いよいよ入団の時である。入学式の後俺たち3人はそれぞれ保護者と一緒に市のとある体育館に向かった。
そこには20人ほどの年齢層はばらばらだがおそらく小学生と言われる年齢層の少年少女たちがいた。俺たちは体育館にシューズを履き替えて向かうと向こうから二人の人物が歩いてきた。
「こんにちは!今日から入団の方々ですか??」
「「「こんにには!」」」
「そうなんですよ。今日から入団予定の白神ミカエル颯斗の母の白神夏帆といいます」
「元日本代表の白神選手ですね!オリンピック観てました!」
どうやらうちの母のファンみたいだ。
「君たちはとりあえず更衣室で運動着にきがえておいで!修造!この子達を更衣室に案内してやってくれ!」
「はい!!君たち俺についてきて!」
俺たち3人は修造?さんについていくことにした。
「君たち身長的には男の子二人は平均くらいか〜女の子の方はまだ小さいね。何年生?」
「僕たちは3人とも一年生です!!」
「!!!一年生!!!」
「通りでまだ小さい訳か。いやそっち二人は一年生にしては破格のデカさだな」
「その前にあんた名前なんて言うの?」
「「こら!大輝!(だいちゃん!)」」
「ははは!いいよタメ口でも!俺は虹村修造!一応お前らの1個上で2年生だ!」
通りで大きいわけだ。俺らよりも10センチ以上大きい。しかもなんだろう。この人バスケしてる姿見てないのに分かる。
強いな……少なくとも今の大輝じゃあ軽くあしらわれるレベルだ。俺でどうだ。良くて同格ってとこか。面白くなってきたな!
「大輝…あの人やるぞ!少なくともあの小学生グループで一番強い」
「だろうな!俺も一眼見ただけでこいつはやべぇ感じかした」
「大輝…先輩にこいつ呼びはやめな。いやほんとまじで」
そんなことを喋りながら俺らは更衣室に入った。ちなみにさつきは隣の部屋だ。
おそらくこの後俺らの力試しか入団テスト的なものが行われるだろうと母から聞いた。
「ここからだな大輝!かまそうぜ!」
「おう!」コツッ!
俺らは扉を開ける前は拳を合わせた。そしてさつきとも合流しコーチや保護者、チームメイトのいるところに走っていく。
「今日から俺たちの仲間になる子たちが3人いる!薄々感じてるものもいると思うがこの子達はまだ1年生だ!」
「「「!!!」」」
「うちは基本3年生からだ!例外で2年から入ったものもいるが全員がこの子達よりも年上だろう。なぜと思うものもいるだろう。それを今から証明しよう。」
「小久保! 木村! 斎藤!お前にはこの子達3on3をしてもらう。勝っても特にリターンはないがお前らは3年生だ!負けたらペナルティとして今日は走り込みだ!」
「「はい!」」
うーん。見ただけで分かるこの子達は確実に修造さんより弱い。でもここのチームは強豪ときいている。それにこのチームは基本俺たちのような異例な例を除けば入団テストが行われる。
それをクリアしてきた世代的には上手い方なのは間違いない選手たちだ。それにどっちみちこの人たちを倒さないと他のチームメイトやコーチにも認めてもらえないだろうしね。
「さぁ!頑張ろうか二人とも!」
「おう」「うん!」
俺たちはその後コートに移動し準備運動を始めた。俺と大輝は基本的に柔軟の後は1オン1をずっとやってたからそれを3人で回して軽く10本だけスリーの練習をする。
なぜか周りの声が聞こえないので見渡してみるのびっくりした顔でこちらを見つめるチームメイトとコーチがいた。
コーチ・チームメイトサイド
「見たか今の…」
「はい、これが一年生なんですか」
「やっぱやるなあの二人特に白神」ニヤッ
「やべぇよ。あの二人バケモンのじゃねぇか」「あの女の子も全然シュート落とさなかったわよ」「あの女の子も凄いけどやっぱり別格なのはあの二人」
畏怖するもの、恐怖するもの感情は様々だがこの圧倒的な才能を前に凡人が抱く印象は必ずしもポジティブに働くとは限らない。これがプラスに動くのかマイナスに動くのかはまだこの段階では誰にも分からない。
今回恐怖を抱いたのは観客だけじゃない。
「なんだよあれ。うちのAチームの選手よりドリブル上手いじゃないの?」
「スピードもバケモンだよ」「女の子もすごい上手い」
同じくこの後戦うはずの敵チームでさえマイナスな感情を抱かさてしまうほどである。このままではこのチームはいずれ壊れてしまう。
圧倒的な才能の前に。圧倒的な才能に屈しない方法2つある。強靭なメンタルと飽くなき向上心を常に持ち続けること。しかしこれは小学生にこれを求めるのは酷なものである。じゃあもうなす術がないのか?
