是非とも、アンケートに答えてくださると幸いです。
『あっ…………ああっ…………リオ………好きだ…………私も好きだっ!!!!!』
『先生ぇっ!!んぐっ!!?んんっ……!!んん…………んっ……………』
なに……………
なにを……
なにをしてるんですか……………先生…………?
『ぷはっ…………はぁっ…………先生………………』
『リオ……………………』
え………なに………
なんですか…………これ………?
先生?
どうしてリオ会長の声が………?
しかも………なんですかその激しい声は……
どうしてそんなにお互いの名前を激しく呼びあっているんですか……………?
『先生……………私………今とても"幸せ"よ…………』
『リオ…………私もだ…………』
『これってとても醜いわ…………自分がこんな姿になるなんて………考えもしなかった…………』
は………
意味が分からない………
リオ会長はなにを言っているんですか…………
『でも………これで良いのよね……………? これが………この心が………本当の合理性………なのよね…………』
『うん…………その通りだよ……………"幸福"を求める姿勢こそが………人間にとって………』
『───究極の、"精神合理性"なんだから』
『あっ!!!?先生っ……あんっ!……そこは………そこは止めてっ………』
『リオ………悪いけど止められない………これが私の"合理性"なんだ………』
『んんっ…………止めて………恥ずかしい………変な声ッ……出ちゃう……っ……!!あっ………』
『恥ずかしくなんかないよ………私はリオの全てを愛してるから………』
『あっ………先っ……生……………』
なに、これ
◆◆◆◆◆
受信機から聞こえてきた声
確かに、先生の声でした
そして、側からリオ会長の声もした
私たちには聞かせたこともない
あまりにも激しくて、あまりにも熱のこもった声でした
一度だって、あんなに情熱的に名前を呼ばれたことはありません
いつも
いつも
優しく、時に囁くように
"ノア"
他の皆を呼ぶ時と同じ、先生の優しさの表れを耳にしていました
なのに
今聴いていた先生の声は
全然違う
抑えきれない心の奥の熱
それが口から出ていました
そして何度も叫んでいました
"好きだ"
"愛してる"
私が聞きたくて聞きたくて
聞きたくて聞きたくて聞きたくて聞きたくて
ずっと
ずっとずっとずっとずっとずっと
いつか言って欲しいと思っていた言葉を熱を込めて叫んでいました
私ではなく
リオ会長に
生塩ノアではなく
調月リオに
先生は
先生は
私の知らないところで
リオ会長のことを───
「うっ!!?」
「はぁっ…………はぁっ…………うぷっ………うぇぇっ……」
ずっと耳に残っている
『私はリオの全てを愛してるから………』
『私は』
『リオの全てを』
『愛してるから』
リオ会長に愛を叫ぶ先生の声が
ずっと
延々と
絶え間のない音の連なりとなって
頭の中で木霊している
そして消えてくれない
一度覚えてしまったから
もう二度と忘れることは出来ない
これから死ぬまで
一生
私は忘れられない
先生とリオ会長の、激しい交わりを
先生とリオ会長の、いやらしい声を──
「いやぁっ!!!!」
◆◆◆◆◆
今日の仕事が終わって、私は先生とノアと別れた。
……………
結局、仕事中に先生は一度もリオ会長の話をしなかった。
お友達とのお話。
ミレニアムの他の生徒たちとのお話。
ノアとの………2人きりのお話。
聞こえてくるのはそんなことだけ。
リオ会長の声は全く聞こえてこなかった。
本当に………
本当に、昨日のあれは、なに?
………………
今日も…………
今日も、確かめないと………
新しく先生のジャケットに取り付けた盗聴器。こんなに何個も付けるのは………本当に最低なことだけど。
でも、もう止まれない。こんなに感情がぐちゃぐちゃになって………今更後には引けない。
……………
……………今は………何をしているの。
一度疑問が湧き出たら、もう抑えられない。私の手は、自動的に鞄の中に突っ込まれていた────
「………………え」
あれ……………
受信機のケースが…………
ケースが………
「無い………………!?」
えっ………!?
嘘…………嘘でしょ!?
無い………無いなんてこと………!!
「落とした……………?」
どこかに落として…………でも私は鞄なんて外で一度も開いてない…………
おかしい………執務室に置き忘れた……………?
