俺たちはその後無事チームに迎えられ週に4回はクラブチームで練習する日々を送っていた。ちなみにあの後三年生の仇をうちに来た修造に大輝と俺が1ON1で勝負したが大輝はボロ負けで俺も僅差だが負けてしまった。
ほんとあの人バケモンだよ。大輝はその負けがよっぽど堪えたのか毎日のように練習がある日の終わりにあの人に挑んでるが今んとこ勝ち星はゼロだ。俺はちょくちょく勝ってるけどね。
そして半年ほどしたある日の夜俺は両親からあることを知らされた。
「ミカ。ちょっと大事な話があるからこっち来なさい」
「ん?今ウィザーズの試合見てるのにぃ〜」
「いいから来なさい」
父のいつもの親バカ満載の雰囲気じゃないことを感じ取った俺は言う通りに父の正面の椅子に座った。
「ミカ。難しい話はミカには分からないと思うから簡潔に言うけど仕事の都合でアメリカに帰ることになると思う」
「え、、、」
「いつ?」
「早くて来年の夏からだね」
おそらく父は俺が急に言われても納得出来ないのを見越して1年近くの猶予を設けてくれたのだろう。
「ミカ大丈夫?」
「. . .」
俺はあいつらと一緒に入れないと理解した瞬間に頭が真っ白にになり放心状態となってしまった。何せ人生で初めて出来た友達だ。好きな人も出来た。それを両方無くしてしまうかもしれないと思った瞬間涙が止まらなくなった。
「ひっく……ひっく……えぐっ……」
嗚咽が止まらなくなった俺を母と父は抱きしめてくれたけど今は全然嬉しくなかった。
「ごめんな。ミカ。父さんのせいで」「ごめんね。ミカ」
「えぐえぐ……さみしいよぉ……」
その日は泣きつかれて眠るまでずっと泣いていたと思う。考えようとすると涙が止まらなくなるのだ。
それからしばらく俺は学校やクラブチームでも無言や明後日の方向を見つめながら放心状態になることが多かった。
「おい!ミカ!どうしたんだよ!おかしいぞお前」
大輝はいつもと違いミスを連発する俺に怒り
「みっくん大丈夫?なんか変だよ」
さつきは心配そうな顔で俺の顔を覗き込んできた。俺は言いたくなかった。自分の口から言ってしまったら本当にアメリカに行くことが現実になってしまいそうだったからだ。
さつきや大輝の話によればコーチや他のチームメイトも俺のことを心配してくれていたらしい。申し訳ない気持ちでいっぱいだった。そうして俺は重い口を開くのだった。
「俺さ来年からアメリカ行くんだ」
「「え!!」」
「嘘かと思うかもしれないけどマジ。しかもいつ帰ってこれるのか分からない」
「マジかよ」 「ぐすっ……ぐすっ……」
大輝は魂が抜けたように無の表情を浮かべていた。さつきは涙が溢れていた。
「だから俺はもうお前たちと一緒にいられない」
「こんな悲しい思いするなら初めから...」 ドカッッ!
「てめぇふざけたこと言ったんじゃねぇ!」
大輝は殴られ尻餅をついた俺の胸ぐらを掴みながら必死そうな目を浮かべている。目には涙が浮かんでいた。
「俺はお前と友達になれて良かった! バスケと出会えて良かった!俺らはライバルだ!忘れてんじゃねぇよ!」
大輝の言葉は今の瞬間なぜかスッと胸の中に入ってきた。大輝が胸ぐらを離したら次はさつきが俺の前に膝をついて座った。
「みっくん。覚えてる?私幼稚園でいじめられての。」
覚えてるに決まってるだろ。忘れる訳ねぇ
「みっくんがあの時声をかけてくれなかったら今よりもっと友達居なかったかも知らない。それに知ってるんだよみっくんが女の子たちに言ってくれて助けてくれたこと」
「私にとってみっくんはヒーローなの。そんなみっくんが好きです」
そう言いさつきは顔をゆっくり近づけてきた。二人の影が重なった。
「俺もいるんだけども....」
大輝の方を向くと気まずそうな大輝の姿が。そんな姿を見て俺は笑みを浮かべた。さっきまで心が痛くて仕方がなかったのに今は心が暖かい。
「大輝、さつき本当にありがとう。絶対戻ってくるからもっかい一緒にバスケやろうね!」
「当たり前だろ!絶対ミカより強くなってやる!」
「うん!」
「そもそも俺が居なくても修造くんいるから大輝はサボれないね!」
「うるせぇよ!」
そうして俺たちはいつもの3人に戻り今までのことを語ったり、未来のことを語り明かした。俺がアメリカに行くまでの明確な目標も思い浮かんだしアメリカに行くまで出来ることはやっておかないとね。
次の日から俺はいつも以上に練習に打ち込み、学校生活でもみんなと楽しんだ。
そして半年が過ぎた日のクラブチームの練習中に
「修造くん!1on1しましょうよ!」
「お!お前から声かけてくるの珍しいな!いつもは大輝の方ばっかだからな」
「修造にいつも負けてるから大輝前より練習やるようになったんですよ!」
「へぇ。多分それだけが理由じゃねぇけどな。」
「ま、いいや!とりあえず向こうのコートで待っとけ!これ終わったら行くから」
「うっす!」
俺は言われた通り反対側のコートで修造くんを待つことにした。
「「「なんだなんだ!」」 「修造とミカがガチの1on1やるらしいぞ!」
周りも騒ぎ始め俺のいるコートに集まってきた。
すると
「おおーい!待たせたな!」
笑顔の修造くんがこちらにやってきた。
「全然っすよ!何点勝負にします!?」
「ん〜そうだなぁ。まだ練習やりたいしし5点先取りで!」
ボールはじゃんけんで俺からの攻撃になった。
「じゃあ行きますよ!」
「こい!」
_ _ _ ダムッダムッ
俺はボールをゆっくり突きながら様子を見る。そして
_ _ _ ギュンッ! ダダン!
