は相手のセンターを吹き飛ばしながらボールを捩じ込んだ。
「軽いな。当たり負けしてる時点で、勝負はついてる。大口を叩くならフィジカルぐらい鍛えてから吼えろよ三下」
「グッ!」
「大丈夫っすかキャプテン!」
津川が心配そうに駆け寄るがキャプテンな顔は晴れない。たったワンプレーで理解してしまったのだ。
どちらが挑戦者でどちらが王者なのかを。
「火神。ここからはディフェンスに専念する。オフェンスはお前が蹂躙しろ」
「ん?あぁ!てかお前も中々キレてんじゃねぇか」
「…」
まぁ誠凛に来てから色々お世話になってるからな。多少は思うこともある。
その後向こうの攻撃はボールを運びセンターである向こうのキャプテンのポストプレーを繰り出すが俺が陣取っているゴール下を荒らすなど不可能である。
「無駄だよ」バコッ!
「くそっ!」
ブロックショットで3ポイントエリア内の全ての攻撃を弾き返し攻撃に繋げる。
オフェンスでは火神が多少苦しむも俺と鍛えた足腰とスピードにより津川を早くも攻略。
さらに俺にダブルチームがついたことで日向先輩がフリーに。
黒子のパスで変則性を出し
誠凛は第一クォーターから得点を量産する。
ピピィィィ!第一クォーター終了! 28対0 誠凛リード
「やべぇ圧倒的じゃねぇか!誠凛!」「あの白神ってやつと火神って奴が反則すぎるだろう」「これでキセキの世代じゃねえの?」
観客たちはもう張り詰めた空気などなく俺たちの勝利を早くも確信しているようである。
ふと向こうベンチを見渡すと向こうのキャプテン目があった。笑みを浮かべておくと唇を噛んで下を向いてしまった。愛想が悪いな。
「みんな!良い調子よ!次もこのまま攻めていくわ!」
俺たちは大幅にリードしているということもあって良い雰囲気のまま作戦を練っていく。
正邦サイド
「はぁはぁはぁっ…グッ!」ギュッ
正邦キャプテンである岩村は第一クォーターが終了したばかりであるが早くも心を…プライドを折られてしまった。
何も通じない。何も出来ない。俺の3年間はなんだというのか。秀徳のキャプテンと、やり合った時でさえこんなことはなかった。
無意識のうちに震えてしまう。なぜあんな化け物が日本にいるのか。
ふと向こうベンチを見ると
悪魔がこちらを見ながら笑みを浮かべていた。
「…ぐっ」
「大丈夫か?岩村?」「大丈夫っすかキャプテン!」
津川と春日が心配して話しかけてくれるが俺は顔を上げることができなかった。
「そこまでか岩村?」
「…はいっ。すいません。自分がなんのためにバスケをしているのかが分からなくなるほど圧倒的な力の差を痛感しました」
「…」
もはやこのチームの大黒柱がこの試合中に、立ち直ることはないであろう。向こうはそれを理解してわざわざゴール下で攻めてきていたのだ。
「厄介な…」
「かと言って、何もしないわけにもいくまい。ディフェンスの時も向こうのセンターには2枚貼り付け。津川と春日はこれまで通りだ」
「え!俺も火神じゃなくて白神についた方が良くないっすか?!」
「…無駄だ。仮にだ。万が一白神を抑えられてもその間火神はどーする?現状火神1人も止められていないお前じゃあさらに得点が開くのが目に見えてる」
「ぐっ!」
津川は納得したのか先に座り拳を握り下を向く。
何もないのか?なんだったのだ俺の3年間は…最後にあんな悪魔に遭遇するとはな。
早々にチームの心臓を潰された正邦は暗い雰囲気のままベンチを後にした。
主人公サイド
やはりこのチームはもうダメだな。チームの核である向こうのキャプテンを俺が徹底的に潰し。もう1人の攻撃の軸である春日は得意のオフェンスでも俺の牙城は崩せず。
新戦力の津川でさえ火神1人を捕まえることは出来ずやられたい放題。
つまらないな。三大王者を名乗っているくらいだからもっと歯応えがあると思ったのだが人数はいるくせにセンターの代わりも出てこない。
この試合は既に決した。
_ _ _ピピィィィ!
「試合終了!128対15!誠凛!」
俺たちは圧勝した。ん?点を取られてるじゃないかって?あれは向こうが一か八かで決めにきたスリーがたまたま入ったものだ。
あれは俺の管轄外である。シルバーならば止めに行ったのであろうが俺の本職はセンターじゃないしフォワードである。
ふと向こうに視線を向けるとオレンジのユニフォームを着たもう一つの王者・秀徳が歩いてくるのが見える。
「ここからがメインか…楽しませてくれよNo. 1シューター」
私ごとなんですけどこちらと両立しながらダイヤのAも書いてましたので良ければご覧ください