それも無いわ………あんなもの外に出したりはしない…………
それじゃあ何で…………
「……………もういい」
そんなこと、今はどうだって良い。
今はとりあえず、帰ることを優先する。
誰にも邪魔されずに、先生の声を聴くために。
重たい身体に鞭を打って、私は夜の道を駆けて行った。
◆◆◆◆◆
「………………………」
しんと静まり返ってる私の部屋。だからか、私の息の音がやたらとうるさく感じられる。
手には受信機。
後は起動するだけ。ボタンを押して起動するだけで、今の先生の状態が分かる。
分かる…………
けど…………………!
「っ………フーーッ…………」
怖い
物凄く怖い
もし電源を入れた瞬間にリオ会長の声が聞こえたら………
夜景の見えるレストランで素敵なディナーを食べながら………お互いに愛を告白なんてしていたら………
耐えられない…………
きっと私は耐えられないっ………!!
「はーっ…………はーっ…………」
寒気がしてきた………
身体が震えてる……………
誰かを好きになるって………
こんなにも………
こんなにも辛いことなのね…………
……………
…………でも…………
私は知りたい。
知らなくちゃいけない。
こんなこと、今まで無かった。
こんなに感情がぐちゃぐちゃになったことなんか、今まで無かった。
私をこんなにしたのは、先生。
全部、先生が変えてしまった。
今更目を背けることなんて出来ない。
出来ないからこうなってるの。
聴かなきゃ。
この感情に、決着を着けないと。
私が我慢出来ない。
私がもう、待てない!!
「っ!!」
もうここからは勢いよ!!
後は先生の声を待つだけ────
『はぁっ…………はぁっ…………あっ………ああっ……!!先生……!先生ぇぇっ!!』
『先生!!好き!!!好きよ!!!愛してるっ!!!はぁっ………あっ!?……あっ………あぁん…………』
『リオ…………リオぉぉぉっ!!!』
へ……?
『あっ…………ああっ…………リオ………好きだ…………私も好きだっ!!!!!』
『先生ぇっ!!んぐっ!!?んんっ……!!んん…………んっ……………』
『ぷはっ…………はぁっ…………先生………………』
『リオ……………………』
『先生……………私………今とても"幸せ"よ…………』
『リオ…………私もだ…………』
『これってとても醜いわ…………自分がこんな姿になるなんて………考えもしなかった…………』
『でも………これで良いのよね……………? これが………この心が………本当の合理性………なのよね…………』
『うん…………その通りだよ……………"幸福"を求める姿勢こそが………人間にとって………』
『───究極の、"精神合理性"なんだから』
『あっ!!!?先生っ……あんっ!……そこは………そこは止めてっ………』
『リオ………悪いけど止められない………これが私の"合理性"なんだ………』
『んんっ…………止めて………恥ずかしい………変な声ッ……出ちゃう……っ……!!あっ………』
『恥ずかしくなんかないよ………私はリオの全てを愛してるから………』
『あっ………先っ……生……………』
「へ………………?」
◆◆◆◆◆
「うぇ……………げぇぇぇっ………………」
気持ち悪い
リオ会長の声
間違い無い
聞き違いなんかじゃない
「はぁっ………はぁぁっ………うっ!?うぇぇぇ……………」
「……………どうしてっ」
どうして…………先生はリオ会長を選んだの………?
私が………私が一番先生のことを好きだった!
間違いなく私!
私が好きだったのに!!
「どうしてっ!!!」
じゃああれは何だったの!?
私のことを想って………
あんなに熱くなっていた先生は………!!
あれは何だったの!!?
なんであんな声が聞こえたのっ!!?
馬鹿みたいじゃないっ!!!
勝手に1人で盛り上がって!!
勝手に幸せな気持ちになって!!!
自分が選ばれるって思ってた!!!
ノアでも誰でもない!!
私!!!
先生は私を選ぶって!!!
そう思ってたのに!!!
どうして!!
どうしてリオ会長なの!!!
「どうして…………どうしてなんですかぁ…………先生っ…………」
酷い………
酷すぎるよ…………!!
どうして私は………
私は幸せになれないの………………?
◆◆◆◆◆
すやすや眠るリオ。
うん、美しいね。まさに"大きな妹"のような愛くるしさがそこには在った……………
…………ん?