一気に最高加速まで持っていき鋭いクロスオーバーで相手の重心を逆に持っていき、一気に抜き去る。
「まだだぜ!」
しかし修造くんは持ち前の身体能力で俺に追いついてくる。そこで俺は
「それも読んでます!」
体を入れ替えるようにスピンムーブへとつなぎ、相手を完全に置き去りにしレイアップでゴールを決めた。
「「「!!!すげー!!!」」」
歓声が湧き上がった
「次修造くんですよ!」バシッ!
「行くぜ!」
俺は修造くんが来るとわかった瞬間に重心を低くし体全体を見るようにした。修造くんのトップスピードは俺とほぼ互角。
フィジカルは修造くんが上。となればフィジカル重視の攻めを展開してくると読んでいた。しかしここで修造くんが選んだのは
目の前のディフェンスを無視するかのように、高々と放たれた一撃だった。
_ _ _ ザシュッ!
「「おぉー!やり返したぞ!」」 「流石修造だ!」
「流石ですね!修造くん!」
「誰かさんが先にかましてくれたからな!」
俺はボールを突きながら次の攻撃をイメージする。
「だいちゃん次みっくんどうするかな?」
「さぁ?わかんねぇがあいつがやられっぱなしで終わる訳ねぇ」
この白神・ミカエル・颯斗という男は基本負けず嫌いである。
俺はドリブルを突き一点目と同じように急加速する。
と見せかけて駆け引きを省き、ディフェンスが構える前にロングスリーを放った。
_ _ _ ザシュッ!
「「「マジかよ!!」」」
「お返しっすよ!」
「お前…負けず嫌いすぎだろ」ニヤッ
そこからお互いの矛が相手の盾を貫く展開が続いた。
「「フゥ」」
先に王手をかけたのはミカだった。
「「「!!!4対2!!!」」」
「ここだな。ここで決めたほうがいい」
「なんで?」
「お互いに全開も全開しかも方や2年生で方や4年生だ。スタミナは段違いだ」
大輝の心配は最もだった。お互いに汗をかいて息を切らしているが少しばかりミカの方が疲労が多いように見える。全開の状態で互角なら少しでも緩めればすぐに差は開くだろう。
故にラストプレー。
「ここで決めます!」
「やらせねぇよ!」
俺はクロスオーバーで相手の体勢を崩し、わずかなスペースを作る。そのままステップバックに移行しシュートフォームを作る。しかし修造は身体能力でギリギリくらい着いてくる。このままでは誰もが止められると思った。
_ _ _ スゥ ダダン!
_ _ _ 踏み込む
俺は相手の手が宙を切った瞬間、稲妻のようにゴールへ突き進む。
コートが割れるような一歩で、リングまでの道を切り裂いた!そしてそのままシュートを決める。
「よっしゃあああ!!」
「クソッ」
「「「すげぇ!」」」
全身から力が溢れ、叫びが体育館中に突き抜けた。そして歓喜が爆発する。
「負けたよミカ」
「修造くん...」
俺は最後にやり残したことそして唯一勝てなかったチームメイトを下したのであった。そして
1ヶ月後
俺は空港にいた。空港には俺の家族の他に大輝の両親とさつきの両親も来てる。もちろん子供二人と一緒である。
「大輝!もっとバスケ上手くなれよ!俺はアメリカでもっと上手くなる!じゃないと置いてくぞ!」ニヤッ!
「あたりまえだ!お前こそちゃんと強くなって戻ってこいよ!」コツン
そう言い俺と大輝はお互いの拳を突き合わせた。俺はさつきの前に行く。
「さつき!本当は離れたくないけどこうなっちゃったからしょうがない!次会う時までに絶対もっとカッコよくなってもっとバスケも上手くなるから!」
「ぐすっ…うん…ぐすっ……みっくん!大好き!」ギュッ!
「俺も!」
すると母さんが
「ほら!あれ渡さなきゃ!」
「あ!忘れてた!はいこれ二人とも!」
「「ん?なにこれ?」」
「それは俺の連絡先!昨日携帯買ってもらったんだ! そこに電話してきて!絶対出るから!」
「ほら二人とも。そろそろ時間だ」
「うん!バイバイ二人とも!」
「おう!」 「絶対電話するから!」
そう言い残して俺たちは飛行機の入り口に向かって行った。
白神・ミカエル・颯斗の日本過去編これにて完!ちゃんちゃん!
すいません。お待たせしました。今回主人公の過去編は一旦終了とし元の時間軸に戻ります!