否
もう一つがもうひとつの圧倒的な才能で対抗することである。今回このチームにはその存在が一人存在する。
もう一人の圧倒的な才能の持ち主、虹村修造である。
「おいおい!お前らどうしたそんな死にそうな顔しやがって笑」
「まさかビビってんのか?確かにあいつらはすげぇよ。けどなやる前から試合を捨てるアホがいるか?それに普段お前ら誰が教えてると思ってんだ?俺はあいつらより弱いのか?」
_ _ _ドクッ ドクッ
心臓の鼓動が跳ね上がる音がした。
「そうだよな!お前より強いなんてありえねぇ!」
「「そうだそうだ!」」
これにより両者が臨戦態勢に入った。
主人公サイド
「まずは俺がゲームメイクするわ」
「おう」「うん」
まずは俺がボールをもちゲームを進めることにする。
__ ゲームスタート!ジャンプボール!
小久保と大輝が同時に飛び上がる。
「「ッ!」」
「バチィィ!!」
「ナイス大輝」 「だいちゃん!」
大輝と小久保は小久保の方が5センチ以上大きいがそれを大輝のジャンプ力が凌駕しボールを叩いた。溢れたボールをすかさず俺が拾いゲームメイクを開始する。
__ __ ダムッ ダムッ
俺はゆっくりとボールをつきながら相手チームを見据える。俺のマークは木村、さつきに斎藤がついてる。まずは相手の実力と俺の実力がどこまで通じるのかを試してみたい。
ボールを持ったまま集中力を強める。今できる最大限の高速のクラスオーバーを繰り返す。
「「はえぇ!!」」
このドリブルに木村はついてこれない。そして相手が乱れたところを瞬時につく。数回ボールをついたのち急加速し全速のドリブルを仕掛ける。木村を一瞬で抜き去り同時に大輝がゴール前に飛び出してくるが俺は構わずレイアップを仕掛ける。
「いかせるか!」
小久保がゴール前に現れるが俺はレイアップの体制から一度ボールを下げ相手のブロックをかわし、もう一度シュートを打った。
__ __ ザシュッ!
「「ダブルクラッチ!!!」」
「小学低学年がやっていい芸当じゃないぞ!」
俺はそのままシュートを決めた後自軍のコートまで戻っていく。
「おい!今俺空いてたぞミカ!」「みっくん!凄いね!あんなのもできるんだ!」
「ごめんごめん!次はボールを回してくよ」
ゲームは2対0の状態から相手チームのガードである木村がボール持ちながらドリブルしてくる。ただ木村のドリブルは高いな。これじゃいつでもスティールできるぞ。そのまま木村が味方にパスを出そうとした瞬間に詰め寄りスティールした。
「やべぇ!悪りぃ戻れ!!」
「こっちだミカ!」
大輝が俺を呼んでるな。ぶっちゃけさつきのほうがポジショニング的に空いてるがここで大輝に出さないと後々めんどくさいからな。
大輝が小久保を交わして俺からパスを受ける体制になってるのを見越して俺は大輝にパスを出した。
「ナイス!ミカ!」
大輝はボールを受けたままストリートスタイルのドリブルを披露し独特のリズムで左右上下に揺さぶりをかけ小久保を抜き去りあっけなくレイアップを決める。
「ナイスだ大輝!」
「やるじゃんだいちゃん!」
「当たり前だろ!」
今までの攻撃で相手の実力は大体把握した。ぶっちゃけ負ける要素が見つからない。強いて言うならさつきのところだけど俺と大輝がカバー出来る範囲内だ。
敵チームは先ほどと同じように木村から攻めてくる。
「行かせないよ!」
「くそッ!」
俺は再び強めの圧をかけ木村の選択肢を減らしていく。1on1で俺より劣る木村が単独で俺を抜き去るのは不可能だろう。
それを理解した木村は斎藤はパスを出したがさつきが狙われることを先読みしていた大輝がそれをカット。ルーズボールを俺が拾う。そのままゴール前まで駆け抜けていく。
「絶対止めてやる!」
ゴール前に戻っていた小久保に動きを止められてる。しかし瞬時に俺はボールを 背中の後ろを通して 右から駆け抜けたさつきにパスを出す。そのままさつきはシュート体制に入った。
__ __ ザシュッ!
完璧に決まった。完全に相手の勢いを断つプレイをした。これで6対0である。今回は10分のワンゲームだがこれ以上相手の勢いは上がってこないだろう。しかし俺は油断も驕りもない。
いつだって全力で相手に敬意を持って叩き潰す。それが礼儀だと教えられたから。それを大輝たちにも教えたから。
__ __ピピィィィィ!
ゲーム終了である。ゲーム得点18対2で一年生の完勝である。