私はミレニアムサイエンススクール3年、調月リオ。
今は帰りにスーパーに寄って、今夜の食事を購入しようとしている。
私の食事は基本的に割引弁当と冷凍食品で構成されている。価格的にも出費を抑えられるし、冷凍食品は長期的かつ大量に保管出来る。
まさに合理的な選択ね。
「おや、君は…………」
カゴの中に今夜の食事となる唐揚げ丼を入れていると、不意に背後から男性に声をかけられた。
私はこの声に聞き覚えがある。
「あなたは………先生」
「リオじゃないか。こんな所で会うなんて奇遇だね」
私の背後には、久しぶりに会う先生の姿があった。相変わらずの穏やかな笑みを浮かべていて、私はどういう訳か少し温かい気持ちになった。
「これから帰り?」
「ええ」
「ん?それは………」
先生は私のカゴの中に目を向ける。
「夕食よ。まだ残っているから、先生も買うのなら早めの方が良いわ」
「いや、私は自分で作っているから良いよ。それより、リオって普段どんな物を食べてるの?」
先生は普段の私の食事内容について尋ねてくる。どうしてそんなことを知りたがるのか分からないけれど、答えて特に問題のあることではないわね。
「ここで販売される割引弁当、それと冷凍食品ね。お弁当は最大で半額値引きされるし、冷凍食品も出費的・保管的観点から合理的な選択だと判断しているわ」
「合理的……………」
先生は少し考え込むような仕草を見せる。私は何か問題のあることを口にしたかしら?
「でも、それだと栄養に偏りが生じるよ。健康に良くないよ」
心配そうな表情で私を見据える先生。私の身体を気遣ってくれることは有り難いけれど、その点も問題無いわ。
「足りない栄養はサプリで補っているわ。現に体調も崩していないし、この食生活が私にとって最も合理的な、最善なものなの」
私は何事よりも合理性を重んじる。確かに、割引弁当や冷凍食品は常日頃から食べていると味に飽きてしまうこともあるけれど………やはり出費などを考慮すると、この合理性に勝るものは無いわ。
「なるほど………合理的か………………」
先生は何度か頷く。私の考えを認めてくれたってことで良いかしら。
すると………
「……………?」
先生は私のすぐ目の前まで歩み寄ってきた。その結果、先生が私を見下ろすような体勢になる。
私は、女性の中だと長身な方。でも、それよりも更に背の高い先生に見下されると、普段は彼から感じられない圧力のようなものをどうしても身体で感じ取ってしまう。
「な、何かしら」
「リオ………合理的、と言ったね」
「…………?え、ええ………」
先生はそのままの距離で、おもむろに口を開いた。
「それは間違いだよ、リオ」
「え………」
「まず、君のその食生活には食物繊維が欠けているね。君のような体格の女性に必要な1日の食物繊維の量は20数gと言った所か。今ちょうどカゴに入れてある唐揚げ丼なんかには精々数gの食物繊維しか含まれておらず、仮に3食食べても総摂取量の高は知れている。もしサプリで補おうとしても、残りの必要食物繊維をカプセルで摂ろうとするのならば、大量の粉末を毎日飲む羽目になる。とても現実的ではないね。食物繊維は炎症抑制や腸粘膜保護には必須な成分だ。水分のように摂取しなければ死ぬというものではないけど、長期に渡って健康を維持するためには必須だよ」
「あ…………」
「それと弁当食品や冷凍食品のような揚げ物や加工食が中心の食品にはカリウムが圧倒的に足りていない。サプリには用量規制というものがあってね。キヴォトスで販売されているサプリには1500mgまでしかカリウムは含まれていない。これは食事から摂取する量とは別に追加で摂取していい量としてキヴォトスの食品安全委員会が指定したものだ。君の体格の女性ならば、1日あたり約2600mgのカリウムを摂取する必要があるが、仮にサプリを飲んでもその量には全く届かない。カリウムは血圧コントロールの要だから、これもまた長期的な健康を維持するには不可欠な成分だよ」
先生は突然、息継ぎもしないで栄養について語り始めた。私はそんな先生から目が離せない。
