ゴリ押し提督   作:UMC OGASOU

9 / 9





「彼女たち、泣いているのよ」


事後処理ス

 

 

「なぁ、加賀。こういう時は何て言ったらいいんだい?」

 

「それぐらい自分で考えなさいよ。それでも提督でしょう?」

 

いや…泣いてる女の子になんていえばいいかなんて提督試験で出てこんやろうが。

俺、試験受けてないけど。

 

「あ~。金剛、比叡、霧島で間違いないな?」

 

「はい…」

 

「とりあえず、私の鎮守府に来てもらいたい。」

 

こんな感じでいいかな…?

 

「わかりました…榛名は無事ですか?」

 

「今、病室で安静にしてる。君たちは入渠してから、会ってやりな。」

 

「うわぁぁぁん!!」

「生きててよかったデース…」

「感謝しかありません…」

 

いい姉妹だなぁオイ…

 

「では、私の鎮守府へ行こうか。」

 

「「はい!!」」

 

 

_______________________________________________________

 

鎮守府の中は緊張した空気に包まれていた。

しかし、そんな空気を壊す声があった。

 

「Hey 妖精!!入渠の用意大急ぎで!!」

 

「もうやってあるよ~」「てーとく、目、無いの?」

 

ナニィ⁉ あ、ほんとじゃん。

 

「センキュー!!金剛たち、入渠してこい!!」

 

あ、やっべ。変なテンションで言っちゃった…

 

「うちの提督はこの様にねじか何かが外れておりますが、お気になさらないでください。」

 

加賀!!ナイスフォ…ん?

 

「悪口じゃねーか⁉」

 

「それは提督の自業自得ですよ?」

 

た…たし「金剛さん達、どうぞ入渠してきてください。」

 

「O...Oh、Thank you…」

 

「ご「黙ってなさい。」スゥ…」

 

金剛たちが去っていった後になってようやく加賀は口を開いた。

 

「いくら着任して間もないとはいえ、先ほどの行動は目をつむるわけには行けません…」

 

え、まって、説教?

おら提督だよなァ!?加賀より階級高いよなァ!?

 

「バツとして、鎮守府内のトイレ、風呂掃除を1週間やってもらいます。」

 

嫌だよ...

 

「あのぉ「わかりましたか?」あれ、もしかして発言権剝奪されてる?」

 

「わかりましたか?」

 

 

「うえぇっ!加賀さんの鬼畜ッ!!」

 

 

「……静かにしてください。鎮守府内に響きます。」

 

冷たい視線。

あぁ、これは完全に逆らえないやつだ。

 

「それと提督。」

「な、なんでしょうか……?」

 

「先ほどの戦場での判断自体は、評価します。」

 

……お?

珍しく褒められた気がする。

 

「ですが、“私を担いで走る”という行為は二度とやらないでください。」

「いや、あれは緊急事「次やったら、二週間。」……」

 

反論はやめよう。命が惜しい。

 

_________________________________

 

医務室の前。

 

「……榛名。」

 

小さな声で、比叡が呼びかける。

 

「比叡……お姉さま……?」

 

ベッドに横たわる榛名は、包帯だらけだったが、確かに生きていた。

 

「よかった……ほんとによかった……」

「榛名……心配をかけてしまって、ごめんなさい……」

 

霧島が、静かに敬礼する。

「提督、改めて……助けていただき、ありがとうございました。」

 

「いや、礼を言われるほどのことはしてないさ。」

 

そう言って頭を掻いた瞬間、背後から鋭い気配。

 

「していないわけではありませんよね?」

 

鬼畜加賀だ。

 

「主砲戦と航空攻撃の連携、そして撤退判断。

 あれが少しでも遅れていたら、結果は違っていたでしょう。」

 

珍しく、淡々と、しかしはっきりとした評価だった。

 

「……ありがと。」

「感謝されるようなことではありません。」

 

そう言いつつ、ほんの一瞬だけ、視線が柔らいだ……気がした。

 

_________________________________

 

夜。

鎮守府の廊下で、モップを片手に歩く影が一つ。

 

「……なんでオレがトイレ掃除してんだろうなぁ。」

 

ゴシゴシ。

ゴシゴシ。

 

「まぁ……全員無事だったし、いっか。」

 

その時、後ろから声。

 

「提督。」

「うおっ!? 加賀!?」

 

「これを。」

 

差し出されたのは、缶コーヒーだった。

 

「……休憩も必要です。」

「え、いいの?」

「“作業効率が落ちます”ので。」

 

相変わらずだなぁ。

 

「でもさ。」

「なんですか。」

「泣いてる子たちに、何て言えばいいかは……まだわかんないや。」

 

一瞬、加賀は立ち止まる。

 

「……無理に言葉を探す必要はありません。」

「生きている。それだけで十分な時もあります。」

 

そう言って、踵を返す。

 

「それと。」

「ん?」

「……次は、もっと早く行ってください。」

 

背中越しの声は、いつもより少しだけ、優しかった。

 

「了解。次も全力で行くよ。」

 

モップを持ち直しながら、俺は小さく笑った。

 

——神津島鎮守府は、今日も騒がしい。

 






久しぶりの投稿です。

更新頻度はこんな感じに激遅になったので了承くださいまし
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。