偽りの贖罪者、野蛮な騎士に拾われた呪いの子   作:RichArrow

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ベイリンが実装されてない今がチャンス!と思って始めました
独自設定マシマシです



幼少期
1.醜き呪いの子


<王と魔術師の思いつき>

 

 

 ブリテン――。

 神秘が色濃く残る、最後の地。

 人理の定着によって滅びが定められた場所。

 

 その地で、ひとりの王とひとりの夢魔の混血が、より良き終焉を夢見て協力していた。

 

 王の名はウーサー。夢魔の名はマーリン。

 二人は、ブリテンを導くための「理想の王」を生み出す準備を進めていた。

 

 竜の因子。王家の血筋。そしてそれを受け止める母体――。

 

 

「生まれたか……」

 

「ああ。望み通り最高の傑作だよ。我ながら素晴らしい存在を創り上げてしまった」

 

 

 生まれた子は女だった。だが性別は瑣末なことだった。

 外見も血筋も、そして竜の因子との適合も完璧だった。

 

 

「五歳になれば、エクターに預けよう。……ヴォーティガーンとの戦いまで間があるな」

 

「早いに越したことはないだろう?」

 

「そうだな。だが私は白き竜に敗れ、死を迎える。その前に……少し別の策も試してみたい」

 

 

 遠くない未来、己の死を悟りながらも、王は安堵していた。

 この子が必ずブリテンを導いてくれる。そう信じ、すべてを託す覚悟でいた。

 

 

 だが――わずかに残された時間が、王に別の可能性を思いつかせた。

 

 

「この子の予備、あるいは協力者を作りたい」

 

「残念だけど、竜の概念因子はもう残っていないよ。全てこの子に注ぎ込んだからね」

 

「わずかでも構わぬ。求めるのは()()()()ではないーー()()()だ」

 

「……ああ、なるほど。それは面白い案だ」

 

 

 王は語る。

 

 理想の王は民に希望を示す。

 贖罪者は、この地の罪と呪いを全て背負う。

 

 それは救世主の教義を模倣したものにすぎない。だが信仰として広まっている事実こそが、その価値を証明していた。

 

「ふむ……全てがうまく運ばなくても、多少は良くなるかもしれないね」

 

 未来を見通す魔術師は、王の案の先を見た。結末が大きく変わることはない。

 だが、反対する理由もなかった。むしろ、そこに興味と愉しみを覚えた彼は、快く賛同した。

 

 

 自らの罪を背負わせる、都合の良い存在を創り出す。

 もし誰かがこの計画を知っていれば、それこそを「罪」と呼んだかもしれない。

 だが、王と魔術師を裁ける者など、どこにもいなかった。

 

 こうして「偽りの贖罪者」を生み出す計画が動き出すがーー

 

 

「とはいえ、私もこの子の調整でしばらく忙しくなるから手が回らないね」

 

「同じ母体の方は、まだ産めぬこともないが……精神の状態が不安定でな。懐妊中に自害でもされれば、目も当てられぬ」

 

「そこでだ。私の弟子に呪いを専門とする魔術師がいる。彼女を中心に進めてみてはどうかな?

 自分自身を母体とするなら調整もしやすいだろうし。

 ま、どうせ予備なんだ。うまくいけば儲けものくらいの気持ちでいいさ」

 

「ああ……そういえば、ほかにも何人か魔術師がいたな。マーリンとモルガン以外の名など、すっかり忘れていた。マーリンが認めた者なら、問題なかろう」

 

 

 既に元の計画、「理想の王の製造」は成功している。

 であれば、この新たな試みもアルトリアの成長や調整の妨げにならぬ範囲で、静かに進めていくこととなった。

 

 


 

 

<ある魔女の研究>

 

 

 きゃーーー!! マーリン様から激ヤバ案件が来たーーー!!

 なに!? 救世主モドキを作れ!? しかもブリテンの罪と呪いをぜ〜んぶ背負わせる!?

 

 

 最高におもしろそうじゃない!!!

 

 

 もちろん返事はイエス! 救世主様だけにってか? ガハハ!