「せ、先生………?」
「カリウムは心筋細胞の再分極に関わるからね。これが恒常的に不足していると、不整脈や高血圧などの症状が表れることもある。それだけじゃない、脳卒中や冠動脈疾患のリスクも跳ね上がるし、最悪の場合、心停止によって君は死ぬ」
「し、心停止………!?」
物騒な単語が先生の口から飛び出てきて、私は心臓が一瞬萎むような思いがした。
「更に君の食生活はω-6系栄養素偏重のものとなっていて、ω-3系の栄養素が致命的に足りていない。本来ならばω-6とω-3のバランスは2〜4:1が理想的なんだけど、君のような食生活を送っていると10〜20:1というとんでもない比率に偏りがちだ。ω-6系のリノール酸もω-3系のα-リノレン酸も必須脂肪酸で、人体では合成できないから外部から摂取する必要がある。しかし、君のように脂っこいものばかりを食べているとリノール酸過多となり、α-リノレン酸が圧倒的に不足する。α-リノレン酸が不足するということは、EPA/DHAが不足するということだ。これらが不足すると認知機能や学習機能が低下する。学生としては致命的だし、生徒会長として様々な仕事をこなすリオには非常に手痛いダメージとなる。亜麻仁油やえごま油などのALAからEPA/DHAに変換される効率は、EPAが5〜10%ほどでDHAが0.5〜5%ほどだ。つまり、君の油物中心の食事においては実質摂取していないも同然ということになる。また、君が飲んでいるであろう魚油サプリでは確かにEPA/DHAを摂取できるけど、市販品は酸化度が高い。EPA/DHAが酸化すると、体内で過酸化脂質やアルデヒドに変化し、炎症や動脈硬化のリスクを上昇させる。本来持つはずの血液のサラサラ効果も無くなるし、お金を払って毒を飲んでいるようなものになるね。かといって高品質のものを購入しようとなると、これは月数千円〜1万円以上の支出となり、素直に魚料理を食べたほうが安くなる。コストの面からも合理性は無いと言える」
「あ………………」
「ほら……」
「……っ!?」
先生はとてつもない言葉のシャワーを浴びせてきた後、急に私の手を取った。
「少し肌が荒れている。ω-3が欠けている証拠だよ。サプリを飲んでいるはずなのに、健康に少しずつヒビが入ってきている」
「……………………」
「肌ぐらい何ともないって思った?でも、大きな病気っていうのはこういう所から始まるんだよ」
先生は私から手を離す。柔らかい先生の手の感触、温もり。そして私と違い荒れていない綺麗な肌。
先生は、先ほどまでの言葉の重力を弱めて、私に優しい声色で語りかけてきた。
「それに……君のような綺麗な女性の肌が荒れるのは、あんまり好ましくないよ」
「え………?き、綺麗……………?」
「おっと……これは少し余計だったかな?」
先生は軽く笑った。どうしてか、一瞬だけ心臓がとても強く脈打った。
先生は笑みを消すと、真剣な眼差しを私に向けて言った。
「これでも君は、その食生活が合理的と言うのかい?」
「…………………………………………」
先生の反論は、単なる気遣いとかではなかった。私がいつも好む"合理性"そのものの、科学的根拠に基づいたもの。
私はどう言葉を返すべきか、その答えを探しあぐねていた。
「リオ、合理性っていうのはね。値段とか手間とかを惜しんだからといって実現出来るとは限らないんだ。一見、出費がかさむように見えても、それで健康が買えるのなら安いものさ。病気になって病院のお世話になったら、今抑えている出費分のお金なんて軽く吹き飛ぶことだってあるんだよ」
病気……それが具体的に何であるかは分からないけれど、重篤の場合は手術や入院をすることになる。数十万円……場合によっては数百万円のお金がかかる……わね。
………………
「分かったかな。君は近道をしているようで、実はとても危ない橋を渡ろうとしている。世の中、何かを得るには何かを捨てることになるものだよ。いいとこ取りは出来ない」
「……………………そう、そうね……」
