偽りの贖罪者、野蛮な騎士に拾われた呪いの子   作:RichArrow

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アーサー軍とサクソンとの大きな戦いは合計十二、三回ですが、全部描写はしません。

青年期は残酷な描写とシンの歪な思想が出てきます。合わない人もいるかも。
まぁ、FGOがマリスビリーというヤバイの出したから大丈夫でしょう。


31.怪物の配下

 本格的な冬を迎える前、ブリテンとサクソンの間で三度目となる大規模な戦が行われた。

 

 マーリンをはじめとした魔術師や賢者たちは、この年の冬が例年よりも遥かに厳しい寒さになると予測していた。

 すでに日照時間は短く、気温も急激に下がり始めている。

 

 それは戦場だけでなく、国と民、すべてに影を落とす。

 戦いが長く続けば、サクソンに勝てど、衰退が激しい。

 

 ゆえにアルトリアは、円卓にて提案された短期決戦を選んだ。

 

 ――いち早く戦力を削ぎ、サクソン側に冬を越させぬ。

 

 今回の戦は、単なる撃退ではない。

 冬という自然の驚異を背に、両軍ともに決死の覚悟を強いられていた。

 

 

 

 作戦は三重構造だった。

 

 まず正面から、ラモラックとユーウィンが率いる強力な騎兵隊が激突する。

 次いで右側面から、サグラモールら歩兵部隊が敵軍中央へと食い込む。

 その混乱に紛れ、背後へ回り込んだランスロットら精鋭が敵将を討つ――斬首作戦。

 

 単純でありながら、成功すれば致命的。

 そして失敗すれば、囮となった騎兵部隊と歩兵部隊は壊滅する。

 

 

 この策を献上したのは、冷徹なる騎士――アグラヴェインだった。

 

 彼は誰よりも冷静に、この戦を”冬への準備”としても見ていた。

 勝利のためだけでなく、より生き残るための戦。

 

 余剰となる兵を減らし、国の負担を軽くする、口減らしも兼ねた策である。

 

 その役を担わされたのが、歩兵部隊の中でも最前列に配置された者たちだった。

 

 いまだアーサー王に反抗的な騎士。

 長男として生まれず、領地を持てず、行き場を失った農民上がりの兵士。

 怪我人、鬱屈を抱えた者たち。

 

 そして、彼らを率いる者として選ばれたのが――シンだった。

 

 円卓の騎士でありながら、最悪の騎士。

 呪いを背負い、怪物と紙一重の存在。

 

 アグラヴェインは、人の愚かさと醜さの象徴のようなシンを嫌っていた。

 だが――その実力だけは、疑いようもなく認めていた。

 

 死んでも構わない。

 だが、シンならば策を成功させられる。

 

 シンほど、敵を引きつけ、囮に相応しい者はいない。

 

 他の騎士たちも同様の判断を下し、シン自身もそれを了承した。

 

 しかし――

 彼らの想定以上に、シンは恐ろしく、悪辣な存在だったのだ。

 

 

………………………………

 

 

 戦端が開く直前。

 最前に配置された騎兵部隊と歩兵部隊の騎士たちは、最後の確認を行っていた。

 

 赤き鎧と盾を携えたラモラックは、馬上から豪快に笑い、槍を肩に担ぐ。

 

「私たちが一番槍であり、最も危険な役目だが……

 別にこのラモラックが真っ先に敵将を討ち取っても構わんのだろう?」

 

 ユーウィンもまた、獅子レオンの鬣を撫でながら頷いた。

 

「ラモラック君はやる気だねぇ。

 まあ、私も負ける気はしないが!

 むしろ、私とレオンが一番活躍するかもしれない!」

 

 二人とも、死を想定していない。

 囮であるという認識すら薄い。

 

 それは、歩兵を率いるサグラモールも同様だった。

 

「早くやろうぜ! シンもやる気十分だろ!」

 

 彼らの言葉に、疑いはなかった。

 強気な自信と、それに見合った実力。

 彼らは円卓の騎士なのだ。

 

 勝利は前提であり、誰が手柄を立てるかを競っている。

 

 それこそが、円卓の騎士たちにとっての当然の感覚だった。

 

 

 

「……やっぱ俺の仕事、多くないか?