 でもでも、私の力だけじゃ足りな~い。マーリン様、同僚達の力も借りなきゃね!

 

 

 ってことで、マーリン様。ウーサー王の精だけじゃなく、マーリン様のも提供お願いしまーす!

 

 

 いやいや、半分でも夢魔で、しかも超・超・超スゴい魔術師のマーリン様ですよ?

 その遺伝子を使わない手はないでしょ!

 

 今なら私、抱き放題ですよぉ〜〜♡ うっふ〜ん!

 

 

 ……え? タイプじゃない?

 

 うっそぉ、あの有名な女たらしのマーリン様が!? ショックだわ~。

 じゃあ、お好みの女性を催眠で用意しておきますから〜。

 

 あ、そうそう。私を母体にする場合は、処女のままのほうが都合いいですね?

 いや〜、処女の血っていろいろ便利ですよね! 膜、残しててよかった〜。

 

 

………………

 

 

 いや〜、さっすがマーリン様! 世界中の魔術を無駄に幅広く知ってるぅ〜!

 ヒューヒュー! カックイイー! 

 おかげで私のアイデアが形になっていくぅ!

 

 

 まずは呪いを背負う肉体作りから!

 

 これは東洋の呪術を参考にしました。藁人形の代わりに、人間そのものを“生きた身代わり”にするんでしょ。藁人形より効果も高いでしょうね!

 

 コンセプトはずばり、生きた身代わり人間! 我ながら天才だぁ……。

 

 常に他人の罪や呪いを身代わりするよう調整すればオッケー☆

 慣れれば自力で調整できる様になるでっしょー!

 

 

 ん〜? なになにマーリン様? 仮に竜の器であっても大量の呪いには耐えきれないって?

 

 

 チッチッチ、甘いです〜〜。甘々〜〜。

 私は呪いの専門なんですよ? 二つの対策を検討済みです。

 

 

 「毒を以て毒を制す」ならぬ「呪いを以て呪いを制す」ってね!

 

 

 まず一つは~ほぼ()()()()()()()()()()ことで~す。

 

 ……分かりやすい例を挙げましょうか?

 

 むか~し、昔、ある国の王様が「愛する人と二度と会えなくなる」って離別の呪いを受けました。んでその通り、愛する奥さんには会えなくなっちゃったらしいんですよ。

 

 でも、もしこの王様が同時に「愛する人を自分の手で殺してしまう」呪いも受けたら、どうなると思います?

 

 

 そう! おかしくなるんです! 会えないはずの相手を、自分の手で殺すってどういうこと!? 矛盾でぐちゃぐちゃ! アハハハ!! 

 

 

 呪い同士がぶつかって、有耶無耶になって、相殺するんですよ!

 

 

 「眠り続ける」呪い と 「不眠になる」呪い

 「痛覚が数倍になる」呪い と 「感覚が消える」呪い

 「殺戮を求める」呪い と 「不殺を強いる」呪い

 

 

 こうやって有耶無耶に、ぐちゃぐちゃに、ハチャメチャに! 

 ありえないくらいの大量の呪いを背負わせるんですよ!

 そしたら呪いに耐性のある魂にもなって長持ちしますよ!

 

 そもそも、ブリテン中の呪いを背負う救世主モドキに、解呪なんて必要ないでしょ?

 

 え、そんなうまくいくのかって?

 

 いいです、いいです。全部は無理でも、大半が相殺できれば死なないからオッケー☆

 

 ま、延々と苦しむでしょうけどね!

 でも大丈夫大丈夫! 本物の救世主様は人類全体の罪を背負ったんですから!

 それに比べたら、この子に背負う苦しみなんてカスみたいなもんですよ!

 

 

 

 んで、もう一つも重要ですね。

 

 単純により()()()()()()()()()()()事ですよ。

 

 誰かの祝福よりも、より強い神の呪いの方が優先されるなんてよくあるでしょ?

 ゼウスに好かれたヘラクレスも、ヘラの狂気の呪いで自分の息子を殺したんですからね!