それは私が常々思っていること。合理性を重んじるからこそ、私は時に冷酷な判断を下してきた。自分の信頼とか、評判とかを切り捨てて、ミレニアムの未来を良くするための選択を心掛けてきた。
………それが実を結んだとは手放しには言えなかったけれど、それが私の人生に対する姿勢。合理性を最優先にするのが私の在り方。
ならば………先生の提示してくれた、より合理的な選択肢に目を向けない訳にはいかない。
けれども…………………
「でも………私、料理をすることが出来ないの」
料理だけではない。これまで家事一般はトキに任せっきりだった。私自身はそうしたこととは無縁で、何をどうしたら良いのか分からない。
「……なんだ。なら簡単じゃないか」
「え………?」
「出来ないのなら、出来るように努力をすれば良い。何事も最初は上手くいかないものさ。君だって、機械造りは最初は失敗を重ねたでしょ?」
機械造り………私は随分昔の、古い記憶を引っ張り出してくる。
「それは………最初からそれなりに上手くいったわ」
「ありゃ…………これは参ったね。流石は天才少女だ」
頭を掻きながら困ったように笑う先生。その様子がどこかおかしく思えて、ふっと笑みをこぼしてしまった。
「ならば、その天賦の才を料理にも応用してみよう。リオらしく合理的に、最短で上達する方法を一緒に考えてみようか。手始めに………」
先生は、自分の持っているカゴに目を移す。そこには野菜やお肉などが積み重ねられていた。
「今日は私がリオに料理を振る舞うよ」
「………!」
「私が料理する所を観察して、今後のリオの糧にしてくれれば良い」
先生からの突然の申し出。私の口は、即座にそれに反応していた。
「そんな………それだと先生の出費がかさむわ。料理を一人分多く作る時間的損失もあるし………先生に合理的メリットが無いわよ」
「ふふ………それはどうかな?」
「?」
「私はリオのためにご飯を作りたいと思っている。そうすることが私にとって気持ちいいことなのだとしたら、何も問題が無いんじゃないかな?」
気持ちいい………それはとても合理的には思えない理由。
「そんな感情的な理由で先生が不利益を被るなんて………」
「リオ」
先生はまた、まるで小さな子供に語りかける大人のような柔らかな声で私の名前を呼んだ。
「私たちは機械じゃない。人間だ。ただ形式的な目標や数値を実現するために生きているんじゃないよ。ただ………あえてリオ風に言うのなら、"楽しむため"に生きているんだ」
「楽しむため……………?」
「君がミレニアムの生徒会長としてこれまで実現しようと思ったのは何かな?」
先生は改まった風に私に問いかけてくる。
私が生徒会長として常に考えていること。私がこの身を合理的に捧げようとしている目標。
それは明らかなものだった。
「ミレニアムの末永い発展と…………ミレニアムの多くの生徒たちの幸福よ」
それこそが、生徒会長としての務め………
「自分で言ってるじゃん。"幸福"を目指してるって」
「あ…………」
「そう。人間の目指す先はそこなんだよ、リオ。君が合理性によって目指していく先には、常に誰かの幸福が待っている。君の合理性は"幸福"とは不可分なものだよ」
先生は固まる私の肩に手を乗せた。先生の温もりが、今度は肩から私の中に入ってきた。
「なら、私が自分の"幸福"のために動くのは至極合理的なことじゃないかな?私は自分の目指す目標のために、最適な行動を取っているだけだ」
「…………………」
「それに、私がリオの分の食事を作るということは、君の今夜の食費が浮くということ。コストの面からも、心の面からも、お互いにとって最も合理的な選択じゃないかな?」
白い歯を見せて笑う先生。私はもう、返す言葉を持ち合わせていない。
先生の言う"合理的"は、私がこれまで描いてきた"合理的"とは違って聞こえる。誰も痛みを伴わない、誰も傷つかない"合理的"。以前までの私なら、甘いと切り捨てていたかもしれない。
今そうしないのは………先生のおかげ………かしら?