 “最前線の捨て駒の監視”に“敵魔術師の殲滅”、

 それに“モルガンの妨害対策”……クソ面倒なんだけど」

 

 最悪の騎士は、周囲の空気を一切読まずに愚痴り始めた。

 

 その言葉に、三人の騎士はわずかに気まずそうな表情を浮かべる。

 

「騎士シン、貴公は騎士アグラヴェインに嫌われているからな」

 

「彼の好き嫌い関係なく、シン君にしかできないことですから」

 

「いけ好かねぇが、アグラヴェインの言ってることは正しいぞ!

 お前のトコのウルフェンもやる気だろ!」

 

 シンは円卓の騎士としてだけでなく、

 マーリンの弟子たる魔術師としての働きも期待されていた。

 

 戦場の最前線に立てる魔術師は稀であり、

 とりわけ呪いへの対策は、何より重宝される役目だった。

 

「それとシン君、捨て駒という言い方は……」

 

「間違ってねぇだろ。だから俺は、根性のあるヤツを拾ってやんだよ」

 

「騎士シン、貴公の狙いは……」

 

 

「伝令! 敵本隊が行動を始めました!」

 

 

 ラモラックの問いを遮り、大きな声が響く。

 戦いの始まりは、すぐそこまで迫っていた。

 

「ガウェインが本気出せない時間帯を狙ってきたか……そりゃそうだな」

 

「前は晴れた昼間にガラティーンされたからなぁ」

 

「……あれは酷かった」

 

 

 

………………………………

 

 

 

 戦いが始まり、ラモラックとユーウィンが雄叫びを上げて突撃する。

 

 それを確認したシンは、兵たちを鼓舞――ではなく、煽動し始めた。

 

 彼は、自身の声を聞いた者が狂い、魅了される呪いを解放する。

 

 

「分かっているだろうが、改めて宣言する。

 お前たちは捨て駒だ。死ぬことを望まれている」

 

 シンは嘘をつかない。

 正直に、悪魔のように、弱者へ契約を持ちかける。

 

「だが、俺はチャンスをやる。力と呪いをやる。

 堕ちて生き恥を晒したいヤツは、俺が配ったモノを呑み込め」

 

 シンは、自身の体から生やした毛、羽、鱗を用いて丸薬を作り、兵たちへと渡していた。

 それは、狼化や蛇化などの”怪物と化す呪い”を写したもの。

 

 凡人が手にして、無事で済む代物ではない。

 

 だが、シンの放つ狂気と魅了は、彼らの思考を歪ませる。

 

 

「フン、あの王のために死ぬなど御免だな」

 

 反抗的で死地へ送られた不要な三流騎士が吐き捨てる。

 

 

「死にたくない! 三男ってだけで、なんで僕が捨てられるんだ!」

 

 家を継げず兵役へ送られた少年が叫ぶ。

 

 

「もう一度……美しく……」

 

 捨て駒に宛がわれた老いた娼婦は、兵に紛れ、震える指で丸薬を見つめる。

 

 

「あなたが悪魔でも、それが救いとなるならば……」

 

 奇跡が訪れず、すべてを失った神父は、祈りを捨てて背教者となった。

 

 

 人々は、次々と丸薬を呑み込んでいく。

 

 ――変化は、すぐに訪れた。

 

 

「ギィイイイイイ!!!」

 

「アヒャ、アヒャヒャ!」

 

 

 全身の毛が抜け、豚のような姿になる者。

 逆に体毛が異常に増え、獣のようになる者。

 皮膚が剥がれ落ち、その下から鱗が生え出す者。

 

 誰もが苦しみ、そして――体内から溢れる力に、歓喜していた。

 

 

 

「ラモラックとユーウィンも結構進んだし、コッチも進めるか。

 ウルフェン、そろそろいいぞ。バースも気を付けてな」

 

 シンは、鎖で拘束していたウルフェンを解き放つ。

 同時に背中から鳥と竜を思わせる翼を生やし、宙へと浮かび上がった。

 

「よ~しお前ら、サクソン人相手なら何してもいい。

 犯せ、喰らえ、奪え、穢せ、殺せ。

 ――俺はお前たちの本性を否定しない。好きに暴れろ」

 

『AAAAAA!!!』

 

 

「父さんも気を付けてね~」

 

 その声を背に、シンは完全な竜人の姿へと変貌し、空へと舞い上がる。

 彼の狙いは戦場の裏――魔術師たちの陣地だった。

 

 

 

 

