OVER×GODDESS〜異世界童話〜   作:Ark’s

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投稿遅れてすいません。執筆して保存してたデータが消えちゃってて内容を思い出して復元するのに時間が掛かっちゃいました。
もともと書いてた内容に何個か展開を後付けした結果文字数も多くなりました。

では第七話をお楽しみください。


新職業・新装備 ーー運営からのメールーー

 ■■■■■とフレンド登録をして、別れた日から三日が過ぎた。

 

 (ふぅ、それにしても、あの一戦は刺激的だったわね。まさか、あんな規格外の悪魔に遭遇するなんて。ユグドラシルは奥が深いというか、油断できないというか)

 

 私は自室のベッドの上で軽く伸びをした。現実の私は、警察業務に忙殺される日々を送っているが、このユグドラシルでは、身体の疲れは感じない代わりに、精神的な疲労が直に行動に影響する。あの時の、全身を震わせたほどの極限状態での消耗感は、今思い出しても背筋が冷えるほどだった。

 

 (またあんなことが起こったら、次こそは自分の力だけで乗り越えたい。誰かを助ける側になりたい。そのためにはもっともっとレベルを上げて、装備もより性能の良いものにしていかないと!)

 

 現状の私の目的は、このゲームを純粋に楽しむのに加え、聖遺物級(レリック)装備の完成と、更なる上位職の取得へと収束していた。私はこの三日間、城塞都市ベリャンスタッドの街周辺で、ひたすらにNPCの依頼をこなす日々を続けた。

 

 (単純な討伐クエストでも、カルマ値が上がるのはありがたいわ。人を助けるという私の行動が、そのまま成長に繋がる。ロールプレイが、最高の効率を生むなんて、最高じゃない)

 

 私は、行方不明になった猫の捜索(これはとても些細なことだが、猫を見つけた子供の笑顔は、何物にも代えがたい報酬だった)や、凶悪化する盗賊団の討伐など、大小さまざまな依頼をこなした。依頼達成の報酬は金貨や、装備作成に役立つ中級素材となり、私の冒険を確実に支えてくれた。

依頼の達成と並行して、私はレベル上げのためのダンジョン攻略に没頭した。特定のNPCから情報を得た、レベル30程度が目安の「苔むした地下水路」や「荒野の古城」といったダンジョンだ。

 

 私はいつも通り素手での格闘スタイルで、効率よく敵を打ち倒していく。敵の動きを読み、最小限の動きで回避し、拳を打ち込む。拳が当たるたび、骨や装甲を砕くような、気持ちの良い打撃音が鼓膜に響き渡る。

 

 ドォン! ドォン!

 

 この一連の動作が、私にとって何よりも楽しい、自身の技量が上達していっていると感じる時間だった。経験値バーが滑らかに伸びていくのを確認し、拳の威力とスピードが増していくのが、腕の感覚を通して、はっきりと体感できた。

そして、この地道な努力が、まず職業の面で一つの大きな結実を迎える。

 

 さまざまな依頼を達成し続けたことにより、レベルも順調に上がり、既に五十を越えていた。その時、視界の奥に、特別なメッセージが閃光のように現れた。

 

 * 新クラス《職業》の解放条件を達成しました! *

 * 特殊クラス:ウェポンクラッシャーを取得   

   条件:1.Lv50以上

      2.敵の装備を合計250個以上破壊

      3.戦士系職業3つ以上取得       *

 

 「やった!」

 

 私は思わず小さく声を上げた。小さな歓喜の渦が、私の胸を駆け抜ける。

 

 (特殊中位職!クラス名や解放条件を見るに武器や防具の破壊に特化した感じかな。もしかしたら、敵の分厚い防御を一時的に無視するようなスキルが使えるようになるかも!)

 

 私はそのままの勢いでレベル上げを続行し、レベルは驚異的なスピードで六十五に到達。その過程で、別の職業の条件も満たし、中位職を一つ、上位職も一つ追加で取得していた。私のキャラクターは、格闘戦の技術や豊富な攻撃系スキルと、それを支えるステータスの両面で、一気に上位の領域へと足を踏み入れたのを感じた。

 

 レベル上げと職業の強化がひと段落した私は、次に装備の強化に取り掛かった。以前の装備では、この先の高難度ダンジョンや、再び遭遇するかもしれない規格外の敵に対応できないのは明らかだ。

そこで重要になるのが、街の隅々まで探索することで見つけ出した、隠された工房の鍛冶師NPCだ。その工房は、人通りのない森の奥、小さな滝の裏の洞窟の中にあり、老鍛冶師は誰の目も気にせず、ただひたすらに鉄を叩き続けていた。彼の出す依頼は、私の実力と熱意を試す、厳しい試練だった。

 

 彼の要求は、私の限界を試すかのようだった。特殊な鉱山でしか採掘できない幻影石の塊、巨大なワイバーンからしか得られない魔力濃縮の血晶、そして最も難易度が高かったのが、「星辰の炉心」という素材の入手だった。

