燃える男と世界でいちばん熱い夏 作:久戸瀬放映Project
里ヶ浜高校での入学式。学生達の新たな青春が始まった。放課後、女子硬式野球同好会を立ち上げた有原翼は顧問の掛橋先生に教室に残るよう指示されていた。
「話ってなんだろう……ドキドキするなぁ……」
机の上に腰掛けている有原翼はどこかソワソワした様子だった。その時教室の扉が開き、掛橋先生と中年の男が入ってくる。
「お待たせしたわね。有原さん。この方が監督になってくださるそうよ」
「はじめまして。これから監督としてよろしく」
監督は有原翼に一礼する。
「掛橋先生から大体の話は聞いたが、甲子園を目指して頑張っているんだね?そのためには、監督が必要だとか」
「はい。そうなんです」
「そうか…!じゃあ、俺が必ず甲子園で優勝させてやる!その夢、叶えようじゃないか!」
監督は力強く言い切る。
「……!ありがとうございます!監督!」
有原翼からの声から、嬉しさと野球に燃える気持ちが感じ取れた。
「それでは監督。ここにサインをお願いします」
掛橋先生から、同好会申請書を渡される。
顧問 掛橋桃子
メンバー 有原翼
河北智恵
野崎夕姫
鈴木和香
監督
監督はメンバーの少なさに驚いたが、空白の書類にスラスラとサインをする。
監督 星野◯◯
サインすると、監督は紙をスッと有原翼の前に出す。
「書いたぞ。申請してこい」
有原翼は「はい!」と元気よく返事をすると、教室を飛び出して行った。
〜〜〜
その後、監督は有原翼に連れられ、部室に来ていた。部室と言っても、ただの空き教室を借りているだけのものであり、黒板に練習メニューが貼ってある程度である。
「……と、言うことで、星野監督でーす!」
有原翼は大げさに監督の前で、手をひらひらさせて歓迎する。部員の河北智恵、野崎夕姫、鈴木和香の3人は拍手をして歓迎する。
「改めて監督に就任した星野だ。この街には久しぶりに帰ってきたし、なんならここの教員でもないから、みんなのことも何ひとつ分からん。だから、ひとりひとり教えてくれないか?」
監督は腰に手を当て、にこやかな顔で挨拶をする。
「はい!じゃあ私から!」
有原翼は高々と手を挙げる。
「有原翼です。ポジションはショートで中学ではシニアで野球をやってました!」
「河北智恵です。野球は初心者ですけど、楽しくやってます。ポジションはセカンドです」
「野崎夕姫です。私も野球は初めてだったんですけど、翼さんたちと頑張って練習してます。ポジションはピッチャーです」
「鈴木和香です。私はお兄ちゃんが野球をしてたから多少は詳しいけど、体力はあんまり…。ちなみに、ポジションはキャッチャーです」
全員の自己紹介が終わり、監督は大きく頷く。
「そうかそうか。みんな練習しているんだなぁ」
「はい!…と言っても、まだ練習する場所がないので、なかなかボールを使った練習は出来てないんですけどね」
「なに…!?野崎さん。どういうことだ?」
「えっと…学校のグラウンドは他の部が使っていて、ボールが当たったら危ないって、学校が使わせてくれないんです…」
「そうか…なら、まずはその練習場所を探せばいいんだな?」
監督に就任しての初仕事、練習出来るグラウンドを探すことから始まった。