「この悪寒は……前線で何が起きている?」

 

「ブリテンの騎士じゃない! 何だ、これは!」

 

「落ち着け! 所詮は雑兵だ。それより後方の使い魔が――ッ!」

 

 

 ――グシャリ。

 

 

 言葉は、途中で途切れた。

 

 魔術師の胸元から、漆黒の剣が突き出ていた。

 次の瞬間、心臓は抉り取られ、素材のように袋へと放り込まれる。

 

 後方陣では、味方強化、索敵、本陣防護のため、複数の術式が重ねられていた。

 違和感に気づいた者もいたが――真っ先に潰された。

 

「馬鹿な……ここにも結界があるはずだ!」

 

「構うな! とにかく殺せ!」

 

 詠唱の短い迎撃魔術が放たれる。

 炎、雷、破壊の魔術が襲撃者を襲う。

 

 

「この程度か」

 

 

 だが、襲撃者――シンにそれらは届かなかった。

 魔術師の防御の結界も腕を払うだけでかき消された。

 

 青白い左腕は奇跡を否定し、消滅させる。

 右手の堕剣は、神秘そのものを呑み込む。

 

 モルガンの呪詛すら無力化し、マーリンの幻術も悪夢へと変えて崩す。

 ブリテン最高位の二人ですら、準備なくして対峙は困難。

 その怪物の前では、サクソンの魔術師たちは歯が立たなかった。

 

 ゆえに、シンは円卓において対神秘の役割を一身に押し付けられている。

 

 

 そして、彼自身も――

 

「魔術師の素材は貴重だからな。壊しすぎないようにしねぇと」

 

 呪具の材料のため、この役目を受け入れていた。

 

「脳と心臓は薬にできる。皮は紙に、血はインクだ。本が作れる」

 

「ブリテンの悪魔め……呪われろ」

 

「とっくに呪われてる。だから悪魔も混じってるんだよ」

 

 ドン!  ドン!  ドン!

 

「……ウルフェンが派手にやってるな、急ぐか。

 邪魔者は消したぞ――怪物たちよ、存分に生を楽しめよ」

 

 

 

 

 シンが離脱した歩兵部隊の戦場は、もはや混沌そのものだった。

 

 痩せた豚の怪物が死体の服を剥ぎ、血まみれのまま腰を振る。

 虫のような目と口を持つ者が、槍に貫かれながら首元へ噛みつく。

 山羊の角を生やした神父が、涙を流しながら敵兵を焼き払う。

 蛇の眼を得た騎士が、強化された肉体に酔いしれて斬り込む。

 

 誰もが笑っていた。

 誰もが狂っていた。

 

 そして、その最前線どころか()()()に立って嗤う狂戦士がいた。

 そここそが彼女――ウルフェンの居場所である。

 

 

 

 彼女は味方の歩兵部隊を顧みることなく、夢魔の馬に跨り、戦場を駆ける。

 

 ウルフェンは、神代より戦士たちの狂気を継ぐ狂戦士。

 同時に、戦士たちの記憶から技を引き出す天才でもあった。

 

 “アマゾネス”、”征服王の騎兵”、”三国時代の騎兵”、ごく最近の”フン族の騎乗弓兵”。

 それらの戦士の記憶から、騎乗と弓術を引き出している。

 

 

「ワッフ~!」  ヒヒィン――!

 

 ドン!  ドン!  ドン!

 

「散開しろ! 固まるな!」

 

 指揮を執る戦士長の足元が爆ぜ、

 矢を切り払おうとした戦士が、次の瞬間には氷像と化した。

 

 ウルフェンの放つ矢は、ただの矢ではない。

 

 戦いに関する技は、戦闘準備にも適用される。

 ルーン魔術と弓矢作成のスキルを組み合わせ、

 刻印を施した杖を、使い捨ての矢として仕込んでいたのだ。

 

 火のケナズ『ᚲ』と力のウルズ『ᚢ』――爆炎の矢。

 雹のハガル『ᚺ』と氷のイサ『ᛁ』――氷撃の矢。

 

 特殊な効果はなく単純に、強い。

 ただそれだけの矢が、前線を蹂躙する。

 

 矢が尽きれば、鎖で繋いだ魔剣グーラを馬上で振るう。

 フレイルのように、ブーメランのように投げ回し、血の嵐を巻き起こす。

 

 

