燃える男と世界でいちばん熱い夏   作:久戸瀬放映Project

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目指せ優勝!白熱の甲子園!
チームを強くするために


強化合宿から帰還した選手たちは、試合に向けて猛練習を行なっていた。特にスタメン漏れした二軍組は何とかその地位を勝ち取ろうと躍起になっていた。

 

星野監督の目線の先、それはグラウンドの端で投球する野崎夕姫である。長所の剛速球でミットを鳴らす。もはや初心者では打つのも捕るのも難しいレベルである。

 

「野崎。今日、時間あるか?」

 

「え?はい」

 

「行くところがあるから、ついて来い」

 

野崎夕姫は投球をやめ、星野監督の後について行く。小高い丘から車道に降りると、運転手付きのセダンが停まってある。これから何が起こるのか分からないまま、野崎夕姫は乗り込んだ。

しばらく高速道路を走り、たどり着いたのは大きな室内練習。入口にふたりの男が立っている。

 

「監督!お疲れ様です!」

 

大きな声の挨拶である。

 

「ヤマ、タケシ、今日は頼むわ」

 

そのまま奥の方へ連れて行かれ、ブルペンにたどり着く。

 

「野崎。学校にはうまく言うとくから、お前はドラ◯ンズの二軍に同行しろ」

 

星野監督の提案に、野崎夕姫は目を丸くする。

 

「え…でも、私だとご迷惑を…」

 

視線を落とし不安そうな声で答える。

 

「お前の欠点は、その自分自身へのマイナス思考なんだ。自分で自分の能力を殺してるんや。お前はそれを克服せなあかん」

 

星野監督の鋭い眼光が、弱気の野崎夕姫を突き刺す。

 

「野崎。お前のピッチングは和香も倉敷も褒めとったぞ。アイツラのためにも強くなって来い」

 

「………分かりました監督!私、頑張ります!」

 

野崎夕姫のその目は、迷いがなく覚悟を決めたように見えた。

 

ーーーーー

一方、その頃の東雲龍では…

 

練習後、部室でスポーツ雑誌を眺めていた。

 

「東雲さん、何読んでるの?」

 

有原翼が後ろからひょこっと覗く。

 

「これ?メジャーリーグのスポーツ雑誌よ」

 

東雲龍が読んでいたページには、アメリカで活躍する女子高生の選手2人が載っていた。アメリアサンダースという打者とフリーダFアンバーという投手の写真がそれぞれのページに堂々とあった。

 

「へぇ~!東雲さん。メジャーに興味とかあるの?」

 

「えぇ…メジャーで、より強い相手と闘いたいというのはあるわね」

 

ページをめくると、メジャーに挑戦出来そうな女子高生の選手一覧が書かれていた。その中に有原翼と東雲龍の名前があり、ふたりは目を輝かせテンションが上がる。

よく見ると、端っこのほうに各高校の監督のコメント欄があった。星野監督のコメントも書かれていた。

 

Q「もし、選手たちがメジャー挑戦したいと言い出したらどう思いますか?」

A「わしはそういう教育はしとらん」

 

…東雲龍は黙って、そっと雑誌を閉じた。

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