 

 今の時代にそんな強力な呪いを掛けれる存在は極わずか?

 

 まぁ、そうですね~。でも~私が作るのは? 救世主モドキですよ☆

 

 救世主を騙る存在なんて許されずに神に呪われるに決まっているでじゃないですか!

 

 アッハッハ! あの唯一神と聖霊は、他の神みたいに感情で動かないからシンプルで実にイイ!

 罪に応じた罰として、呪いを掛け放題ですからね! その方向性をイジるだけ!

 

 

 そうだ! せっかく救世主モドキにするんだから「触れたパンが石に変わる」呪いなんて背負わせるのも面白そうですね! ハハハ!

 

 実際に救世主様は「石をパン」にせず、誘惑と飢えに耐えたけ~ど~

 救世主モドキは欲望に負けて「パンが石」になるってか?

 

 アハハハ! ハハ! ハハハハハ! ウケル~~!

 

 う〜ん、産んでみるの楽しみですね〜〜☆

 

 

……………………

 

 

 え、ウーサー王がヴォーティガーンとの戦いの準備を始めてる?

 あちゃ〜、そろそろタイムアップですかぁ。ちょっと検証に時間かけすぎましたね〜。

 

 あ、もう孕んでいるので半年ちょっとあれば産めますよ。

 

 ……アハハ、バレちゃってます? 百人兄弟なこと。

 いやいや、実際に百人も産みませんって! 成長途中でお腹破裂しますよ!

 インドみたいに肉塊として産んだりもしませんよ〜! ……ちょっとやってみたいですけど!

 

 

 ソッチじゃなくもう少し東の大国の真似ですよ。

 

 そ、蟲毒です蟲毒。

 毒虫を大量に閉じ込め、殺し合いをさせて、最後に残った一匹の毒を利用するという呪術です。

 

 なんと、それの赤子版!

 百個の受精卵を用意して、互いに喰らい合わせ、最後に残った一人を器とします。

 

 いや~最初から大量の呪いを保持しといて、別の呪いを背負ったら相殺できるのを発動って形にしたかったんですけど~やっぱ器を強化してもイキナリ大量の呪い詰め込むのは無理でしたね!

 

 腐ったり、石になったりで胎児にまでも成長できませんでした!

 何度検証しても呪いも祝福も1人に10は無理って感じでしたしね。

 

 なら百人用意して、食らい合いながら呪いを受け継げば……いけそうですよね?

 ついでに水子は呪物として優秀なので、一石二鳥!!

 

 

 アハハ! 百人分も器を用意したのに、あっという間に全ての子が呪われますよ! 私とマーリン様がブリテン中から集めた呪物や怨念もどんどん吸い込んで!

 

 産まれる前から役割を果たしてくれるなんて、いい子だねぇ!

 

 

 ていうか最近、呪いが多すぎません?

 

 今の時点でこの子たちに押し付けないと、この国がヤバいことになってませんかコレ!? 

 ブリテンどころか、世界中の呪いが行き場を求めてやってきたって感じですよ!?

 

 ……もしかしてですけど~ ブリテンの外って神秘が終わってきてません?

 いくら何でも、この量はおかしいですって……。

 

 やっぱりですか~。世界から呪いがなくなるのは寂しいですね~。

 

 ん? 軽いって? 呪いを専門とする私からすれば、どんなものもいつか滅びるって分かってますし……。それに私はその前に死にますからね!

 

 

 あ、そうだ! ウーサー王かマーリン様、またまた他の誰かが父親になるんですよ!

 誰の子が生き残るか賭けてみませんか?

 

 アハハ! 「父親になるのは嫌」だって! そんな顔初めて見ましたよ! アハハハ!!

 

 

……………………

 

 

 ああ、マーリン様、おはようございます。

 あれ? 夜ですか? あちゃ~またやっちゃいましたか〜。

 

 忘却の呪いや、眠りの呪いの影響ですかね〜。母体にも結構影響でますね。

 ほら見てください、この手。鱗が生えちゃってますよ!幻獣専門の魔術師が見たら喜びそう〜。

 あれ? その魔術師、もう死んでましたか? うっかり〜〜。

 

 今何日目か忘れましたけど、もう生まれそうですね!