 魔剣の抗議の声を無視しながら、狂戦士と夢魔は、戦いを心から楽しんでいた。

 

 

 

 一方で、バースは苦戦していた。

 

 敵は倒せる。

 だが、倒しても倒しても、戦線は押し返される。

 

「骨と」「肉で」

「「振り回す!」」

 

 皮と鎧を解放し、埋め込まれたシンの肋骨と肉の泥を起点に、竜牙兵の骨を生やす。

 全身から珊瑚のように骨の棘を伸ばし、回転して敵を薙ぎ払う。

 

 

「皮と」「鎧で」

「「焼き潰す!」」

 

 強引に押し込んでくる戦士に対し、二重の拘束が噛み合う。

 植物の皮はウィッカーマン、刃を生やした鎧はアイアンメイデンとなり、処刑する。

 

 

 皮と鎧が奪った血を取り込み、四つの器を元へ戻す。

 骨の棘で傷つけた相手を、四人力で魔槍を振るい、仕留める。

 

 不死身に近い体を活かし、バースは戦う。

 怪物となった兵士たちよりも、確実に成果は挙げていた。

 

 だが――

 

「サクソン人、硬いし、しぶどすぎ!」

「魔獣の方がやりやすかった……」

「ウルフェンに巻き込まれないようにしないと」

 

「あの変な鎧と化け物共は勢いだけだ! 盾を並べろ、本陣へ近づけさせるな!」

 

 ウルフェンに比べれば脅威とは認識されてなく、制圧可能な存在だった。

 

 異形な攻撃ばかりだが、そこまで強くない。

 動きが素直で、的確に回避と防護すれば対処可能であった。

 

 あらゆる人の可能性が詰められたバースはまだまだ成長する。

 しかし技量の低い現段階では――人の形に拘らない方が強かった。

 

「全員! バリスタモード!」

「了解」「はいよ」「OK」

 

 バースが全てが細かなパーツに分離する。

 

 骨、皮、鎧、肉。

 それぞれが役割を失い、再構成される。

 

 魔槍を中心に骨、皮、鎧だった部分が繋がりだす。

 歪な三重の螺旋で構成された杭となり、複数の魔術の光が混ざり合う。

 肉だった部分は全てを筋肉のバネに変質して“発射機構”へと変質する。

 

 

「「「は!?」」」

 

「なんちゃって、カラドボルグ!」

 

 

 轟音。

 

 

 捻じれた杭が解き放たれ、

 盾を並べた防衛陣は、まとめて吹き飛ばされた。

 

 一撃で、サクソン軍中央の防衛線は断ち切られる。

 囮であるはずの歩兵部隊は、もはや囮ではなかった。

 

 崩れた戦線へ、呪いの怪物たちが雪崩れ込む。

 

 捨て駒たちは欲望のままに蹂躙し、

 結果として、想定以上の役割を果たしていた。

 

 

 

 

「ガヘリスが敵将を討ち取ったか。……終わったな」

 

 空から降りてきたシンが、戦場を見渡す。

 

「ウルフェン、ナイトメアが疲れてる。休ませてやれ。

 ってバース!? 人の形に戻すの、大変なんだぞ!」

 

「ガウ」 「父さん助けて~」

 

 

 サクソン軍は撤退を始める。

 精鋭部隊による斬首作戦が成功したのだ。

 

 前線には、死体と怪物が残されていた。

 

「お、女ぁああ!!」「ヒヒァア!」

 

「ワウ? ガァ」

 

 ウルフェンから女の匂いを嗅ぎ取った豚人や蛇人が襲いかかるが、

 人狼化した腕を一振りするだけで、八つ裂きにされる。

 

 

「肉、肉、肉」「ああ、やっとお腹いっぱいに食べらる」

 

「食べ方が汚いなぁ。もう僕たちは人は食べないよ」

 

 虫人や魚人たちは、散乱した死体を貪るのに夢中で、

 勝利そのものに気づいていなかった。

 

 

「遠く行かれると処理が面倒だ。ほ~ら、集まれ~」

 

「黄金だ!」「アハハハ!」「初めて見た!」

 

 シンが数体の死肉を、呪いの力で黄金へと変え、放り込む。

 怪物たちは虫のように群がっていく。

 

 

「悪魔め……人の誇りを、どこまで汚す」

 

「違うな。呪いの副作用で、人の本質が露わになっただけだ」

 