 

 「アストラルゴーレムは生半可な物理攻撃ではカスリ傷一つ負わん。ゴーレムを倒して夜空の魔力を凝縮した星の炉心を持ってこい。それが、お前さんの力の証明だ」

 

 私は三夜連続で、アストラルゴーレムの出現する湿地の奥で待機した。夜明け前の、最も闇が深い時間帯。淡い光を放つゴーレムが、ゆっくりと姿を現した。

 

 【アストラルゴーレム】 レベル:50

 

(レベルは私と下だけど、物理・魔法双方の防御と耐性が異常に高い。真正面から殴り合っても、こちらが先にHPを削りきられるわ)

 

 アストラルゴーレムは、星空のような装甲を全身に纏い、ゆっくりと私へと向かってきた。その動きは緩慢だが、一歩ごとに大地を震わせるほどの重厚感がある。

 

 「いくわよ!」

 

 私は戦闘の火蓋を切った。まずは、装甲を破壊するための準備だ。私は新しく取得した特殊クラスの奥義を発動させる。

 

 「【破纏】!」

 

 スキルを発動すると、私の身体全体を青白いオーラが薄く覆った。これが、30秒間、私の攻撃に武具破壊のバフを付与するスキルだ。

 

 ゴーレムがその巨大な拳を振り下ろす。私はそれを紙一重で回避し、その装甲に連続で拳を叩き込んだ。

 

 ガキィン! ガキィン!

 

 今まで相対したモンスターなら一撃で光の粒子となる私の拳も、ゴーレムの装甲には、甲高い金属音を立てるだけで、目立った傷跡を残さない。しかし、私の目的はダメージではない。

 

 私は、拳による打撃だけでなく、回転蹴りや肘打ちを織り交ぜ、ゴーレムの腕や胸部の装甲の接続部を執拗に狙い続けた。

 

 そして、【破纏】のバフが切れる寸前、ついにその努力が実を結んだ。

 

 バキンッ!

 

 ゴーレムの胸部の装甲の一部が、まるでガラスのようにひび割れ、砕け散った!そこには、星の光を宿した炉心が、剥き出しになっている。

 

 (よし、装甲が壊れた! 今がチャンス!)

 

 私は砕けた装甲から覗く、ゴーレムの肉体そのものに狙いを定め、新たに取得した職業:クンフーのスキルを発動させた。このスキルは、相手の防御や耐性を無視するため、肉体に直接当てなければ効果が半減する。

 

 「【内震崩壊】!」

 

 私は、全身全霊でこれまでの全ての経験を込めた渾身の正拳突きを、装甲が砕けた隙間、ゴーレムの炉心目掛けて打ち込んだ。

 

 ズドォォォォン!!

 

 衝撃は、装甲に吸収されることなく、ゴーレムの内部へと深く貫通し、内部の機構を激しく揺さぶる。ゴーレムの巨体は一瞬硬直し、その全身を覆っていた星の輝きが一気に失われた。

 

 ガシャン……!

 

 アストラルゴーレムは、重い音を立ててその場に崩れ落ち、光の粒子となって消滅した。その跡には、小さな、美しい結晶が一つ残されていた。極めて入手困難なレアドロップ品である、「星辰の炉心」だ。

 

 私は、古代魚の鱗、魔力濃縮の血晶、そして星辰の炉心を含む全ての素材と、これまで集めてきた希少な高位データクリスタル、そして多額の金貨を老鍛冶師に渡した。

 

 「見事だ、お嬢さん。おぬしの力、そして執念、見事じゃ。その報酬としてわしは最高のモノを作ろう。お前の動きを一切妨げぬ、魂を込めた鎧だ」

 

 数時間後。老鍛冶師から渡されたのは、星の光のような光沢を放つ軽鎧だった。

 

 (完璧ね!頭装備は、素材の不足で遺産級(レガシー)だけど、胴、腕、脚は全て聖遺物級(レリック)になった!この装備と、戦士系へのステータス・スキル補正があれば、より高難易度のダンジョンにも挑めるかもしれない)

 

 私は早速、この新しい聖遺物級の装備を試すために、アンデッド系モンスターの巣窟であるダンジョン『嘆きの地下墓所』へと向かった。

 

 ダンジョン内は、冷たい闇と死の臭いに満ちていたが、聖遺物級の軽鎧を纏った私の足取りは軽やかだった。頑強な重鎧を纏うスケルトン・ウォーリアーの攻撃も、カース・レイスの放つ魔法も、以前は私の体力を容赦なく削ったが、今やそれらはほとんど効かない。私は光の粒子を振りまきながら、拳一つで敵の群れを薙ぎ払い、最奥へと進んだ。

 

 (このゲーム、ちゃんと強くなっていくのが実感できるから楽しいわ!次は、どのダンジョンに挑戦しようかしら)

 

 私はカース・レイスを光の粒子に変え、そのレアドロップ品である希少な闇属性攻撃無効のデータクリスタルを回収し終えた。全てを終え、アイテムボックスの中身を確認しようとUIを開いた、その時だった。