何だかうまく言いくるめられた気もするけど、反論出来ないとなったら私は従うしかない。
「……………分かったわ。今日は先生にご馳走になるわね」
先生は深く頷いて笑った。
「それで良いよ、リオ。"幸福"を追い求める姿勢こそ、究極の精神合理性だからね……………」
◆◆◆◆◆
私は先生が宿泊しているホテルに行くことになった。最近は特に忙しいらしくて、ホテル暮らしが続いているみたい。
自宅に帰れないのはあまり好ましいこととは言えないかもしれないけれど、セキュリティの点からは一定の安全性があるわ。特に先生みたいに様々な学校の生徒と関わって、重要な情報を握っていると思われる人には。
「あんまり広くなくてごめんね」
「いえ………それより、本当に良いの?」
「食材まで買って今更止めます、なんてことは無いよ。むしろここまで来たらしっかりと食べてもらうからね」
先生の決意めいた笑み。でも、私が聞きたかったのはそういうことではない。
「そうじゃなくて………特定の生徒と懇意にするのは、公平性などの観点からどうなのかと」
「大丈夫だよ。皆気軽に休みの日とかに私を呼ぶし。あえて言うなら、全生徒に肩入れしてる……ってことになるかな」
全生徒に………
どうしてかしら。あんまり良い響きに聞こえなかったのは。
「さて、じゃあこれから作るよ。リオ」
「?」
「しっかりと見ていてね。私が料理を作るところ」
「あ………」
「これからは、リオが自分で腕を上げていくんだから」
そう………そうだったわね。
今の食生活では、いずれ私の健康に害を及ぼす可能性が高い。今後も今のような食事を続けるのは合理的じゃない。
先生の料理を作る様子を観察して、後の合理的な食生活に繋げる必要があるわ。
「じゃあ、始めるよ───────」
◆◆◆◆◆
コト、コト。
先生がまな板の上で包丁を動かす音が聞こえてくる。とても耳触りの良い音で、聞いていて気持ちが良い。
「ひとくちに包丁と言っても、切り方は色々あるんだけどね。今回のところはこんな感じかな」
豆腐をいくつもの立方体に切っていった先生は、まな板を持つと鍋の中に豆腐を入れていく。今鍋で煮込んでいるのは、味噌汁。
普段、私に足りていないというカリウムやカルシウム、マグネシウムを多く含んでいるという話だった。
「お、焼き上がったかな」
先生は閉じていた魚焼きグリルを開けた。プレートの上には、何匹かの程よく焼けた鮭が乗っていた。焼き魚の芳香が鼻に漂ってきて、燻っていた食欲が劇的に掻き立てられる。そのせいで、急にお腹の虫が鳴り出した。
「あ………」
「リオ、お腹減ってるみたいだね」
「………………………」
頬が熱を帯びる。これしきのことで恥じらいの感情がこみ上げてくるなんて、非合理的。今日は少し調子が悪いみたいね……
「待っててね。後少しで完成だから………」
先生の料理の手際は良くて、かなり慣れている人なのだと思わされた。学ぶべき点は多かったけれど、同時に一度に学ぶには少し大変だとも分かった。
それから数分経つと、食卓の上には久しぶりに、本当に久しぶりに見る主菜、副菜、汁物の組み合わせが並んでいた。
「はい、夕食の献立はこれ。まずは雑穀ご飯。白米と押し麦、そして雑穀をミックスさせた一品だ。食物繊維とミネラルを沢山含んでいるよ」
「食物繊維……と、ミネラル………」
「お次はこれ、鮭の塩鞠焼き。DHA/EPAが豊富に含まれている。普段、ω-3が不足してるリオにピッタリの料理だよ」
「なるほど……」
「サイドメニューはほうれん草としめじの胡麻和え。マグネシウム、鉄分、ビタミンCと鉄分を沢山含んでる。それと、ひじきと大豆の煮物。これはカルシウムと鉄分、食物繊維と良質なタンパク質が詰まってるんだ」
「タンパク質………」
「そして、味噌汁。カルシウム、マグネシウム、カリウム、亜鉛がたっぷり含まれてる。そして、発酵食品だから腸内環境を改善してくれる」
「………………」
「この1食で、リオに足りてない栄養素をしっかりと吸収出来る。リオには健康食の美味しさをちゃんと知ってほしいから、気合入れちゃったよ」
先生が柔和な笑みを見せてくる。その笑みが目の中に入ると、また正体不明の胸の高鳴りに見舞われる。
一体、この感じは何かしら………不整脈………?もう体調が崩れてきたというの……?