 それでも、すべての兵士が狂ったわけではなかった。

 

 怪我のため、自ら捨て駒に志願した老騎士は、理性を保ったまま、シンへ剣を向ける。

 その体は青く染まりながらも、修復され、全盛期の肉体を取り戻していた。

 

「人の本質――悪意と欲望から目を逸らしながら、自分は正しいつもりか。笑えるな」

 

「……何を、言っている」

 

「東の方の宗教に近い考えだったか? 『欲を知り、受け入れ、律する』

 喜べ、お前らは悟りの前段階まで辿り着けたのだ」

 

 シンは嗤う。

 それが自分だと受け入れろと突きつける。

 

 老いてから若さを求め、戦いの最中に本能のままに血を啜った老騎士を見つめる。

 若返る残虐な手段を止められなかった凡人を否定しない。

 

 

「あああああああ!!!」

 

 

「おっと、そのまま自殺されると後悔が残るから駄目だ。

 他にも……完全に呑まれたのと、拒絶してるのはアウトだな」

 

 老騎士が剣を自身に突き立てようとするのを防ぎつつ、シンは周囲を見渡す。

 

 多くの怪物たちは、膨れ、痩せ、崩れ始めていた。

 欲に呑まれた者と、自分自身を拒絶した者たちだ。

 

 彼らに対し、戦闘前に取り込まれた欠片を媒体に魔術を掛ける。

 師であるマーリンが得意な夢と幻術を見せていく。

 

「おお、ウーサー王……今、あなたの元へ……」

「ああ……お腹いっぱいだ」

「アヒヒ……気持ちいい……」

 

「よかったな。最後に願いを叶えられて」

 

 怪物たちは、恍惚の表情を浮かべながら死んでいく。

 彼らを見て、”より良い終わりへ導けた”と下手人は微笑んでいた。

 

 

「さて……残ったお前たち、おめでとう。

 己を知り、それを受け入れた素晴らしき人間たち」

 

 最悪の騎士は、生き残った者たちを祝福する。

 たとえ姿が醜くなっても、彼らは心が強い人間だと称える。

 

「どんな姿になろうと、生き残り、願いを叶えようとする人間は強い。

 誇りや正しさだけで、人は生きてなどいけない」

 

 

「――さぁ、次の願いは何だ?

 俺の配下になるなら、少しくらいは聞いてやる」

 

 

………………………………

 

 

 冬前のアーサー軍とサクソン軍の戦いは、再びアーサー軍の勝利に終わった。

 この戦でガヘリス、パーシヴァルは大いに武名を上げ、円卓の騎士となる。

 

 だが――前線で最も働いた最悪の騎士は、

 あまりに悪辣な手段を用いたとして咎められた。

 

 祝いの席に連なることなく、冬の訪れを前に、冷たい牢で謹慎を命じられた。

 

 

「シン、やりすぎだよ」

 

「逆にお前は働け、クソ親父」

 

「まあ……モルガンやウルフェンの相手で、すぐ釈放されるだろうさ」

 

「牢の方が、だらだらできて楽なんだけどな……」

 

 


 

〇ユーウィン

 モルガンの子にして、獅子を連れた「獅子の騎士」。

 Fate時空ではガウェインたちもモルガンの子扱いだが、従兄弟ということで。

 本作では明るめな騎士。見た目はほぼガウェイン。

  

〇サグラモール

 出典によって出自、背景、逸話が違う「勇猛な騎士」。

 本作では色々混ざってるが、ハンガリー王子で頭痛と空腹持ちの出自を採用。

 ……両親がモードレッドを拾って義兄弟になる方の出自はFate時空では無理。

 

〇無銘戦士の追憶:C

 ウルフェンの狂気と元である戦士たちの記憶からあらゆる戦闘技能を引き出すスキル。

 今話では騎乗、弓術、ルーン魔術、弓矢作成を使ってた。

 しかし、英雄になれなかった者たちが元なので、Cランクまで。

 それ以上はウルフェン自身が磨かなければならない。

 

〇シン

 少年期は人の醜さを少し嫌ってたが、青年期は違う。

 人外よりな思考で愚かさと醜さこそが人の本質だと考えている。

 

〇怪物兵たち

 今後、たまに出すモブキャラ。

 お手軽に普通の騎士より強くなれるが、バーサーカーにしてるようなもの。

 

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