ああ、見ていたんだ………
やぁ皆。
私はシャーレの先生だよ……………リオが眠っているので、小声にて失礼するよ。
ユウカが私の私物にいくつか盗聴器を取り付けた。そして、その受信機の内の1機をノアがくすねた。
うん。美しい。
とても美しく事が進んでいるよ。
これからの彼女たちの動向が、実に楽しみだ……………
おっと、私の携帯に連絡が来ているね。
『先生、アビドスのギスギスビデオ観終わったぜ。めっちゃ良かったわ』
これは………素晴らしい。やはり彼は私の"性"をよく理解してくれる…………
……っと、1人で勝手に盛り上がってしまったね。
今私にメッセージをくれた者だが、彼は私の"同志"だ。普段はミレニアムで用務員をやっているね。
彼だけじゃない。
このキヴォトスには、私と同じ"性"を持つ同志が何人もいる。そして私はその多くと交流を持ち、様々な助力をしてもらっている。
キヴォトスには美しく若々しい女性が多くいる。だが、私の同志の多くは彼女たちを惹きつける力を持っていなかった。
そこで、私という異分子が登場した次第さ。私は女性を惹きつける才能に満ちている。そして女性同士をギスギスさせるにはどうすれば良いかを呼吸をする方法と同じぐらい当たり前のように心得ている。
彼らの燻っていた魂は、私という救世主の登場によって解き放たれたのだ。
さて彼だが、私が以前赴任した学校である"アビドス高等学校"での一件を非常に趣深く捉えてくれたようだ。彼の喜ぶ顔を想像すると、自然と胸が躍るというものさ。
そして今回は………言うまでもないね。
ミレニアムサイエンススクール生徒会・セミナーの皆のギスギスを愉しんでもらう。
彼……いや、彼らには、この後私のサポートに回ってもらうことになっている。
1人では成し遂げられない一大プロジェクト。まさしく、"絆"が成功の鍵という訳だ。
ということで…………ユウカ、ノア。
私たちの嬌声を聴いてしまったのだろう?
この後君たちがどう動くか………とても楽しみにしているよ。
今日は心地良い眠りにつけそうだ…………………
◆◆◆◆◆
昨晩も一睡も出来なかった
2日連続で眠れなかった
ノアは
ノアはぐっすり眠れたのかな
きっと私だけだ
こんな風に絶望してるのは
………………
全部………自業自得…………よね………
先生が誰のことを好きかなんて先生の自由………
リオ会長が誰を好きになるかも自由………
先生はリオ会長に惹かれた……
私には惹かれなかった………
それだけのこと………
もしかしたら………
もし…………私が勇気を出して………恥ずかしがることなんてしないで………
初めからぐいぐい先生にアタックしていれば………
違ったのかな………
「違ったのかなぁ………?」
私のことをもっと知ってもらえるよう努力していれば……
もしかしたら今先生と愛し合っていたのはリオ会長じゃなくて………私だったかもしれない……………
…………………
悔しい…………
悲しい……………………
全部結果論………たられば………下らない想像…………
でも……………悔いずにはいられない…………
だって……………
忘れられないよ…………
あんな感情……………
人を好きになるっていうこと………
人に惹かれるってこと…………
全部………温かかった……………
全部…………幸せだった………………
あんな感情………あんな初恋…………
一生…………忘れられない…………………………
「……………………………………………」
今、頭を一瞬、とても悪い考えが過った
それはあまりにも最低で、人して救えない考え
でも
心臓が跳ね上がって
この悲しい感情が、その瞬間だけ吹き飛んだ
もう
もう現実は変えられない
先生が好きな人はリオ会長
この世界でただ一人………先生に愛してもらえるのはリオ会長
でも
私がこの身を捧げられる人も、この世界には1人しかいない
他の人なんて考えられない
私には先生しかいない
先生にしか、受け止めてほしくない
身体が熱くなってくる
チリチリと火に炙られたように、手足の先まで熱くなる
「先生………………」
私は悪い子です
救えない低俗です
でもね先生
そんな最低な人にも…………
ちょっとぐらい………幸せになる時間があっても良いじゃないですか
本当に、一度だけですから
たった一度だけ
先生を私に独り占めさせてください
だって
だってきっと
会長よりも
ノアよりも
私が先に、好きだったんだから
次はどこのギスギスが見たい?
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