 生まれた瞬間に私死んじゃいますけど! いやその前に死ぬのかな?

 

 まぁ、研究成果は残しました! マーリン様がそれを引き継ぐか、モルガン様が奪うかは分かりませんが……少しでも残ればオッケー☆

 

 

 さて、生まれた瞬間に、呪いが溢れるから少し封印しないとですね。

 ああ、マーリン様の手は煩わせませんよ。私が施します。

 

 「母を殺して生まれた罪」と私の死ぬたくないという怨念で、呪い自体に他の呪いをかけるんですよ。忘却~沈黙~停滞~後は色々で!

 

 え、死ぬのが嫌なのかって? そりゃ嫌ですよ。その怨念で呪いかけれますし。

 でもそれ以上に楽しみです。この子が、私の傑作がどこまでいけるのか!

 

 ウーサー王やマーリン様の作品を越えることができたら……嬉しいな〜。

 ハハハ! ここまで研究に協力してくれれば前に同じ研究してたって分かりますよ。

 次の王様も調整して作ったんですよね?

 

 え? 竜の因子ブッパ!? それはズルくないですか!?

 

 

……………………

 

 

 赤子の肉体は 完成した

 何故 まだ 腹に居座るのか?

 

 ああ そうか 産まれたくないのか

 

 ダメだね さっさと産まれろ 

 全てに 呪われて 恨まれるため 産まれろ

 

 面倒だな 腹を裂こう 

 処女のまま産み落とすには ちょうどいい

 

 死ぬ前に名前(のろい)を与えよう

 

 汝の名はシン()ーー

 全ての罪を背負い 呪いのように生き 祝いのように死ぬんだ

 

 さらばだ、我が子よ 私の最高傑作

 

 

……………………

 

 

「できたみたいだけど……やっぱりアルトリアには敵わないね」

 

「元々の計画通り、アルトリア一本に絞ろうか……さて、じゃあコレは誰に預けようかな?」

 

「ロット王が『ウーサーの子の可能性がある赤子を預かりたい』かぁ。……モルガンだね」

 

「ウーサーが死んだから、この子供を代わりに育てるっていうのも、周りから見ればいい話だろうけど……悪用されるのは面倒だな。少し細工をしておこうか」

 

 


 

 

<アーサー王伝説 シンの章 始まり>

 

 

 ウーサー王の落日、王城にて親の分からぬ醜い赤子が生まれた。

 右目は蛇のように爬虫類じみており、左手の指は青白く変色し、右足の指は狼のようで、背中の一部には鱗が生えていた。

 

 呪いの子として殺されかけたその赤子は、ウーサー王の義理の娘であるモルゴースに哀れまれ、引き取られることとなる。

 そうして、ウーサー王亡き後の混乱の渦中でその命を拾うことができた。

 

 

 赤子を乗せた馬車はロット王の領地、オークニーを目指し北へと進む。

 

 途中、馬車はノーサンバランドで大嵐に見舞われ、馬車は進めなくなった。

 風に吹き飛ばされた赤子は、遠く、遠くへ飛ばされていく。

 

 従者たちは必死に探すも、見つけることはできなかった。

 赤子は死んだものとして、ロット王に報告されることとなる。

 

 

 だがその子は、生きていた。

 ノーサンバランドの騎士兄弟に、ひっそりと拾われながら――。

 

 


 

〇ウーサー王

 目当ての星5(アルトリア)が出たから、余った石でガチャをした。

 

〇マーリン

 おもしろそうだから基本は放置。

 

〇モルガン

 駒として使えそうというモルガンと同情心を持ったモルゴースとして行動した。

 もちろんマーリンは邪魔をした。

 

〇魔女

 オリキャラ。型月の魔術師なので倫理観が飛んでいる。

 

〇呪いの子(オリ主)

 アルトリア、ジャック、フワワとかと似た様で違う存在。

 悪意と呪いを押し付けられてる点はアンリマユっぽさもある。

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