 

 画面右上に、これまでのどんな通知とも違う、特別な輝きを放つアイコンが点滅していた。その輝きは、私の心臓を強く掴むような、予感めいたものだった。

 

《新着メールが一件あります》

 

 差出人は、『ユグドラシル運営事務局』。私は、何かやらかしたっけ?と考えながらメールを開封した。

 

 ***

 件名:【緊急・重要】ユグドラシル広告企画へのご協力要請のお知らせ

 

 リリーバイス様

 

 平素より『ユグドラシル』をお楽しみいただき、誠にありがとうございます。運営事務局でございます。

 

 この度、我々運営チームは、貴殿が先日経験された【逸脱の悪魔】討伐戦における戦闘ログと映像記録を、一部チーム内で共有し、深く感銘を受けました。

 

 貴殿が、自己のレベルを遥かに凌駕する強大な敵に対し、一瞬の躊躇もなく立ち向かい、さらには見知らぬプレイヤーと完璧な共闘を成し遂げたその姿は、単なるゲームプレイの範疇を超え、まさに「一つの物語」として、我々の心を打ちました。

 

 つきましては、貴殿のキャラクター『リリーバイス』および、当該戦闘シーンを、新規ユーザー獲得を目的とした大規模な広告プロモーションに使用させて頂きたく、ご協力をお願い申し上げます。

 

 【ご協力の対価】

  1. 非常に希少なアイテム『ワールドアイテム(WI)』を一つ贈呈

  ※効果、入手方法は未だ秘匿されていますが、ゲームバランスを左右する可能性を秘めたアイテムだと開発チームでは認識しております。

  2. アイテム贈呈後、一ヶ月間のアイテム窃盗系のスキル・魔法に対する完全保護措置を適用

 

 この映像は、ユグドラシルの「面白さ」と「可能性」を伝える最良の素材であると確信しております。

 

 ご多忙の折とは存じますが、ご検討いただけますと幸いです。

 

 何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 ユグドラシル運営事務局

 

 ***

 

 私は、画面に釘付けになったまま、しばし呼吸を忘れていた。ワールドアイテム。その詳細な能力は不明だが、運営自ら「ゲームバランスを左右する」とまで言う、超が何個もつくような希少アイテムだということだけは理解できた。

 

 (ワールドアイテム……ゲームの初期から存在は噂されていたけど、まさか運営から直接手に入る機会が来るとは。このままプレイを続けていても、いつ、どうやって手に入るかも分からない代物だわ)

 

 私は頭の中で、リターンとリスクを天秤にかけた。

 

【リターン】

 ・ワールドアイテム(WI)の入手。 その効果が何であれ、私のキャラクターを次の段階へ押し上げる強力な一手となることは間違いない。

 ・アイテム窃盗系の保護措置。 少なくとも一ヶ月間は、強力なアイテムを奪われるリスクから解放される。その間に、アイテムの能力を解析し、どんな使い方ができるかの検証ができる。

【リスク】

 ・全プレイヤーへの露出。 広告に使われるということは、私の名前と姿がユグドラシルの全プレイヤーに知られるということだ。

 ・レアアイテム狙いの標的になる。 ワールドアイテムの所有者だと知られれば、多くのプレイヤーから狙われる可能性がある。保護措置が切れた一ヶ月後、それは確実に来る。

 

 (ハイリスク・ハイリターン。でも、ユグドラシルの広告塔になるなんて、面白いじゃない!私が活躍することで、この世界がもっと多くのプレイヤーで賑わうのは、純粋にワクワクする)

 

 私はすぐにUIを操作し、運営への返信を打ち込んだ。その指先に、迷いはなかった。

 

 ***

 

 ユグドラシル運営事務局様

 

 この度は、誠に光栄なご提案ありがとうございます。

 

 広告への私のキャラクター『リリーバイス』の使用について、快くご協力させていただきます。

 

 ワールドアイテムと保護措置についても、心より感謝申し上げます。

 

 リリーバイス

 

 ***

 

 返信を送信した瞬間、私のUI全体に、金色の光が滝のように降り注いだ。それは、私が新しい運命を選んだことの、静かな証だった。

 




NPC紹介①

ワールド「ミズガルズ」の街「ベリャンスタッド」の隠された工房に住んでいる年老いた鍛冶師。
最初期の街にいる鍛冶師NPCの中で唯一、聖遺物級の武具を制作することができる。
ただし、武具制作を依頼するにはこの鍛冶師の高難度依頼を達成しなければならない。
鍛冶師の依頼はチームでも受けれるが依頼達成扱いになるのはチームリーダーのみ適応される。
基本的に街にいるNPCのいろいろな依頼を達成しなければ老鍛冶師の情報も入手できないので多くのプレイヤーからは存在を知られていない。

ゴッデス部隊メンバー(指揮官も含む)をプレイヤー側で登場させても良いですか?

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