「どうしたの?」
「あ…………な、何でもないわ」
私は軽く咳払いをして、この感情を押しのける。
「じゃあ食べようか」
「ええ」
私は両手を合わせた。
「お、リオでもやるんだ」
「私を何だと思っているの?」
「ごめんごめん。そんな怖い顔しないでって」
いくら私でも、客としてもてなされたら相応の敬意というものを払うわ。
「じゃ私も…………」
先生と両掌を合わせる。そして───
「「いただきます」」
私と先生は、同時にお箸を手に持った。
私は、まず気になっていた鮭から食べることにした。赤い身を少し切り崩して、こぼさないように口に運ぶ。
「…………………はむっ」
歯で噛むと、香ばしい香りと同時に肉汁が舌の上に弾け飛ぶ。それが、まるで電気でも走ったかのように私の口を刺激した。
「………………」
お箸の動きが止まらない。止められない。
こんなに温かくて、優しい味の食事を摂ったのは一体いつ振りかしら………
……すると、そこで私は先生の方を自然と見た。さっきから、先生の視線がずっと私に向けられている気がして、なんというかこそばゆかった。
「…………何かしら」
「いや、お味の方はどうかなって」
ニヤニヤと口元を綻ばせる先生。また私の胸は不自然に脈打つ。
「………………美味しい」
「お?」
「割引のお弁当も美味しいって思っていたけど…………先生のご飯はそれ以上………」
「良かったぁ〜」
先生はふぅっと息を吐き出した。
「あれだけ大見得切っておいて、美味しくないじゃ示しがつかないからね」
示しがつかない………そんなことは無いと思うけれど。でも、先生が満足そうにしてくれるなら私が来た甲斐もあったわね。
「思う存分に食べてよ。おかわりもあるから」
「…………ええ」
◆◆◆◆◆
「ごちそうさまでした………」
私は、先生が作ってくれた夕食を完食した。
どれも今の私には新鮮だった。私は今、満腹感と共に春のそよ風に吹かれているかのような充実感に身を包まれていた。
「お粗末様でした。どう?リオにとっては久しぶりの手作り料理は」
「…………とても美味しかった」
「ふふ………美味しくて、しかも健康にも良い。それってとても合理的だよね」
「………」
先生は、"幸福"を求める姿勢こそ合理的だと言った。
栄養も確保できて、しかも美味しい。一石二鳥の、合理性に満ちた食事だったわね。
………………
何かしら………この胸の感じ。
本当に、今日は変よ。栄養不足に………疲れかしら。心臓が不規則に乱れたりするなんて、今まで早々無かったのに。
「リオもこれから料理の腕を磨けば、毎日ちゃんとしたご飯を食べられるよ」
そう………そうね。その話が今回の主題でもあったわね。
食事の最中、考えていることがあった。それは、これまで私が培ってきた知識や技術をそのまま料理にも応用出来る合理的な計画。
ただ1つ、先生の同意が必要という条件を除いては。
「そのことなのだけど……」
「ん?」
「これから、料理専用のロボットを開発しようと思うの」
「料理専用?へぇ〜!リオらしいアイデアじゃん」
「そこでなのだけど…………」
続きを口にしようとすると、一瞬声に詰まる自分がいた。また奇妙な感情だと自己を訝しむけれど、一呼吸置くとしっかりと言葉に出来た。
「これからしばらく…………私のために料理を作ってくれないかしら?」
「え?」
先生の視線が突き刺さる。何故だか頬が急激に熱くなっていく。
私は慌てて補足の説明を口にした。
「あ…………その…………先生の動きを、ロボットに学習させたいの」
十数秒の間、沈黙が生まれる。
もしかして、迷惑だったかしら………多忙な先生に、そんなことをお願いして────
「うん、良いよ」
「………!」
「他でもないリオの頼みだ。これからしばらく、リオにご飯を作ることにするよ」
先生は嫌な顔せず、二つ返事で私のお願いを承諾した。
その答えを聞いて私の口元は、自分でもよく分からない程に吊り上がっていた。
次はどこのギスギスが見たい?
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